クロスアンジュ LIGHTNING EDITION ~天使とドラゴンと五人の巨人使い~   作:ヒビキ7991

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Ep.21/深海の攻防!天馬vsジル!《後編》

~アウローラ コックピット~

 

 

ミーティングルームを離れた後、アンジュ達はコックピットへ向かった。

 

 

タスク

「アウローラ浮上開始。海面到達まで30分だ。」

 

アンジュ

「急いで格納庫へ向かいましょう。」

 

 

アンジュ達はコックピットを離れ、格納庫へと向かった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~通路 格納庫前~

 

 

数分後、アンジュ・ヴィヴィアン・ナオミはライダースーツき着替え、一同は格納庫の近くまでやって来た。

 

 

アンジュ

「海面に出たら、各々の機体で脱出するわ!」

 

天馬

「了解!」

 

 

ガコン!

 

 

突然、格納庫入り口のハッチが閉じ始めた。

 

 

タスク

「ハッチが!」

 

アンジュ

「急いで!格納庫まであと少しよ!」

 

 

アンジュは急いで格納庫へ走る。

 

 

信助

「うわっ!?」

 

 

ドタッ!

 

 

だが途中、信助が躓き転んでしまった。

 

 

天馬

「信助!」

 

 

天馬・葵・ナオミ・明日人は慌てて信助に駆け寄る。

 

 

アンジュ

「はぁ…はぁ…」

 

 

その隙に、アンジュ・タスク・ヴィヴィアン・モモカは格納庫へと到着。

 

 

アンジュ

「みんないる?」

 

モモカ

「アンジュリーゼ様!天馬さん達が!」

 

 

天馬達は急いで格納庫へと向かう。

 

 

ガコン!

 

 

だがあと少しというところで、ハッチが閉じてしまった。

 

 

アンジュ

「天馬!」

 

 

「また敵前逃亡か?」

 

 

その直後、ヴィルキスの影からジルが現れた。

 

 

アンジュ

「ジル!」

 

 

ジルは腰のホルダーからナイフを取り出したと思うと、剣身を伸ばし剣へと変えた。

 

 

ジル

「逃がさんぞアンジュ、リベルタスを成功させるまではな!」

 

アンジュ

「リベルタスって、私がいないと出来ないんでしょ?なのに私の意志を無視するの?」

 

ジル

「道具に意志など要らん!」

 

アンジュ

「私達の意思を無視して戦いを強要するなんて、人間達がノーマにしてきた事と同じじゃない!」

 

ジル

「司令官は私だ!命令に従え!」

 

アンジュ

「・・・ねえ、勝負しましょ。」

 

ジル

「なに?」

 

アンジュ

「サラ子は人質なんて、卑怯な真似はしなかった。あなたが勝ったら命令に従うわ。タスク、モモカとヴィヴィアンと下がって。」

 

タスク

「気を付けろよ。」

 

 

タスクとモモカとヴィヴィアンはその場を離れ、レイザーの影に隠れた。

 

 

ジル

「この期に及んで、まだわがままとはな!」

 

 

ジルは走り出し、勢いよく剣を振る。

 

 

キーン!

 

 

アンジュはナイフを装備し、ジルの剣を受け止めた。

 

 

アンジュ

「傲慢なのはそっちでしょ!?」

 

ジル

「エンブリヲを倒さん限り、リベルタスは終わらん!」

 

アンジュ

「そのためなら、どんな犠牲も許されるって言うの!?」

 

ジル

「その通りだ!」

 

 

キーン!

 

 

ジルはアンジュのナイフを弾き飛ばし、剣を大きく振り下ろす。

 

 

バシッ!

 

 

アンジュは白刃取りでジルの剣を受け止めた。

 

 

ジル

「皇女アンジュリーゼ、お前なら分かるだろ!?全てを奪われ、地の底へ叩き落とされたお前なら、私の怒りが!お前は私だ!お前がエンブリヲを殺し、リベルタスを成功させ、全てを取り戻すんだ!」

 

アンジュ

「誰かに自分を託すなんて、空っぽなのね!」

 

ジル

「黙れ!!」

 

 

 

ドカーン!

