神喰らう無色の反逆者   作:COLD

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包囲網

「いない…ですね。」

 

「隠れる場所はたくさんあるからね。」

 

リンドウの腕輪の反応があった場所に辿り着いたライ達第1部隊。

 

腕輪の反応があった場所は沢山の廃墟ビルが並び立つ人類にとってもアラガミにとっても身を隠しやすい場所だった。

 

さらにこの場所は広域のようで今はライとアリサの2人とソーマ、コウタ、サクヤの3人にチームに分かれて捜索を進めていた。

 

「こちら、ライ。そっちの様子はどうだい?」

 

手にもつ通信機で相手チームに連絡を取るライ。すると応答がすぐに返って来た。

 

「こちらサクヤ。今のところ変化なしね。オウガテイルやザイゴートといった小型アラガミはいるけど。そっちは?」

 

「同じですね。わかりました。何かあったらまた連絡します。」

 

「こっちも何かあったら連絡するわ。無茶しないでね。」

 

「サクヤさん達は何か収穫がありました?」

 

通信機を切るとアリサがそう聞いてくる。しかしライは首を横に振ることでアリサに伝える。

 

「そうですか。もしかして腕輪の反応が誤反応ということも…」

 

「あるかもね。」

 

「もしそうなら私偵察班にクレーム入れます!!あの人達のせいで振り回されるのはもう嫌ですから!」

 

「落ち着いて。気持ちは分かるけど偵察班だって万能じゃないんだから。」

 

「それに少しばかり不可解なことがあるしね。」

 

「不可解ですか?」

 

首を傾げるアリサに少し苦笑するライ。そして気づいた不可解なことを話す。

 

「アリサも気づいてると思うけどぼく達が此処に来てからまだ戦闘らしい戦闘はしてないよね?」

 

「あ、確かにそうですね。小型アラガミも確実に目があったのに襲ってこないしこちらから来ると牽制しながら後退していきました。」

 

「どうしてだと思う?」

 

ライが言うように第1部隊がこの場所に来てから戦闘は行なっていなかった。

 

「どうして…て言われても…でも不思議ですね。このエリアのアラガミ全員が同じ動きしてるのは。」

 

「確かに不思議だね。捕食本能しかもたないアラガミがそんな統率された動きをできるとは思えない。」

 

「あの…リーダーはもうわかってるんですよね?勿体ぶらないでくださいよ。」

 

「ハァ…アリサ。アドバイスだけど自分の頭で考えるということは大事なことだよ。どんな状況でもね。」

 

呆れ気味にそういうライはアリサが言うように答えには辿りついていた。

 

まぁ答えよりは予想といったほうが今のところは正しいだろうが。

 

「絶対的な強者による統率だよ。言うならこのエリアの主。その主の指示で僕達に襲って来ないと言うのなら理にかなっている。」

 

そして…とライが言葉が続けようとした時、突然ライとアリサを包囲するように小型種と中型種のアラガミが現れた。

 

「このように襲ってきたということは主の許可が下りたってことさ。」

 

神機を強く握り共に背中合わせになるライとアリサ。小型と中型種のアラガミだけだがその数は多い。

 

「やれるかい?」

 

「私を誰だと思ってるんですか?極東支部最強を誇る第1部隊のゴットイーターですよ?…それに…」

 

そこで一度言葉を切り、信頼する声質でアリサは言った。

 

「リーダー(貴方)と一緒なら負ける気がしません。」

 

アリサから絶大な信頼を受けるライ。

 

同時にライの耳にはアリサではない何者かの声が響いた。

 

ーー貴方になら背中を預けられたーー

 

その声は女性の声でライはこの声に何故か懐かしさと虚しさを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、サクヤ、コウタ、ソーマのチームも小型種と中型種のアラガミに囲まれていた。

 

「オウガテイルにコンゴウ…楽勝だな。」

 

「楽勝って単体ならともかくこの数は手を焼くだろ!!?」

 

「そうね。少し時間がかかるけど殲滅できるわね。」

 

「って!!?サクヤさんも乗り気!!?」

 

囲まれているのにも関わらず余裕のソーマとサクヤ。慌ててるのはコウタだけだ。

 

「おそらくアイツらも同じだろうな。」

 

「でしょうね。大丈夫かしら?」

 

「あの〜サクヤさん?その大丈夫が心配してるようには聞こえないんですが?」

 

「心配してないもの。リーダーとアリサなら負けるはずないでしょ?この程度のアラガミにね。」

 

中型種クラスをこの程度と言わしめるほどの実力を持ち合わせたゴットイーターが所属する第1部隊。極東支部では単独でヴァジュラを討伐したら一人前と認められるため中型種のアラガミをこの程度と呼べるのはあながち間違いではないのかもしれない。

 

「どちらにせよ助けに行くにしてこの状況を打破しないといけないでしょ。それにまだあのアラガミと接触してないわ。此処で撤退したらまた姿を眩ますかもしれないし近くにいる以上、逃すつもりはないわ。」

 

サクヤの決意に満ちた言葉。今回の任務は前リーダーであるリンドウの腕輪と神機の回収が最終目標である。

 

それが何を意味するのかもサクヤ達は理解している。それでもこの任務を第1部隊の手で達成しなければならなかった。

 

「まぁそういうことだ。」

 

「なんにせよこのエリアに前リーダーの敵がいる。それを俺たちが撃つ。その前にこのアラガミ達を片付けてリーダー達と合流する必要がある。1つか2つ手間が増えただけだ。」

 

「そうね。それじゃ早速掃除を始めましょうか。」

 

どちらにせよこの包囲網を突破するのが現在の最優先事項。第1部隊全員の神機の握る手に力がこもる。

 

「それじゃあ…」

 

「神狩りを始めようか!!」

 

アリサ以外には聞こえないのにライがそう言うと同時に第1部隊全員が戦端を開いた。




思ったのですがこの作品でライの記憶が失われていますが記憶が戻ってもあんまりかわりないとのではないかと考える今日この頃。

記憶を取り戻したら戦闘力強化とかあった方がいいでしょうか?もちろん記憶は取り戻すのですが。

記憶=経験値としたら戦闘力強化もありなんじゃないかとなんとなく考えついたりつかなかったり。

それはともかく前回のあとがきで次回ピター戦とかきましたがピター戦ではなくて申し訳ございません。

最初こそ既に戦っているパターンとか考えたのですがアニメをでは沢山のヴァジュラを従えてたのを思い出しましてアラガミの主としてあとから登場もありかなと思いまして…

あとどうやって洗脳状態のアリサにライを襲わせようか悩んでます。神機で背中をグサッとか?アサルトで撃たれるとか?



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