神喰らう無色の反逆者   作:COLD

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克服

「うん。最初の頃より断然動けるようになってきたね。」

 

「はい。ライさんのおかげです。」

 

今回もライはアリサを連れて実戦任務に赴き、討伐対象のアラガミ『ボルグ・カムラン』の討伐を終えていた。

 

ボルグ・カムランは蠍のような形状と鬼のような盾を持つ大型のアラガミである。

 

「大型種相手にも動けるようになったのなら、もう大丈夫だと思うけど。まだ恐怖心はあるかな?」

 

「いえ、大丈夫だと思います。もちろん完全に払拭できたとは言い切れませんがアラガミを前にしても恐怖心に支配されるようなことはなくなったと思います。」

 

「そうか。じゃあもう僕が一緒じゃなくてもいいんだな。」

 

「はい。今までありがとうございました。まだ本格的な復帰はもうしばらく先でしょうけど前のような状態にはきっとならないと自信を持って言えます。」

 

そう言うアリサには自信に満ち溢れていた。

 

元からアリサの戦闘能力及び状況判断能力は高い水準だった。今のアリサはその状態に戻ったと言えよう。

 

しかしあの頃のような天上天下唯我独尊のような雰囲気はなくその姿を見てライも安心していた。

 

しかし懸念材料もあった。

 

それは…

 

ヴァジュラ種との戦闘を避けていたことだ。

 

今回はあくまでもアリサに実戦感覚を取り戻すのに重点を置いていてヴァジュラ種との戦闘はアリサのトラウマを刺激しかねないと判断したライは故意にヴァジュラ種との戦闘を避けていた。

 

アリサの両親を喰い殺したアラガミもヴァジュラ種でありリンドウを閉じ込めた時も対峙したアラガミもヴァジュラ種だ。

 

とりあえずヴァジュラ種以外のアラガミは対峙できることは証明されたがヴァジュラ種のアラガミを倒したその時こそアリサは完全に復活できるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時は意外にもすぐに訪れた。

 

「説明は以上だ。何か質問はあるか。」

 

アナグラのエントランスにてツバキから今回の討伐任務の説明を受けていた。ライ、コウタ、サクヤの3人。

 

さらにツバキの隣に復帰後はツバキの補佐をしているアリサがいた。

 

「はい。アリサも今回の任務に討伐任務に同行させてほしい…ですが」

 

手を挙げてそう進言したのはコウタだった。

 

「彼女、最近頑張っていると思うんだ。だからそろそろ本格的に復帰してほしい…なんて…」

 

相変わらず最後は弱々しくなるコウタ。その意見を聞いたツバキはライとサクヤに目を向ける。

 

「お前たちはどうだ?お前たちも同じ意見か。」

 

「はい。私も依存はありません。」

 

「同じです。」

 

しばし考えながら答えるサクヤ。それに乗っかるように答えるライ。

 

「お前はどうする?相手は『アレ』だが。」

 

「………」

 

次は隣にいるアリサに任務参加を問うツバキ。アリサは俯き考えるが、意を決したのか顔を上げて答えた。

 

「行きます。行かせてください。」

 

「……わかった。だが無理はするなよ。」

 

ツバキから任務同行の許可が下り、アリサの“ヴァジュラ”討伐任務の参加が決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあブリーフィングを始めるわね。」

 

ヘリで現場に移動中にブリーフィングを行う。

 

「そういえばこのメンツで任務に出るのもすごく久しぶりな気がする。」

 

場を和ませるようにコウタがそう言うと全員がコウタの方を見る。

 

「そうね。私も長く休暇してたしアリサも入院中だったものね。……ごめんなさい。古参の私が頑張るべきだったのにあんなに取り乱しちゃって。」

 

「戻ってきたからそれでいいです。それよりブリーフィングを始めましょうか。」

 

場の雰囲気が暗くなりそうなのを阻止しブリーフィングを始めるよう促すライ。

 

「そうね。それじゃ改めてブリーフィングを始めましょう。今回も相手はいつもと変わらないヴァジュラだけど気をつけていきましょう。私とコウタは牽制や援護。ライは陽動兼接近戦を任せるわ。アリサは…」

 

「アリサは遊撃で。」

 

「え?」

 

