神喰らう無色の反逆者   作:COLD

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ハンニバルの進化

リンドウの捜索が再開するもその捜索に参加できない第1部隊の面々はこれまでとかわらず、アラガミの討伐の日々を送っていた。

 

ライも討伐に出つつ、アネットとフェデリコの新人の指導を繰り返し行っていたり、2人のスタンスにアドバイスを送ったりしていた。

 

リンドウの捜索はまだ始まったばかりとはいえ色々な策を練って見つけようとしていた。

 

例えば女の子好きのリンドウだからということで女性ゴットイーター達で呼び出す作戦をコウタが考えつくも失敗。

 

他にも酒好きでもあったので一帯に酒を撒いて匂いに釣られて捕らえようとするもこれも失敗。

 

各々が色々と考えてリンドウを探すもやはり見つからないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なかなか見つからないみたいですね。リンドウさん。」

 

「そうだね。でも極東地域にはいると思うけどね。」

 

「それにしても貴方はやっぱり凄いですね。1人でスサノオを倒すなんて。」

 

今回も討伐に出ていたライだが今回はレンと2人での任務(ミッション)に出ていた。

 

あの対話以降、ライの討伐にレンがついてくるようになり、以前ライがなんで最近自分と一緒にいるのかと聞くと…

 

“貴方の問いに答える為”です。とレンは答えた。

 

「君もシユウを引きつけるだけでよかったのに単独で倒してるじゃないか。他所のフェンリルなら主力級だよ。」

 

「いやぁ…大型種で禁忌種を単独討伐に比べたら僕なんてまだまだですよ。」

 

「禁忌種ねぇ。そういえば最近はハンニバルの目撃例を聞かないな。」

 

「ハンニバル?」

 

「ああ、レンは知らないんだっけ?巷では不死のアラガミとか呼ばれてるんだよ。前に神機が壊れた原因なんだけどね。」

 

「不死のアラガミ…それって倒せるんですか?」

 

「どうだろう?コアを回収しても一定時間で擬似のコアを作って復活するから現状はコアを回収したら即離脱らしい。」

 

「不死のアラガミ…確かに死なないなら数は増えてもおかしくないですね。」

 

「案外、リンドウさんが倒してるかもね?」

 

「確かにアラガミ化が進んでたら身体がアラガミですし倒すことができると思いますよ。……でも」

 

「これはどの生物にも言えることなのですが絶滅を前にした時というのは進化(変化)するんです。だからハンニバルの姿がないのは絶滅したか大きな変化の前触れかもしれません。」

 

ゴットイーターでありながら研究者でもあるレンは研究者の視点でそう答えた。

 

「不死性の他に何かを身につけるのか…勘弁してほしいな。」

 

「まぁまぁ絶滅したかもしれないですし出てきたら対処しましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

アナグラに戻ってくるとなにやら騒ついていた。

 

「どうかしたのか?」

 

「あ、リーダー…お帰りなさい。」

 

「ブレンダンさんが行方不明になったみたいで…」

 

「行方不明?」

 

近くにいたアリサに事情を聞くとそう返ってきた。どうやら防衛班の1人であるブレンダンの消息が分からなくなったらしい。

 

「一緒に行動していたのは?」

 

「カノンさんとアネットさんが一緒に行動していたみたいです。でも2人は戻ってきたのですが今は医務室で治療中です。」

 

「そうか。2人に話を聞いてみないとな…」

 

「先輩!!!」

 

アリサとそのような会話をしていると突然ライに金髪の少女が縋りついてきた。

 

「アネット?」

 

「お願いします!!ブレンダンさんを…ブレンダンさんを探してください!!!」

 

「いや、探すよ。探すけど少し落ち着いて。」

 

「は…はい…」

 

「とりあえず君達だけでも無事でよかった。それで何があったの?」

 

「それがいつも通りにアラガミを討伐してたら今までに見たことないアラガミが現れて…」

 

「新型か‥どんな形だった?」

 

「えっと…黒っぽいトカゲのようなドラゴンのような…でも身軽で紫の火を噴いたりして凶暴でした。」

 

「それってハンニバルじゃないですか?」

 

「多分ハンニバルの変異種だね。最近見かけないと思ってたけど変異種が出てきたとは…」

 

アネットの話を一緒に聞いていたアリサにそう返すライ。レンと話していたことが数時間後に現実になるとは思わなかったと目を丸くした。

 

「私もカノンさんも疲弊しちゃってブレンダンさんが隙を作ったら離脱しろと言ったんです。それで私達は離脱出来たんですけどブレンダンさんが行方不明になっちゃって。」

 

「私が…私が新型神機をうまく使えてたら…」

 

「こんなことが起きてなかった…かい?それは驕りだよ。」

 

「……え?」

 

「防衛班は死んではならない。そう教えたはずだぞ。」

 

「……タツミさん。」

 

話が聞こえたのか防衛班の隊長であるタツミがアネットに向かって言った。

 

「アイツがお前とカノンを離脱させたのも死なせない為だからだ。もちろんブレンダンの奴も死ぬつもりはないさ。付き合いが長い俺が言うんだから間違いない。」

 

「そうですね。ブレンダンさんは堅実な戦いを得意としてますからうまく逃げきっていると思います。」

 

「アイツのことだ。電波が通りにくいところに隠れてるんだろ。」

 

明るく言ってはいるがタツミも心配していないわけではない。

 

でも明るく言えるのは“信じている”からだとライは思った。

 

「お前は医務室に戻れ。医療班から太鼓判をもらったらとことん働いてもらうからな。」

 

「……はい。」

 

タツミに言われアネットは医務室に戻っていった。

 

「悪いな。アネットの面倒を見てもらって。」

 

「いえ、同じ新型ということで面倒をみるように言われてますし。」

 

「そうか。ところでリンドウさんが戻ってきたらアンタは隊長のままなのかな?」

 

「いや、僕は空席に座っただけですから席の本来の主が戻ってくるならその主が座るべきだろうし。」

 

「そうですか?でもリンドウさんよりもリーダーの方が統率が取れてると思いますけど…第1部隊は我が強い人の集まりですし。」

 

「アリサ、君もその中の一員だからね。」

 

 


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