クロスアンジュ LIGHTNING EDITION ~天使とドラゴンと五人の巨人使い~   作:ヒビキ7991

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番外編②/対決!雷門vsアルゼナル!

~稲妻町 商店街アーケード 喫茶アンジュ~

 

 

ある日の朝、アンジュはタスクと共に開店の準備をしていた。アンジュは表に出て、店の扉の札を『CLOSE』から『OPEN』にひっくり返した。

 

 

アンジュ

「これでヨシと!さて、今日も頑張って………ん?」

 

 

そこへ朝の練習だろうか、商店街をドリブルで走り、こちらに向かう天馬の姿が見えた。天馬はアンジュに気付くと、何故か右手を高く上げる。アンジュも天馬に体を向け、同じく右手を高く上げる。

 

 

パンッ!

 

 

そして天馬がアンジュの横を通り過ぎると同時に、二人はハイタッチ。天馬はそのまま走り去り、アンジュも店の中に戻った。

 

 

天馬

(いよいよ明日ですね………!)

 

アンジュ

(いよいよ明日ね………!)

 

天馬・アンジュ

(雷門とアルゼナルの練習試合!)

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

~河川敷~

 

 

しばらくして、河川敷のグラウンドにはライダースーツ姿のヒルダ・ロザリー・クリスが居た。グラウンドには何故かパラメイルの剣やライフル等の武器が無造作に置かれ、グラウンドの端にはジャスミンの姿があった。

 

 

ジャスミン

「スタート!」

 

 

ジャスミンの声を合図に、三人は各々ドリブルしながら武器の間を縫うように進み、そしてゴールに向けて一斉にシュート。だがボールは全てゴールポストに当たり跳ね返った。

 

 

ロザリー

「っち、惜しい!」

 

ジャスミン

「でも、だいぶ良くなって来たんじゃないかい?最初の頃とは大違いだよ。」

 

クリス

「うん!あともう少しだよ!」

 

ヒルダ

「よし、じゃあ練習再開だ!明日は絶対に勝つよ!」

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

~アウラの里 大通り~

 

 

ヴィヴィアン

「うおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

アウラの里では、ヴィヴィアンがタイヤを引きながら大通りを全力ダッシュで駆け抜けていた。その様子を、家のベランダから優しく見守るラミアの姿もある。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~アウローラ トレーニングルーム~

 

 

アウローラのトレーニングルームでは、サリアがトレーニングに励んでいた。その傍らで、ジルもサリアに付き合う様にトレーニングをしている。

 

 

ジル

「おいサリア、明日は本番なんだぞ?気持ちは分かるが過度なトレーニングは逆効果だ。少し休め。」

 

サリア

「そう言うアレクトラこそ、休んだらどうなの?ずっと私のトレーニングに付き合ってくれてるけど………」

 

ジル

「私はこの程度で音を上げる程、弱い女ではない。何ならお前がトレーニングし過ぎで動けなくなるまで、付き合ってやっても構わないぞ?」

 

ジル

「なら私は、アレクトラが疲れて動けなくなるまでトレーニングしてやろうじゃない!」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~永世学園 グラウンド~

 

 

エルシャは瞳子の協力の下、永世学園のグラウンドを借りてキーパーの特訓をしていた。エルシャの目の前には、かつて円堂が中学生時代に使用していたガトリング型の巨大サッカーマシンが置かれている。

 

 

瞳子

「準備はいいかしら?」

 

エルシャ

「ええ、お願いします!」

 

 

ガコン!ドーン!ガコン!ドーン!

 

 

瞳子がリモコンでマシンを遠隔操作。砲身が回転し、マシンからサッカーボールが連続で発射された。エルシャはタイミングよくパンチや平手打ち等を繰り出し、ボールを弾いていく。

 

 

園児

「エルシャ先生ガンバレー!!」

 

 

グラウンドの脇では、お日さま園の園児達がエルシャを応援している。

 

 

エルシャ

(アルゼナルのゴールは、私が守ってみせるわ!)

