やはりこの恋は……   作:すのどろ Snowdrop

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めぐめぐ?(Azalea)です。

陽乃さん√原作沿いを消しました。
個人的に面白くなかったもので。
いずれ普通の陽乃さん√を出します。


2話

「お邪魔します」

 

俺がちょうどトイレから出た時に雪ノ下が入ってくる。

 

「おう、邪魔するなら帰れ」

 

「……なら帰るわ」

 

少し寂しそうに言った。

 

「ごめんなさい俺が悪かったから帰らないで」

 

「素直になりなさい?」

 

「お前にだけは言われたくねぇ……」

 

と言って鍵を雪ノ下に渡す。

 

「ほれ」

 

「あら、本当に鍵を渡すなんて。馬鹿なの?」

 

「お前が寄越せって言ったんだろうがよ……」

 

「ふふ、ありがとう」

 

柔らかく微笑む雪ノ下は、奉仕部にいた頃とは大違いで。その微笑みに思わず見惚れてしまった。

いや、奉仕部にいた頃にたまにみせた笑みもかわ……素敵だったんだけど。

 

「いつまで私を見ているのかしら?……不満はないけれど……」

 

後半は聞こえなかったからスルーして。

 

「み、みみみみ見てないですのよ?」

 

「その喋り方気持ち悪いわ。あと気持ち悪い」

 

「素直になれよ、雪ノ下」

 

呟いた瞬間、脛に鈍く重い痛みが走った。

つまり、雪ノ下に蹴られた。

 

「いっ!?」

 

暴力ダメ絶対……。

 

「貴方が余計なことを言わなければいいのよ」

 

心読むなよ!

 

「わかりやすいのよ」

 

……。もういいや。俺はこいつに勝てる気がしない。高校の時からそうだったけれども。

 

「さて、飯作るか。お前は………なんかしてろ」

 

「なんかって何よ……」

 

「ソファーで寛いでるなり俺の部屋散策するなりなんでもいいぞ」

 

うわぁ、奉仕部にいたころは絶対こんな台詞言わなかったわぁ。

 

「じゃあ貴方の料理してる姿を見てるわ」

 

やめて恥ずかしい。

 

「冗談よ。手伝うわ」

 

「客はのんびりしてろ」

 

「いやよ。久しぶりに比企谷君に会ったのだし」

 

恥ずかしい台詞もじゃんじゃん言うようになったなコイツ。調子狂うな。

 

「お前、変わったな」

 

「そうね、私も変わったわ」

 

「も?」

 

誰を指しているのだろうか。

 

「比企谷君よ」

 

俺?そんな変わってないと思うんだが。

でも何故か否定する気にはなれない。

 

「あの頃は弱さを出すことはなかったもの」

 

「なんでだろうな。人は簡単には変わらないって言ってたのに、こんなにも簡単に無意識に変わっている」

 

今している作業を止め、そう呟いた。

そして……

 

「お前に会いたかったのかもな」

 

俺は冗談めかした口調で言った。

 

「そ、そう」

 

「顔、赤いぞ」

 

顔真っ赤にした雪ノ下が可愛い。今までこんなこと言えないし考えもしなかったことなのに。

 

「貴方も顔が赤いわよ」

 

どうやら俺はクサイ台詞を言うのも言われるのもまだまだ慣れていないらしい。

ま、彼女も友達もいなかったから当たり前なのだが。

 

**********************

 

「結局カレーなのね……」

 

「し、仕方ないだろ、なかったんだから」

 

リビングに漂う香りはカレー。シチュー作るつもりだったのにな。仕方ないんだよ。食材は別としてアレがなかったんだから。

 

「いただきます」

 

「どうぞ」

 

雪ノ下がカレーを掬い、口に運んでいく。その口は、唇はとても柔らかそうだった。いやいや、何考えてるんだ俺は。

 

「比企谷君、食べづらいのだけれど」

 

「気にすんな」

 

「気にするから言っているのだけれど……」

 

彼女はふぅ、と一息つくと、その可愛らしい口にカレーが吸い込まれた。

 

「美味い?」

 

「ええ、美味しいわ」

 

「なら良かった」

 

そこに刺々しい笑みはなく、心底幸せそうな笑みが浮かんでいた。

 

「今更だけれど、余計な物はないのね」

 

「本はラノベもあるけどな。むしろラノベの方が多い」

 

「私が言ってるのはそこではないのだけれど……」

 

「知ってるよ」

 

ここにあるのは本を除けば最低限な物しかない。このマンションには不釣り合いなほどに。

 

「……、これも寂しくなった原因なんだろうな……」

 

「何か言ったかしら?」

 

キョトンと首を傾げる雪ノ下につい答えるのが遅れてしまった。

 

「…いや、なんでもない」

 

首をぶんぶん振って答えると、彼女の目が細められ、疑惑の視線を送ってくる。

……やだ、そんなに見つめられると照れちゃう。うわ、キモ。流石にキモいわ。自分で考えてなんだけど。

 

「や、お前が可愛いなーって」

 

「そんな棒読みで言われても嬉しくないわ」

 

いやいや、顔を真っ赤に染めてそんな事言われても説得力皆無だから。むしろ余計に可愛く見えるから。

 

「顔、真っ赤だぞ?」

 

からかってみたくなる仕草してるのが悪い。

 

「あぅ……」

 

え!?何この子!めっさ可愛いんですけど!あぅ……とかめっさ可愛いんですけど!?いつの間にそんな可愛くなったの!?

 

「んだよその可愛い声……。勘違いして告白して振られちゃうだろ」

 

「……別に、勘違いしてくれてもいいのだけれど……」

 

ボソッと、独り言のように、俺に聞こえないように呟いただろうその声は、人間観察で鍛えられた耳に届いてしまった。

勘違いしてくれてもいい、と言われてはいそうですか。と襲うほど俺は馬鹿でも屑でもない。だけどこの変な空気を払拭するための努力はしてみようか。

 

「酒、飲むか?」

 

「私を納得させることができるワインはある?」

 

俺をからかうように言ったそのセリフ。

ふっ、ぼっちの社畜を舐めるな。悲しくてワインをボトルのまま煽ることもあるのだぞ……。はい、関係ないですね。

 

「これはどうだ?」

 

そう言って差し出したワインに、雪ノ下は

 

「なっ、貴方……」

 

とりあえずは驚かせることは出来たようだ。

 

 

 




えーと、活動報告のところに質問置いといたのでできれば答えてください。
全く関係ない質問ですけど。

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