やはりこの恋は……   作:すのどろ Snowdrop

6 / 14
タイトル変えました。
(やはり俺らの誕生日は間違っている。たぶん。から今のタイトルにしました。)



6話

八幡sidestart

 

うとうととした眠りから覚めた。寝言を言っていたような気がするが気の所為だろう。

さて、起きるか……。

 

と、その時。

 

「……私もいつも想っていますよ、先輩♪」

 

「へ……?」

 

寝言か?寝言なのか?一色よ。

一気に意識が覚醒し、ガバッと飛び起きる。

 

「せん、ぱい?」

 

え、起きてるの?この娘。え、何?さっきの本気なの?

あれ?ていうか俺一色に抱き着いてた?は?は?は?

通報されてないかな……。

 

「……起きてたんですか?」

 

俺が黙っているとそう聞いてきた。怖い、怖いよいろはす。

 

「え、えぇと……いろはさんがアレを言う直前に目が醒めました」

 

そういうと一色の顔が物凄い勢いで赤く染まる。

 

「責任」

 

ん?なんて?

 

「責任とってください、先輩。ちょうど両思いっぽいですし」

 

は?コイツは何を……。何故俺が一色が好きだと知っている。心を読めるのか?

まさか……寝言を……?

 

「寝言、言ってたか?」

 

「ふぇ?」

 

「俺は今さっき、寝言を言っていたのか?」

 

俺は寝言のことを聞いて後悔した。

 

「……ぇ、えぇと…、はい。“I’m thinking about you、いろは”と……」

 

そう聞いて。

首から上がかなり熱い。真っ赤っかなのだろう。

“I’m thinking about you”までなら言い訳も出来ただろう。落として上げるパターンでフォローもできる。

しかしそこに“いろは”まで追加してしまったらしい。そこまでいくと言い訳はできない。もうここで言ってしまった方が良いだろう。

 

「そうか。なら……。」

 

ふぅ。一息ついて。

 

「俺は一色が、一色いろはが好きだ。車の中じゃムードもひったくりもないけど、計画も台無しになっちゃったけど、俺は一色いろはが大好きだ。よければ、俺と……結婚前提で付き合って欲しい」

 

言った。言ってしまった。後悔はしない。もう後ろは振り返らない。これでふられたらしばらく立ち直れないだろう。2度と誰にも自分の気持ちを告げないかもしれない。

 

でも……

 

それでも……

 

一色の……

 

一色いろはの……

 

答えが知りたい……。

 

瞑っていた目を開けた。

一色は……、泣いていた。目を見開き、顔を涙と崩れたメイクで汚し泣いていた。

 

「ほんと、ムードも何もないですね、先輩。不束者ですが、こちらこそよろしくお願いします、先輩!」

 

泣きながら、笑った。

俺がこいつを見てきた中で一番の笑顔だった。この笑顔は生涯、いや、死んでも忘れないだろう。

 

もう離さない。守りたいと決めたもの、本物だと思えるものを……。

 

俺と一色はしばらく抱き合い、泣いていた。

 

**********************

 

「風呂入ってくるからそのへんで寛いでてくれ。台所には入るなよ」

 

「え?あ、はい?なんでお風呂なんですか?」

 

「さっき雨の中会話してたからな、車の中にいても寒くてな。すまんな、せっかくの誕生日なのに」

 

「い、いえいえ、お母さんもお母さんなので……。ではいってらっしゃいです」

 

「あぁ、いってくる」

 

八幡sideout

 

**********************

 

いろはsidestart

 

先輩、お風呂ですか。覗く?お背中お流しします、とか言って入っちゃう?で、でもさすがに今はきついですね。また今度の機会にします。

 

いろはsideout

 

**********************

 

八幡sideRe:start

 

「待たせたな、準備してくる」

 

「私も手伝いますよー?」

 

「いや、お前の誕生日だろうよ。あと彼氏になっての初仕事奪おうとするなよ」

 

あと暖めるだけなんだけどな。

ただプレゼントとケーキが台所にあるからな。

 

「なんか実感ないですねー。まさか先輩から告白してくるとは思いませんでしたしー」

 

ソファーに腰をかけながらそんなことを言う。

 

「そうか?俺は元々今日言うつもりだったけどな。予定が早まっただけ」

 

生野菜を運ぶ。

 

「そうなんですかー?それにしても結婚前提ですかー。幸せな気分ですねー。」

 

え、俺結婚前提まで言っちゃったの?

別にいいけど。そのつもりだったし。

 

「幸せなのは同感だな。まさか一色が俺を好いてくれるとは思わなかったし。寝言聞かれたのは一生の恥というか黒歴史だが」

 

スパゲッティをザルにあける。

 

「でもそのおかげでこうやって恋人と恋人の誕生日を迎えられたんですからいいじゃないですかー。もうこれ自体が最高のプレゼントですよー!」

 

「ま、それもそうだな。一色ー、こっち座れ。飯できた」

 

「せんぱーい、そろそろいろはって呼んでくださいよー。せっかく恋人同士になったんですし」

 

ポケットにプレゼントを入れ、ケーキを運ぶ。

 

「善処する」

 

「先輩って料理できたんですね、意外です。ていうかケーキも手作りなんですか?」

 

「もちろんだ」

 

即答する。

 

「味の保証はしかねるがな」

 

「そこはちゃんと保証してくださいよ……」

 

「まぁたまに小町に食べて貰ってるから料理の方は大丈夫だろ、ケーキは知らんが」

 

ジト目で睨んでくる。あれ?俺なんか言った?

 

「せんぱーい、いくら妹さんでも女の子の名前は出しちゃダメですよー?」

 

「お、おう、すまんな」

 

そういってカーテンを閉め、ロウソクに火を灯す。そして電気を消した。

 

「いろは、誕生日おめでとう」

 

いろはは火を消す。そういえばバースデーソング歌ってないけどいいよね?

 

そして立ち上がりながらケーキの前にプレゼントを置いた。

 

深呼吸しろ。落ち着け、俺。

 

電気をつけた。

 

「え…?なんですか、これ」

 

「まぁなんだ、誕生日プレゼントだ」

 

顔が熱くなるのを感じる。

顔赤くなりすぎじゃない?気の所為?

 

「開けても?」

 

「なんのための誕生日プレゼントだと思ってるんだよ…」

 

そっとリボンを解き箱をあける姿を座りながら見つめる。

 

「髪飾り、ですか……?」

 

「似合うかどうかわかんねーけどな」

 

「つけても?」

 

「そのための髪飾りだ」

 

一色がその髪飾りを付ける。その亜麻色の髪に白い花びらの髪飾りは生えた。

 

「どう、ですか…?」

 

恐る恐る、というのだろう。聞いてきた。

しかし、俺はその言葉を聞いていながらも反応できなかった。

 

「……」

 

「先輩?」

 

「あ、あぁ、似合ってて、か、可愛いと、思う」

 

見蕩れていたのだ。反応できなくなるのは仕方ないだろう。

 

「そ、そうですか」

 

いろはの顔が赤くなった。

 

「さて、食べようか」

 

八幡sideRe:out

 

 




そのうち異世界転生物書くかもしれません。

次々回からafterです。たぶん。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。