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~雷門中 野外グラウンド~

 

 

そして雷門中のグラウンドでは、サッカー部が練習に励んでいた。中にはシルヴィア・ナオミ・ココ・ミランダの姿もある。

 

 

天馬

「剣城!」

 

 

天馬がドリブルでボールを運び、剣城にパスを出す。

 

 

ナオミ

「いただき!」

 

 

だがナオミがパスをカットしボールを奪い、ナオミはボールをココに預け、更にココがシルヴィアにパス。

 

 

シルヴィア

「でえええええい!」

 

 

シルヴィアがダイレクトシュートを放ち、ボールは信助が守るゴールへ。信助は両手を突き出しボールをキャッチした。

 

 

信助

「ナイスシュートです!」

 

三国

「シルヴィアさん達、何時も以上に気合いが入ってるな。」

 

ミランダ

「そりゃそうだよ。だって明日は、楽しみにしてた雷門とアルゼナルの試合だもの。」

 

狩屋

「ついに明日か。くぅー、俺も楽しみ過ぎて仕方ないって感じだよ!」

 

「おうよ!ここんとこ色々あったからのぅ………明日は久し振りの楽しい試合じゃ!」

 

神童

「楽しい試合か………ああ、そうだな!」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~サッカー棟 グラウンド~

 

 

次の日、雷門中サッカー棟には多くの観客が集まっていた。観客の中には稲妻町でお馴染みの人々、豪炎寺・鬼道・壁山を始めとする雷門サッカー部OB、吹雪・佐久間・不動を始めとするイナズマレジェンドジャパンの選手達、イナズマジャパン基アースイレブンの選手達、マギー・エマ・ミスティを始めとする元アルゼナル関係者、白竜・太陽を始めとするホーリーロード及び元フィフスセクター関係者、更にお日さま園の園児達や関係者、サラマンディーネ・ナーガ・カナメ・ラミアを始めとするアウラの民の姿もある。そしてグラウンドには天馬率いるお馴染み雷門中サッカー部と、アンジュ・ヒルダ・サリアを始めとするアルゼナルのメイルライダーによって構成された《チーム・アルゼナル》が居た。メンバーの中にはヴィヴィアン・ココ・ミランダ・ナオミ・シルヴィア、そしてベンチにはタスクとモモカの姿もある。

 

 

タスク

「いよいよだね、アンジュ。」

 

アンジュ

「ええ!」

 

ヒルダ

「今日のために猛特訓してきたんだ。何が何でも絶対に勝ってやる!」

 

モモカ

「ところで、このユニフォームはサリアさんがデザインされたのですか?」

 

 

アンジュ達は赤地に白で大きく『A』の字が描かれた半袖のユニフォーム、エルシャは黒地に黄色で大きく『A』の字が描かれた長袖のユニフォームを身に付けていた。

 

 

サリア

「そうよ。私達のチーム名、アルゼナルの頭文字をあしらってみたの。どう?」

 

アンジュ

「そうねぇ………サリアにしては良い感じなんじゃない?」

 

サリア

「実は天馬が持ってた別のユニフォームをお手本にしたから、100%オリジナルって訳じゃないのよ。」

 

ヴィヴィアン

「えっ?天馬って、雷門とジャパン以外のユニフォームも持ってるの?」

 

 

そして、観客席の一角に設けられた実況席には、毎度お馴染みのこの方々。

 

 

「さあ、まもなく始まります!雷門サッカー部vsチーム・アルゼナル!実況は私、角馬歩が御送り致します!!」

 

 

数分後、各々のチームがフィールドに出た。

 

 

雷門サッカー部

 

《フィールド》

信助 GK/20

 

霧野 DF/3

 

車田 DF/2

 

天城 DF/4

 

狩屋 DF/15

 

天馬 MF/8《C》

 

神童 MF/9

 

錦 MF/14

 

速水 MF/7

 

剣城 FW/10

 

倉間 FW/11

 

 

《ベンチ》

三国 GK/1

 

青山 MF/12

 

二乃 MF/13

 

輝 FW/16

 

浜野 MF/6

 

葵(マネージャー)

 

水鳥(マネージャー)

 

茜(マネージャー)

 

円堂(監督)

 

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

チーム・アルゼナル

 

《フィールド》

エルシャ GK/1

 

ココ DF/2

 

ミランダ DF/3

 

クリス DF/15

 

