クロスアンジュ LIGHTNING EDITION ~天使とドラゴンと五人の巨人使い~   作:ヒビキ7991

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Ep.18/対決!アンジュvsサラマンディーネ!《後編》

~スタジアム バトルシステム前~

 

 

ガンプラを作り終えた一同は各々バトルシステムの端に集まった。

 

 

サラマンディーネ

「ルールは、4対4のチーム戦。制限時間は無し。先に敵の機体を全て破壊した方の勝利です。よろしいですね?」

 

アンジュ

「OKよ。」

 

タスク

「あの、4対4って事は俺とゲッコーさんも参加するの?」

 

ゲッコー

「良いと思います。せっかく一緒に作ったのですから、使わないと勿体ないではありませんか。」

 

サラマンディーネ

「では、始めましょうか!」

 

 

サラマンディーネはバトルシステムの電源を入れる。

 

 

バトルシステム

『GUNPLA BATTLE COMBAT MODE STARTUP!

 

MODEL DAMAGE LEVEL SET TO "C".

 

BEGINNING PLAVSKY PARTICLE DISPERSAL.』

 

 

システムからプラフスキー粒子が放出。フィールドが構成され、大量の隕石が浮かぶ宇宙空間が現れた。

 

 

『FIELD 1. SPACE.』

 

 

天馬

「凄い!宇宙空間だ!」

 

 

『PLEASE SET YOUR GUNPLA.』

 

 

一同は自分のガンプラをセットする。セットすると、ガンプラが動き出し、目が発光。コックピットと光球状の操縦桿と各種パネルが出現し、そしてカタパルトが現れた。

 

 

『BATTLE START!!』

 

 

アンジュ

「アンジュ、ストライクフリーダムガンダム!」

 

タスク

「タスク、ガンダムサバーニャ!」

 

信助

「信助、ダブルゼータガンダム!」

 

天馬

「天馬、ウイングガンダムゼロ!」

 

サラマンディーネ

「サラマンディーネ、ダブルオークアンタ!」

 

ナーガ

「ナーガ、デスティニーガンダム!」

 

カナメ

「カナメ、ガンダムダブルエックス!」

 

ゲッコー

「ドクター・ゲッコー、武者頑駄無!」

 

アンジュ

「チーム・アンジュ、行くわよ!」

 

サラマンディーネ

「チーム・サラマンディーネ、参ります!」

 

 

一同のガンプラは勢いよくフィールドへと放たれ、いよいよバトルが始まった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~隕石~

 

 

アンジュ達は宇宙空間に浮かぶ隕石の1つに着地した。

 

 

アンジュ

「さーてと、目標は・・・。」

 

 

ビー!ビー!ビー!

 

 

突然、コックピット内に警告のブザー音が響いた。辺りを見回すと、前方からサラマンディーネ達の機体が接近していた。

 

 

タスク

「アンジュ、作戦は?」

 

アンジュ

「散開して各々一機ずつ相手をするわ。でも援護はしちゃダメよ。」

 

信助

「何故です?」

 

天馬

「横槍を射れるなって事だよ。ナーガさんは俺、カナメさんは信助、サラマンディーネさんはアンジュさんと真剣に勝負をしたがってたから。」

 

タスク

「なるほど、表面上はチーム戦でも内容は各々の個人戦で勝敗を決めたいって訳か。」

 

アンジュ

「あっちがノッてくれるかどうかが問題だけどね。」

 

 

一方、サラマンディーネ達は・・・。

 

 

ナーガ

「姫様、作戦はどうされますか?」

 

サラマンディーネ

「各々戦いたい機体と自由に戦ってください。ただし援護は禁止です。」

 

ナーガ

「何故です?皆で力を合わせれば、敵を落とすのは容易です。」

 

カナメ

「ナーガ、あなたは彼にリベンジがしたいんでしょ?なのに多数で落としちゃったら、実力で勝てた事にはならないんじゃない?」

 

ナーガ

「うっ、た、確かに・・・。」

 

サラマンディーネ

「むこうもそれを望んでいるハズです。散開して気を引かせましょう。」

 

ゲッコー

「了解です。」

 

 

サラマンディーネ達は散開し、上下左右の四方向に分かれて飛行する。

 

 

