クロスアンジュ LIGHTNING EDITION ~天使とドラゴンと五人の巨人使い~   作:ヒビキ7991

28 / 48
Ep.21/深海の攻防!天馬vsジル!《前編》

~アウローラ ミーティングルーム~

 

 

ヒルダ達と再会し、アウローラへ乗船したアンジュ達。乗船して早々、第一中隊のメンバーとジル達に今までの経緯を話した。

 

 

ジル

「平衡宇宙ともう一つの地球。ドラゴン・・・いや、遺伝子改造した人間の世界。我々の世界から分岐した三つ目の世界。パラメイルとは全く異なる技術で作られた機動戦士、ガンダム。そしてそれを生み出した妖魔界の長、エンマ大王か。」

 

アンジュ

「ドラゴンは・・・いや彼女達は人間と違って、話し合いの出来る相手よ。だから、ドラゴンと手を組むべきじゃないかしら?」

 

 

アンジュの発言に、一同は驚いた。

 

 

ヒルダ

「おいおい、正気か?」

 

天馬

「ドラゴン達の目的は、アウラを奪還することです。成功すれば、マナの光のエネルギーが断たれ、世界は停止するらしいです。そうなればシンギュラーも開けなくなるし、パラメイルの必要も無くなる。何より、マナのエネルギー源であるドラグニウムを得るために、ノーマがドラゴンを狩る。そんなバカげた戦いを終わらせることが出来る。」

 

アンジュ

「でも、サラ子達の侵攻作戦は失敗した。向こうの被害は甚大よ。お互いの目的のためにも協力するのが一番だと思うわ。」

 

ジャスミン

「なるほど、敵の敵は味方って訳だね。」

 

神童

「確かに、今はそれが有効な手段かもしれないな。」

 

 

ジャスミンと雷門メンバーは納得した様だが、第一中隊の女性メンバーは納得がいっていない様だ。

 

 

ロザリー

「おいおい、冗談だろ!?アイツらは今まで仲間を殺してきた化物なんだぞ!?」

 

ヴィヴィアン

「ムッ!」

 

 

ロザリーの発言にヴィヴィアンはムカついた。

 

 

天馬

「それは俺達も同じです。いくら仕組まれた運命だったとしても、俺達も大勢のドラゴン達を殺してきた。向こうからすれば、俺達も仲間を殺してきた化物です。」

 

ロザリー

「た、確かにそうかも知れないけど・・・。」

 

天馬

「怒り、悲しみ、報復。その先にあるのは滅びだけです。でも人間は受け入れ、許すことが出来る。そして、その先に進むことも出来る。」

 

ミランダ

「何それ?」

 

天馬

「向こうの世界のお姫様が言ってた言葉です。お互い殺し合ってきた関係ならば、お互いを許す事だって出来る。ここは協力して一緒に戦うべきです!お互いの未来のために!お互いの贖罪を果たすために!」

 

ジル

「無駄だ、ドラゴン達は信じるに値しない。アウラだか何だか知らんが、ドラゴン一匹助けたところで、リベルタスが終わるとでも思っているのか?」

 

 

ジルは立ち上がり、アンジュ達に目を向けた。

 

 

ジル

「神様気取りのエンブリオを抹殺し、この世界を壊す。それ以外にノーマを開放するすべはない。

 

 

忘れた訳ではあるまい、アンジュ。祖国、兄弟、民衆に裏切られてきた過去、人間への怒りを。差別と偏見にまみれたこの世界を壊す、それがお前の意志ではなかったのか?」

 

アンジュ

「それは・・・。」

 

メイ

「でもジル、アタシ達の戦力が心もとないのも事実だよ?」

 

マギー

「サリア達が寝返っちまったからねぇ…」

 

ジャスミン

「アンジュ、ドラゴンとコンタクトは出来るかい?」

 

アンジュ

「ヴィルキスなら、シンギュラーを開かなくても向こうへ行けるわ。」

 

ジャスミン

「そりゃ凄い。ドラゴンとの共闘、考えてみる価値はあるんじゃないのかい?」

 

ジル

「・・・いいだろう。情報の精査の後、今後の作戦を伝える。」

 

 

ジルは歩きだし、通路へ通じる扉へと向かう。すると扉の前で足を止め振り向いた。

 

 

ジル

「一つ聞き忘れていた。明日人、お前はこれからどうするつもりだ?」

 

