クロスアンジュ LIGHTNING EDITION ~天使とドラゴンと五人の巨人使い~   作:ヒビキ7991

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Ep.22/世界の調律者、エンブリヲ《後編》

~アウローラ 医務室~

 

 

一方、アウローラの医務室ではジルがマギーに怪我の手当をしてもらっていた。

 

 

ジル

「アンジュと天馬はサリア達に捕まり、他の連中はロスト。大暴れして出てった結果がこれとは、実に滑稽じゃないか。」

 

ジャスミン

「何を言ってんだい?あの子達が守ってくれたからこそ、この船は沈まずに済んだんだよ?」

 

ジル

「知ったことか。ヴィルキス無しにリベルタスの完遂は不可能だ。だからアンジュを行かせてはならなかったのに、まさかあのタスクが裏切るとは思わなかった・・・。」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~通路~

 

 

通路では、ヒルダ・ロザリー・剣城・神童がドアに耳を近づけ盗み聞きをしていた。

 

 

ジル

『失敗だったよ。アンジュはもっと柔順になるように仕込むべきだった・・・。』

 

 

ヒルダ

「・・・。」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~寝室~

 

 

その後、ヒルダ・ロザリー・剣城は寝室に移り、ゾーラ・ココ・ミランダを呼び話をした。

 

 

ロザリー

「アイツら、戻ってくるなり何もかもシッチャカメッチャカにしやがって・・・何考えてやがんだ?」

 

ゾーラ

「きっと何か理由があったんだよ。この船から逃げ出したくなるような理由がさ・・・。」

 

ミランダ

「私達、これからどうすればいいのかな?」

 

ココ

「例のリベルタスって作戦、ヴィルキスとアンジュ様がいないと出来ないんですよね?」

 

剣城

「だったら、答えは1つですね。」

 

ヒルダ

「ああ、アンジュを取り返すしか無い。だがそのためには・・・。」

 

 

ヒルダは何か思い付いたのか、怪しく微笑んだ。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~暁ノ御柱 最深部~

 

 

エンブリヲはアンジュと天馬を暁ノ御柱の最深部へと連れてきた。目の前にはアンジュ達が今まで目にしたことの無い、巨大なドラゴンの姿があった。

 

 

アンジュ

「これは・・・!」

 

天馬

「まさか、これがアウラ?」

 

エンブリヲ

「そう。リィザやドラゴン達が探し求めている、神聖にして原初のドラゴンだ。この世界におけるマナのエネルギーは、アウラがドラグニウムを食らう事で生み出されている。」

 

アンジュ

「神聖なドラゴンであるアウラを、あなたがただの発電機にしたのね?」

 

エンブリヲ

「人間達を路頭に迷わせる訳にはいかないからね・・・。」

 

天馬

「まさか、この間の待ち伏せは・・・。」

 

エンブリヲ

「もちろん、ドラグニウムを手に入れる為さ。サリア達の活躍のおかげで大量のドラグニウムが手に入った。これで私の計画を・・・。」

 

 

カチャ

 

 

エンブリヲ

「ん?」

 

 

天馬

「今すぐアウラを解放してください。」

 

 

天馬は右手に銃を持ち、エンブリヲの後頭部に突き付けた。

 

 

エンブリヲ

「おやおや、ドラゴンの味方だったのかい?」

 

アンジュ

「違う、私達はあなたの敵よ。兄を消し去り、タスクを殺そうとし、ドラゴンを大勢殺した。敵と考えるには十分だわ!」

 

エンブリヲ

「なるほど・・・断ると言ったら?」

 

天馬

「この場であなたの頭を撃ち抜きます。」

 

エンブリヲ

「そうか、では撃ってみたま(バンッ!)グッ!?」

 

 

エンブリヲは頭を撃ち抜かれ、血を流し倒れた。

 

 

 

「気が済んだかい?」

 

 

アンジュ・天馬

「っ!?」

 

 

だが、いつの間にかアンジュと天馬の後ろにはエンブリヲが何事も無かったかの様に悠々としていた。

 

 

天馬

「何で!?」

 

エンブリヲ

「アレクトラから私の事を聞いているのだろう?」

 

アンジュ

「神・・・様・・・?」

 

エンブリヲ

「チープな表現で好きじゃない・・・私は調律者だよ。世界の音を整えるね。」

 

 

シュンッ!

 

 

突然、周りの景色が一瞬にして変わり、一同は湖畔の小さな庭にいた。

 

 

天馬

「いつの間に!?」

 

エンブリヲ

「君達は、私を殺してどうする気だい?」

 

アンジュ

「世界を壊し、ノーマを解放する!」

 

エンブリヲ

「そうか。でも、ノーマは本当に解放されたがっているのかな?」

 

アンジュ

「えっ?」

 

エンブリヲ

「確かにマナの使えない彼女達の居場所はこの世界には無い。だが、ノーマにはドラゴンと戦う役割が与えられている。居場所や役割が与えられれば、人は満足し安心できるものだ。自分で考えて自力で生きる、それは人間にとって、大変な苦痛なんだよ。」

 

アンジュ

「何を言って・・・!」

 

天馬

「アンジュさん?」

 

 

アンジュは徐々に顔が赤くなり、意識が朦朧とし始めていた。

 

 

アンジュ

「私に・・・何を!?」

 

エンブリヲ

「なるほど、君の破壊衝動は不安から来ている。奪われ、騙され、裏切られ続け、何処に行くのかも分からない。」

 

アンジュ

「だ、黙れ・・・。」

 

エンブリヲ

「だが恐れる事はない、アンジュ。私が君を解放してあげよう、不安から。」

 

アンジュ

「あ・・・。」

 

 

アンジュの目が虚ろになり、動きを止めた。

 

 

天馬

「アンジュさん?」

 

エンブリヲ

「愛情、安心、友情、信頼、居場所、好きなものを何でも与えよう。だから全てを捨てて、私を受け入れたまえ。身に着けているもの、全て・・・。」

 

アンジュ

「・・・。」

 

 

アンジュは背中に手を回し、ドレスのホックに手を伸ばす。

 

 

天馬

「っ!!」

 

 

ガシッ!

