クロスアンジュ LIGHTNING EDITION ~天使とドラゴンと五人の巨人使い~   作:ヒビキ7991

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Ep.24/対決!創造主vs破壊者《後編》

~市街地 上空~

 

 

アンジュ達がメインストリートで足止めを食っている頃、上空ではヒルダ率いるパラメイル隊とテオドーラが交戦していた。

 

 

ロザリー

「待ってくれクリス!何で私達が殺し合わないといけないんだよ!?」

 

クリス

「私のこと見殺しにしたくせに、よく言うよ。」

 

剣城

「違う!あの時は俺もヒルダさんもロザリーさんも、みんな助けに行きたくても行けなかったんだ!」

 

クリス

「助けに行く価値も無いから、でしょ?アンタ達はいつもそうだった。」

 

 

クリスはテオドーラをフライトモードに変形させ、 ヘルメットを脱ぎ素顔を見せた。

 

 

ヒルダ

「クリス?」

 

剣城

「何のつもりですか?」

 

クリス

「ヒルダ、ロザリー、これ覚えてる?」

 

 

クリスはヒルダ達に自分の後ろ髪を見せた。髪は長く、三つ編みのテールで纏められ、赤い髪止めで止められていた。

 

 

クリス

「七年前のフェスタでさ、三人でお小遣い出してプレゼント買って、プレゼント交換したじゃん。で、その時にヒルダから貰ったこの髪止め、一つしか無いからどうしようって困ってたら、ヒルダが自分と被るからお下げ一つで良いじゃんって言ったじゃん。酷いよね?あの髪型、気に入ってたのにさ・・・。」

 

ヒルダ

「はぁ?それが今更何だって・・・。」

 

クリス

「それだけじゃない。ずっとずっと我慢して、何でも受け入れようとしてた。アンタ達のわがままも、自分の立ち位置も、ずっと友達だと思ってたから・・・。」

 

ロザリー

「クリス・・・。」

 

クリス

「でも、アンタ達に分からないでしょ?人の気持ちも分からない女と、何も考えない馬鹿には。

 

 

でも、エンブリヲ君は違う。エンブリヲ君は私のこと、誉めてくれた。私の気持ち、分かってくれた。私のこと、友達だって言ってくれた。これが、永遠の友情の証。」

 

 

クリスは左手の中指にはめた指輪を掲げる。そして、髪止めを外し投げ捨てた。

 

 

クリス

「アンタ達は、友達でも何でも無かったんだ!!」

 

 

クリスは即座にテオドーラをアサルトモードに変形させ、ロザリー達へと襲い掛かる。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~国境付近~

 

 

その様子は、国境付近にて待機中のゾーラ達のところにも届いていた。

 

 

『頼むクリス!アタシの話を聞いてくれ!』

 

 

メアリー

「ロザリー御姐様!」

 

マリカ

「私達も行こう!」

 

ノンナ

「ちょっとマリカ!」

 

ゾーラ

「落ち着け、私達の命令は待機だ。下手に動くのは不味い。」

 

マリカ

「でも、御姐様が危ない!」

 

 

マリカはグレイブのエンジンを吹かし飛び立つ。

 

 

ミランダ

「ちょっと、マリカ!」

 

ココ

「ゾーラ姐様、私達も!」

 

ゾーラ

「仕方ない・・・いくぞヒヨッ子ども!」

 

 

ゾーラ達も飛び立ち、マリカの後を追いかけた。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~暁ノ御柱~

 

 

一方、暁ノ御柱付近のサラマンディーネ達は、アウラを奪還するためレイジア・ヴィクトリア・エイレーネと交戦していたが、レイジア達の攻撃に押され、暁ノ御柱に近づけずにいた。

 

 

サラマンディーネ

「やはり今の戦力では・・・ナーガ、カナメ、一旦引きますよ!」

 

ナーガ・カナメ

『ええっ!?』

 

 

サラマンディーネの撤退命令に、ナーガとカナメは驚いた。

 

 

サラマンディーネ

「現有戦力でのアウラ奪還は不可能です。一度引いて、体勢を立て直します。」

 

 

サラマンディーネは暁ノ御柱のある一点に目を向ける。目線の先には、物影に隠れ身体を休めるリィザの姿があった。

 

 

サラマンディーネ

「リィザ、聞こえていますか?あなたに何があったのか、今は問いません。ですが、

多くの仲間を死なせたことを悔やんでいるなら、より多くの仲間を救うため、共に戦いなさい。」

 

リィザ

「サラマンディーネ様・・・。」

 

 

リィザは物影を離れ、翼を広げ飛び立つ準備に入る。だが・・・。

 

 

バーン!