アンジュ

「どうやら、向こうも同じ考えみたいね。こっちも散開して迎え撃つわよ!」

 

 

アンジュ達も散開し、アンジュはサラマンディーネ、天馬はナーガ、信助はカナメ、タスクはゲッコーの機体を追いかけた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~月面 クレーター~

 

 

数分後、天馬のウイングガンダムゼロEWは月面のクレーター内に着地した。正面にはナーガのデスティニーガンダムがいる。

 

 

ナーガ

「待っていたぞ、天馬。」

 

天馬

「その声、ナーガさんですね?」

 

ナーガ

「この間は龍神器に乗っていながら、不覚にもお前とお前の機体に敗れた。その時の屈辱、晴らさせてもらうぞ!」

 

 

デスティニーガンダムはアロンダイトを右手に装備し、ウイングガンダムゼロEWは両手にビームサーベルを装備し構えた。

 

 

天馬・ナーガ

「いくぞ!」

 

 

2機はクレーターの中心に向かって同時に走り出した。

 

 

ナーガ

「この勝負!」

 

天馬

「負けるわけにはいかないんだ!」

 

 

ガキーン!

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~宇宙コロニー 第一搬入口~

 

 

その頃、タスクのガンダムサバーニャはコロニー内にいた。

 

 

タスク

「この扉の先が、コロニーの中か。」

 

 

タスクは搬入口の扉を開け内部に侵入。すると侵入して早々、向かい側の第二搬入口にゲッコーの武者頑駄無がいた。

 

 

ゲッコー

「御会いできて光栄です、ミスター・タスク。」

 

タスク

「まさか、俺とあなたで対戦とはね。」

 

ゲッコー

「あなたには会ったときから興味がありました。どうでしょう?この勝負で私達が勝った暁には、タスクさんには私の実験台になっていただくというのは。」

 

 

武者頑駄無は種子島雷威銃を右手に装備。

 

 

タスク

「俺はアンジュの騎士だ。悪いが実験台なんて御免だ。」

 

 

ガンダムサバーニャはGNライフルビットIIを両手に装備し構えた。

 

 

ゲッコー

「嫌なら私を倒してください!」

 

タスク

「そうさせてもらいます!」

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

~軌道ハイウェイ~

 

 

一方、信助はダブルゼータガンダムをGフォートレスに変形させ軌道ハイウェイ上を飛行していた。

 

 

信助

「えーっと、僕のお相手は・・・。」

 

 

バキューン!

 

 

突然、頭上から黄緑色のビームが現れGフォートレスの機首をかすめた。

 

 

信助

「上から!?」

 

 

信助はGフォートレスをダブルゼータガンダムに変形させ頭上を見る。上空にはバスターライフルを構えたカナメのガンダムダブルエックスがいた。

 

 

カナメ

「待ってたわよ、信助君!」

 

信助

「カナメさんですね?」

 

カナメ

「私、実はあなたに興味があったの。パワーで私に張り合える人なんて、今まで居なかったから。」

 

 

ガンダムダブルエックスは左手にハイパービームソードを装備。

 

 

カナメ

「もし私が勝てたら、あなたのパワーの秘密を教えて。」

 

信助

「いいですよ?ただし、勝てたらですけど!」

 

 

ガンダムダブルゼータは右手にダブルビームライフル、左手にハイパービームサーベルを装備。

 

 

信助

「いきます!」

 

 

そして上空のガンダムダブルエックスめがけて飛び立った。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

~地球 成層圏~

 

 

ガキーン!

 

 

そして地球の成層圏では、アンジュのストライクフリーダムガンダムとサラマンディーネのダブルオークアンタが刃をぶつけ合っていた。

 

 

サラマンディーネ

「中々ですわね、アンジュ。」

 

アンジュ

「そっちもね!」

 

 

ガキーン!

 

 

2機は離れ、一旦距離をとった。

 

 

サラマンディーネ

「実は、少し楽しみだったのです。今まで私と互角に戦える相手など、いませんでした。だから、凄く楽しいのです!」

 

アンジュ

「確かに、何でご先祖様が私達の地球にこの技術を持ってきてくれなかったのか、不思議なくらい楽しいわ!」

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

~月面 クレーター~

 

 

ガキーン!