ロザリー DF/14

 

ナオミ MF/6

 

シルヴィア MF/7

 

サリア MF/9

 

アンジュ MF/11《C》

 

ヒルダ FW/10

 

ヴィヴィアン FW/20

 

 

《ベンチ》

タスク FW/12

 

ジル MF/99

 

モモカ(マネージャー)

 

 

 

「両チームがポジションに着きました!さあ、どの様な試合になるのか!?」

 

 

大勢の観客が見守る中、天馬とアンジュは共にセンターサークルに立ち、そして握手をした。

 

 

天馬

「アンジュさん、今日はお互い全力で頑張りましょうね!」

 

アンジュ

「もちろん!全力で貴方達にぶつかっていくわ!覚悟しなさい!」

 

 

握手を終えると二人は各々自分のポジションに戻り、試合の準備が整った。

 

 

アンジュ

「みんな、私達の全部を雷門にぶつけるのよ!」

 

アルゼナル

「「イエス・マム!」」

 

 

円堂

「今日は俺からは何も言わねぇ!その代わり、存分に楽しんで来い!」

 

雷門

「はい!!」

 

 

「さあ、いよいよ試合開始です!」

 

 

ピー!

 

 

審判のホイッスルの音が響き渡り、雷門のキックオフで試合が始まった。剣城から倉間、倉間から天馬にボールが渡る。

 

 

天馬

「行きます!」

 

 

天馬はボールを受け取ると直ぐにアルゼナル陣内へ駆け出した。ヴィヴィアンとヒルダを華麗に躱し、倉間と共にゴールを目指す。

 

 

「松風と倉間が、共にアルゼナルゴールに迫る!」

 

ロザリー

「行かせるか!」

 

 

ロザリーとクリスが正面から突っ込むが、天馬は倉間にパスを出し、倉間は更にサイドから攻め込んでいた剣城にパスを出す。

 

 

剣城

「でええりゃああああ!!」

 

 

剣城がダイレクトシュートをアルゼナルゴールに向けて放つ。だがキーパーのエルシャがキャッチし受け止めた。

 

 

「おっと!キーパーエルシャ、剣城のダイレクトシュートを受け止めた!雷門、先制点ならず!」

 

エルシャ

「良いシュートよ、剣城君!」

 

剣城

「エルシャさんも、やりますね!」

 

 

エルシャはボールをナオミに預け、ナオミはアンジュと共に雷門陣内へ蹴り込む。

 

 

「今度はアルゼナルの反撃!ナオミとアンジュが雷門陣内へ蹴り込んで行く!」

 

 

「おりゃああああ!」

 

 

錦がスライディングでナオミを襲うが、ナオミはアンジュにボールを預け回避。アンジュはボールを受け取ると、すぐさまヴィヴィアンにパスを出す。ヴィヴィアンはボールを受け取ると、信助と対峙した。

 

 

ヴィヴィアン

「行くよ信助!」

 

信助

「はい!」

 

 

ヴィヴィアンが信助に向けて渾身のシュートを放つ。信助は持ち前の瞬発力を生かし、ジャンピングキャッチでボールを受け止めた。

 

 

「止めたぞ西園!ナイスセーブ!」

 

信助

「天馬!」

 

 

信助は天馬に向けてロングパスを出し、天馬はボールを受け取ると再びアルゼナル陣内へと向かう。

 

 

サリア

「行かせないわよ!」

 

シルヴィア

「行かせません!」

 

 

だが行く手にはサリアとシルヴィアが立ち塞がる。すると天馬は両手を振り前方に大きな竜巻を発生させ、その中をくぐり抜けて二人を躱した。

 

 

天馬

「《風穴ドライブ》!!」

 

「松風があっという間に二人を抜き去った!」

 

 

二人を抜き、天馬は剣城にパスを出す。剣城はボールにバイシクルシュートを叩き込み、黒いオーラを纏ったボールを放つ。

 

 

剣城

「《バイシクルソード》!!」

 

 

剣城のバイシクルソードはアルゼナルゴール目掛けて突き進む。

 

 

「出たあああ!剣城の必殺バイシクルソード!雷門、先制点なるか!?」

 