 

 

 

突然、物凄い爆発音と共に通路へ通じるハッチが破壊された。

 

 

ジル

「なにっ!?」

 

 

破壊された拍子に砂煙が舞い上がり、明日人・ナオミ・信助・葵が砂煙の中から現れた。

 

 

明日人

「タスクさん!」

 

 

明日人達はタスクのところへ向かう。

 

 

タスク

「明日人君!あれ、天馬君は?」

 

 

カンッ・・・カンッ・・・カンッ・・・

 

 

煙の中から天馬がゆっくりと姿を見せた。だが天馬の髪はクリーム色に近い金髪になり、後ろの髪が外ハネに伸びていた。

 

 

ジル

「お前は・・・!」

 

アンジュ

「天馬・・・なの?」

 

 

アンジュとジルは天馬の姿に混乱し、天馬は二人の前で足を止める。そして腰からラグナセイバーを引き抜き右手に装備した。

 

 

天馬

「・・・ジル司令、俺が相手だ!」

 

 

天馬はジルに向かって叫ぶ。その瞳は赤く輝き、強いオーラを放っていた。

 

 

ジル

「アンジュに続いて、お前まで私に楯突く気か?」

 

天馬

「楯突くですって?ジル司令、俺は最初からあなたの部下になったつもりはありません。俺は最初から、アンジュさんを守るために自分の意志でアルゼナルへ来ました。今はそれが俺の願いであり、俺の信念。」

 

ジル

「信念だと?」

 

アンジュ

「やめて天馬!これは私とジルの戦いよ!あなたには関係無いわ!」

 

天馬

「アンジュさんを守ることが俺の信念だと言った筈。アンジュさんの戦いは俺の戦いだ!」

 

アンジュ

「っ!!」

 

ジル

「つまらん男になりおって・・・。お前もアンジュの味方なら考えは同じはずだ。我々の仲間を大勢殺したドラゴンどもと、そんなに手を組むのが大事か?」

 

天馬

「もちろん。アウラを解放しエンブリヲを倒すため・・・いや俺達ノーマと人間とアウラの民、そして明日人達の明日を守るため。」

 

 

天馬はラグナセイバーを両手で握り構えた。

 

 

天馬

「ジル司令・・・いや、アレクトラ!アンジュさんに代わって、俺があなたを倒してみせる!」

 

ジル

「無駄だ。お前の力では、私は倒せんぞ!」

 

天馬

「やってみないと分かりませんよ!」

 

 

ジルは剣を構え、二人は互いに睨み合った。

 

 

天馬

「アンジュさんは下がって下さい!」

 

アンジュ

「え、ええ…」

 

 

アンジュはタスク達のところへ向かった。

 

 

ジル

「・・・いくぞ!」

 

天馬

「おうっ!」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~通路~

 

 

その頃、目を覚ましたジャスミンとマギーが格納庫へと向かっていた。

 

 

マギー

「ジルのヤツ、モモカを人質にするなんて聞いてないよ!」

 

ジャスミン

「とにかく急ぐんだよ!いくらアンジュやタスクでも、ジルが相手じゃ圧倒的に不利だ!」

 

マギー

「いや、天馬ならジルに勝てるかもしれない。前に調べて分かったんだが、天馬は化身以外に別の力を持ってる。」

 

ジャスミン

「別の力?」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~格納庫~

 

 

ガキン!

 

 

天馬とジルは勢いよく剣をぶつけ合った。

 

 

ジル

「その剣、その姿・・・私の知らぬ間に、いったい何処で手に入れた?」

 

天馬

「剣はドラゴン達の長から、そしてこの姿はアーサー王から授かった力だ!」

 

 

アンジュ達はレイザーの影から二人を見張っていた。

 

 

明日人

「凄い気迫だ・・・。」

 

ナオミ

「ここにいるだけでもピリピリ来るわね・・・。」

 

 

キーン!

