神喰らう無色の反逆者   作:COLD

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幕切れ

「レーザーくるぞ!!」

 

「シュン!!前に出過ぎだ!!放電に巻き込まれるぞ!!」

 

「どわぁ!!カノン!!アブねーだろが!!!」

 

「私の射線にいるのが悪いんだよ!!!!!」

 

「………新鮮だな。」

 

「え?」

 

少し離れた場所でアリサに火傷した手に包帯を巻いてもらいながらライは呟いた。

 

「アラガミ討伐であんなに言葉が飛ぶことはないからさ。僕は事前に指示を出したらあとは各自臨機応変に攻めさせてるだろ?」

 

「そういえばそうですね。」

 

「防衛班の皆も臨機応変に動いてはいるけど各々我が強い。」

 

「だけどそれが良い傾向に進んでる。並みの部隊なら連携が乱れるだろうに。」

 

「それでも統制がとれているのは口では悪く言ってるけど各々信頼してるんだろう。ああいうまとめ方もあるんだな。」

 

防衛班の統制と連携を見てライは関心した声をあげる。

 

「そうですか?私はあんな連携は嫌です。」

 

「そう言うけど最初の頃はアリサも連携無視してたけどね。」

 

「それは言わないでくださいよ!!」

 

「まぁ人それぞれの纏め方があるってことか。隊長歴もタツミさんの方が断然長いことだし。」

 

引き出しが多いのだろうと呟くと立ち上がる。

 

「包帯のおかげで痛みは和らいだ。これなら戦える。」

 

「無理しないでください。あと“アレ”はもう使わないでくださいね。」

 

包帯を巻かれた両手を軽く握るライ。痺れる痛みが走るが神機が握れないほどではないことを確認する。

 

「それじゃ討伐に復帰しよう。」

 

討伐するアラガミを睨み、勢いよく駆けるライ。その後ろ姿に頼もしくも少し不安を憶えるアリサが続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソ!!しぶてぇな!!!」

 

「落ち着けよシュン。攻撃は確実に通っているんだ。」

 

「そうだぞシュン。あのアラガミは確実に弱っている。もう一息だろう。」

 

目の前にアラガミに悪態をつくシュンに落ち着くよう言うタツミとブレンダン。

 

2人の言う通り目前のアラガミは第1部隊が戦っていたときより弱っている。というか“萎んだ”。

 

「萎んだ分、攻撃が効きやすくなった感じね。」

 

「確かにな。一種の結合崩壊といったところか。」

 

「じゃあこのままいけば倒せるってこと?」

 

防衛班と共に討伐を行なっていたサクヤ達も目前のアラガミが萎んでいることに気づく。特にサクヤとソーマは元の大きさを知っているため明らかに小さくなっていることに気づく。

 

「とにかくこのまま攻めていけば倒せるわ。気を抜かずにいきましょう。」

 

「了解。それじゃ陽動は僕やタツミさんといった剣の神機使いがサクヤさんやコウタといった遠距離神機使いは援護を頼みます。トドメはソーマとブレンダンさんの大剣使いということで。そのあとは臨機応変にいこう。そういうことなんでタツミさんに連絡頼みますね。」

 

サクヤの言葉に返事を返したのは戦列に復帰したライだった。

 

「リーダー!!?」

 

「そうは言うけど…大丈夫なの?」

 

「神機を握れればどうにでもなりますから。」

 

サクヤの心配の声に淡々と返すライ。だが包帯に巻かれたライの手の痛々しさをみると説得力はない。

 

「言いたいことはわかるけど追い詰めている以上早く仕留めるには戦力が1人でも多い方がいい。」

 

「それにこれは僕が引き起こしたことだし責任もあるからここは引けない。」

 

言いたいことをすべて言ったのかライはアラガミに向かって駆けだす。

 

「おい!!ったく!!」

 

「あ!!ソーマ!!」

 

「あ、待ってくださいよ!!」

 

ライを追いかけるソーマ。それに続くアリサ。ライが考えた作戦はあっさり崩れた。

 

「ああ!!もう!!!」

 

自分が立てた作戦を自分で壊す我等の隊長に頭を抱えたサクヤ。

 

だが微かに口元は笑みを浮かべていた。

 

「まったくもう。私たちも援護するわよ。」

 

「了解です!!」

 

呆れながらもしっかりアラガミに突っ込んでいった我等の隊長とその仲間達を援護するサクヤとコウタ。

 

誰かの為に自分ができることをやる。これが第1部隊の連携の根底だろう。

 

だからサクヤとコウタは遠距離神機で攻撃をする。

 

接近して直接アラガミと戦う仲間を生かすために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦線にライとアリサも加わり、着実に目前のアラガミは弱っていく。

 

「もう少しだ!!」

 

タツミの激励が響く。その言葉通り目前のアラガミはさらに縮んだ。

 

最初こそは超大型アラガミに匹敵するほどの大きさだったが今は中型種より少し大きい程度までに萎んだ。

 

また萎むにつれてレーザーも放電も弱くなった。それがゴットイーター達に相手が弱っていると認識させている。

 

「……すごく今更なんだけどアラガミって小さくなるの?」

 

ふと疑問を呈したライの一言。その言葉に活気づいていたゴットイーターは静まりかえる。

 

アラガミ毎に形状が違うのはコンゴウ種やシユウ種といったアラガミの種類も豊富だから理解できる。

 

だが元の大きさから徐々に小さくなるアラガミは今までに発見されていない。

 

不信感を覚えるライ。だがそれでも攻撃の手は緩めない。

 

しかし浮かんだ不信感は現実となる。

 

アラガミの全身が徐々に赤く染まっていく。

 

同時にアラガミの周囲も“熱く”なっていた。

 

空から降り注ぐ雨も小雨ながらも熱量により、水蒸気が立ち込める。

 

「うわッ何も見えねぇ!!」

 

誰かの言葉の通り水蒸気でゴットイーター達の視界は蒸気により奪われた。

 

その一瞬だった。

 

「え?」

 

ほんの一瞬、一瞬だけ光った瞬間…その直後…

 

ゴットイーター達はとてつもない爆風に襲われた。

 

 

 

 

 

 

 

 


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