エルシャ

「うふふ………それじゃ、私も少し本気出しちゃおうかしら?はああああああ!!」

 

 

エルシャは右手に力を溜め上に上げる。すると、エルシャの右手に巨大なドリルが出現した。

 

 

エルシャ

「《ドリルスマッシャー》!!」

 

 

エルシャはドリルを突き出し、剣城のバイシクルソードを弾き飛ばす。そして落下してきたボールを優しくキャッチした。

 

 

剣城

「ナニッ!?」

 

「キーパーエルシャ、又しても剣城のシュートを止めました!」

 

ロザリー

「つか、今のドリル………だったよな?」

 

クリス

「エグすぎる………」

 

 

エルシャの必殺技が予想外過ぎたのか、フィールドにいる数名が唖然としていた。そんな面子を他所に、エルシャは観客席の一角に目を向け微笑む。目線の先には誇らしげに微笑む瞳子と砂木沼の姿があった。

 

 

円堂

「あの技、まさか瞳子監督と砂木沼が教えたのか………?」

 

 

皆がエルシャに唖然とする中、エルシャはボールを雷門陣内に向けて蹴り飛ばす。その先には、ヴィヴィアンとヒルダが居た。

 

 

車田

「させっか!」

 

 

車田・狩屋・霧野・天城がブロックに入るが、ヒルダがその場で真上に大きくジャンプ。時計回りに回転しながら赤い炎の竜巻を纏い、そして強烈なシュートを叩き込んだ。

 

 

ヒルダ

「《ファイアトルネード》!!」

 

 

ヒルダのファイアトルネードが雷門ゴールに向け勢いよく放たれた。

 

 

信助

「決めさせない!」

 

 

信助は一瞬でゴール前からコーナーへ移動し、再びゴールへと走る。そしてボールへ真横からジャンピングパンチを叩き込んだ。

 

 

信助

「《ぶっとびパンチ》!!」

 

 

信助のぶっとびパンチはボールに見事命中し、ボールは弾き返された。だが、弾き返された先にはヴィヴィアンが居た。ヴィヴィアンは大きく右足を振りかぶり、背後に出現した青い竜と共に渾身のシュートを放った。

 

 

ヴィヴィアン

「《ドラゴンクラッシュ》!!」

 

信助

「しまった!」

 

 

信助は急いでボールを追いかけたが間に合わず、ボールはゴールに突き刺さった。

 

 

「ゴール!ヴィヴィアンの必殺シュートが炸裂!アルゼナル先制です!」

 

ヴィヴィアン

「ヨッシャー!!」

 

染岡

「いいぞヴィヴィアン!」

 

豪炎寺

「見事だ。」

 

 

シュートが決まったヴィヴィアンとアルゼナルのメンバー、そして観客席に居た染岡は喜んだ。

 

 

円堂

「なるほど、今度は豪炎寺と染岡か………コイツは想像以上に手強いぞ?」

 

 

数分後、雷門のボールで試合が再開。ボールは錦に渡り、錦はロザリーと対峙する。

 

 

ロザリー

「いくぜクリス!」

 

クリス

「オッケー!」

 

 

ロザリーは体を反転させ、両手を前で組み踏み台を作る。するとクリスが踏み台に乗り、次の瞬間ロザリーがクリスを空高く放り投げる。

 

 

クリス

「《シューティングスター》!!」

 

 

ドーン!

 

 

「ドワアアアアッ!?」

 

 

そしてクリスが錦の目の前に跳び蹴りを叩き込み、発生した衝撃波で錦を吹き飛ばした。

 

 

「クゥー!今のは中々効いたぜよ!」

 

 

錦が感心している間に、ボールはナオミに渡っていた。ナオミがドリブルで攻め込むと、目の前に天馬が立ち塞がった。天馬はポーズを決め、残像を発生させながらナオミに向かって走って跳躍。

 

 

天馬

「《ワンダートラップ》!!」

 

 

そしてナオミの目の前で残像と共に姿を消すと同時に、ナオミの後ろに現れスライディングでボールを奪った。

 

 

「おっと、これは鮮やか!松風がボールを奪い返した!」

 

 

天馬はボールを剣城に預け、ゴールへ一気に駆け出す。

 

