クロスアンジュ LIGHTNING EDITION ~天使とドラゴンと五人の巨人使い~   作:ヒビキ7991

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Ep.06/アンジュと天馬の漂流記《後編》

~無人島 砂浜~

 

 

無人島では、タスクと天馬がヴィルキスの修理をしていた。

 

 

タスク

「天馬君、マイナスのドライバー取ってもらえる?」

 

天馬

「はい。」

 

 

そこへアンジュがやって来た。

 

 

アンジュ

「朝っぱらから何やってるの?」

 

天馬

「アンジュさん。タスクさんとヴィルキスの修理中です。」

 

アンジュ

「修理出来るの?」

 

タスク

「まあね。ここには時々、バラバラになったパラメイルの残骸が流れ着くんだ。それを調べてるうちに、何となく知恵が付いてさ。」

 

アンジュ

「何でヴィルキスを治すの?天馬のペガサスは?」

 

天馬

「ペガサスはエンジンが完全にブローしちゃって、修理できないんです。だから、ペガサスの使えるパーツをヴィルキスの修理に使おうってことになったんです。」

 

アンジュ

「ふーん。」

 

 

天馬はタスクにマイナスドライバーを渡し、タスクは修理を続けた。そのやり取りを見て、アンジュは疑問に思った。

 

 

アンジュ

「ねえタスク、どうしてマナを使わないの?」

 

タスク

「・・・。」

 

 

タスクは手を止めた。

 

 

アンジュ

「あなた、いったい何者?この島で何をしているの?」

 

タスク

「・・・ただのバカンスって理由じゃ駄目かな?」

 

アンジュ

「・・・そう解釈しとくわ。それで、治せそう?」

 

タスク

「エンジンは問題無かったけど、出力系の回路が駄目になってる。これさえ修理できれば無線が使えるから、それで仲間と連絡を取ればいい。」

 

アンジュ

「連絡したって無駄。誰も助けに来ないし、誰も待ってない・・・。」

 

タスク

「そっか・・・。あの・・・治すって言っても暫くかかるからさ、よかったら治るまでの間ここにいたらどうかな?その、変なことしたりしないし…」

 

アンジュ

「・・・そうね。」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~ジャングル 住処~

 

 

その日の夜、アンジュはタスクの住処にカーテンを設置し住処を分断した。

 

 

アンジュ

「私はカーテンの向こうで寝るわ。もしこのカーテンを越えたら死刑よ!いいわね?」

 

タスク・天馬

「はーい。」

 

 

アンジュはカーテンの向こうでタスクのベッドで眠り、タスクと天馬はカーテンの外で寝袋に入り眠りについた。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~岩壁~

 

 

それから暫くの間、アンジュと天馬はタスクと行動を共にした。ある日は海で大物を釣り上げ・・・。

 

 

アンジュ

「天馬、引いてるわよ!」

 

タスク

「コイツは大物だ!」

 

天馬

「でえええええりゃあああああ!!」

 

 

ザバーン!

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~ジャングル 住処~

 

 

ある日は天馬手作りのカレーを食し・・・。

 

 

天馬

「どうです?」

 

タスク

「美味しいよ!今まで食べてきたカレーの中で一番だ!」

 

アンジュ

「ほんと。エルシャと良い勝負じゃない?」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~砂浜~

 

 

そしてある日は雨の中、三人で協力してヴィルキスの修理を行った。

 

 

天馬

「ここを、こうして・・・。」

 

タスク

「そうそう、そんな感じ。」

 

アンジュ

「タスク、この部品はどうすればいいの?」

 

タスク

「これかい?これはね・・・。」

 

 

日が経つにつれてアンジュとタスクの仲は徐々に修復されていき、少しずつだが互いに身を寄せ会うようになった。だが、天馬がその事を知ることはなかった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

~河辺~

 

 

そして一週間が経ったある日の夜、三人は島の河辺で星空を眺めていた。

 

 

アンジュ

「星がいっぱいね。」

 

タスク

「気付かなかった?」

 

アンジュ

「空なんて、ずっと見てなかったから。・・・綺麗。」

 

タスク

「・・・君の方が、綺麗さ。」

 

 

タスクの一言で二人は頬を赤く染め、静かに互いの手を重ねた。すると・・・。

 

 

天馬

「・・・ん?何だ?」

 

 

天馬が何かを発見した。二人は天馬の視線の方向に目を向ける。すると、氷付けにされた大型のドラゴンが数機の輸送機によって運ばれる光景が見えた。

 

 

アンジュ

「あれって、ドラゴン?何処に連れていくの?」

 

 

「ギャアアアアアアアア!!」

 

 

突然、ジャングルの方からドラゴンの鳴き声が響き、一匹の赤い小型ドラゴンが飛び立った。

 

 

天馬

「あれって、俺達と一緒に海に落ちたドラゴン?」

 

 

赤いドラゴンは輸送機集団の周囲を飛び回り、輸送機は赤いドラゴンに機銃を向け発砲。

 

 

ドカーン!

