クロスアンジュ LIGHTNING EDITION ~天使とドラゴンと五人の巨人使い~   作:ヒビキ7991

47 / 48
番外編①/激闘?天馬の妻に相応しいのは誰だ!?《後編》

ジャスミン

『天馬、早速だがその抽選箱からお題を1つ引いてくれ!』

 

 

天馬

「は、はい!(もう、こうなったら成るように成れだ!)」

 

 

天馬は抽選箱から札を1つ引く。

 

 

天馬

「え~っと、最初のお題は《料理対決》です!」

 

 

ガコン!

 

 

天馬

「な、何だ!?」

 

 

突然ステージの床の一部が動き出し、下から人数分の調理台が姿を見せた。

 

 

ジャスミン

『さあ、最初のお題は料理対決!ルールは簡単。これから出題されるテーマに沿って、一番美味い料理を作った人が勝者だ。』

 

 

アンジュ達はエプロンや割烹着を身に付け、各自調理台の前に立つ。

 

 

ガチャ ウィーン

 

 

調理台の一部が開き、中から白い四角い物体が入ったタッパーが現れた。

 

 

ジャスミン

『テーマは「豆腐料理」!今回は木綿と絹ごし、二種類の豆腐を用意した。焼き物でも煮物でも汁物でも、調理法は何でもOKだ!それじゃ早速行くぞ?よーい・・・!』

 

 

バーン!

 

 

ジャスミンは勢いよく銅鑼を鳴らし、料理対決がスタートした。

 

 

トンットンッ

 

 

葵はキクラゲを微塵切りに、長ネギを白髪ネギにし、干し海老とスライスし揚げたニンニクを醤油ベースのタレと共に煮詰め・・・。

 

 

ジュー!

 

 

アンジュは水切りした木綿豆腐をフライパンで焼き色が付くまで焼き、シルヴィアは微塵切りにしたニンニクとショウガを合挽き肉と共にフライパンで炒め・・・。

 

 

ジュワアアァァ!

 

 

ココは薄力粉と片栗粉を付けた絹ごし豆腐を油で揚げ・・・。

 

 

コトコトコト・・・

 

 

そしてモモカとナオミは、共に土鍋を火に掛けている。

 

 

ジル

「これは・・・何れも出来上がりが楽しみだな?」

 

天馬

「あの、もしかして試食は・・・?」

 

ジル

「無論、お前と私も参加だ。」

 

天馬

「デスよねー・・・。」

 

 

数分後、全員の料理が出来上がった。

 

 

「中華風冷やっこです。」

 

アンジュ

「豆腐ステーキよ。」

 

シルヴィア

「麻婆豆腐になります。」

 

ココ

「揚げ出し豆腐です!」

 

ナオミ

「特製チゲ鍋です!」

 

モモカ

「こちら、湯豆腐になります。」

 

 

「「えっ?」」

 

 

モモカの意外なメニューに誰もが驚いた。

 

 

シルヴィア

「ゆ、湯豆腐?なんか、モモカらしくないわね?」

 

モモカ

「そうでしょうか?」

 

アンジュ

「うん!モモカなら何かこう・・・手の込んだ料理とか出してくるかなぁって思ってたんだけど……」

 

モモカ

「確かに、普段の私に比べればシンプルでしょう。でも御安心下さい、食べて頂ければ理由が分かります。」

 

 

各々の料理が出揃い、天馬達は試食審査を開始。そして数分後………

 

 

ジャスミン

『さぁ全員の試食が終了しました。では審査員の皆さん、採点をお願いします!』

 

 

秋・春菜・サラマンディーネは、手元のスコアボードに得点を記入していく。そして・・・。

 

 

ジャスミン

『勝者、モモカ・荻野目!』

 

 

なんと、湯豆腐で勝負したモモカが一回戦を勝利した。

 

 

モモカ

「やりました!」

 

「うそ、何で!?」

 

「秘密はお豆腐よ。今回みんなに用意したお豆腐は、スーパーで売ってる普通のお豆腐じゃないの。」

 

ジル

「この豆腐は商店街にある老舗豆腐店の自家製豆腐。味、質、食感、全てにおいて一級品と称される程の人気商品だ。今回、モモカはこの豆腐が普通の豆腐でない事にいち早く気付き、湯豆腐を選択した。」

