「アネット。突っ込み過ぎ。それだとアラガミの攻撃を防げないし遠距離攻撃に巻き込まれるよ。」
「す…すいません!!!」
「フェデリコは敵を前にオドオドし過ぎ。怖いのはわかるけどその恐怖心を乗り越えないとこの先やっていけないよ。」
「は…はい…」
「じゃあ次のシミュレーション行くよ。」
「「お願いします!!」」
現在、ライは新型の新人2人の指導を行なっていた。
アネットもフェデリコも既に部隊配属となっているがまだ実戦には数えるくらいしか出ていない。故に戦闘技術が未熟である。
さらに新型神機の扱いにも慣れてないためライの指導のもと訓練室で戦闘訓練のシミュレーションを行っていた。
「さて、一通りシミュレーションしてもらったけどアネットは防御の意識が足りないな。その分攻撃特化してるといえば聞こえはいいけど今のままだとカウンターをくらう可能性が高い。あともっと遠距離武装を使おうか。」
「……はい。」
「フェデリコは恐怖心からか及び腰だった。まだ神機使いになってまもないから仕方ないと思うけどそれを乗り越えないとね。」
「……はい。」
「あとは2人共神機変形に手間取ってるね。そこは馴れだから仕方ない。」
「新型神機は出来ることが多いから戦況を見る目も養っていた方がいい。」
「戦況ですか?」
「そう。遠距離神機は弾切れを起こすと自己修復が終わるまで攻撃できないからね。だけど新型は遠近両方に対応できるようになってるからできることが多い。」
「部隊で自分の役割を見極める目は大事。できることが多いならなおさらね。」
「言葉で言っても分からないから次回は実戦で実際に見せるよ。それまでにある程度実戦馴れしてくれ。」
「「はい!!」」
シミュレーションを終えてアネットとフェデリコに総評するライ。とはいえライも新型神機を手にして1年も経ってない。極東支部初の新型神機使いでかなりの場数を踏んではいるが経験値は極東支部内では低い方だろう。
「君が持ち帰った黒い羽根だけど僅かながらにリンドウ君の“痕跡”が見られた。」
「そうですか。」
アネットとフェデリコの指導を終えると次はサカキからの呼び出しがあった。
「でも確証はまだ持てない。だから…」
「黒い羽根を見つけたら回収してほしいと。」
「ああ。その通りだ。」
「わかりました。」
「ところで君の方には何か変調はないのかい?」
「と言いますと?」
「君の体内には少量ながらもリンドウ君の神機のオラクル細胞が入っているからね。本来なら拒絶反応が起きてもおかしくない。」
「僕本来のオラクル細胞に捕食されたとか?」
「おそらくそうなんだろうね。まぁ見たところ大丈夫そうだが何か変調があったらすぐに教えてくれ。」
「了解です。」
「またサカキのオッさんにこき使われているのか?」
「そんなところ。ちょっとほしい素材の回収を頼まれてね。」
「それなら私も手伝いますよ?」
「それは助かる。黒い羽根なんだけど。落ちてたら拾っておいて。」
「黒い羽根ですか?」
「あのオッさん…また変なものを…」
エントランスに戻ってくると任務終わりなのかソーマとアリサと出くわしたライ。
リンドウ生存の可能性はまだ伏せられているため彼等にもまだ話してはいない。
「でも羽根なんて何に使うんです?」
「さてね。また初恋ジュースみたいなものを作るんじゃない?」
「お前…仲良いならもっとマシなもの作らせろよ。」