明日人

「しばらくの間は、この船でお世話になるつもりです。」

 

ジル

「ほう、なら大歓迎だ。我々も戦力は欲しいからな。」

 

明日人

「でも、あなたに従うつもりはありません。俺が従うのはエンマ大王だけです。」

 

ジル

「わかった、肝に銘じておこう。」

 

 

ジルはそう言うと、ミーティングルームを後にした。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

~食堂~

 

 

その後、アンジュ達は食堂へ場所を移した。近くにはモモカとヒルダとロザリーと神童と剣城と霧野、さらにマギーと見覚えの無い三人のメイルライダーがいた。

 

 

ヴィヴィアン

「いやぁ、流石はモモカ飯!不味いノーマ飯が懐かしい!」

 

マギー

「しっかし、大した科学力だねぇ。キャンディーや薬無しでドラゴン化せずに済むなんて。」

 

ヴィヴィアン

「そういえばさ、向こうのみんな翼と尻尾あったんだけど、なんでアタシには無いの?」

 

マギー

「バレるから切ったよ。」

 

ヴィヴィアン

「うわー!ひでー!」

 

 

 

タスク

「アウローラ、まだ生きてたんだ。」

 

アンジュ

「知ってるの?」

 

タスク

「古の民が作ったらリベルタスの旗艦。俺達はこの船で、エンブリヲと戦ってきたんだ。」

 

モモカ

「ベッドは少し狭いですが、とても快適ですから御安心を。」

 

アンジュ

「そう、良かった。」

 

ヒルダ

「何にも良くねえよ。戦場からロストとして、帰ってきたら新しい男と女連れで、しかもガンダムなんて言う見たこと無いロボットまで一緒なんて、どんだけ自分勝手なんだよ?」

 

アンジュ

「ごめんね、ヒルダ。」

 

 

アンジュはヒルダに笑顔を見せた。

 

 

ヒルダ

「なっ・・・フンッ!」

 

 

ヒルダは頬を赤くしてそっぽを向いた。

 

 

剣城

「何イライラしてるんです?」

 

ヒルダ

「別に!てか、アンタらが居なくなってから大変だったんだぞ!」

 

神童

「アルゼナルは壊滅して、仲間は大勢殺され、おまけにサリアさん達が敵になり、もう散々さ・・・。」

 

天馬

「でも、どうしてサリアさん達がエンブリオに?」

 

ロザリー

「こっちが聞きてえよ!容赦なくボコボコ撃ってきやがるし・・・あんなのもう、友達でも何でもねえよ!」

 

アンジュ

「じゃあ、今戦えるのはあなた達だけって事?」

 

ロザリー

「アタシ達だけじゃないよ。」

 

 

ミランダは見覚えの無い三人を指差して言った。

 

 

ロザリー

「《ノンナ》、《マリカ》、《メアリー》、戦力不足でメイルライダーに格上げされた新兵達だ。ゾーラ姉様がミッチリ訓練してやったから、かなりの腕になってるぜ。」

 

 

すると、ノンナ・マリカ・メアリーはヴィヴィアンの周りに集まった。

 

 

メアリー

「あの、お会い出来て光栄です!」

 

ヴィヴィアン

「えっ?アタシに?」

 

 

ヴィヴィアンは状況が飲み込めず戸惑う。

 

 

マリカ

「第一中隊のエース、ヴィヴィアンお姉様ですよね!?」

 

ノンナ

「ずっと憧れてたんです!」

 

ロザリー

「ちょ、ちょっとお前ら!アタシにはそんなの一言も!」

 

 

食事が騒がしくなる傍ら、タスクは少し悩んでいた。

 

 

信助

「どうしました?」

 

タスク

「いや、アレクトラの様子が少し気になってね。」

 

ヒルダ

「アレクトラ・マリアフォン・レーベンへルツだろ?」

 

 

ヒルダの発言にアンジュ達は驚いた。

 

 

ヒルダ

「みんな知ってるよ。司令が全部ぶちまけたからね。自分の正体も、リベルタスの大義って奴も。」

 

霧野

「"私は必ずやエンブリオを倒し、ノーマをこの呪われた運命から解放する。その日まで諸君らの命、私が預かる。"あの時、司令が言った決意の言葉だ。」

 

ヒルダ

「意気込みは分かるけど、ガチ過ぎてちょっと引くわ…」

 