 

モモカ

「美味しいお豆腐を味わうには、やはり湯豆腐が一番ですので。」

 

アンジュ

「なるほど、それなら納得出来るわ。流石私の筆頭侍女ね。」

 

 

と、突然ジャスミンが天馬に目を向ける。

 

 

ジャスミン

『ところで話は変わるが天馬、お前さんは誰の料理が一番だい?』

 

天馬

「えっ?どれも凄く美味しかったですよ?」

 

ジャスミン

『いやそういうコメントはいいから………まぁいい、次行くぞ!』

 

 

二本目の札を引くと、札には「黒ひげ」と書かれていたが………

 

 

天馬

「………ってちょっと待って!何で俺が黒ひげなんですか!?」

 

 

いつの間にか天馬は何故か隙間が均等に空いた樽に押し込まれ、正に《黒ひげ危機一髪》状態になっていた。

 

 

ジャスミン

『黒ひげ危機一髪ってのは元々、敵に捕まって樽の中で縛られた仲間を助けるために、樽に剣を刺してロープを切るって設定なんだ。』

 

ジル

「二回戦はその黒ひげ危機一髪のルールに則り、その樽に全員が順番に剣を刺し、先に天馬を樽から出した者が勝者とする。」

 

ナオミ

「あの、ホントに刺しちゃって大丈夫なんですか!?もし天馬君が怪我でもしたら………」

 

ジル

「大丈夫だ、安全は確保してある。」

 

ジャスミン

「そんじゃ二回戦、松風天馬危機一髪の開始だ!」

 

 

ファーン!

 

 

ジャスミンがホーンを鳴らし、二回戦が始まった。アンジュ達は剣を持ち、順番に樽に剣を刺し込んで行く。天馬は恐怖と緊張から冷や汗をかいていた。

 

 

ココ

「よいしょっと。」

 

 

そんな中、二週目でココが剣を刺し込んだ瞬間………

 

 

ビヨーン!

 

 

天馬

「あらー!?」

 

 

ドシン!

 

 

天馬は樽から飛び出し床に打ち付けられめり込んだ。

 

 

ジャスミン

『おーっと大当たり!二回戦はココの勝利だ!』

 

ココ

「やったー!」

 

 

ココは勝利した事に喜んだ。が………

 

 

シルヴィア

「天馬様!?」

 

アンジュ

「ちょっと、大丈夫!?」

 

 

シルヴィアとアンジュが天馬を床から引き剥がす。天馬はギャグ漫画でよくあるペラペラ状態になっていた。

 

 

天馬

「イテテ………俺、どうなってます?」

 

「見事にペラペラ………お煎餅みたい………」

 

 

と、ジルが天馬の口にチューブを押し込み、空気入れで空気を送り、天馬を元の姿に戻した。

 

 

天馬

「ぺっ!助かった………」

 

ジル

「よし、では次に行くとしよう。」

 

 

その後は………

 

 

天馬

「問題!俺が最初に修得した必殺技は?」

 

 

ピコーン!

 

 

「そよかぜステップ!」

 

 

ピンポーン!

 

 

三回戦の早押しクイズは葵が。

 

 

カンカンカンカーン!

 

 

アンジュ

「アイム・ウィナー!」

 

 

四回戦のアームレスリングはアンジュが。

 

 

ジル

「マッチ一本火事のもと。」

 

シルヴィア

「ハイッ!」

 

 

パシン!

 

 

五回戦のカルタはシルヴィアが。

 

 

ナオミ

「ご馳走様でした!」

 

 

六回戦の大食いはナオミが制し、全員一勝五敗のまま最終戦を迎えた。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

~アルゼナル グラウンド~

 

 

ジャスミン

『最終戦は場所をグラウンドに移して、障害物競争だ!』

 

アンジュ

「って言うかジャスミン!最初の料理対決はともかく、二回戦からほとんどお嫁さん選びに関係無いじゃない!」

 

モモカ

「でも、何だかんだ言いながら結構楽しかったですし。」

 

「ここまでみんな一勝五敗。この障害物競争で全てが決まる。」

 

シルヴィア

「絶対に勝利して、私が天馬様の奥方に。」

 

ココ

「私が天馬さんの………!」

 

ナオミ

「天馬君のお嫁さんになるんだから!」

 

 

アンジュ達は体操着に着替え、スタート地点にスタンバイした。

 

 

春菜

「位置について、ヨーイ!」

 

 

パーン!