 

 

天馬のウイングゼロEWはデスティニーガンダムにビームサーベルで攻撃を仕掛けていたが、避けられ防がれで傷1つ与えれていない。

 

 

天馬

「くそっ!」

 

ナーガ

「剣の使い方が成ってないぞ。そんな程度では、あのアンジュという女を守るのは無理だ。」

 

天馬

「何を!」

 

 

キーン!

 

 

ウイングゼロEWはデスティニーガンダムのアロンダイトを弾き飛ばした。

 

 

天馬

「どうだ!」

 

ナーガ

「甘い。」

 

 

デスティニーガンダムは一旦距離をとり、両肩のフラッシュエッジ2を両手に装備した。

 

 

ナーガ

「足腰を使え!」

 

天馬

「えっ?」

 

ナーガ

「剣を扱ううえで必要なのは足腰だ!剣を振る度に、身体が安定する位置を探し出せ!」

 

天馬

「は、はいっ!」

 

 

ウイングゼロEWはビームサーベルを構え走り出す。

 

 

ガキーン!ガキーン!

 

 

そしてデスティニーガンダムに連続攻撃を繰り出した。

 

 

ナーガ

「そうだ!いいぞ!」

 

天馬

「でりゃあ!」

 

 

ドーン!

 

 

さらに回し蹴りを叩き込み、デスティニーガンダムを蹴り飛ばした。

 

 

ナーガ

「くっ!」

 

天馬

「これで!」

 

 

ウイングゼロEWはビームサーベルを投げ捨て、バスターライフルを両手に装備し構えた。

 

 

ナーガ

「なんの!」

 

 

デスティニーガンダムも体制を建て直し、ビームライフルを右手に装備し、バックパックの高エネルギー長射程ビーム砲を展開し構えた。

 

 

バキューン! ガシャーン!

 

 

2機は同時にビームを放ち、お互いの胸部と腹部を撃ち抜いた。

 

 

ドカーン!

 

 

2機は機能を失い、爆発した。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

~コロニー 市街地~

 

 

バキューン!バキューン!

 

 

タスクのサバーニャはライフルビットを展開し、武者頑駄無を攻撃していた。

 

 

タスク

「くそっ!何で当たらない!?」

 

 

だが、1発も当てられていなかった。

 

 

ゲッコー

「私はガンプラバトルの全てを知り尽くしています。当然、全ての機体の特性や癖もです!」

 

 

武者頑駄無は種子島雷威銃を収納し、武久丸と薙刀を装備し真正面から接近する。

 

 

タスク

「正面からなら!」

 

 

バキューン!

 

 

サバーニャは武者頑駄無に向かってビームを放つ。

 

 

ドカーン!

 

 

ビームは命中し、武者頑駄無は爆煙の中に消えた。だが爆煙が消えると、武者頑駄無は姿を消していた。

 

 

タスク

「なにっ!?どこ行った!?」

 

 

《CAUTION》

 

 

ガシャーン!

 

 

タスク

「のわっ!?」

 

 

武者頑駄無は突然サバーニャの正面に現れ、薙刀と武久丸をサバーニャのボディに突き刺した。

 

 

ゲッコー

「これで勝負は・・・。」

 

タスク

「いや、まだだ!」

 

 

ガシン!

 

 

サバーニャは武者頑駄無の腕を掴み、全てのライフルビットの照準を自分と武者頑駄無に向けた。

 

 

ゲッコー

「っ!?ミスター・タスク、まさか!?」

 

タスク

「俺はあなたに勝てなかったが、あなたも俺に勝てなかったって事だ!」

 

 

バキューン!

 

 

ライフルビットの銃口が一斉に火を吹く。

 

 

ドカーン!

 

 

2機は全身を撃ち抜かれ爆発した。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

~軌道ハイウェイ~

 

 

信助

「ミサイル発射!」

 

 

ズドドドドドドン!

 

 

信助のダブルゼータはダブルエックスに向けて大量のミサイルを放つ。

 

 

カナメ

「全部撃ち落とす!」

 

 

ダダダダダダダダダッ!

