幼馴染がガチ勢だったので全力でネタに走ります   作:銀鈴

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本当は文字が動くやつもやりたかったんですが、クソ面倒だったのでスパ茶だけ実装しました


番外編 爆破系美少女配信者しらゆきちゃん②

 世の中には生主、配信者、或いはゲーマー、或いはDotuberと呼ばれる職業がある。その中でも、バーチャルなガワを被って楽しくゲームなどを配信する者を略してVtuberという。

 

「今回もちゃんとミュートになってませんね。こんボム〜です!」

 

『こんボム〜』『こんボム〜』『試聴しに参った』『鼓膜ないのでミュートです』『コンビニで買ってこい、390円だぞ』

 ¥500

 爆破代

 

「私の家の近くではワンコインでしたね。ということで、今日も始めていきますね!」

 

 そして、それこそが今の俺の職業だった。なんだかんだで大神ツミさんの所属する会社の人ともコラボしたりして、着々とチャンネル登録者数が増えていっている。

 結果、悲しいかなやめることは出来なくなってしまった。なんだかんだでUPO以外のゲームにも手を出すことになってしまったが、それなりに収益が出てしまっているので寧ろプラスだった。

 

「今回も前回に引き続き、新大陸にこさえた拠点の整備と探索をしていこうと思います! うへへ……良いですよねここ。まさしく桃源郷です」

 

『なおここは即死マップである』『涎助かる』『そう思うのはしらゆきちゃんだけ定期』『流石爆破卿』『誰だよこんな場所しらゆきちゃんに教えたの』『運営最大の誤算』『誰がこんな、全体に大縄跳び強要させるマップを買収すると考えたか』

 

「ちょっとお値段は張りましたけど、頬ずりしたくなりますよね!」

 

『(黙って首を横に振る)』『ちょっと(数千万)』『ちょっと(1億)』『そのちょっとで市場崩壊させる女』『いつもの極振り』『カジノで目押しでフィーバーする女』

 

 新大陸にある【悉燼の燎丘】と【尽焼の燎森】というこのマップは、もう視聴者さんも理解している通り最高だ。こんな場所を作ってくれていた運営には感謝しかない。

 

「本当ならもっともっと語りたいところですけど、それは後回しにするとして」

 

『後回しである』『語りはするのか』『また犬耳つけて?』『ブンブン回る尻尾が見える見える……』『ねこゆき見たい』

 

「前回視聴者さんの意見も取り入れて、完成した部屋がこうなってます!」

 

 満を持して、配信ユニットにプレイヤーホームの内部を移す。私から見て右を見れば火薬が詰まった棚が。左を見れば爆薬が並べられた棚が。天井には朧の巣が。そして床には、秘密の地下室へ続く隠し階段を収めた、床下収納のような扉が。

 

『人の暮らす環境じゃなくて草』『可愛さのかけらもない』『←朧ちゃん可愛いダルルォ!?』『自爆機能ありそう』『凄く楽しそうで笑う』『火 気 厳 禁』『冬場は出入りできなさそう』『信 貴 山 城』

 

「ふふふ、対策はもう万全です。前回配信で吹き飛んだ反省から、プレイヤーホーム自体は耐爆性。飾ってある棚も、ちょっとお値段が張りましたがアイテムボックスです。これで自爆スイッチを押さない限り、2度と前回と同じ轍は踏みません!」

 

 胸を張って宣言すると、窓の外で大爆発が起きた。ナイスタイミング。ビリビリと響く衝撃波が気持ちいい、部屋に立ち込める香りと合わせると、顔がにやけるのがやめられそうにもない。

 

『自信満々でかわいい』『ナイス爆破』『今日も今日とてオリジナル笑顔』『今日もいい爆破日和』『ぷはー☆今日もいい天気!』『誰かが踏み込んだんだな……』

 ¥1000

 挑戦失敗代

 

「スパチャもありがとうございます。

 とまあ、プライベートなスペースは見せませんけど、お部屋はこんな感じになってます。けど、やっぱり皆さん、外の環境見たいですよね!」

 

『このマップの探索方法は気になる』『採取アイテムがダメージアイテム強化に便利でなぁ……』『原材料が、採取難度的にほぼ極振りが独占という』『せめて寡占かカルテル組む程度にしやがれこの野郎』『女の子やぞ』『男の子やぞ』『男の子だろうと女の子として扱えば女の子なんだよ!』『法律どこ……ここ?』

