神喰らう無色の反逆者   作:COLD

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事後処理

爆風に巻き込まれ吹き飛ばされたゴットイーター達。

 

また爆風により家屋も吹き飛ばされ、爆風に巻き込まれた一帯は瓦礫とかしていた。

 

「っ……」

 

全身を叩きつけられた痛みを堪え、立ち上がるライ。

 

周りもライ同様に立ち上がる。

 

「チッ…自爆かよ。」

 

近くにいたソーマが悪態をつく。

 

「みんな、無事?」

 

「どうにか。」

 

「こっちもどうにか無事です。」

 

「防衛班の方もかすり傷程度で済んだみたいだよ。」

 

各々の無事を確認する。とりあえず全員無事のようだ。

 

「それにしてもまさか自爆するなんて…」

 

「クアドリガのミサイルを体内で爆発させたという感じですかね。」

 

「いや…リーダー、何冷静に分析してるの?」

 

サクヤの問いに冷静に答えるライに対しコウタは真っ当な突っ込みを入れる。

 

「それはともかく結構吹き飛ばされたみたいだ。」

 

「でも人口密集地区には被害が出なかったのは不幸中の幸いですね。」

 

「とりあえずあのアラガミのところに戻ろう。……やらないといけないこともあるし。」

 

ライがそう言うと全員でアラガミの下に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元の場所に辿りつくとその一帯は壊滅と言っていい状態だった。

 

先の爆風で建物は瓦礫へと変貌し放熱によって一部の廃墟は焼け焦げていた。

 

そしてこの惨状を引き起こした元凶は……

 

「……当然の結果か。」

 

ライ達の前には黒く焼け焦げた焼死体が1つ。

 

その焼死体の胸の辺りにはアラガミのコアが嵌め込まれている。

 

「そんな…オオグルマ先生……」

 

「アリサ…」

 

かつての恩人の成れの果てにショックを受けるアリサ。

 

アーク計画に利用するためだったとはいえ心が壊れたアリサとずっと一緒にいてくれた親代わりと言ってもいい存在だったオオグルマ。アーク計画を巡って袂を分かったとはいえ生きる気力を与えてくれた“主治医”への感謝の気持ちは変わらない。

 

だがアラガミに“墜ちた”以上、彼等ゴットイーターがこの焼死体を“弔う”方法はただ一つ。

 

「リーダー…何を…」

 

オオグルマ‘だった“焼死体に近づくライ。

 

そして焼死体の前に立つと神機を捕食形態に変える。

 

「決まってるだろ。」

 

呆然としてるアリサの問いに答えたはソーマだった。

 

「アラガミを倒したらコアの回収するのが俺たちの仕事だ。」

 

「そんな…オオグルマ先生はアラガミじゃ…」

 

「アラガミじゃなくてもアレはもう“手遅れ”だ。」

 

後ろの会話を聞きながら捕食形態の神機を焼死体に向ける。

 

「………ヤ…ル…」

 

「………」

 

焼死体から掠れる声が聞こえた。掠れて聞こえにくいが意思の篭った声が。

 

「コロ…シ……テヤ……ル……ノロ……ッテヤ………ル……」

 

耳を澄まして聴くとその声を捉えることができた。

 

「……なんだ。まだ元気じゃないか。」

 

その身が黒く焼き焦げた上にアラガミ化による激痛に苛まれてもなお折れない闘争心に関心するライ。

 

だがそれだけだ。オオグルマは助からない。

 

彼には即死か長い激痛の末の死の選択肢しか残されてない。

 

「……今、楽にしてやる。」

 

「まっ…!!待って!!リーダー!!やめてください!!!!!」

 

アリサの悲痛な叫びが聞こえるがライは止まらない。

 

捕食形態の神機は容赦なく慈悲もなく焼死体に喰らいつく。

 

「やめてえええええええぇぇぇぇ!!!!!!!」

 

アリサの悲痛の叫びが木霊する中…

 

ライの神機はオオグルマを“喰いつくした”。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「事の顛末は以上です。」

 

「……そうか。」

 

アナグラに戻ったライは支部長室に赴きサカキとツバキに事の顛末を説明した。

 

「お前にしては軽率な行動をとったな。」

 

「……返す言葉もありません。」

 

「だろうな。確かに公安はアーク計画の関係者の1人としてオオグルマダイゴの捜索も行なっていた。」

 

「奴はアーク計画の中心人物の1人だ。必ず捕らえなければならなかった。」

 

「……すみません。」

 

「まぁまぁツバキ君。君も彼を止めなかった非もあるのだから穏便に。」

 

叱責を続けるツバキに諭すような口振りで窘めるサカキ。

 

「ですが…!!」

 

「アーク計画に直接ではないが私も関与していた。ツバキ君の言い分なら私も拘束されなくてはならないが思うがね?」

 

「それにツバキ君も彼が考えなしに事を起こすとは思ってないだろ?」

 

「確かに…そうですが…」

 

「……苛ついていたんでしょう。」

 

サカキに畳み掛けられるツバキに助け舟を出すように呟いたライ。

 

「苛つく?君がかい?」

 

「ええ。我ながら何故かは答えられませんが。」

 

「だけどリフレインのことは知っている。効能もどのような副作用があるかも。……そして最後にどうなるかも。」

 

淡々と語るライ。だが次第に言葉に怒気が含まれる。

 

「リフレインに怒っているのかオオグルマに怒っているのか、はたまたリフレインに逃げた人たちに怒っているのか。僕には分かりません。」

 

「だけどどんな手を使ってでもこれ以上被害を大きくしてはいけないと思っていたのは確かです。」

 

「……その結果がオオグルマダイゴのアラガミ化と居住区域の損害か。」

 

「……処罰は受けます。」

 

「うん。後日、処罰は後日発表する。戻っていいよ。」

 

どう言い繕ってもライの行動は組織としては処罰されるものであるものにはかわりない。

 

とはいえライのこれまでの功績を考えればそこまで重い処罰は下されない……はずだ……多分。

 

 


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