 

「あなたにあの人の何が分かんのよ!?」

 

 

突然厨房の方から声がしたと思ったら、カウンターの下から酷く酔ったエマ監察官が現れた。

 

 

ナオミ

「エマ監察官さん!?」

 

エマ

「監察官さんねぇ~、懐かしいけど、私もう監察官じゃないのよぉ~。だから、エマさんでいいわよぉ?エマさんでぇ。」

 

天馬・明日人

「うわっ、酒臭っ!」

 

モモカ

「この船に乗られてから、ず~っとこんな感じなんです・・・。」

 

信助

「やけ酒・・・ですか・・・。」

 

エマ

「しょーがないでしょー!殺されかけたのよ!?私、同じ人間に・・・。」

 

 

と、今度は泣き出した。

 

 

エマ

「なのに・・・なのにね、司令ってば私をこの船に乗せてくれたのよ?今までノーマに酷いことばっかりしてきた私を・・・。」

 

天馬

「あの、エマさん?」

 

エマ

「あの人だけよー!この世界で信用できるのは!」

 

マギー

「はいはい、その辺にしときな・・・。」

 

 

マギーは酔ってベロベロになったエマを連れて食堂を後にした。

 

 

アンジュ

「ありゃ重症ね・・・。」

 

ロザリー

「でも、監察官の言う通りだ。私達にとってこの世で信じられるのは司令だけだからな。」

 

アンジュ

「・・・。」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~シャワールーム~

 

 

その後、アンジュはシャワールームでシャワーを浴びていた。

 

 

アンジュ

「何か、しみる・・・。」

 

ヒルダ

「少し海水が混じってるからねぇ。」

 

 

そこへヒルダが突然現れた。

 

 

アンジュ

「ヒルダ。」

 

 

ヒルダは自身の胸をアンジュの背中に押し当てた。

 

 

アンジュ

「ちょ、ヒルダ!」

 

ヒルダ

「ったく、何にも連絡よこさないでさ。」

 

アンジュ

「仕方ないじゃない・・・。」

 

ヒルダ

「心配ばっか掛けさせやがって・・・したの?」

 

アンジュ

「えっ?」

 

ヒルダ

「天馬や、あの男と。」

 

アンジュ

「はいぃ!?してないわよ!」

 

ヒルダ

「本当に?」

 

アンジュ

「本当よ!そういうアンタはどうなの?この船に乗ってから、剣城や神童達としたの?」

 

ヒルダ

「はぁ!?んなわけねえだろ!」

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

~寝室~

 

 

一方、天馬は寝室のベッドで横になっていた。

 

 

天馬

「良かった、みんな無事で・・・。」

 

 

プシュー

 

 

突然扉が開き、ココとナオミが入ってきた。

 

 

天馬

「ナオミ、ココさん。」

 

 

天馬はゆっくりと体を起こす。すると起き上がった途端、ナオミとココが天馬に抱きついた。

 

 

天馬

「えっ?ちょ、ちょっと二人とも?」

 

ナオミ

「良かった、また会えた。」

 

ココ

「天馬さんが居なくなって、凄く不安だったんです。でも、無事で良かった。」

 

天馬

「二人とも・・・。」

 

ココ

「ところで、あの葵って人とはどういう関係なんですか?」

 

天馬

「えっ?」

 

ナオミ

「もしかして、天馬君の彼女?」

 

天馬

「そ、そんなんじゃないよ!葵は俺の幼馴染で、同じサッカー部のマネージャーって関係で!」

 

ココ

「本当ですか?」

 

天馬

「ホントにホントですって!」

 

 

プシュー

 

 

またもや扉が開き、今度は葵が入ってきた。

 

 

天馬

「あ、葵・・・。」

 

「天馬、何してるの?」

 

天馬

「えっ?あ、いや、この、それは・・・。」

 

 

と、ナオミとココは天馬から離れ葵に近づいた。

 

 

ナオミ

「葵ちゃん、あなた天馬君のことどう思ってるの?」

 

「えっ?」

 

ココ

「天馬君の幼馴染で同じサッカー部のマネージャーって聞きましたけど、ホントですか?」

 

「そうだけど・・・。」

 

ココ

「それ以外には?」

 

「それ以外と言うと?」

 

ナオミ

「天馬君のことが好きかどうかって事だよ!」

 