 

剣城

「《バイシクルソード》!!」

 

 

ボールを受け取った剣城は再びバイシクルソードをアルゼナルゴールに向けて放つ。だが、その先には天馬が居た。

 

 

剣城

「天馬!シュートチェインだ!」

 

天馬

「はああああああ!!」

 

 

天馬はボールと同じ速度まで加速し、追い付くと同時にボールにジャンピングボレーシュートを繰り出し、突風と共に黒と水色のオーラを纏ったシュートを放った。

 

 

天馬

「真《マッハウインド》!!」

 

エルシャ

「《ドリルスマッシャー》!!」

 

 

エルシャはドリルスマッシャーを繰り出し、マッハウインドを受け止める。

 

 

バキ………バキバキ………

 

 

エルシャ

「っ!?」

 

 

バリン!!

 

 

だがバイシクルソードのパワーが加わったマッハウインドに押され、ドリルが崩壊。ボールはアルゼナルゴールに突き刺さった。

 

 

「ゴール!!剣城と松風のシュートチェインが炸裂!雷門、同点に追い付いた!」

 

エルシャ

「まさかドリルスマッシャーが敗れるなんて………やっぱり凄いわね!」

 

 

その後、アルゼナルのボールで試合再開。ヒルダ・ロザリー・クリスが縦一列に並びながらゴールに走る。

 

 

クリス

「行くよ!」

 

 

最後尾のクリスがボールをシュートし、続いて真ん中のロザリーがボレーシュート、最後に先頭のヒルダがダイレクトシュートを叩き込み、三人のシュートのエネルギーを受けたボールが雷門ゴールに放たれた。

 

 

ヒルダ・ロザリー・クリス

「《トリプルブースト》!!」

 

信助

「《ぶっとびパンチ》!!」

 

 

ドーン!

 

 

信助

「うわあああああ!」

 

 

 

信助はぶっとびパンチで応戦するが、トリプルブーストのパワーに負け吹き飛ばされた。

 

 

ガンッ!

 

 

だがボールはゴールポストにぶつかり跳ね返り、得点には至らなかった。

 

 

「おっと、ボールがゴールポストに!得点ならず!」

 

 

狩屋が跳ね返ったボールを取り走り出す。だがヴィヴィアンとヒルダがボールを奪いに襲い掛かる。

 

 

狩屋

「丁度良いや。前に皆帆に教えてもらったアレ、使ってみっか!」

 

 

そういうと狩屋は突然、ある方向を指差し叫んだ。

 

 

狩屋

「《あそこにUFO》!!」

 

ヒルダ・ヴィヴィアン

「えっ!?」

 

 

ヒルダとヴィヴィアンは思わず狩屋が指差した方向に目を向け、その隙に狩屋が背後から二人を抜いた。

 

 

狩屋

「ニッヒッヒー、じゃあね!」

 

ヒルダ

「あ!野郎、騙しやがったな!?」

 

 

シュン!シュン!シュン!ポンッ!

 

 

そして騙された事に気づいたヒルダと、未だUFOを探すヴィヴィアンの後ろにUFOが現れ、空へと消えた。

 

 

「狩屋が二人を抜いたー!」

 

狩屋

「速水先輩!」

 

 

狩屋はボールを速水に預け、ボールは速水から錦、錦から神童、神童から天馬に渡り、天馬はエルシャと対峙する。

 

 

天馬

「真《マッハウインド》!!」

 

 

天馬は再び真マッハウインドを放つ。

 

 

エルシャ

「次はコレよ!はああああああ!!」

 

 

エルシャは全身に力を込め、自身を巨大化させる。

 

 

エルシャ

「《ギガントウォール》!!」

 

 

そして拳を振り下ろし、ボールを地面に叩きつけた。叩きつけられた衝撃でボールは地面にめり込み、地面に亀裂が走った。

 

 

「キーパーエルシャ、今度は止めました!」

 

天馬

「ドリルスマッシャーの他に、あんな凄い必殺技が!?」

 

ヒルダ

「ってか、あれアリなのか!?」

 

 

色々突っ込みたいところかも知れないが、今は試合の真っ最中。エルシャはボールをシルヴィアに預け、シルヴィアはナオミとココと共に雷門ゴールへ走る。

 

 

シルヴィア

「ナオミ!ココ!」

 

ナオミ・ココ

「はい!」

 

 

三人はゴール正面で停止し、信助やディフェンス陣と対峙。

 

 

ピューイ!