 

 

天馬とジルは一旦離れ、互いに距離をとる。だが直前に天馬は右腕、ジルは右頬に傷を負った。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~太平洋 上空~

 

 

一方、太平洋上空ではクレオパトラ・レイジア・テオドーラがアウローラを探していた。すると・・・。

 

 

エルシャ

『ソナーに反応あり。』

 

クリス

『きっとあの船。』

 

サリア

『直ちにポイントへ向かう。』

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~アウローラ 格納庫~

 

 

ガキーン!ガキーン!

 

 

天馬

「チイッ!」

 

 

天馬は手に力を込め、ジルの剣を押さえ込んだ。

 

 

ジル

「くっ・・・!」

 

天馬

「己の力を過信してた様だな、アレクトラ。自分に敵うヤツは、少なくともアルゼナルには居ないと思ってたんでしょ?これが己の信念のため、願いのため、そして大切な人を守るために命懸けで戦う戦士の力だ!思い知ったか!!」

 

ジル

「ほざけ!!」

 

 

シャキーン!

 

 

ジルは力一杯剣を振り上げ、ラグナセイバーを弾き飛ばした。

 

 

天馬

「しまった!」

 

ジル

「食らえ!」

 

 

ジルは剣を横に力一杯振る。天馬はギリギリのところで真上へ大きくジャンプし回避。

 

 

ガシッ!

 

 

そして空中で舞うラグナセイバーを掴んだ。

 

 

ジル

「何だと!?」

 

天馬

「うおりゃあああああ!」

 

 

天馬はジルの真上から落下し、着地と同時にラグナセイバーを勢いよく振り下ろした。

 

 

ドカーン!

 

 

ジルは後方へジャンプし、間一髪で天馬の攻撃を避けた。

 

 

ジル

「なるほど、そのつまらん信念や願いとやらにも少しは敬意を払わねばならんな。」

 

天馬

「あんたのつまらない意地にもな。」

 

ジル

「フッ・・・教えてくれないか?何故お前はアンジュのために命を掛けられる?アンジュを愛しているのからか?」

 

天馬

「愛しているとか、そんなのは関係ない!アンジュさんは俺にとって大切な友達だから、俺はアンジュの考えが正しいと信じているから戦っている!それだけだ!」

 

ジル

「アンジュを信頼していると言うことか。だが、そんな信頼などでは私を倒せんぞ!」

 

 

ジルは剣を構え走り出す。天馬も剣を構え走り出し、二人はすれ違い様に剣を振った。

 

 

ガシャーン!

 

 

天馬はジルの義手を切断し、ジルは破損した右腕をおさえしゃがみこんだ。

 

 

ジル

「クッ!」

 

天馬

「勝負ありましたね、司令。」

 

 

天馬はラグナセイバーを鞘に戻した。その途端、髪と瞳がもとの色に戻った。

 

 

天馬

「何が正しいかは誰にも分からない。でもジル司令、あなたのやり方は大嫌いだ。」

 

ジル

「何故だ・・・何故分からない!?」

 

天馬

「あなたのやり方じゃ、俺達のやりたい事が出来ないんですよ。」

 

ジル

「なに・・・?」

 

天馬

「ヴィヴィアンさんが実家にサリアさん達を招待することも、第一中隊のみんなでサッカーをすることも、タスクさんがアンジュさんと一緒に喫茶店を開くことも、アンジュさんがサラマンディーネさんと再びバトルをすることも、何も出来ないからですよ。」

 

アンジュ

「天馬・・・。」

 

 

 

ザバーン!