「ええっ!?」

 

 

葵は頬を赤くして驚いた。

 

 

「わ、私はただ天馬と小三の頃から仲が良かっただけで、マネージャーになったのも天馬をサポートするためで、その・・・。」

 

ナオミ

「その何?」

 

「と、とにかく、天馬とは幼馴染でマネージャーってだけです!それ以上でも以下でもありません!」

 

 

葵は顔を赤くして叫んだ。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~パラメイル格納庫~

 

 

夜、皆が寝静まった頃、タスクは明日人を格納庫へと呼んだ。

 

 

明日人

「こんな時間に、何ですか?」

 

タスク

「君に手伝ってほしい事があってね。」

 

 

タスクはエアバイクのトランクから小さな丸い機械を取りだし、明日人に渡した。

 

 

タスク

「催眠ガス発生装置だ。これをあちこちのダクトに仕掛けてほしい。」

 

明日人

「いいですけど、何で?」

 

タスク

「念には念を入れてって事さ。」

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

~ミーティングルーム~

 

 

次の日、ジルはアンジュ・タスク・天馬・明日人をミーティングルームへと呼んだ。ジルの左右には、ジャスミン・マギー・メイがいる。

 

 

ジル

「よく眠れたか?」

 

アンジュ

「ええ。」

 

ジル

「ではアンジュ、お前に任務を与える。

 

 

 

 

 

 

 

 

ドラゴンと接触。交渉し、共同戦線の構築を要求しろ。」

 

 

ジルの思いもよらぬ発言に、一同は驚いた。

 

 

ジル

「どうした?お前の提案通り、ドラゴンと一緒に戦うと言ってるんだ。」

 

アンジュ

「本気?」

 

ジル

「リベルタスに終止符を打つためには、ドラゴンとの共闘が最も合理的だと判断した。」

 

 

その言葉を聞いてアンジュとタスクは笑顔を見せたが、天馬と明日人は少し疑っていた。

 

 

ジル

「では、作戦の概要を説明する。」

 

 

ジルはデスクのディスプレイに地図を映し出した。地図には赤い印が五つ映っている。

 

 

天馬

「これは?」

 

ジル

「サリア達と交戦した際に、機体に撃ち込んだマーカーの反応だ。マーカーの反応を追跡して判明した奴等の帰島位置がここ、ミスルギ皇国の暁ノ御柱だ。恐らくエンブリオもここにいる。」

 

アンジュ

「アウラもそこにいるはずよ。」

 

ジル

「それは心強い情報だ。我々はまず、敵の戦力を削ぐ。アンジュ、ドラゴンどもには南西方向からミスルギ皇国へ侵攻させ、ラグナメイルを誘き出させろ。アウローラはその隙に、ラグナメイルが探知不能な深々度を航行。ドラゴンどもと交戦中の背後に浮上し、挟撃する。敵兵力を排除した後、全兵力をもって暁ノ御柱へ侵攻する。」

 

タスク

「でもこれじゃ、ドラゴンに多大な負担を強いることになるぞ?」

 

ジル

「揺導とはそういうものさ。」

 

アンジュ

「サリア達は助けないの?」

 

ジル

「持ち主を裏切るような道具はいらん。」

 

天馬

「道具?」

 

ジル

「そうだ、我々はリベルタスを成功させる道具に過ぎん。お前も私も、ドラゴンもな。」

 

明日人

「・・・あんた、いったい何を企んでるんだ?ドラゴンに何をさせるつもりだ!?」

 

 

明日人は立ち上がりジルに問う。

 

 

ジル

「・・・フフフッ、ハハハハハハハッ!!」

 

 

突然、ジルは顔を手でおさえ笑いだした。

 

 

明日人

「何が可笑しい!?」

 

ジル

「ドラゴンと共闘だと?アウローラの本当の浮上ポイントはここ、暁ノ御柱の北東だ。アンジュ、お前はドラゴンどもとラグナメイルが交戦してる間に、パラメイル隊とガンダムを率いて暁ノ御柱へ突入し、エンブリオを抹殺しろ!」

 

アンジュ

「はぁ!?」

 

タスク

「ドラゴンは捨て駒か!?」

 

ジル

「切り札であるヴィルキスを危険に去らす様な真似は出来んからな。」

 

アンジュ

「冗談じゃないわ!こんな最低の作戦、協力出来ないわ!」

 