 

 

リィザ

「っ!?」

 

 

後方から何者かが発砲し、銃弾がリィザの翼をかすめた。振り向くとそこには、ライフルを構えるシルヴィアの姿があった。

 

 

シルヴィア

「大人しく地下牢に戻りなさい!さもないと、エンブリヲ叔父様に折檻して頂きますわよ!」

 

リィザ

「・・・哀れな子。ジュリオ・・・あなたのお兄さんを殺したのは、あの男だというのに・・・。」

 

シルヴィア

「えっ?な、何を・・・。」

 

 

シルヴィアは言い切る前に、リィザは翼を羽ばたかせ飛び立った。そして近くを通り掛かった碧龍號に飛び乗り、サラマンディーネ達はその場から離脱した。

 

 

ターニャ

「くそっ、逃がすか!」

 

 

ターニャのヴィクトリアは後を追おうとするが、レイジアに止められた。

 

 

エルシャ

「深追いはダメよ。・・・ん?」

 

 

エルシャはふと、皇宮の裏庭の光景が目に入った。裏庭は炎に包まれ、その中でタイタニアスがシールドを展開し、子供達を炎から守っていた。

 

 

エルシャ

「アレはタイタニアス・・・信助君?何で信助君が子供達と一緒に?」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~ビル 非常階段~

 

 

その頃、メインストリートで足止めを食っていたペガサスは、道沿いのとあるビルの非常階段を梯子代わりにしてビルの屋上を目指していた。

 

 

モモカ

「あの・・・姫様、私さっき・・・。」

 

アンジュ

「知らない・・・。」

 

天馬

「アンジュさん、屋上までもう少しです!」

 

 

ガチャ

 

 

すると、非常階段の扉が開き、エンブリヲに操られた人々がぞろぞろと出てきた。

 

 

『逃げられないよ、アンジュ。』

 

 

天馬

「何っ!?」

 

 

『懸命な君だ。薄々気付いているのだろう?マナを使う人間どもはすべて、私の支配下にあると。』

 

 

アンジュ

「っ!?」

 

 

『その侍女が近くに居る限り・・・。』

 

 

アンジュ

「だから知らないって言ってるでしょ!天馬、速く!」

 

天馬

「はい!」

 

 

天馬はペガサスを操作し、屋上へ急いで登った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~屋上~

 

 

屋上に到着した天馬達。だが・・・。

 

 

「やれやれ、強情な花嫁だ。」

 

 

天馬・アンジュ

「っ!?」

 

 

屋上には既に、エンブリヲと幽汽スカルフォームが待っていた。

 

 

エンブリヲ

「また、お仕置きが必要かな?」

 

 

 

《ATACK RIDE 『BLAST』!》

 

 

ドドドドドドッ!

 

 

突然、謎のコールと共に上空から複数のエネルギー弾がエンブリヲと幽汽を襲った。

 

 

ドカーン!

 

 

エンブリヲ

「ナニっ!?」

 

 

幽汽はエネルギー弾を食らい爆発し消滅。そして、上空に舞った幽汽のベルトとパスをある一人の男がキャッチした。

 

 

タスク

「アンジュ!天馬君!」

 

ディケイド

「おい、お前ら無事か!?」

 

アンジュ

「タスク!」

 

天馬

「司さん!」

 

 

上空からタスクとディケイドがエアバイクに乗って現れた。エアバイクはペガサスの直ぐ横に着地し、二人はエアバイクを降り、天馬達もペガサスを降りた。

 

 

タスク

「遅くなってゴメン!」

 