 

 

突然シルヴィアが指笛を吹き、それと同時にナオミとココが同時に走り出す。指笛が終わると、地面から五匹の可愛い皇帝ペンギンが顔を出した。

 

 

シルヴィア

「《皇帝ペンギン!!」

 

 

シルヴィアがボールを蹴ると同時に、ペンギンがまるでミサイルの様に飛び立つ。そして先行のナオミとココが左右から同時に、ボールにダイレクトシュートを叩き込む。

 

 

ナオミ・ココ

「2号》!!」

 

 

ゴールに向けて放たれたボールを追うように、五匹のペンギンが軌道を描きながらミサイルの様に信助に襲い掛かる。信助はヘディングでボールを受け止めると、足から炎を吹き出しまるでロケットの様に飛び立つ。

 

 

信助

「《ぎんがロケット》!!」

 

 

ボールを宇宙空間に運び、そしてヘディングでボールを銀河の彼方へ消し去った。

 

 

「今度は止めたぞ西園!アルゼナル追加点ならず!」

 

 

ピピー!

 

 

ホイッスルが鳴り、試合は同点のまま前半戦を終えた。

 

 

「ここで前半終了!両者共に得点は1対1のまま!果たして後半戦はどんな試合になるのか!?」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~一軍部室~

 

 

後半戦までの休憩時間、雷門は部室に移った。

 

 

 

天馬

「まさかアンジュさん達が、あんな凄い必殺技を持ってたなんて。」

 

水鳥

「まさしく、『男子、三日会わざれば刮目して見よ』ってヤツだな。つってもアッチは女だけど。」

 

神童

「前半戦で実力の全てを出したとは思えない。後半戦も全力で掛かるぞ?」

 

 

「「はい!!」」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~ミーティングルーム~

 

 

一方、チーム・アルゼナルはミーティングを借りて休憩していた。モモカがメンバー全員にタオルとドリンクを配り、アンジュが後半戦の戦術を話す。

 

 

アンジュ

「後半からはヴィヴィアンとタスク、シルヴィアとジルを入れ替え。フォーメーションは私・タスク・ヒルダのスリートップで行くわ。」

 

タスク

「いよいよ出番か!ワクワクするなあ!」

 

ジル

「今のところ、我々の実力は雷門に劣ってはいない。このまま攻め続ければ勝機はある。」

 

ヒルダ

「けど、アイツらにはまだ化身って切り札がある。後半戦で化身を使ってくるって可能性もあるぜ?」

 

アンジュ

「そこは何とかなるんじゃない?いくら化身が相手でも、必殺技のパワーが強ければ押し倒せるって聞いたし。それにまだ切り札を見せてないのは、私達も同じだしね。」

 

ヒルダ

「そう言やそうだったな。」

 

アンジュ

「勝つのは私達、チーム・アルゼナルよ!みんな、後半戦も頑張りましょう!」

 

 

「「イエス・マム!」」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~グラウンド~

 

 

数分後、各チームが再びフィールドについた。アンジュの言う通りヴィヴィアンとシルヴィアはベンチに移り、代わりにタスクとジルがフィールドへ。そしてアンジュ・タスク・ヒルダのスリートップにフォーメーションを変更した。

 

 

天馬

「タスクさんとジル総司令、しかもアンジュさんがフォワードのスリートップ、大胆にフォーメーションを変えてきた。」

 

 

ピー!