そう言ったのはライだった。

 

「まだ本調子じゃないしアラガミを前にしてもある程度動けるようにはなったけど無理はしてほしくない。自分で判断して動けるなら攻撃に参加、無理そうなら生き残ることを1番に考えて行動してほしい。」

 

「あ、それって」

 

ライの言葉に反応したのはコウタだった。

 

ライが最後に言った言葉。

 

それはリンドウが何度も繰り返して言っていたことだった。

 

『死ぬな。死にそうになったら逃げろ。そんで隠れろ。隙があったらブチ殺せ。』

 

「そうね。アリサ。ツバキ教官も言ってたけど無理はしないでね。」

 

「…はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そっちに行ったわ!!」

 

「クソッ!!あともうちょいなのにここで弾切れかよ!!」

 

贖罪の街で行われるヴァジュラ討伐。

 

ブリーフィング通りコウタとサクヤが援護や牽制にまわり、ライが近接戦を挑んでいるが決定打が足りない状況だった。

 

アリサはやはり他のアラガミと比べてヴァジュラを前にすると動きを鈍くなって迂闊に攻撃もできない状態だった。

 

「問題ない。」

 

しかしライはそんな状況からでも臆することなくヴァジュラの電撃を避けては神機の大剣を振り下ろす。

 

声にならない咆哮を上げ倒れかかるヴァジュラだがなんとか踏み止まり、周囲に電撃を撒き散らし、その場から逃げ出す。

 

「固まってたら格好の的よ。散開して探しましょう。」

 

「了解。」

 

ライとサクヤは北側にまわりコウタは南側から捜索する。

 

「っ……」

 

アリサも重い足を動かしヴァジュラ捜索に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初にヴァジュラを見つけたのはアリサだった。

 

自分が見つからないよう廃墟の陰に隠れる。

 

「パパ…ママ…」

 

脳裏にヴァジュラ種に喰い殺された両親が浮かんだのか小さく呟くアリサ。

 

そして意を決して姿を現し銃形態の神機をヴァジュラに向ける。

 

あとは引き金を引くだけ……なのだが……

 

『ク………」

 

アリサはその引き金を引けず、膝から崩れ落ちる。

 

「アリサ?」

 

そんな姿のアリサを偶然見つけたライ。

 

ヴァジュラの存在に気づかないという失態を犯したライがアリサの方へと足を進める。

 

……そんなライにヴァジュラは飛びかかっていた。

 

「あ…」

 

このままではライが死んでしまう。

 

あの時の自身の父と母のように…

 

そう思ったした瞬間、アリサは叫びと共に神機の引き金を引いた。

 

「よけてぇぇぇえええ!!!」

 

神機から放たれた銃弾は飛びかかるヴァジュラの顔面に寸分違わずに直撃しそれが致命傷となり、そのまま地面に叩き落とされた。

 

ライも爆風で少し吹き飛ばされたが対したダメージはなかった。

 

爆発音が聞こえてすぐに現場に現れたサクヤとコウタ。

 

何があったのか悟ったサクヤは膝から崩れ落ち、手で顔を覆いながら泣いているアリサの前に行き、しばらくの間アリサを抱きしめた。

 

「これで大丈夫…かな。」

 

その様子を見て、アリサの復活を確信したライは小さくそう呟く。

 

「しかし我ながら失態だな。」

 

ついでにヴァジュラに気づけなかった自信の失態も恥じていた。

 

 




フェンリル極東支部って日本のどのあたりにあるんでしょう?

エイジス島が極東支部から約50キロ先の海上にある人工島ですので海が近いところか?

東京の辺りじゃなければギアス世界でいう旧トウキョウ租界にライを向かわせるという記憶を取り戻すイベントができそう。

むしろアッシュフォード学園で記憶を取り戻すとかも面白そう。

あとオラクル細胞が大量発生したのが2050年代だからゼロレクイエムが起きたのが2018年。32年後だからルルーシュ達は50歳位だな。

そこでニーナやロイド達が研究していたオラクル細胞をがライの身体に入ってのアラガミ化とか。

アイデアは浮かぶけどこれをどうやって物語にするのかそれが難しい(^_^;)

キュウビがいた島が神根島とかだったらいいなぁ。

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