アンジュ

「タスク、無事だったのね!?」

 

 

ディケイド

「ようやく会えたぜ、エンブリヲ。」

 

エンブリヲ

「ほぅ。貴様が噂の世界の破壊者、仮面ライダーディケイドか?」

 

ディケイド

「悪いが俺はこの世界を破壊する。それが俺の、この世界での成すべき事みたいだからな!」

 

エンブリヲ

「面白い、ならばやってみるがいい。」

 

 

エンブリヲはそう言うと、幽汽の着けていたベルトと少し形状の異なる銀のベルトを装着。

 

 

ディケイド

「《デンオウベルト》?」

 

 

エンブリヲはベルトの赤いボタンを押し、ダークな待機音が流れ始めた直後ベルトにパスを翳す。

 

 

エンブリヲ

「変身!」

 

 

《NEGA FROM!》

 

 

パスを翳した途端、赤黒い光の粒子がエンブリヲを包み込み、エンブリヲは黒と銀のライダースーツへと姿を変える。さらにアルファベットのNをモチーフにした模様が描かれた紫色のアーマーと仮面を装備し、エンブリヲは仮面ライダーへと変身した。

 

 

アンジュ・天馬・タスク・モモカ・ディケイド

「変身した!?」

 

???

「《仮面ライダーネガ電王》。一応言っておくが、強さは別格だ。」

 

タスク

「アンジュ、君達はエアバイクに乗って逃げろ。」

 

アンジュ

「でも、タスクは?」

 

タスク

「俺はアイツに用がある。」

 

 

タスクは幽汽のベルトを装着し、ベルトにパスを翳した。

 

 

タスク

「変身!」

 

 

《SKULL FROM!》

 

 

パスを翳した途端、黄色い光の粒子がタスクを包み込み、タスクは仮面ライダー幽汽スカルフォームに変身した。

 

 

ディケイド

「天馬、お前も行け!」

 

天馬

「でも、ペガサスはエンジンが・・・!」

 

ディケイド

「なら俺に任せろ!」

 

 

ディケイドはペガサスのボディを思いっきり蹴る。

 

 

ガンッ!

 

 

キィィィイイイイイブゥオオオオオオン!

 

 

その直後、ペガサスのエンジンが息を吹き返した。

 

 

ディケイド

「これで飛べる。早く行け!」

 

天馬

「はい!」

 

 

天馬はペガサスに、アンジュとモモカはエアバイクに乗り込み、急いでその場から飛び立った。

 

 

ネガ電王

「私達を引き離すとは・・・覚悟は出来ているな?蛆虫が。」

 

 

ネガ電王と幽汽は腰に装備していた武器、《デンガッシャー》を組み立て剣を形成し装備。ディケイドもライドブッカーをソードモードに変形させ装備した。

 

 

幽汽

「ヴィルキスの騎士"イシュトヴァーン"と、メイルライダー"バネッサ"の子、タスク!最後の古の民にして、アンジュの騎士だ!」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

~市街地 上空~

 

 

一方、上空ではヒルダ達が束になってテオドーラと戦っていた。だがテオドーラの強さは、彼らの予想を越えていた。

 

 

ヴィヴィアン

「くっそぉ~、クリス強い!」

 

神童

「パラメイル6機が束になっても敵わないとは・・・。」

 

霧野

「なんて性能なんだ・・・。」

 

ヒルダ

「くそっ・・・。」

 

 

すると、タスクから通信が入った。

 

 

タスク

『ヒルダ、アンジュと天馬君を見つけた!』

 

ヒルダ

「ホントか!?ヴィルキスは?」

 

タスク

『水没して直ぐには回収出来そうにない!こっちは今手が放せない!二人の保護を!』

 

ヒルダ

「分かった!」

 

 

ヒルダはタスクとの通信を切り、ロザリー達に回線を繋いだ。

 

 

ヒルダ

「総員撤退!アンジュと天馬と合流し、アウローラに帰投する!」

 

 

ヒルダの指示で、一同は反転しその場を離れる。

 

 

クリス

「逃がさないよ!」

 

 

クリスはテオドーラを操作し、ヒルダ達を追いかけ照準を合わせる。

 

 

ダダダダダダダダダッ!