 

 

「後半戦開始です!」

 

 

後半戦開始のホイッスルが鳴り、アルゼナルのキックオフでスタート。始まってしばらくはお互い大きな動きが無いまま迎えた後半10分、アンジュがボールを受け取りタスクとヒルダを従えて雷門陣内へ攻め込む。

 

 

天馬

「通しません!」

 

 

天馬はアンジュに正面から向かい、速水と浜野がタスクとヒルダを抑えに掛かる。

 

 

アンジュ

「《エンゼルボール》!!」

 

 

アンジュがボールを蹴り跳ばすと、ボールに白い翼と天使の輪が現れ、天馬の周りを浮遊。そして天馬の後方でアンジュの足下に戻った。

 

 

「おっと、アンジュが松風を抜いた!」

 

アンジュ

「見せてあげるわ、私の必殺シュート!」

 

 

アンジュは蒼く輝く巨大な6枚の翼を展開し、ボールと共に空へと飛ぶ。翼が大きく広がるのと同時に空中に浮いたボールが青い炎を纏い、そしてアンジュがそれを力強く蹴りゴールに向けてシュートした。

 

 

アンジュ

「《デッドリールシファー》!!」

 

 

ドーン!

 

 

信助

「うわあああああ!?」

 

 

アンジュの必殺シュートに信助は吹き飛ばされ、ボールは雷門のゴールに突き刺さった。

 

 

「ゴール!!アンジュの必殺シュートが炸裂!アルゼナル、ついに勝ち越し!」

 

アンジュ

「どう?これが私の必殺技、デッドリールシファーの威力よ!」

 

天馬

「凄い、あんな必殺技を隠してたなんて………」

 

 

数分後、雷門のボールで試合が再開。剣城から神童がボールを受け取る。

 

 

神童

「行くぞ!《神のタクト》!!」

 

 

神童は両手をまるでオーケストラの指揮者の様に動かし、フィールドに光の筋を描く。雷門イレブンは神童の光の筋を辿りながらパスを繋げ、アルゼナル陣内へ攻め込んで行く。

 

 

サリア

「これが神童のゲームメイク、凄いわ!」

 

 

だがボールが速水に渡ろうとしたところで、ジルがパスカットをしてボールを奪った。

 

 

ジル

「今度は私の番だ!」

 

 

ジルは自分の左右に多数のミサイルポッドを出現させる。ミサイルポッドの中からサッカーボール型のミサイルが現れ、ジルはボールをシュートと同時にミサイルを一斉に発射した。

 

 

ジル

「《アサルトシュート》!!」

 

 

ボールと共に大量のミサイルが雷門陣内へ降り注ぐ。すると天城がゴールの前に立ち、自身の足下を海へと変える。さらに海中から巨大な神殿を出現させた。

 

 

天城

「《アトランティスウォール(G3)》!!だど!!」

 

 

天城は自身の前に六角形のバリアを展開し、ボールとミサイルを防いだ。

 

 

「止めたー!天城がアルゼナルの攻撃を阻止!」

 

 

天城は速水にパスを出し、さらに速水から天馬に渡った。

 

 

天馬

「マッハウインドが駄目なら、これでどうだ!」

 

 

天馬はボールにエネルギーを溜め、光り輝くエネルギーを纏ったボールを風と共に思い切りシュート。

 

 

天馬

「《ゴッドウインド》!!」

 

 

天馬の放ったボールは旋風を纏い、荒れ狂いながらゴールへ向かっていく。

 

 

エルシャ

「《ギガントウォール》!!」

 

 

だがエルシャのギガントウォールには歯が立たなかった。

 

 

天馬

「ゴッドウインドも通じない!?」

 

 

ボールはエルシャからアンジュに渡り、さらにタスクがボールを受け取り、タスクは雷門ゴールに向かって走る。

 

 

「行かせんぜよ!」

 

 

錦がスライディングで止めるが、タスクはジャンプして錦を避ける。そして雷門ゴールへ思い切りシュート。

 

 

信助

「うおおおおおおお!!」

 

 

信助がパンチで防いだが、ボールはゴールラインを越えて外へと出てしまった。

 

 

タスク

「惜しい!」

 

アンジュ

「………」

 

 

数分後、アルゼナルのコーナーキックで試合が再開。ヒルダがコーナーからボールを蹴りサリアが受け取る。サリアは腕組みをしてゴールを睨みつける。すると周りが南極の様になりオーロラが発生。そして冷気で凍りつかせたボールを後ろ回し蹴りの様に蹴りつけシュート。

 

 

サリア

「《ノーザンインパクト》!!」

 

 

すると、狩屋が両手を開きながら左腕を横に、右腕を縦に振り、巨大なネットを出現させた。

 

