「シオが逃げ出した?」
「…はい。」
アリサからシオ逃亡を聞いたライ。
「またか。」
「またです。」
「何か変わったこととかあった?」
「えっと…確かエイジス島を見てて行かなきゃって言ってたような…」
「行かなきゃ…ねぇ。」
それはおそらくエイジス島にある“何か”がシオを呼んだと推測できる。
「サカキ博士はなんか言ってた?」
「特には何も。でも早いうちに保護したいとは思ってると思います。」
「そっか。わかった。僕もこれから任務だから適当に探してみる。」
「お願いします。」
「ここでいなくなったのか…」
任務であるハガンコンゴウの討伐を達成し、ヘリの迎えが来るまでの間、場所がシオがいなくなったとされる愚か者の空母だったため何か痕跡がないか探すライ。
しかしアリサの話では海に飛び込んだとのことなので痕跡らしいものは見つからない。
「考えられるのはエイジス島…か。」
そう呟きライは建設途中の人工島に見る。
人類最後の理想郷と呼ばれ極東支部のゴットイーターが理想郷の完成を夢見てひたすら戦いの日々を過ごして来たエイジス計画。
しかし先日知った謎のアーク計画。前リーダーのリンドウがエイジス島に潜入しようとしていた事実を考えるとエイジス島は本当に人類の理想郷なのか疑わしい。
「……“妹”は完成しつつあるのかもな。」
「やぁ。こうして話すのも久しぶりな気もするね。」
任務を終えると支部長室に呼ばれたライ。支部長室にはそ部屋の主であるヨハネスがいた。
「相変わらず君の活躍は耳にしているよ。前リーダーのリンドウ君の仇も取れたこともね。」
「さて、本題に入ろう。先日、エイジス島近郊で特殊なオラクル反応を感知した。君には最重要特務としてこのアラガミを討伐及び無傷でのコア摘出を頼みたい。」
「しかし相手は得体のしれないアラガミ。新種の可能性もある。故にソーマと協力してことに当たるように。」
「了解です。」
「期待しているよ。このアラガミのコアを手に入れれば“エイジス”計画は盤石となる。しかし手に入らなければ我々は苦渋の決断を迫られるだろう。」
「苦渋の決断?」
「ああ。私としてもこの決断は避けたい。どうか頼む。」
ヨハネスの言う苦渋の決断に首を傾げるライ。そして特務なオラクル反応とはシオで間違いないと悟った。
ライを見送ったヨハネスは何者かに連絡をとっていた。
「私だ。状況はどうだ。」
「そうか。お前はエイジス近郊を探れ。その他の場所はこちらで対処する。」
「『特異点』の反応がエイジス近郊に見つかって日は浅い。まだ潜伏している可能性があるからな。」
どうやらエイジス島で働いている者と連絡をとっているようだ。
「わかっている。だが“不完全品“よりは完成品の方が計画が達成される可能性が高い。…それに”彼“を失うことは未来の損失だ。」
「いいか。結果的にお前のおかげで彼は覚醒したかもしれないが金輪際彼に手を出すな。破ればお前の身の保障を白紙にさせてもらう。」
「私も数刻の内にそちらに向かう。”食の管理“もあるからな。」
そう伝え、通信を切るヨハネス。
「遂に…遂に…ここまで来た。」
「アイーシャ。ようやく我々の計画…いや、悲願がなされつつあるよ。」
「ここで特異点を逃すわけにはいかない。彼の為にも…」
「彼は私の”意志“を継ぐ”後継者“に成りうる存在だ。必ず救ってみせる。」
誰も聞くものがいない独白。その声は誰にも告げられることもなく消えていった。
シオの脱走、アーク計画、特異点、ヨハネスの言う後継者。
この単語が未だ何を意味するかはまだわからないがこれらが1つの線で結ばれた時、1つの答えがもたらされる。
微かにだが確実にカウントダウンは始まっている。
ようやく無印が終幕へと入りました。
約一年。2ヶ月の休筆があったから10ヶ月か。
ようやくここまで来たと感慨深いですね。
とはいえまだまだ続くのですが。無印の最終話はいつになるやら。
目標としてはリザレクションまで書ききるつもりでいますがまた1年以上かかりそう。
まぁバーストもリザレクションも無印ほど深くないから多少は話数が減る…はず。
これが48話だから50話では無理。55話で終わればいいかな?もしくは伸ばして60話?