 

 

突然、進行方向から無数の弾丸がテオドーラに襲い掛かってきた。

 

 

クリス

「ナニっ!?」

 

 

マリカ

「御姐様ああああああ!!」

 

 

発砲主はマリカの操縦するグレイブだった。

 

 

ロザリー

「マリカ!?何で・・・。」

 

マリカ

「御姐様の援護に!」

 

 

マリカはライフルを撃ちまくり、テオドーラの足止めをする。

 

 

クリス

「邪魔!」

 

 

テオドーラは左肩の剣に手を伸ばす。

 

 

バキューン!

 

 

すると、今度は上空からピンクのビームが降ってきた。テオドーラはビームをギリギリで避け上空を見る。

 

 

クリス

「アレは・・・!」

 

 

上空には、行方不明になっていたガンダムAGE-FX、ダブルゼータガンダム、ウイングガンダムゼロEW、さらに撤退した筈の焔龍號、蒼龍號、碧龍號の姿があった。

 

 

ヒルダ

「明日人!それにあの機体は・・・!」

 

ヴィヴィアン

「サラサラさん!」

 

サラマンディーネ

「サラマンディーネです、ヴィヴィアン。」

 

明日人

「ゴメン!遅くなった!」

 

 

ゾーラ

「おいマリカ!ヒルダ!大丈夫か!?」

 

 

さらにマリカを追いかけたゾーラ達も合流。

 

 

クリス

「チッ、流石にここまで集まられちゃ分が悪い・・・今日はこの辺にしておくよ。」

 

 

そう言うとクリスはテオドーラをフライトモードに変形させ、その場から撤退した。

 

 

ロザリー

「クリス・・・。」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~ビル 屋上~

 

 

キーン!キーン!

 

 

一方ディケイドとタスクの変身した幽汽は、エンブリヲの変身したネガ電王と激しい戦いを繰り広げていた。

 

 

ネガ電王

「ハッ!」

 

 

ドカ!

 

 

幽汽

「のわっ!?」

 

 

ネガ電王は幽汽を蹴り飛ばし、ディケイドと刃をぶつけつばぜり合いに持ち込んだ。

 

 

ディケイド

「ネガだかベガだか知らねえが、声だけじゃなく見た目まで奴そっくりになりやがって!」

 

ネガ電王

「言った筈だ。私の強さは別格だと。」

 

 

ネガ電王は左手にパスを持ち、パスをベルトに翳す。

 

 

《FULL CAGE!》

 

 

ベルトからエネルギーが剣に注がれ、光り輝く刃と化した。

 

 

ガキーン!

 

 

ネガ電王

「ハアッ!!」

 

 

ジャキーン!

 

 

ディケイド

「どわああああああああ!?」

 

 

ドーン!

 

 

ディケイドは剣を弾かれ、ネガ電王の光り輝く刃の攻撃を食らった。攻撃を食らった拍子でディケイドは吹き飛ばされ、コンクリートの塀を突き破り屋上から落下した。

 

 

幽汽

「ディケイド!」

 

ネガ電王

「よそ見をするな!」

 

 

ジャキーン!

 

 

幽汽

「だああっ!?」

 

 

ネガ電王は幽汽に斬撃を与えベルトを破壊。ベルトを破壊された幽汽は変身を解きタスクへと戻った。

 

 

タスク

「くそっ・・・。」

 

ネガ電王

「何がアンジュの騎士だ?旧世界の猿ども、テロリストの残党が私に敵うわけ無かろう。無駄な事を・・・。」

 

タスク

「無駄じゃないさ・・・ハイゼルベルグの悪魔、不確定世界の住人!少しでも、お前の足止めが出来るなら・・・。」

 

ネガ電王

「ほう、猿も少しは賢くなったと言うわけか。」

 

 

カチャ

 

 

ネガ電王はベルトを外し、変身を解いた。

 

 

エンブリヲ

「だが、所詮は猿・・・。」

 

 

バンッ!

