やはりこの恋は……   作:すのどろ Snowdrop

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8話

八幡sidestart

 

「いろはー、風呂入ってこいよ」

 

お風呂が沸いたことを知らせる音を会話の終了とし、促した。

 

「はーい、洗濯物はどうすればいいですかー?」

 

「任せる」

 

「先輩、任せるってどういうことですかー?」

 

それはそれはニコニコでとても良い笑顔であった。

 

「自分で洗うも良し、籠に入れておくのも良し、洗わず持って帰るも良し、って感じか?」

 

正直自分で洗ってもらいたいが。

 

「じゃあ先輩に任せますねー。そのうちこっちに引っ越すかもですしー」

 

「あー、りょーかい」

 

……………

 

あ?

 

「今なんて?」

 

「そのうちこっちに引っ越すかもですしー」

 

あーうん、まぁいいや。空き部屋片付けておくか。でもめんどくさいな。

 

「引っ越してくるのはいいが空き部屋の片付け手伝って貰うぞ」

 

あ、でも大学卒業したら喫茶店貰えるんだよな。

まぁいいか、それはその時考えよう。

 

「りょーかいですっ、せーんぱいっ!」

 

「さっさと風呂入ってこい」

 

あざと可愛く敬礼するとかけていった。

荷物持っていかなかったけどいいのか?

一応届けに行くか。

 

シャワーの音もし始めたし大丈夫だろう。

しかし俺はもっと深く考えるべきだった。

何故なら……

 

「いろ……は……」

 

全裸で背を向けているいろはの姿があったからだ。

 

何秒こうしていただろうか、先に動いたのはいろはだった。

俺の手を掴むやいなや引っ張ったのだ。

 

「せんぱーい、一緒に入りたいならそう言ってくださいよぉ♪」

 

目が、笑っていなかった。

そして、鳩尾に衝撃が走ったと同時に俺の意識はあっさりと刈り取られた。

 

八幡sideout

 

**********************

 

いろはsidestart

 

先輩に裸見られた!つい殴っちゃったけど大丈夫かな。

一応運びたいけど私にそんな力ないしなぁ。うーん、引っ張って行こう。

 

「んしょ」

 

そういえば今先輩が目覚めたらまた殴らないといけないんだよね。まだ裸だし。

 

 

 

ん!そだ、お風呂場に戻る前にキスしよう、おでこにだけど。まだ目覚めないでね……。

 

ふと、引っ張られる感覚が。

そして私はいつの間にか先輩の胸の中にいた。

あれ、逃げられない?

 

「いろ……は……」

 

ギュッと抱き締められる感覚。

 

「はうぅ」

 

見事に身動きが取れない。

どうしよ、ま、先輩だし、もう見られてるし いっか。

 

「せんぱい……」

 

私は先輩の首に手を回し抱き着いた。

どれだけこうしていただろうか。未だに先輩の力は弱まらない。

 

「せんぱーい、そろそろ離してくださいよー」

 

そうは言ってみたものの、離してくれなかった。それどころか若干ではあるが、力が強まった気がする。

 

「ん……」

 

先輩が起きた。

 

「何してんの、いろはさん。しかもなんで裸?」

 

「先輩に見られて、殴っちゃいまして、気絶した先輩をここまで運んだら引っ張られて抱き締められて身動きが取れませんでした♪」

 

「そ、そうか。すまん、風呂行ってこい。目、閉じてるから」

 

先輩はそう言うとほんとに目を閉じた。

 

「せんぱーい、離してくれないとお風呂行けませんよー」

 

「え」

 

ようやく抱き締めていたことに気づいた。

 

「いろは……」

 

あれ、抱き締める力が更に強くなった!?なんで!?

 

「……愛してる……」

 

え、今愛してるって……?凄い小さな声だったけど愛してるって言わなかった?

顔がすごく熱くなる。

 

「せんぱい、私も愛してますよ♪」

 

先輩がピクッとする。

 

「え、何、聞こえてたの?」

 

「はい、バッチリと」

 

先輩の顔が赤くなると同時に背中に回されていた腕が解かれ、先輩の顔を隠した。

 

「先輩」

 

ちょっと開いた隙に、私は

 

 

 

チュッ

 

「んっ」

 

「んむ!?」

 

私はせんぱいにキスした。

 

「んふ、んん……んっ」

 

初めてのキスがディープになるなんて思わなかった。

キスって……こんなに気持ちいいんだ……。

幸せ。もう離れたくない。

 

「せんぱぁい」

 

少し離れて息を吸って、先輩が口を開いた瞬間に再び口付けする。

もう先輩なしじゃ生きていけないかも。

 

何分、いや、何十分こうしてキスしていただろうか。

私から唇を離し、こう言った。

 

「せーんぱいっ、私をこんなにした責任、取ってくださいね♪」

 

「あぁ、いくらでも取ってやる」

 

いろはsideout

 

 

 

〜Fin〜

 




かなり短いですが一応いろは√本編は終わりました。

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