 

 

だが結果的に互いが互いを撃ち落とす形となり、輸送機集団と大型ドラゴンはアンジュ達の遥か前方の森に墜落した。

 

 

タスク

「今すぐ逃げよう!」

 

 

三人は急いでその場を離れる。だが、今度は三人の目の前に赤いドラゴンが落ちてきた。ドラゴンは翼に穴が開き、空を飛べる状態ではなかった。

 

 

ドラゴン

「ギャアアアアアアアア!!」

 

アンジュ

「出たわねドラゴン!」

 

 

アンジュはホルスターから拳銃を取り出し、ドラゴンに銃口を向け構えた。

 

 

タスク

「そんな銃で倒せる相手じゃない!」

 

アンジュ

「じゃあ、黙って食い殺されろって言うの!?」

 

天馬

「そうだ、ヴィルキスでなら!」

 

タスク

「でも、まだ修理が出来てない!」

 

アンジュ

「だったら治して!今すぐ!」

 

タスク

「・・・ああ、わかった!」

 

 

三人は急いでジャングルへと入り砂浜へと向かう。ドラゴンは三人を走って追いかけた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~砂浜~

 

 

砂浜に着くとアンジュとタスクはヴィルキスの修理に向かい、天馬はドラゴンと対峙した。

 

 

天馬

「俺がドラゴンの相手をします!その間に、二人は早く修理を!」

 

タスク

「わかった!」

 

アンジュ

「気をつけて!」

 

天馬

「・・・はああああああああっ!」

 

 

天馬が両手を広げて叫ぶと、彼の背中から深い藍色のオーラが出現した。オーラは翼を形成するかのように形を成していき、オーラが消えると、背中から真っ白な翼を生やし、強固な肉体とボリュームのある長い赤髪を持ち、頭にペガサスを模した装飾を着けた巨人が雄叫びを上げながら現れた。

 

 

天馬

「魔神ペガサスアーク!」

 

ペガサスアーク

『オオオオオオオオオオ!!』

 

アンジュ

「な、何よアレ!?」

 

タスク

「天馬君の体から、巨人が!?」

 

 

 

アンジュとタスクは突然の出来事に驚きを隠せず困惑している。

 

 

天馬

「さあ、かかって来い!」

 

ドラゴン

「ギャアアアアアアアア!!」

 

 

ドラゴンは天馬に向かって突進。

 

 

天馬

「はあああああああ!」

 

 

天馬は両手を突き出した。ペガサスアークも天馬の動きに合わせ両手を突き出し、ドラゴンを受け止めた。

 

 

ドラゴン

「ギャアアアアアアアア!!」

 

ペガサスアーク

『オオオオオオオオオオ!!』

 

 

ペガサスアークはドラゴンを突き飛ばし、ドラゴンは砂浜を転がりヤシの木にぶつかった。

 

 

アンジュ

「スゴいわね、あれ…」

 

タスク

「アンジュ!修理完了だ!」

 

 

ヴィルキスの修理が終わり、アンジュはコックピットに乗り込んだ。

 

 

アンジュ

「残りのエネルギーを全部、右腕に集中させて・・・。」

 

 

アンジュはヴィルキスを操り、右腕のライフルをドラゴンに向け発砲。

 

 

アンジュ

「くたばりなさい!」

 

 

ダダダダダダダダダダダッ!

 

 

ドラゴン

「ギャアアアアアアアア!!」

 

 

銃弾はドラゴンの腹部に命中し、傷口から大量の血が噴き出した。

 

 

天馬

「いくぞ!」

 

 

天馬はドラゴンに向かって走り出し、ドラゴンも体の痛みに耐えながら天馬に向かって突進してくる。

 

 

天馬

「今だ!」

 

 

天馬は急停止し、体を屈めドラゴンの下へと潜り込んだ。

 

 

天馬

「ペガサスアッパー!」

 

ペガサスアーク

『オオオオオオオオオオ!!』

 

 

ドーン!

 

 

天馬とペガサスアークはドラゴンの腹部に強烈なアッパーを叩き込み、ドラゴンは空中へと飛ばされた。

 

 

ザバーン!

