やはりこの恋は……   作:すのどろ Snowdrop

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7話

八幡sidestart

 

「「いただきます」」

 

いろはがスパゲッティを巻き、口まで運ぶ動作を肘を付き、眺めていた。

後に聞いたが、その時の俺はあたかも司令官のようだったらしい。

 

「先輩、そんなに見られると恥ずかしいです」

 

「お、おぉ、すまんな」

 

と言いつつもいろはを眺めている。

 

「うぅ〜」

 

顔を真っ赤にして唸り始めた。

やばい、めっちゃ可愛い。あざといと思っていた部分もかなり可愛く見える。

しかし、いつまでそのスパゲッティを食べないつもりなのだろうか。感想が聞きたい。

 

「うぅ〜……、よし」

 

覚悟を決めたようだ。

不味いわけではないと思うんだがな。

 

いろはがスパゲッティを口の中に入れた瞬間、表情が変わった。驚きの表情がうかんでいる。

 

「美味いか?」

 

「先輩ってこんなに料理上手いんですか!?めちゃくちゃ美味しいじゃないですか!」

 

興奮した様子で言う。

褒められるのもなかなか嬉しいものだな。それが可愛い彼女から、となると余計に。

 

「そうか、なら良かった」

 

いろははどんどん口にスパゲッティを運ぶ。

 

「もうちょっと落ち着いて食えよ」

 

「ふぁっふぇほいひいんふぇふほん」

 

なんて言ってんのかわかんねーよ。

 

「飲み込んでから喋れ、な?」

 

「だって美味しいんですもん。こんなに美味しいスパゲッティ、食べたことないですよ!」

 

「お、おう、そうか、それは良かった」

 

久しぶりに褒められた気がする。小町は俺の料理食べようとしないしな。何それすごく悲しい。

 

以降、というよりこのスパゲッティを食べている間、会話がなされることはなかった。

 

八幡sideout

 

**********************

 

いろはsidestart

 

はうぅ、先輩が見てくるよぉ。しかも司令官っぽくてカッコイイよぉ。そんな表情魅せられたらもう堕ちてるのに更に堕ちちゃうよぉ。

うぅ〜。

 

「先輩、そんなに見られると恥ずかしいです」

 

「お、おぉ、すまんな」

 

謝るなら見ないでくださいよー。ていうかまだ見てるよぉ。

 

「うぅ〜」

 

それでも先輩は私から視線を逸らさない。

 

「うぅ〜」

 

覚悟を決めよう。

 

「よし!」

 

フォークに巻いたスパゲッティを口の中に運ぶ。

瞬間、その旨味が口の中一杯に広がった。

美味し過ぎじゃないですかね!?

こんなの初めてですよ!?

 

「美味いか?」

 

美味いってもんじゃないですよ!やばいですよ!凄いですよ!

 

「先輩ってこんなに料理上手いんですか!?めちゃくちゃ美味しいじゃないですか!」

 

今の私はすごく興奮しているだろう。でも美味しいんだから仕方ない。

悪いのはこんな美味しい料理を作った先輩!

もう他のスパゲッティなんて食べられないですよ!

 

「そうか、それなら良かった」

 

美味しすぎて箸が止まりません。箸じゃなくてフォークだけど。

 

「もうちょっと落ち着いて食えよ」

 

「ふぁっふぇほいひいんふぇふほん」

 

あ、私としたことが。飲み込んでから喋るべきだった。

 

「飲み込んでから喋れ、な?」

 

「だって美味しいんですもん。こんなに美味しいスパゲッティ、食べたことないですよ!」

 

「お、おう、そうか、それは良かった」

 

いろはsideout

 

**********************

 

八幡sideRe:start

 

あっという間に残りはケーキだけになった。

 

「そういえばいろは、今日泊まっていくのか?」

 

荷物多いからたぶん泊まっていくだろうと思い声をかける。

 

「はいー、泊まってもいいなら泊まりますー」

 

「わかった。後で布団出しておくわ」

 

と言いながら席を立ち、いろはの皿と自分の皿を下げた。

 

「でも、先輩なら帰れって言いそうでしたけどねー。どうしたんですか?」

 

「……一緒に、いたかったから、かな」

 

暑っつい。顔を中心としてすごく暑い。

 

「せ、せせせ、先輩が……デレた!」

 

「うっせぇ」

 

はぁ。

 

戻ってくる際に小さめの皿を2枚と包丁、小さいフォーク等を持ち、いろはの前に皿を置く。

 

「ケーキはあんまり自信がないから期待しないでくれ」

 

ケーキを切る色とりどりのフルーツをふんだんに使ったフルーツケーキだ。

 

「なんか嫌いな果物でもあったか?」

 

「いえ、果物はなんでも食べますよ」

 

林檎、蜜柑、オレンジ、マンゴー、葡萄、桃、そして苺。

旬の果物とそうでない果物使ってるからどんな味になってるのかわからない。

 

「食べてみてくれないか?」

 

「いただきます、先輩」

 

いろははゆっくりとフォークを持ち上げ、ケーキを1口サイズに切り、そして口へ運ぶ。

 

そして、いろはは頬に手を当て、うっとりとした表情をうかべた。

 

「どうだ?」

 

「……」

 

「……、おーい?」

 

いろはが固まっている。

返事がない、ただの屍のようだ。

 

「……………はっ!先輩……」

 

「どうした?不味かったか?」

 

「いえ!とっても美味しいです!先輩、なんでもできるんですね!」

 

ちょっと違うけどあの台詞を言うチャンス!

 

「なんでもはできないよ。できることだけ」

 

「でも先輩、高校の頃、私が1年生の時、葉山先輩とテニスして当たり前のように、しかもほぼ1:2で圧勝してたじゃないですか」

 

そういえばそんなこともしたな。

 

「うん、やったことあった気がする。でも途中から雪ノ下も入ってた気もする」

 

「そうでしたっけ?」

 

いやそこもちゃんと覚えておけよ……。

 

「まぁでも雪ノ下がいなくてもギリギリ勝てたと思うけど」

 

「いやいや、先輩、無双してましたよね……。アレには正直引きました」

 

「いやいや、なんでだよ。いや、その方がありがたいけど」

 

えと、いや、まぁ、アレはちょっと酷かったからな。自分でもそう思う。

 

「あの時は葉山一筋だったもんな。あのあと葉山が泣きながら謝って来てたな。その時は無様だなぁ、と思ってしまった」

 

「うっわ、先輩えっぐいですね。鬼畜ですね」

 

ケーキを口に運びながら器用に言う。

 

「でも海老名さんを中心とした腐女子に、な?うん、色々あったんだよな……」

 

「あー、うちのクラスでも比企谷さんの鬼畜攻めと葉山先輩の受け、って流行ってました」

 

「うっわ最悪。一番きつかったのはあのあと陽乃さんと雪ノ下と由比ヶ浜から色々言われたことと正座させられ、その上に重い本を乗せられたことなんだよなぁ」

 

俺は立ち上がり、風呂を沸かすためのボタンを押した。

 

「でも結局は良くやったって言われたな。あれ以来葉山に勝負を挑まれ続けたが」

 

窓により遠い空を、灰色に濁った空を見上げながら。

 

「負けなかった」

 

と呟いた。

 

八幡sideRe:out

 

 

 

 

 

 

 




八幡無双劇でした。詳しくは陽乃さん√(原作再構成?√)で紹介したいと思います。

次々回からafterです。前回もそんなこと言った気がする。

えーと、そのうちafterに入ります!

明日は原作再構成√を、時間があったら戸塚√1をやろうと思います。

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