神喰らう無色の反逆者   作:COLD

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生きるということ

「おっす」

 

「おっす」

 

「なんですか?その下品な言葉使い。シオちゃんにそんな言葉を教えないでください。」

 

シオが来てから数日が経ち、話し方は変わらないもののいろんな言葉を覚えた。

 

「ええ。別にいいじゃんよー」

 

「じゃんよー」

 

「シオちゃん。そんな言葉覚えたらバカが移っちゃうよ?」

 

「ひでぇ…」

 

しかし、第1部隊の面子、特にアリサとコウタが言葉を教えているがどうやらシオはコウタの言語教育の方が影響を受けているみたいだ。

 

「シオちゃん。こんにちは。」

 

「んーこんにちは。」

 

「うん。偉いね。」

 

そう言いながらシオの頭を撫でるアリサ。こうしてみると姉妹にも見える。

 

…方や人で方やアラガミではあるが

 

「まだそんなに日が経ってない割に随分といろんな言葉を覚えてきましたね。」

 

「そうだね。君たちがおかげだよ。それとシオ自身の学習意欲が高いのも要因だろうね。」

 

「知性を持ちながら喰うか喰われるかの世界を生きて来たんだ。だから飢えているんだろうね。コミュニケーションというものに。」

 

「知性を持ったアラガミ…か。」

 

サカキの話を聞き、ふと呟くライ。

 

本来、アラガミは捕食本能しか持たない生物である。

 

故にアラガミ同士が喰らいあうなど日常茶飯事だ。

 

その食い争う世界を知性を持って生き抜いてきたシオは無意識のうちに『生きる』ことに重点を置いて知性を働かせていたのではないか。

 

アラガミを駆逐するゴットイーターの姿も目にしているため、姿を見せなかった。見つかれば殺されるから。

 

そう考えるとシオが今まで姿を見せなかったのも納得がいく。

 

「おにーちゃんどした?」

 

「…だからお兄ちゃんはやめてよ。」

 

「ヤダ。」

 

思考の海に入っているうちにいつの間にやらシオがライを見上げていた。そんなシオにライは優しく撫でた。

 

「思うんですけど、なんでシオちゃんはリーダーのことをお兄ちゃんと呼ぶのでしょう?」

 

「すげー今更だな。でも気になるよなぁ。最初からリーダーには懐いてたし。」

 

「それは僕が1番聞きたいことだけど。博士はわかります?」

 

「それは私にもわからないな。…いっそのことリーダー君を細胞レベルまで解剖して調べるかい?」

 

『嫌です。」「やめてください。」

 

冗談とも言えぬサカキの提案にライとアリサが即否定する。

 

「そういうのは僕が死んだらにしてください。」

 

「死んだらいいのかい?」

 

「いや、ダメでしょ!?」

 

「リーダーも冗談はほどほどにしてください。」

 

「冗談じゃないんだけどなぁ。」

 

この後、アリサに連れられてライは説教を受けるのだが説教の効果があったのかは定かではない。

 

 

 

 

 

 

「…デートですか?」

 

「チッ…なんで俺が…」

 

さらに数日後、サカキの研究室にはライとソーマが部屋の主のサカキに呼び出されていた。

 

「デートというよりはシオの食料調達と受け取ってほしいかな。いやぁ君たちが今まで狩ってきたアラガミのコアが遂に切れちゃってね。在庫もない以上、戦闘(外食)に出てもらった方が手っ取り早いと思ったのさ。」

 

「もちろん、彼女も戦うよ。因みにこういうのを面白半分で作ってみたんだ。」

 

そう言ってサカキがライ達に見せたものは…

 

「神機?」

 

「しかも新型と同じ可変式…面白半分でなんてもの作ってるんですか?」

 

「いやぁなんか楽しくなっちゃって。まぁシオに合わせてる彼女も十分戦力になると思うよ。君たち同様、弱肉強食の世界を生きてきた猛者だからね。」

 

「そうだ。リーダー君。先日受けた検査の結果が今日届くんだ。多分任務後には届いてると思うから任務後にまたここに顔を出すようにね。」

 

「わかりました。」

 

「そういえばアイツは?」

 

「ああ。シオは一足先にコウタ君に連れて行ってもらった。既に神機も渡してある。こっちは残りもので作ったんだよね。うん。資源の無駄はよくないね。」

 

「…技術の無駄遣いは?」

 

「それじゃ健闘を祈る。」

 

「はぁ行くぞ。」

 

これ以上サカキに噛み付いても意味無しと判断したのかソーマは踵を返す。

 

「あ、ソーマ。」

 

「怒らせちゃったかな?」

 

「ま、大丈夫だろう。ソーマも君を認めてるようだし。」

 

「どうですかね?」

 

「早くしろリーダー。置いてくぞ。」

 

部屋に外からソーマが呼ぶ声が聞こえる。

 

「どうやらリーダーとしては認められているようだね。」

 

「嬉しいような寂しいような変な気分ですね。今までは名前で呼ばれていたのに今ではリーダーで通りますから。」

 

隊長となってからリーダーと呼ばれるようになったライ。分かりにくいが少し寂しい思いをしてたようだ。

 

 

 

 

 




シオの名の由来に関しては作者の調査不足でした。申し訳ございません。
描き直そうかと思いましたが読見返してみると形としては別にライが名付けたわけではないよなぁと作者の勝手な自己解釈で現在はそのまま残しています。

書き直しが必要と判断したら恐らく描き直すと思いますが。

作者の捉え方としては…

ライ:抱きつくシオから“海”の匂いがすることをソーマに伝える。

ソーマ:海の匂い=潮風だろとライに教える。

シオ:『シオ』という単語(言葉)を気に入って後日自ら名乗る。

というのが作者の解釈です。…言い訳とも言いますが。

あくまでライは匂いの話をソーマと話していただけでこれが後日名前になるとはライもソーマも思わなかったでしょう。

しかしシオの由来がフランス語だったとは…

フランス語を知ってるということはソーマ(もしくはヨハネス)はフランス人なのでしょうか?

サカキ博士は日本人と欧州人のハーフなのかそれとも日系人なのか?

まぁ原作コピーも改変もよくないと身に染みましたので今後はちゃんと調べながら執筆投稿していこうと思います。

実際数日程ショックで立ち直れなかった作者でした。

…ふむ。ゲームの用語集だけでは限界があるか。ネットもあるしちょくちょく調べていこう。

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