 

 わっとコメントが加速する。案の定、この新大陸での攻略動画というのは気になるものらしい。実際UPOの動画配信は数あれど、私以外に新大陸を攻略しているのは1つ2つくらいしかない。到達難易度と攻略難易度が旧大陸をぶっちぎってるから、仕方ないと言えばそうなのだけど。

 

「ということで! 今回は特別に、このマップの必勝法を教えたいと思います。因みにこれは、ちゃんと他の人に教えてもいいと許可とってきたので安心ですよ」

 

『おお!』『マジか!』『やっぱりしらゆきちゃんは天使だな(掌クルー)』『まあ自分以外のレシピも欲しいだろうしね』『寧ろ爆破系レシピをどんだけ開発してるのやら』

 

 つまり私の言っていることは実質、旧大陸での活動圏を広げることに他ならない。そういう風に頼み込んだのと、私1人だと需要に供給が追いつかないのだ。だからこそ、秘密の攻略法を大公開する。

 

「先ずは魔導書を取り出します」

 

『ふむふむ』『あっ(察し)』

 

「次に魔導書を開いて、【嵐天】に天候をパパパッと書き換えて終わりです! 書き換える天候は、一番手軽なのはこの嵐天。通常プレイで入手可能な物だと、【大海】【深海】【宇宙】辺りでも問題ないですね」

 

『解散』『役に立つ役に立たない情報』『どの変更アイテムも、ドロップ率5%切ってるんですがそれは』『レア泥必須環境は草』『よし、これでいける』『これでいけるニキは頑張って?』

 

 手元にその天候書き換え装備は10個くらいあるのだが、それは言わないておいたほうがよさそうだ。コメント欄の落胆は止まらない……加速する!

 

「えっと『他の天候じゃダメなんですか?』ですか。そう思って私も、雨の天候試したんですけど……無事残機を1個減らすだけでしたね」

 

 そう、それがこの場所の攻略が進んでいない元凶の1つでもあった。ただの天候・雨では、ぶっちゃけ燃える。寧ろ爆鳴気でも生成されるのか、普段よりもかなり勢いの良い爆発が起きる。グリフィンドールに+1000点。

 

「『空を飛んだら侵入できないのか?』お仕置きモンスターみたいな、爆破の固定ダメが入らない敵に撃ち落とされちゃったんでダメですねー」

 

『新大陸攻略させる気あるのかないのかわからん』『全然わからない(恐怖)』『実際、エンドコンテンツ感はある』『いつかはこっちにも街ができるんやろなぁ』

 

 だがそう簡単に攻略をさせてもらえる訳でもない。燎丘は嵐天でも攻略出来るが、燎森は大海レベルで発火を抑えないとどうにもならない。グリフィンドール-1000点。

 

 なんて話している間に、聞こえる雨音がいい感じに強くなってきた。これなら自分から火でも付けない限り、外で動いてもマップが爆発することはないだろう。

 

「さて、雨足も強くなってきたし頃合いですね。ちょっと外を探索していきたいと思います。おぼろー、護衛おねがーい!」

 

『待ってた』『雨足強くなるの待ってたのか』『雨足強くないとマップごと爆ぜるから……』『戦闘はないようですね。爆裂に期待してたのですが』『爆裂娘だ! 隔離しろ!』

 

 寄ってきてくれた朧の分身を撫でながら、今回は装備のフードを被る。これで視聴者側にはフードを被った自分しか見えないが、敵mobには視覚的ステルスと隠蔽効果も働いた。

 

「これでよし。では行きましょう!」

 

 言って、プレイヤーホームの扉を開けた途端、吹き込んでくるのは強い雨足の中吹き荒れる暴風。それが一気に私を濡らしていく。UPOの仕様として、所謂濡れスケや過剰な肌への張り付きは発生しないから、エロに引っかかって垢BANされる心配もない。

 

「いい塩梅の天気ですね。これなら、燎丘は攻略でき……っくし!」

 

『助かる』『くしゃみ助かる』『助かる』『やっぱり女の子じゃないか!』

 ¥250

 くしゃみ代

 ¥500

 くしゃみ助かる

 ¥10000

 ¥250

 くしゃみ

 ¥500

 Bless you

 