 

 

アウローラが海面に浮上し、辺りに轟音が響いた。

 

 

天馬

「海面に出たか。」

 

ジャスミン

「決着は、着いたようだね。」

 

 

そこへ、ジャスミンとマギーがやって来た。

 

 

天馬

「ジャスミンさん、マギー先生も。」

 

マギー

「行くんだろ?天井を開けてやるから、準備しな。」

 

 

天馬達はそれぞれの機体に乗り、システムを起動。モモカはタスクのエアバイクの後ろに乗り、マギーが天井のハッチを開けた。

 

 

ジャスミン

「それで、これからどうすんだい?」

 

アンジュ

「私がやるわ、リベルタスを。」

 

 

アンジュの発言に、ジャスミンは驚いた。

 

 

アンジュ

「あの人のやり方は間違ってたけど、ノーマの解放は必要だもの。だから・・・。」

 

 

アンジュはふと、天馬に目を向ける。

 

 

アンジュ

「私がやる。私が信じる人、私を信じてくれる人と一緒に。」

 

 

アンジュはそう言うと、ヴィルキスのエンジンを吹かし離陸。ペガサス達やガンダムも後に続く。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~太平洋上~

 

 

アンジュ

「じゃあ明日人、頼むわね?」

 

明日人

「えっ?頼むって?」

 

アンジュ

「サラ子達の世界に行くから、FXの力で連れてって。ピンチにならないとヴィルキスは飛べないから。」

 

明日人

「そう言うことか、了解。」

 

 

 

《WARNING! WARNING!》

 

 

 

突然、各機に警告アラームが鳴り響いた。

 

 

バキューン!

 

 

警告アラームが鳴った途端、前方から緑色のビームが二発こちらへと向かってくる。

 

 

天馬

「なにっ!?」

 

 

一同は散開しビームを避ける。

 

 

天馬

「緑色のビーム・・・まさか!?」

 

 

遥か前方には、レイジア・テオドーラ・ヴィクトリア・エイレーネがこちらに銃を向けていた。

 

 

エルシャ

「見つけたわよ。」

 

天馬

「やっぱりサリアさん達か!」

 

 

クレオパトラ達はフライトモードに変形し、レイジアとテオドーラは浮上したアウローラに、クレオパトラ・ヴィクトリア・エイレーネはヴィルキス達へと真っ直ぐ突っ込んでくる。

 

 

天馬

「ナオミ、葵!アウローラを守って!」

 

ナオミ

「分かった!」

 

 

ウイングゼロとダブルゼータはアウローラの救援へと向かった。

 

 

天馬

「明日人君はヴィクトリア、信助とヴィヴィアンさんはエイレーネを!クレオパトラは俺とアンジュさんが引き受ける!」

 

 

天馬の指示で其々散開した。

 

 

サリア

「二機で私に勝てるとでも?」

 

アンジュ

「やってみなきゃ、分からないでしょ!」

 

 

ペガサスとヴィルキスは変形し、武器を装備しクレオパトラに襲いかかる。

 

 

ザバーン!

 

 

だがその途端、海中から無数の円盤型ドローンが姿を見せた。

 

 

アンジュ・天馬

「っ!?」

 

 

バシューン!ガシッ!

 

 

ドローンは一斉にアンカーを射出し、さらに接触し動きを封じた。

 

 

アンジュ

「しまった!」

 

天馬

「まさか、あなた達が囮だったのか!?」

 

サリア

「そうよ、残念だったわね。」

 

 

プシュー

 

 

ドローンから紫色のガスが放出された。ガスは隙間からヴィルキスとペガサスのコックピットに侵入。瞬く間にコックピットにガスが充満した。

 

 

天馬

「まさか、毒ガス!?」

 

 

アンジュと天馬はガスを吸うまいと口を塞いだが、徐々に意識が薄れ、視界が暗くなっていく。

 

 

アンジュ

「ぐっ・・・!」

 

天馬

「くっそぉ・・・。」

 

 

そして、二人は気を失った。

 

 

サリア

「さようなら、二人とも・・・。」

 

 

 

To Be Continued…




~次回予告~


エンブリヲ
「我が名はエンブリヲ、世界の調律者である。次回からは本格的に世話になるだろうから、よろしく頼む。


次回、《世界の調律者、エンブリヲ》。」

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