「また雨宮大尉の腕輪の信号の反応が確認された。」
数日ぶりにツバキに呼び出された第1部隊。そしてツバキから告げられたのは以前のプリティヴィーマータ戦の時と同じ内容だった。
「今回は本物だろう。場所も鎮魂の廃寺ではないから気温の影響は少ないだろう。」
「前にも言ったがあくまで討伐が優先だ。仇討ちやらなんやらは考えるな。」
「では武運を祈る。」
「…先にヘリに集まっていてください。少し寄るところがあるので。」
ツバキがいなくなり、ヘリに第1部隊全員で向かおうとした際、アリサがそう言う。
「……わかった。出発には遅れないようにね。」
「はい。」
そう言ってアリサはエレベーターに乗り込む。それを見送る第1部隊、
「どうしたんだろ?アリサがやけに大人しかったけど。」
「そうね。少し表情が硬かったし肌も青白く見えたわ。」
「仕方ないですよ。今回の相手はアリサにとってはトラウマそのものですから。」
「なにか知ってるのね。」
「ええ。まぁ。」
そう言うライの表情も暗い。
感応現象でアリサの過去とトラウマを知ったライだがそのアリサの過去やトラウマを他人であるライがサクヤ達に話してもいいのか悩んでいた。
前にサクヤにアリサの過去を話したのはアリサへの誤解を解くためだった。しかしだからといって他人の過去を勝手に話すべきではないともライは思っている。
「とにかく今回の相手は第1部隊としてもアリサとしても因縁の相手と言えます。これだけしか言えません。」
「そう。貴方がそう言うなら無闇に詮索はしないわ。」
「すみません。」
その頃、アリサはというと…
「ふぅ…」
自分の部屋で顔を洗っていた。
ツバキから例のアラガミが見つかったと聞き悪寒が走ったアリサ。いくら耐性がついたといえどもトラウマの元凶を前にして普段通りの動きができるか不安だった。
それで一度落ち着く為に自身の部屋に戻ってきたのだ。
「大丈夫。私なら勝てる。」
鏡越しの自分に暗示を掛けるアリサ。
その時、今は行方不明になった“主治医”から教わった“魔法の言葉”を思い出した。
主治医曰く言葉を発せば強い自分になれるというおまじないのような自己暗示。
その魔法の言葉をアリサは呟く。
「アジン・ドゥヴァ・トゥリー」
魔法の言葉を繰り返し呟くアリサ。おまじないの影響か心なしか力が漲る感じがしていた。
「フフっありがとうございます。“オオグルマ先生”」
なんとなく呟いたお礼の言葉。
「よし!!」
両頬を叩き気合を入れるアリサ。
すると部屋のドアからノック音が聞こえた。
「はい。今行きます。」
第1部隊の誰かが迎えに来たのだろうとは急ぎ足でドアへと向かうアリサ。
できればリーダーがいいな。と内心思いつつも改めて部屋の散らかり具合を見るとリーダーには見せられないと翻意するアリサ。
だがその願いは聞き届けられたのか部屋の前にいたのはライ達第1部隊の誰でもなかった。
「あ…あなたは…」
「ーーーーー」
「あ…」
驚きの表情を浮かべるアリサだが外の人物が何か言うとまるで催眠状態にでもなったように目の光が消え、ただ立ち尽くすアリサ。
「ーーー」
そんな状態のアリサに外の人物は語る。
「はい。わかりました。」
催眠状態のアリサは何か命令を受けたのかそれを受諾する。
「私は…リーダーを…」
命令が刷り込まれたのを確認したのか外にいた人物はその姿を消す。
「………あれ?」
催眠状態が解けたのかアリサの目に光が灯る。
「私は一体?」
記憶の欠落を感じるアリサだが時計を確認するとヘリの出発時間が迫っていることに気づいた。
「あ!!いけない!!」
急いで忘れ物がないか確認して部屋をでるアリサ。
その際にアリサは無意識に呟く。
「私は…アラガミ(リーダー)を…」
その声は恐ろしく冷淡で躊躇がなかった。
「殺します。」
次回からピター戦です。
亡国に出てきた時空の管理者こと意識の集合体についてですがこの人物曰く人類全員にギアスが発現する可能性を植え付けたようですね。
調べると宇宙の進化がどうとかとにかく発展させるためにギアスを人類与えたとか。
でもコード契約者同様長く行き人類の愚かさに呆れて自身の間違いを正す為、ギアス能力者を片っ端から殺して力(ギアス)を回収するとか。
結構自己中というか唯我独尊な感じします。
今作でライとも会わせてみるかな?一応コード契約者同様精神に入り込めるみたいだし。
亡国ではレイラに諭されて人類に猶予を与えたけど改めて人類の愚かさを感じて次はライと話し合うという形で。
というか時空の管理者はギアス契約の際、見た多くのコード所持者の意識が合わさって誕生した存在なら身体中にギアスの紋様があるのもおかしい話ではないかと。