 

 

エンブリヲは自身が持っていた拳銃で、自ら自身の頭を撃ち抜き倒れた。

 

 

エンブリヲ

「しまった・・・!」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~海岸線 上空~

 

 

夕方、天馬とアンジュ達はやっとの思いで海岸線へと辿り着いた。

 

 

天馬

「アンジュさん、海です!」

 

アンジュ

「ええ!」

 

 

ガシッ

 

 

突然、後ろからモモカがアンジュの右腕を掴み強引にスロットルを操作し始めた。

 

 

アンジュ

「モモカ?」

 

 

モモカの目は先程と同じ様に虚ろになっていた。モモカの向かう先には海岸線の側の崖に設けられたカフェ。そのカフェのテラスでは、一人の男が優雅に紅茶を飲んでいた。

 

 

天馬

「エンブリヲ・・・!」

 

アンジュ

「・・・!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~カフェテラス~

 

 

アンジュ達は半ば強引にカフェテラスに降り、エンブリヲと対面した。

 

 

エンブリヲ

「怒った顔もまた美しいよ、アンジュ。」

 

アンジュ

「・・・。」

 

 

アンジュはエンブリヲに怒りの眼差しを向けている。

 

 

エンブリヲ

「・・・教えてくれ、君は何故私を拒絶する?そこに居る天馬の影響か?それとも、あのタスクと言う男か?」

 

 

シュン!

 

 

エンブリヲは突然目の前から消え、アンジュの真後ろに瞬間移動した。

 

 

アンジュ

「えっ!?」

 

 

ガシッ!

 

 

アンジュ

「グッ!」

 

 

エンブリヲはアンジュの腕を掴み、アンジュの動きを封じる。

 

 

天馬

「アンジュさん!」

 

モモカ

「・・・。」

 

 

ドカッ!

 

 

モモカは天馬に回し蹴りを叩き込み、天馬を蹴り飛ばした。

 

 

天馬

「どわっ!?」

 

アンジュ

「天馬!!」

 

 

「アンジュを放せ!」

 

 

その直後、カフェの屋根からタスクが姿を見せ、タスクは天馬の直ぐ横に飛び降りた。

 

 

天馬

「タスクさん!」

 

エンブリヲ

「フッ・・・。」

 

モモカ

「・・・。」

 

 

エンブリヲはモモカを操り、モモカは剣を持つとタスクと天馬に襲い掛かる。

 

 

タスク

「モモカ!?」

 

 

シュババババババババッ!

 

 

モモカはタスクと天馬に連続突きを繰り出す。タスクと天馬は何とか避けようとするが、徐々に服の袖や頬や腕に切り傷が見え始める。

 

 

エンブリヲ

「肉体の限界まで身体能力を高めた。愚かな男の末路を見るがいい。」

 

アンジュ

「やめて・・・やめなさいモモカ!」

 

エンブリヲ

「無駄だよ。創造主の命令には抗えない。」

 

アンジュ

「違う・・・モモカは、私の筆頭侍女よ!目を覚ましなさい、モモカ!!」

 

モモカ

「・・・っ!」

 

 

アンジュが叫んだ直後、モモカは突如動きを止めた。

 

 

天馬・タスク

「っ?」

 

モモカ

「アンジュリーゼ・・・様。」

 

 

瞳に輝きが戻り、モモカは目を覚ました。

 

 

モモカ

「天馬さん、タスクさん、姫様をお願いします。」

 

天馬

「モモカ・・・さん?」

 

 

モモカは剣をエンブリヲに向けて構え、エンブリヲに向かって走り出す。

 

 

モモカ

「逃げてください、姫様!」

 

アンジュ

「っ!!」

 

 

ドンッ!

 

 

エンブリヲ

「ぐっ!?」

 

 

アンジュはエンブリヲに頭突きをし、エンブリヲの手を振り払う。

 

 

エンブリヲ

「馬鹿な!?」

 

 

バーン!

 

 

エンブリヲは拳銃をモモカに向け発砲。銃弾がモモカの胸に撃ち込まれた。

 

 

モモカ

「マナの光よ!!」

 

 

キィィィイイイイイン!