 

狩屋

「《ハンターズネット》V3!!」

 

信助

「《ぎんがロケット》!!」

 

 

狩屋のハンターズネットで威力が弱まり、さらに信助のぎんがロケットに弾かれた。ボールは中を舞いアンジュの足下に落ちる。そしてアンジュは天馬と対峙した。

 

 

アンジュ

「ねえ天馬、何で化身を出さないの?」

 

天馬

「え?」

 

 

突然のアンジュからの質問に、天馬は少し驚いた。

 

 

アンジュ

「貴方達には化身って切り札があるでしょ?なのに何で使わないの?」

 

 

圧倒的なパワーを持つ化身なら、試合を有利にする事は容易い。しかも雷門にはアンジュ達が知るだけで少なくとも5人の化身使いが居る。なのに雷門は今まで一度も化身を出していない。アンジュは不思議だった。

 

 

天馬

「決めたんです。今日の試合、俺達は化身を使わないって。」

 

アンジュ

「どうして?」

 

天馬

「俺達はアンジュさん達と、楽しくサッカーがしたい。楽しいサッカーをするのに、化身は必要ありません。だから俺達は、この試合で化身は使わない事にしたんです。」

 

アンジュ

「楽しくサッカーがしたいか………なるほど、天馬らしいわね。」

 

天馬

「でも、だからと言って負ける気はありませんよ?」

 

アンジュ

「それは私達も同じよ。私達だってこの日のために頑張ってきたもの。だから絶対、貴方達に勝つわ!」

 

 

そう言うとアンジュは再び蒼く輝く翼を出現させ、デッドリールシファーの体制に入る。

 

 

アンジュ

「これで決める!《デッドリールシファー》!!」

 

 

アンジュのシュートが雷門ゴールに迫る。すると天馬は右手で突風を起こし、デッドリールシファーの炎を打ち消す。そしてボールに風を纏わせカウンターシュートを放った。

 

 

天馬

「《嵐・竜巻・ハリケーン》!!」

 

 

ボールの周囲の風は巨大な竜巻へと姿を変えゴールへと突き進む。エルシャは必殺技を繰り出そうとしたが間に合わず、天馬渾身のカウンターシュートがアルゼナルゴールに突き刺さった。

 

 

「ゴール!!天馬渾身のカウンターシュート炸裂!!雷門、再び同点に追い付いた!!」

 

 

ピッピッピー!

 

 

するとホイッスルの音が響いた。

 

 

「ここで試合終了のホイッスル!白熱した試合でしたが、得点は2対2!引き分けです!!」

 

 

天馬・アンジュ

「ハァ………ハァ………」

 

 

最後の必殺シュート対決が効いたのか、天馬とアンジュはその場で仰向けに倒れた。

 

 

天馬

「引き分けか………へへっ、惜しかったなぁ。」

 

アンジュ

「でも、楽しかったわ。まさか私の必殺シュートがシュートに返されるなんて、全く思ってなかったわ。」

 

天馬

「俺もアンジュさんや皆さんがあんな凄い必殺技を持ってて、ビックリしました。次は絶対に、俺達が勝ちますからね!」

 

アンジュ

「それはこっちの台詞よ。私達だって、次は負けないから、覚悟しなさい!」

 

 

天馬とアンジュは拳をぶつけ、再戦を約束した。

 

 

『ワー!』

 

 

すると丁度、観客席から歓声が響き渡り、両チームのメンバー全員が二人の元へ集まった。

 

 

ヴィヴィアン

「みんなー!アンジュと天馬を胴上げだー!」

 

天馬

「えっ!?ちょ、ちょっと!?」

 

アンジュ

「ちょ、ちょっとぉ・・・!?」

 

神童

「いくぞ!」

 

 

そして神童の掛け声で、天馬とアンジュを胴上げした。

 

 

「「ワーッショイ!ワーッショイ!」」

 

 

胴上げの掛け声と歓声がスタジアムに響き渡り、こうして試合は幕を下ろした。後日、喫茶アンジュの店内とサッカー棟には、茜が撮影した試合の写真が数多く飾られていた。

 

 

~完~

 

 

 


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