神喰らう無色の反逆者   作:COLD

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訓練

ライside

 

少し先にアラガミが5体。全てオウガテイル。

 

まだ此方には気づかれている様子はない。

 

この距離なら狙撃が有利。すぐに神機を銃形態に変更。

 

今回の銃は『ブラスト』。銃では1番の火力を誇る。燃費が悪いのが欠点だが…

 

それでも当たらなくとも衝撃で何体かは吹き飛ばせるはずだ。

 

できるだけ密集してるところに狙いを定め引き金を引く。

 

放たれる弾丸は勢いよくオウガテイルの群れに当たる。

 

弾き飛ばしたのは2体。残る3体は此方に気づき咆哮と共に迫ってきた。

 

1対3では分が悪い。だから『閃光弾』を投げる。

 

『スタングレネード』閃光でアラガミの目を眩まし、一時的に行動不能とする。

 

その隙に神機を銃形態から剣形態に変更しオウガテイルに迫る。

 

まだ動けないオウガテイルを一閃。

 

たった一振りで倒せるとは思ってない。だから2度3度と神機を振るう。

 

スタングレネードの効果が切れると同時に捕食形態へと神機を移行させ、オウガテイルを喰らいその食らったオウガテイルを起き上がった別のオウガテイルの方に投げ捨てる。

 

残り2体。

 

今のうちにこの2体を仕留める。

 

尻尾からの遠距離攻撃を交わし接近する。

 

別のオウガテイルが噛み付こうと突進してくるがそれも交わし無防備のところを一閃。

 

痛みにもがいているところをまた一閃。そして距離を取り銃形態に移行しブラスト弾を発射。

 

それが致命傷になり、一体撃破。

 

2体目はブラスト弾連射で撃破。

 

残り3体。

 

さて、どうするかね…

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シミュレーション終了。」

 

訓練室内に教官であるツバキの声が響く。

 

「ふぅ…」

 

一つ溜め息を吐き、額の汗を拭うライ。

 

そう今のはシミュレーションであり、実戦ではなく訓練だった。

 

「やっぱり剣の方が使いやすいかもな…」

 

ライは自身の神機に目をやる。

 

神機には近接武器として長剣(ロングブレード)、遠距離武器としてブラスト、防御壁としてタワーシールドが装備されている。

 

「防御力は高いけど、展開に少し時間がかかる。やはり多少防御を落としてでもある程度展開の速いシールドにすべきか…バックラーは回避メインだからここぞの時の防御は心許ないし…」

 

「ブラストも火力はあるけど確実性がな…それに精密射撃のできるスナイパーの方がしっくりきたし…」

 

今のシミュレーションで自身が感じた感覚を元に思案するライ。

 

実は訓練毎に神機の装備を替えてあらゆる型を試した上で自身のメイン武器を探っているのだ。

 

今は長剣だが先日は短剣、先々日は鎌といったあらゆる武器を試している。

 

その全てでハイスコアを叩き出しているのだが本人はどうにもしっくりこないらしい。

 

余談だがあらゆる武器を試してくれるので提出する報告書も多くなるのだが貴重な新型神機使いのレポートが多いのはフェンリルの技術者としても嬉しいらしくすぐに改善に取り掛かっているらしい。

 

「では次の訓練に入る。シミュレーション開始!!」

 

再びシミュレーションが始まる。思案を止め、シミュレーションに集中するライだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「修正が速いな。」

 

シミュレーションを見ながら感心するようにツバキは呟く。

 

先のシミュレーションで悪い点はほぼなかったがそのほぼが見事に修正されていた。

 

「身体を弄られているとは聞いてはいたがあれはまぎれもない奴自身の能力だろう。」

 

「どうだね?彼は?」

 

「支部長。」

 

訓練室に入ってきたのはヨハネスだった。

 

「すごいの一言に尽きますね。状況判断と行動予測は高い水準を誇ります。それに修正力の高さも評価できます。」

 

「そうか。さすが新型とも言うべきか。身体や脳を弄られているがその後遺症は?」

 

「ありませんね。ただ…」

 

「ただ?」

 

「ヤツ自身は気づいてないでしょうがアラガミを倒した後一瞬ですが悲しげと言うか、羨ましそうというか、儚げな表情をしてますね。」

 

「よく見ているね。」

 

「あの鉄仮面のような表情が変わるのですから気づきます。」

 

「そうかい。では君の所感からして彼は実戦に出せるかい?」

 

「………」

 

黙りこくるツバキ。数秒の沈黙のあと、意を決したかのように答える。

 

「小型種なら恐らく単独で仕留められます。中型種もある程度実戦を積ませれば…」

 

「そうか。了解した。本当に君の弟君はいい拾い物をしてくれた。今後とも姉弟共にフェンリルの為に働いてくれ。」

 

そう言い訓練室を出て行くヨハネス。

 

「拾い物…か。」

 

捨てる神あるならば拾う神もある。

 

なんとなくだがツバキはその言葉を思い出した。

 

もしもヨハネスのいうようにリンドウに拾われたならライは一度捨てられたのかもしれない。

 

記憶喪失もライを棄てたものによる故意的なものならばツバキは捨てたものに怒りを覚える。

 

同時にツバキは心配になった。

 

自身のことすらも碌に覚えてないライがこの先壊れてしまうのではないかと…

 

そんな状態のライを本人が決めたとはいえ、ゴッドイーターとして戦わせるのは酷なのではないかと…

 

そんなツバキの心情とは裏腹に…

 

ライはまたハイスコアを叩き出す。

 

 

 

 




どうしよう。不定期の予定だったのにもう一作よりもトントン拍子で話が作れる。もう一作の方はスランプ状態だから気分転換作のつもりで書いたのに…

まぁ口はこの程度にしてゴールデンウィーク中に後2話できれば3話書きたいです。というか早くアリサ出したいし。

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