 思わず我慢出来ずくしゃみをした途端、大量のスパチャが流れてきた。Vtuberリスナーには、くしゃみとかお水を飲んだり、お腹が鳴ったりするだけで反応するから怖い。というか何故1万スパチャが紛れ込んでる。

 

「気を取り直して。このマップでの注意点は、こうして雨が降ってても下手なことすると爆発するんです」

 

『草』『暴風雨程度じゃダメなのか……』『草(燃)』『森羅万象が弾け飛ぶマップだからなぁ』『えっ、滅尽滅相?(∴)』『節子それ違う、うんこマンや』

 

「例えば……これでいいですかね」

 

 近場にあった、綺麗に咲き誇る花。平時であればこの時点で爆発するこれも、この暴風雨の中ではまだ爆発しない。周りに妨害する要因がないこと、そして朧に警戒をしてもらいながら、花を摘む為にしゃがみ込む。

 

「ふんぬぅぅうぅぅ………!!」

 

『顔真っ赤で可愛い』『力よっわよわ』『S t r 0』『非力すぎる』『花を摘むのに全力を尽くす』『花を摘む?』『閃いた』『通報した』『雉を撃つ方が正確では?』『つまりホモでは?』『可愛ければどっちでもいいだろ!?』

 

「抜け、たぁ! ぁぁっぶな()ったぁ!?」

 

 うっかり尻餅をつきかけたのを朧に助けられつけつつ、球根ごとひっこぬけた花を掲げる。状態は、割と悪くはない。土が付着していたら危なかった。

 

「んっ、こうやって抜いても、土が大量に付いてたり、気を抜いて草の上に置いたりすると爆ぜるので気をつけてくださいね」

 

『みえ』『みえ』『撮影班に抜かりはない』『使える』『使えない』『切り抜いた』『助かる』『はいセンシティブ』

 

 と、気がつけばコメント欄にはそんな似たり寄ったりなものばかり。何か失言でもしただろうか? まあ、警告来てるわけでもないしいいや。

 

「因みにこの植物、コーラ味なので極振りのにゃしい先輩と同じ味です」

『ガタッ』『ガタッ』『うせやろ行ってくる!』『何バラしてるんですか!?』『食べ……えっ、たべ?』『成長しましたね』『度し難いぞ!』『素晴らしい……これが祝福なのですね』『ボ卿、ステイ』

 

 とりあえず危険物をアイテム欄に入れ、次の目標を採取するべく歩き出す。見えてるのに遠い、なんか会話を保たせなければ。

 

「そういえばこの前、リアル幼馴染と一緒に買い物行ったんですよ。女装させられて」

 

『!?』『リアル幼馴染』『百合営業していけー?』『でた、セナ=サンとの百合営業だ!』『待ってた』『ノーマルカプでは?』『ひすゆきください』『ねこゆきくだざい』『セナゆきダルルォォ!?』

 

「ちょっとウィンドウショッピングだったんですけど、まだ絶滅してなかったんですね。ナンパしてくるチャラ男って」

 

『死刑』『百合に挟まる男は死ね』『俺も混ぜてくんない……?女同士でヤってるとこ』『あれは確かどっちも男じゃなかったっけ』『百合に挟まるべからず』『観葉植物になって見てるくらいが丁度いい』

 

 実際、昨日セナと一緒にアイスを食べてたら絡まれたのだ。俺が巻き込まれるのは珍しいが、昔からこういうのは慣れてるから一蹴したが。

 そんなことを思い出しつつ、明らかに不審に絡まれたこと。私がセナに伸ばされた手を払ったことから、カッとなった向こうが襲いかかってきた(のちに勘違いと判明)こと等を話していく。

 

「それで取り敢えず撃退したんですけど、最終的に幼馴染を抱えて逃げることになって……あっ、採取物見つかりましたね」

 

『待ってくだされ!もっと、もっと見せてくだされ!』『なっつ』『話の続きぃ!』『そこで切る!?』

 

 と、丁度話が終わることになってお目当ての竹やぶに辿り着いた。その後、なんかコメントが引き止めてくるけど、チャラ男'sの片方は私に、もう片方がセナを誘い始めて、セナにキスされて決着がついたことは秘密だ。

 

「因みにこの竹、良い素材になるんですよねー」

 

 なんて話に話題を切り替えて、適当に雑談しながら配信を続けていく。事の顛末を気にしている人が多いから……まあ、後で某SNSアカウントにでも上げればいいか。

 




本編ユッキーも女装は似合います

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