リンドウの行方不明から1週間。
「リンドウの捜索を終了って…どういうことですか!!?」
「……上層部の決定だ。雨宮リンドウ少尉は本日付でMIA (作戦行動中行方不明)認定された。そしてこれまでの功績を讃え、2階級特進となり大尉となった。」
第1部隊を招集したツバキからリンドウの処遇を伝えられた。
言い渡されたのはリンドウ捜索の打ち切り。遠回しに死亡認定とも言える。
「そんな…まだ腕輪も神機も見つかってないのに…それにどこで襲われたのかもどのアラガミに襲ったのもわかっているのに……どうして…」
当然、第1部隊の誰もが納得してない。特にサクヤはツバキに掴みかからんばかりに問い詰める。
「さっきも言ったがこれは上層部の決定だ。逆らうことは赦されん。……連絡は以上だ。それでは解散。」
しかし、ツバキは上層部の決定を非常に通達することしかしななかった。
「確かになんか不自然だね。」
「そうなのか?」
任務を達成しアナグラに戻ってきたライは整備室でリッカと話し込んでいた。
実はライが1番話す相手はこのリッカだったりする。話す内容は基本的には神機についてが主だが…
「うん。神機使いが行方不明になると見つかるまで探すことが多いんだ。まぁあくまでメインは神機の回収なんだけど。神機もそんなすぐに造られるものじゃないしさ。だから何人もの神機使いが使いまわしてきた神機は神機使い(ゴットイーター)の歴史そのものと言っても過言じゃないんだ。」
「そうなのか。」
「ちなみにコウタ君が使っている神機は前の使い手はツバキさんって知ってた?」
「初耳だ。確かに腕輪を付けてたしかつては戦場に出てたとは思ってたけど。」
「規定年数を超えたのかはわからないけど上層部の指示で任を解かれてね。でも神機使いがいつまでもその神機を使い続けられるわけじゃないからね。いづれはゴットイーターを引退する時が君にも来ると思うよ。…その時まで生きてればだけど。」
「不安なのか?」
「…そうだね。今までも死んでいった仲が良い神機使いもいたから。そして今回はリンドウさん。次は君かもと思うと…怖いよ。」
不安げに答えるリッカ。その姿にライが示したのは…
「神機の具合はどうかな?」
「え?」
「だから神機。僕の神機はどこも悪くないかな?」
「あ…うん。どこも異常はないけど…」
「なら大丈夫だ。僕はそう簡単には死なない。君が整備した神機があるからね。」
「神機が正常に動けばあとは慢心さえしなければ神機使いはそうは死なないよ。戦う術があるなら状況を打破する手があると同義だ。」
「あのさ…慰めてるの?」
遠回しに話すライに直球に聞くリッカ。
「いや、単に死なないというよりは根拠を説明した方が君も納得すると思って…」
変だったか?と聞くライに対し、少しの間呆気に取られるリッカ。
そして…
「プッ……フフッ…アハハハハ!!」
「笑うところあったか?」
突然笑い出すリッカに困惑するライ。
「ううん。ごめん、ありがとう。」
「御礼を言われることをした覚えはないが…」
真顔でそう言うライにまたも笑うリッカにさらに困惑ライだった。