神喰らう無色の反逆者   作:COLD

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禁忌種

『贖罪の街』

 

そこには第1部隊の面子が揃っていた。

 

「さて、今日も楽しいお仕事の時間だ。まぁ俺は参加しないけどな。」

 

「え?そうなの?」

 

「ああ。ちょっとデートがあってな。まぁ相手はヴァジュラだが油断しなければお前達だけでも倒せるだろ。」

 

コウタの問いにそう返すリンドウ。するとリンドウの持つ通信機器の音が鳴る。

 

「おっと早くこないとしょげて帰るらしいから行くな。全員生きて帰れよ。」

 

そう言い残しリンドウは去っていく。

 

「まったく…私達もブリーフィングを始めましょうか。」

 

リンドウの後ろ背中を見送りながら溜息を吐くサクヤ。そして気をとりなおしてブリーフィングを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソーマ!!そっちに行ったわ!!」

 

「分かってる!!!」

 

サクヤの指示にソーマが答え、ヴァジュラに一閃加える。

 

「コウタ!!ソーマの離脱の援護!!」

 

「了解!!!」

 

「ライは…ってもう動いてるわね…」

 

サクヤが司令塔として指示を出す中、ライだけは指示を出す前に動き出していた。

 

今回の作戦はサクヤがソーマ、コウタがライのサポートに入り、近接での攻撃はソーマとライが受け持つというスタンダードな戦略をとっている。

 

特にライは新型神機の特性を生かし、サクヤとコウタが援護には入れない間はかわりにソーマの援護に入っている。

 

そして現在も、重い一撃を与えられるものの動作が遅いバスターブレードを扱うソーマのかわりにヴァジュラの後ろ脚にロングブレードを振るっていた。

 

『結合崩壊を確認しました!!もう少しです!!」

 

後ろ脚が結合崩壊を起こし、ヴァジュラの体勢が崩れる。

 

「体勢が崩れた!!今よ!!」

 

サクヤの指示が飛び、サクヤとコウタはヴァジュラの顔面に向かって連射。ライは後方から捕食。

 

そしてソーマが渾身の力を込めたバスターブレードをヴァジュラに振り下ろす。

 

それが致命傷になったのかヴァジュラは咆哮を上げ地に倒れる。そして動かなくなった。

 

『オラクル反応の消失を確認。ミッション終了です!!」

 

通信でヒバリの喜びの声を聞き、今回の任務も無事に終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや〜電撃にはビビったけどなんとかなったな。」

 

「お前だけ当たりすぎだったけどな。」

 

帰りのヘリの中、自画自賛するコウタにツッコミを入れるソーマ。

 

そんな2人の会話を聞きつつライは外を見ていた。

 

「お疲れ様。」

 

「サクヤさん。」

 

そんな様子のライに話かけたのはサクヤだった。そしてライに飲み物を差し出す。

 

「ありがとうございます。」

 

「気にしないで。それにしても貴方には驚かされてばかりね。」

 

「そうですか?」

 

「ええ。私が指示を出す前に行動に移ってるのだもの。しかも私が出そうとした指示通りにね。」

 

「離脱のタイミングも援護にはいる瞬間も私の指示をあらかじめ分かってるようなタイミングだったから。さすが新型なのかしらね。」

 

「そうですね。新型だからこそ…できることが多いからこそ、臨機応変に対応できないといけませんから。」

 

サクヤからの賛辞の声にそう返すライ。

 

近接武器も遠距離武器も併せ持つ新型神機を扱うライは戦闘の中での選択肢が多い。

 

その選択肢(手札)から効率的且つ相手に有効打を与え、さらに味方へのフォローできる一手を選ぶ。

 

その一手が自分や味方の生存率に直結する。

 

「今回の僕の役割はソーマの攻撃が当たりやすくする撹乱と援護。それがうまくいっただけですよ。」

 

「なるほど、防衛班の皆が賞賛するわけね。」

 

「タツミさん達がですか?」

 

「ええ、貴方がいる時といない時の任務達成時間がかなり違うって言ってたわ。それにカノンちゃんの誤射も貴方がいるとほとんどないそうよ。」

 

「だから度々呼ばれるのか…・」

 

最近のライは度々だが防衛班の任務に呼ばれることがある。

 

その時には何故か防衛班の『ブラスト』神機の使い手である『台場カノン』が絶対いるのだ。

 

「フフ、人気者ね。でも前も言ったけど余り無茶しちゃダメよ?」

 

「はい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーお疲れ。」

 

アナグラに戻ってくるとそこには既にリンドウがいた。

 

「先に戻ってたのね。」

 

「まぁな。そっちも命令通り誰も欠けることなく帰って来れたな。関心関心。」

 

「まぁね。俺たちの華麗なるコンビネーションを見せてやりたかったよ。」

 

「お前は足引っ張ってただけだろうが。」

 

「まぁまぁ2人とも…」

 

調子にのるコウタにソーマがツッコむ。それをライが窘める。

 

「まぁお前達だけでも任務がこなせるならデートの方の頻度あげてもいいかもな。」

 

「それより先に俺に女の子を紹介するのが先になんじゃないんですか。」

 

「お前にはまだ手に余ると思うぞ?」

 

リンドウがそう返した時、アナグラ内に放送が流れた。

 

内容は第7部隊が大型アラガミ『ウロヴォロス』のコア剥離に成功したことだった。

 

「ウロヴォロス?強いの?」

 

「それくらい自分で調べろ。」

 

「そうね。今の私達じゃ倒せないわね。」

 

「そんなに!!?」

 

「まぁなんだ。生きてりゃいづれ倒せるだろ。」

 

リンドウの軽い激励を受けた後、また一悶着あったがその日はその場で解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デケェな!!!」

 

「禁忌種だからね。倒してきたアラガミと比べ物にならないほど強いだろうね。」

 

解散後、ライはコウタに誘われターミナルでウロヴォロスの情報を閲覧していた。

 

「外は硬そうだな。だけど足は剣でなんとか…」

 

情報を元に討伐のシミュレーションを始めるライ。

 

「お前いつもそんな風にシミュレーションしてるのか?」

 

「癖とかは一通りは頭に入れてるつもりだよ。せっかく攻略法があるんだ。活かさないとね。」

 

コウタの問いにそう返すライ。

 

敵を知ることで自身のひいては仲間の生存率が上がる。当然、その攻略法が確実とは限らないがやはり敵を知ることは大事だろう。

 

「それにエイジス計画には他の禁忌種のコアもきっと必要になる。もっと強くならないと。」

 

「そうだな。」

 

今の自分達では禁忌種には敵わない。サクヤが言うのだからそれは事実だろうとライもコウタも自覚している。

 

だがそのままでいていいはずなどないとも理解している。

 

リンドウが言っていた通り、いつか倒せるように腕を磨かなければならない。

 

そしてその"いつか"が1日でも早くくるよう静かにだが2人は決意した。

 

 

 


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