 

 

春菜のピストルを合図に、アンジュ達は一斉にスタートした。

 

 

ジャスミン

『さあ全員勢いよく飛び出した!先ず最初の障害は!?』

 

 

アンジュ達の前方には、紐に吊るされたあんパンが。

 

 

ジル

「最初の障害はパン食い競争だ」

 

天馬

「いきなり定番じゃないですか!」

 

 

アンジュ達は全員走りながら勢いよくジャンプし、あんパンを噛って獲得。すると………アンジュ達がパンを噛るや否や足を止め、パンを食べ始めた。

 

 

天馬

「あれ?みんなどうしたの?」

 

 

天馬が様子を見るため目を凝らすと、アンジュ達の近くに秋が立て札を持って立っていた。 立て札には………

 

 

「パンを食べ終えてから再スタートして下さい。」

 

 

と書かれていた。

 

 

アンジュ

「ゴクッ………ご馳走さま!」

 

 

アンジュが真っ先に食べ終え再スタート。その後にナオミ、ココ、シルヴィア、葵、モモカの順に続く。そして先頭を走るアンジュの前に次の障害とおぼしき、ヒト一人が通れるサイズの丸い穴が幾つも空いた壁が見えてきた。

 

 

サラマンディーネ

「第二障害は穴抜けです。」

 

 

アンジュが真っ先に穴に飛び込むが、何故か抜け出せない。

 

 

アンジュ

「あれ?ウソ、何で!?」

 

 

その隙に後続の六人も到着。だがナオミとモモカが何故か抜け出せず、その間にココ、シルヴィア、葵が抜け出し再スタートした。

 

 

アンジュ

「ちょ、何でシルヴィア達はすんなり通れたのよ!?」

 

ナオミ

「あ、分かった!私たち胸が大きいから、穴につっかえちゃうんだよ!」

 

モモカ

「そんなぁ~!」

 

ココ

「うぅ、何だか嬉しくなーい!」

 

 

ココは走りながら泣き叫び、ココ、シルヴィア、葵は最後の障害に到着。目の前には六つの封筒が置かれていた。

 

 

ジャスミン

『最後の障害は借り物競争だ!』

 

 

ココ達三人は各々封筒を拾い中身を見る。遅れてアンジュ達三人も到着し封筒を開け中身を確認。封筒の中身は………

 

 

アンジュ・葵

「天馬!?」

 

ココ

「天馬さん!?」

 

ナオミ

「天馬君!?」

 

シルヴィア・モモカ

「天馬様!?」

 

 

何と全員の封筒の中から、「松風天馬」と書かれた紙が出てきた。

 

 

ジャスミン

『そゆこと。つまり最後の障害は、先に天馬と一緒にゴールインした者が征すって事さ!』

 

天馬

「何でもありですかこの競争!」

 

ジル

「と言うわけで、行ってこい!」

 

 

ゴトッ

 

 

天馬

「あらあああああ!?」

 

 

突然天馬が座っている部分の床が消え、天馬は暗い穴の中に消えた。

 

 

ジャスミン

『さぁ誰が先に天馬とゴールインするのか………正真正銘のラストバトル開幕だよ!!』

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~居住区 通路~

 

 

穴の中に消えた天馬は、居住区に居た。

 

 

ジャスミン

『聞こえるかい天馬?言い忘れたが、そっちの状況は常に監視カメラでモニタリングさせて貰ってる。だからエコヒイキなんて真似はするんじゃないよ?』

 

天馬

「わ、分かりました………」

 

 

天馬は慎重に居住区内を歩く。すると、前方からナオミが現れた。

 

 

ナオミ

「天馬君見つけた!」

 

天馬

「うわあああああ!?」

 

 

天馬は慌ててその場から逃げる。すると今度は突き当たりからモモカが。

 

 

モモカ

「逃がしません!」

 

天馬

「不味い!」

 

 

天馬はロッカールームに逃げ込み、扉の鍵を閉める。

 

 

天馬

「ふぅ、危なかった………」

 

 

ゴトゴト………バタン!