 

 

ガシャーン!

 

 

モモカはマナの光を最大展開し、塀の向こうに停車していたトラックを呼び寄せた。

 

 

エンブリヲ

「何だと!?」

 

 

ガーン!

 

 

トラックはモモカとエンブリヲをはね飛ばし、デッキを突き破りモモカとエンブリヲと共に崖の下へと落ちていった。

 

 

アンジュ

「モモ・・・カ?」

 

 

ドカーン!

 

 

トラックは地面に激突し爆発した。

 

 

アンジュ

「モモカああああああ!!」

 

天馬

「モモカさん!!」

 

 

アンジュと天馬はデッキから崖の下を見下ろす。崖の下は既に日の海と化していた。

 

 

天馬

「そんな・・・。」

 

タスク

「・・・。」

 

 

タスクは静かに立ち上がり、アンジュを抱き抱えエアバイクへと向かう。

 

 

アンジュ

「待って!モモカが!タスクお願い!」

 

 

「いやはや、驚きだよ。」

 

 

アンジュ・タスク・天馬

「っ!?」

 

 

いつの間にかデッキには、何事も無かったかの様に銃を構えるエンブリヲの姿があった。

 

 

エンブリヲ

「まさかホムンクルスの中に、私を拒絶する者が居るとは・・・。」

 

天馬

「エンブリヲ!」

 

アンジュ

「よくも・・・よくもモモカを!」

 

 

カチャ

 

 

アンジュ

「えっ?」

 

 

いつの間にか、タスクの手によってアンジュの腕とエアバイクのハンドルが手錠によって繋がれていた。タスクはエアバイクの自動操縦をオンにし、ロックを掛けた。

 

 

タスク

「ここは俺が引き受ける。君は生きるんだ、アンジュ。」

 

アンジュ

「タスク・・・ダメよタスク!」

 

タスク

「大丈夫、必ず戻るから、君のところに・・・。」

 

 

タスクはそう告げると、アンジュの手にあるものを握らせ、アンジュの唇に優しくキスをした。

 

 

アンジュ

「っ!!」

 

 

キィィィイイイイイ!

 

 

エンジンが唸り、アンジュを乗せたエアバイクは飛び立った。

 

 

アンジュ

「タスク!」

 

 

タスク

「天馬君、アンジュを頼んだ!」

 

天馬

「タスクさん・・・御武運を!」

 

 

天馬はペガサスに乗り、アンジュの後を追った。そしてペガサスを見送ったタスクは、エンブリヲと対峙した。

 

 

エンブリヲ

「下牢が・・・!」

 

タスク

「しつこい男は、嫌われるよ。」

 

 

カチッ

 

 

タスクは手に隠し持っていた赤いスイッチを押した。

 

 

ピッ・・・ピッ・・・

 

 

エンブリヲ

「お前・・・まさか!?」

 

 

ピーッ!

 

 

ドカーン!

 

 

大爆発が起き、テラスは炎と黒煙に包まれた。

 

 

アンジュ

「タスク・・・!?」

 

天馬

「タスクさん・・・そんな・・・。」

 

 

上空のアンジュと天馬は、テラスの爆発を見て言葉を失った。だがそのすぐ後・・・。

 

 

ジジジ・・・ドカーン!

 

 

天馬

「どわっ!?」

 

アンジュ

「天馬!?」

 

 

ペガサスのエンジンが遂に限界を迎え爆発。ペガサスは推進力を失い、海へと急降下を始める。

 

 

天馬

「クソ、こんな時に・・・!畜生・・・畜生!チックショオオオオオオオ!!」

 

 

ザバーン!

 

 

ドカーン!

 

 

天馬とペガサスは海へと落ち、ペガサスは爆発した。

 

 

アンジュ

「天馬・・・ウソでしょ・・・。」

 

 

アンジュは絶望した。タスク、天馬、モモカ、大切な人を一度に三人も失ったのだから。

 

 

アンジュ

「ウソ・・・ウソよね?モモカ、タスク、天馬・・・私を・・・一人にしないで・・・うわああああああああああ!!」

 

 

 

To Be Continued…


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