 

 

天馬はアンジュの後ろに回り、アンジュの腕を掴み動きを止めた。

 

 

天馬

「ダメだアンジュさん!目を覚ましてください!エンブリヲの言いなりになっちゃダメだ!」

 

エンブリヲ

「無駄だ。今のアンジュには、私の言葉以外は届かない。」

 

 

「それはどうかな?」

 

 

エンブリヲ

「ん?」

 

 

突然、エンブリヲの後ろから天馬と同じ声が聞こえてきた。振り向くとそこには・・・。

 

 

エンブリヲ

「な、ナニッ!?」

 

 

そこには、もう一人の天馬の姿があった。

 

 

テンマ

「・・・ハアアァァァ!!」

 

 

テンマは大声で叫ぶ。すると、アンジュが意識を取り戻した。

 

 

アンジュ

「・・・あれ?私、いったい何を・・・えっ!?」

 

 

アンジュも、もう一人の天馬を見て驚いた。

 

 

アンジュ

「て、天馬が二人!?」

 

エンブリヲ

「貴様、何者だ!?」

 

テンマ

「・・・ある時は、松風天馬の気から生まれし化身として・・・ある時は松風天馬を守る鎧として共に戦った、俺の名は・・・!」

 

 

突然、もう一人の天馬を藍色のオーラが包み込み、もう一人の天馬は全く別の姿へと変身した。背中から真っ白な翼を生やし、強固な肉体とボリュームのある長い赤髪を持ち、頭にペガサスを模した装飾を着けた男。その者は・・・。

 

 

???

「大空を舞う風の魔神、ペガサスアーク!」

 

アンジュ

「ペガサスアーク?でも、あれって天馬の化身じゃ・・・。」

 

天馬

「あれは《デュプリ》と言って、本来はサッカーの試合の人数合わせに生み出す化身です。」

 

エンブリヲ

「・・・まさか、このような力を隠し持っていたとは・・・。」

 

 

カチャ

 

 

シャキン

 

 

天馬はアンジュに銃を渡し、腰からラグナセイバーを引き抜き右手に持った。

 

 

アンジュ

「・・・生憎だけど、私は与えられたもので満足できるほど空っぽじゃないの。」

 

 

アンジュは銃をエンブリヲに向けた。

 

 

アンジュ

「神様だか調律者だか何だか知らないけど、死ぬまで殺して、世界を壊すわ!」

 

 

エンブリヲ

「・・・っ!!」

 

 

エンブリヲは驚いた様に目を見開くと、今度はまるで喜びの笑みを見せた。

 

 

エンブリヲ

「ドラマティック!!」

 

天馬・アンジュ

「えっ?」

 

エンブリヲ

「アンジュ・・・私は、君と出会うために生きてきたのかもしれない!この千年を!」

 

天馬

「せ、千年!?」

 

 

エンブリヲの発言に天馬達は驚いた。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~アウローラ シャワールーム~

 

 

一方、アウローラのヒルダと剣城はシャワールームにいた。

 

 

剣城

「こんなところに、何があるんですか?」

 

ヒルダ

「あそこ。」

 

 

ヒルダは天井を指差す。指した先には通気口があった。

 

 

ヒルダ

「あそこから、タマに司令の声が聞こえてくるんだ。」

 

剣城

「あそこから?」

 

ヒルダ

「この部屋の上には、司令の部屋がある。だから、ダクトを通って司令の声が漏れてるのさ。」

 

 

すると・・・。

 

 

『うぅ・・・うぅ・・・。』

 

 

ヒルダ

「噂をすれば・・・。」

 

 

ヒルダと剣城は通気口の声に耳をすます。

 

 

 

『ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・エンブリオ様・・・。』

 

 

ヒルダ・剣城

「っ!?」

 

 

ヒルダと剣城は、思わず自分の耳を疑った。

 

 

剣城

「今、確かにエンブリヲ様って・・・。」

 

ヒルダ

「ああ、まさか司令・・・。」

 

 

ビー!

 

 

『総員に継ぐ!たった今、パラメイルの救難信号を受信した!手の空いている者は救助に協力せよ!』

 

 

剣城

「パラメイルの救難信号?」

 

ヒルダ

「まさか・・・!?」

 

 

To Be Continued…

 

 

 




~次回予告~


エンブリヲ
「この物語を読んでくれている皆に質問をしよう。もし私が仮面ライダーに変身するのなら、誰が似合うと思うかな?ちなみに現在の候補は、仮面ライダー電王、仮面ライダーセイヴァー、仮面ライダーエボルの3人だ。他に候補のあるライダーが居れば感想に候補のライダーと理由を書いておくれ。無ければ先程の3人の中から選んでほしい。締め切りは次話の更新まで。皆、よろしく頼む。


次回、《時空融合》。お楽しみに。」

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