 

 

そして海へと落ち、海底に沈んだ。ペガサスアークは藍色のオーラへと姿を変え、天馬の背中へと戻った。

 

 

天馬

「ハァ…ハァ…」

 

タスク

「何だったんだろう、今の。」

 

アンジュ

「分からない。でも一つ確かなのは、あれはマナの力じゃない。マナとは違う、何か別の力・・・。」

 

 

その後、日の出と共に二人は天馬に先程の現象について質問をした。

 

 

天馬

「あれは化身です。」

 

タスク

「化身?」

 

天馬

「人の心の強さが気の塊として形になったもので、化身が出せる人は化身使いって呼ばれてて、凄いパワーを発揮できるんです。」

 

アンジュ

「なるほど。(もしかしたら、お父様が言ってたマナとは違う別の力って、あの化身のことだったのかしら?)」

 

天馬

「それより、これからどうしましょうか?もうここには居られないみたいですし・・・。」

 

 

先程の墜落で、森の一部が火事になっていた。

 

タスク

「・・・アンジュ、よかったら一緒に来ない?」

 

 

 

『・・・アンジュちゃん応答願いまーす。』

 

 

突然、ヴィルキスに通信が入った。

 

 

『もう死んじゃってますか?死んじゃってるなら死んじゃってるって言ってくださーい。』

 

 

アンジュ

「この声、ヴィヴィアン!」

 

 

アンジュはマイクをオンにした。

 

 

アンジュ

「こちらアンジュ!生きてます!」

 

ヴィヴィアン

『うそ!?ホントに、ホントにアンジュなの!?』

 

信助

『アンジュさん、天馬は一緒ですか!?』

 

アンジュ

「天馬も無事よ。救助を要請します。」

 

ヴィヴィアン

『りょ、了解!!』

 

 

アンジュはヴィルキスを降り、タスクに近づいた。

 

 

アンジュ

「私、帰るわ。今はあそこしか、私の戻る場所はないみたいだから・・・。それに、やられたらやり返さないと。」

 

タスク

「そっか・・・。」

 

天馬

「今日まで、ありがとうございました。」

 

アンジュ

「タスク、ありがとう。私達だけじゃ、多分死んでた・・・。」

 

タスク

「どういたしまして。じゃあ、二人とも元気で・・・。」

 

 

タスクは二人に手を振り、その場から走り去った。

 

 

アンジュ

「変な人。」

 

天馬

「また、会えるでしょうか?」

 

アンジュ

「・・・分からない。」

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

~オスプレイ 機内~

 

 

その後二人は無事に救助された。

 

 

エルシャ

「はい、アンジュちゃん。」

 

 

エルシャはコップにスープを注ぎ、アンジュに渡した。

 

 

アンジュ

「ありがとう、エルシャ。」

 

エルシャ

「あら?あらあら。」

 

 

アンジュのありがとうにエルシャは驚き、微笑んだ。

 

 

アンジュ

「ねえヴィヴィアン、あの変なマスコット、まだある?」

 

ヴィヴィアン

「アンジュ、今アタシの名前・・・。」

 

 

ヴィヴィアンは初めて名前を呼ばれ驚いた。

 

 

アンジュ

「私のコックピット、何も無いから・・・。」

 

ヴィヴィアン

「もちろん、あるある!」

 

 

サリアとメイはアンジュの変化に驚いている。

 

 

サリア

「この間とは別人みたいね。」

 

メイ

「無人島にいる間に、何かあったのか?」

 

 

アンジュ

「ねえ天馬、サッカーってマナを持ってなくても出来る?」

 

天馬

「ええ、もちろん!」

 

アンジュ

「ならさ、アルゼナルに帰ったら私にサッカーを教えてよ!」

 

エルシャ

「私もいいかしら?」

 

ヴィヴィアン

「アタシもやるー!」

 

天馬

「もちろん、喜んで!」

 

 

 

 

To Be Continued…




~次回予告~


モモカ
「初めまして!アンジュリーゼ様の筆頭侍女をしておりました、モモカ・荻野目です!」

アンジュ
「モモカ、なんであなたがここにいるの?」

モモカ
「はい、次回から私が登場するらしいので、代わりに予告をしてほしいと天馬さんに頼まれまして。」

アンジュ
「そうなの。じゃあ私の代わりに次回のタイトル読んでくれる?」

モモカ
「分かりました、アンジュリーゼ様!


次回、《密航侍女モモカ・荻野目》!」

アンジュ
「ちょっと待って、筆頭侍女じゃないの!?」

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