 

 

だが今度は突然ロッカーの一つが開き、中からシルヴィアが出てきた。

 

 

シルヴィア

「お待ちしておりましたわ!」

 

天馬

「いや何処から出てくるんですか!?」

 

 

天馬は慌ててロッカールームを出て逃げる。シルヴィアが追いかけ、それに気づいたナオミとモモカも後を追う。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~パラメイル格納庫~

 

 

何とか三人を振り切り、天馬はパラメイル格納庫に到着。

 

 

天馬

「流石にパラメイルで追ってくる何て事は………」

 

 

と言う天馬の前に、何故かアサルトモードで腕を組むヴィルキスとグレイブココ・カスタムの姿が。

 

 

ココ

「見つけました!」

 

アンジュ

「逃がさないわよ?」

 

天馬

「嘘でしょ!?」

 

 

ヴィルキスとグレイブは天馬に向けて手を伸ばす。天馬は二機の手を華麗に避け、自身の機体であるグリフォンに乗り込む。そしてグリフォンは格納庫から直接飛び立った。

 

 

天馬

「はぁ………はぁ………ホントに何でもありなの?」

 

 

ファーン!

 

 

すると今度はグリフォンの前方からギャラクシーノーツ号が姿を見せる。ギャラクシーノーツ号には葵が乗っていた。

 

 

天馬

「葵!?」

 

「逃がさないわよ、天馬!」

 

 

ビューン!

 

 

ギャラクシーノーツ号はグリフォンの真横を通過。グリフォンは通過時の突風に煽られバランスを崩し、アルゼナルのグラウンドに不時着。不時着の衝撃で天馬はコックピットから投げ出された。

 

 

天馬

「イテテ、いくら何でもやり過ぎだよ………」

 

 

と、立ち上がる天馬の目の前に、アンジュ達六人が居た。

 

 

アンジュ

「はあああああああ!!」

 

モモカ・シルヴィア

「たあああああああ!!」

 

葵・ナオミ・ココ

「やあああああああ!!」

 

 

六人は一斉に天馬に向かって走り出す。

 

 

天馬

「ちょっと待って!皆さん落ち着いて!うわあああああ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガバッ!

 

 

天馬

「わあああ!?………あれ?」

 

 

気が付くと、天馬は木枯らし荘の自室に居た。

 

 

天馬

「今の………もしかして、夢?良かったぁ………」

 

 

天馬は先程までの出来事が夢だと分かり、安心した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~喫茶アンジュ~

 

 

少しして、天馬は喫茶アンジュを訪れた。

 

 

カランカラ~ン

 

 

天馬

「お邪魔しまーす!」

 

アンジュ

「いらっしゃい、天馬!」

 

天馬

「あ、アンジュさん!こんにちは!」

 

 

入店早々共に笑顔を見せる天馬とアンジュ。店内には剣城達サッカー部のメンバーと、ヒルダ達第一中隊のメンバーが居た。

 

 

剣城

「おい天馬、こっちに来ないか?」

 

天馬

「剣城!それに皆さんも!」

 

 

天馬は剣城達のテーブルに着いた。すると・・・。

 

 

カランカラン

 

 

ナオミ

「絶対私だと思います!」

 

 

ココ

「いーや、私です!」

 

 

シルヴィア

「いいえ、私に決まっておりますわ!」

 

 

今度はナオミ・ココ・シルヴィアの3人が何やら口論をしながらやって来た。

 

 

アンジュ

「いらっしゃ・・・って、いったい何事?」

 

 

ダンッ!

 

 

 

 

 

と、突然3人が天馬の前に立ち、シルヴィアがテーブルを強く叩いた。

 

 

 

 

 

シルヴィア

「天馬様!」

 

 

天馬

「な、何ですか・・・?(あれ?この展開って確か………)」

 

 

ヒシヒシと伝わるプレッシャーに少し恐怖する天馬。

 

 

シルヴィア

「そろそろハッキリして下さい!私達3人の中で、誰が天馬様の奥方に相応しいと思いますか!?」

 

 

そしてシルヴィアのこの言葉を聞いて、思わず叫んだ。

 

 

天馬

「まさかの正夢!?」

 

 

 

 

 

 

~完~


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。