ジル

「ほう、これを見てもか?」

 

 

ジルはディスプレイを操作し、ある映像を映し出した。映像には手足をロープで拘束されたモモカが映っていた。

 

 

天馬

「モモカさん!?」

 

 

予想外の出来事に、マギー・ジャスミン・メイは驚いている。

 

 

ジル

「お前の侍女は今、減圧室の中にいる。減圧室のハッチを開けば、お前の侍女は一気に水圧で押し潰される。救いたければ、作戦を全て受け入れ、行動しろ!」

 

アンジュ

「自分が何をしているのか分かってるの!?」

 

ジル

「リベルタスでは全てが道具であり駒だ。あの侍女はお前を動かす道具。お前はヴィルキスを動かす道具。そしてヴィルキスはエンブリヲを倒す究極の武器。」

 

アンジュ

「ふざけるな!!」

 

 

アンジュはジルに銃を向ける。

 

 

ドカッ!

 

 

アンジュ

「ぐっ!」

 

 

するとジルはデスクを乗り越え、アンジュに膝蹴りを叩き込んだ。

 

 

ジル

「上官への犯行罪だ。」

 

 

ジルは右腕でアンジュの首を掴み持ち上げる。

 

 

タスク

「やめろ!アレクトラ!」

 

 

タスクはジルを止めようと走り出す。

 

 

ドカッ!

 

 

だがジルに返り討ちにされてしまった。

 

 

タスク

「くそっ・・・。」

 

 

ジル

「さてアンジュ、お前の返事を聞こうか?」

 

アンジュ

「・・・くたばれ!」

 

ジル

「ほう、痛い目に会いたい様だな。」

 

 

ジルは左手を力強く握る。その時だった・・・。

 

 

プシュー

 

 

ミーティングルームの扉が開き、一人の少女が現れた。アンジュ達は少女の姿を見て目を疑った。

 

 

ジル

「っ!?」

 

アンジュ

「モモ・・・カ?」

 

モモカ

「アンジュリーゼ様を放しなさい!」

 

 

キーン!

 

 

モモカはジルの右腕をマナの光で操り、アンジュを解放した。

 

 

ドンッ

 

 

アンジュ

「ぐっ!」

 

 

アンジュは放された途端床に倒れ込んだ。

 

 

ジル

「くそっ!」

 

天馬

「今だ!」

 

 

すると、今度は天馬と明日人がジルに向かって走り出す。

 

 

天馬・明日人

「うおおおおおおお!!」

 

 

ドーン! ドカッ!

 

 

ジル

「ぐはっ!」

 

 

二人はジルに強くタックルし、ジルは吹き飛ばされ壁に激突した。

 

 

モモカ

「アンジュリーゼ様、大丈夫ですか!?」

 

 

モモカは慌ててアンジュに駆け寄る。

 

 

アンジュ

「大丈夫よ、モモカ・・・。」

 

ジル

「な、何故だ?モモカは確かに減圧室に・・・。」

 

 

「僕達がモモカさんの拘束を解きました。」

 

 

すると突然、扉の方から声がした。一同が扉の方をみると、そこには信助・ヴィヴィアン・ナオミ・葵がいた。

 

 

ジル

「お前達!」

 

天馬

「悪いですけど、さっきの会話、みんなの耳に入ってます。」

 

 

天馬はポケットから無線機を取り出した。

 

 

天馬

「万が一に備えて、あなたとの会話を盗聴させてもらってたんです。」

 

ジル

「貴様、ふざけた真似を・・・!?」

 

 

突然、ジルの体から力が抜け倒れ込んだ。

 

 

ジャスミン

「な、何だいこりゃ・・・。」

 

 

ジャスミン・マギー・メイは気を失った。

 

 

ジル

「まさか、ガスか?」

 

タスク

「出来れば、使いたくなかったよ。」

 

 

タスク達はガスマスクを装着し、タスクはアンジュにガスマスクを付けた。

 

 

ジル

「タスク、ヴィルキスの騎士であるお前が、リベルタスの邪魔をするのか!?」

 

タスク

「俺はもうヴィルキスの騎士じゃない。アンジュの騎士だ!」

 

 

タスクはそう言うと、アンジュと天馬達を連れてミーティングルームを離れた。

 

 

ジル

「色気付いたか・・・だが、これで終わったと思うなよ!」

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。