 

 

ダブルエックスは頭部に搭載されたバルカンでミサイルを全て撃ち落とした。

 

 

《CAUTION》

 

 

ダブルゼータがミサイルの爆煙を通り抜けダブルエックスに急接近。

 

 

信助

「これでどうだ!」

 

 

そしてハイパービームサーベルを振り下ろした。

 

 

ガキーン!

 

 

だがダブルエックスもハイパービームソードを装備し受け止めた。

 

 

カナメ

「まだまだよ!」

 

 

2機は距離をとり静止。そしてお互い剣を収納した。

 

 

カナメ

「これで決める!」

 

 

ダブルエックスは全身のリフレクターを展開し、ツインサテライトキャノンを両肩に固定。月からマイクロウェーブが発射され、ダブルエックスに受信された。

 

 

信助

「だったら僕も!」

 

 

ダブルゼータはダブルビームライフルを両手で持ち、ダブルビームライフルと両肩のビームキャノン、さらにハイメガキャノンの照準をダブルエックスに向け、ハイメガキャノンにエネルギーを充填させる。

 

 

カナメ

「ツインサテライトキャノン!!」

 

 

バッシュウウウウウウゥゥゥ!!

 

 

信助

「ハイメガキャノン・フルバースト!」

 

 

バッシュウウウウウウゥゥゥ!!

 

 

ダブルエックスからツインサテライトキャノン、ダブルゼータからハイメガキャノン・フルバーストが同時に発射され、2機の光線は中間でぶつかり合った。

 

 

ドカーン!

 

 

信助・カナメ

「うわあああ!!」

 

 

ドカーン!

 

 

光線は巨大なエネルギーの塊を形成し大爆発。2機は爆発に巻き込まれ破壊された。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

~地球 成層圏~

 

 

サラマンディーネ

「本気で参ります!トランザム!」

 

 

キイィィィィィィンッ!

 

 

サラマンディーネのダブルオークアンタはトランザムを発動。機体が赤に変わった。

 

 

サラマンディーネ

「ソードビット!」

 

 

さらにソードビットを展開し、ストライクフリーダムに接近する。

 

 

アンジュ

「だったらこっちも!スーパードラグーン!」

 

 

アンジュのストライクフリーダムはスーパードラグーンをパージし、スラスターの出力を最大にした。

 

 

アンジュ

「真っ向から突っ込む!」

 

 

ガキーン!ガキーン!

 

 

2機は超高速で辺りを飛び回りながら刃をぶつけ合った。

 

 

サラマンディーネ

「ならば!」

 

 

ダブルオークアンタは一旦距離をとり、GNソードVにソードビットを合体させ、GNバスターライフルを形成した。

 

 

サラマンディーネ

「これで!」

 

 

バッシュウウウウウウゥゥゥ!!

 

 

GNバスターライフルから強力な粒子ビームを発射された。

 

 

アンジュ

「やばっ!」

 

 

ストライクフリーダムは粒子ビームをギリギリで回避。

 

 

ドカーン!

 

 

だがスーパードラグーンは巻き込まれ全て破壊された。

 

 

アンジュ

「だったらこれで!」

 

 

バッシュウウウウウウゥゥゥ!!

 

 

ストライクフリーダムガンダムは高エネルギービームライフル、カリドゥス複相ビーム砲、クスィフィアス3レール砲を一斉発射。

 

 

ドカーン!

 

 

ダブルオークアンタはGNバスターライフルを盾にし攻撃を凌いだ。

 

 

アンジュ

「今!」

 

 

ゴオオオオオオオオオッ!!

 

 

ストライクフリーダムは両手にビームサーベルを装備し、スラスター出力全開でダブルオークアンタに突っ込む。

 

 

サラマンディーネ

「させません!」

 

 

ダブルオークアンタはGNバスターライフルをGNバスターソードに変形させ応戦した。

 

 

ガキーン!

 

 

そして両機の刃が激しくぶつかり合った直後。

 

 

《LOW ENERGY. SYSTEM DOWN.》

 

 

ヒュウウゥゥ…

 

 

ダブルオークアンタとストライクフリーダムは同時に機能を停止した。

 

 

アンジュ

「エネルギー・・・。」

 

サラマンディーネ

「切れですって・・・。」

 

 

《BATTLE END.》

 

 

バトル終了の表記が現れ、バトルシステムは停止。結果は引き分けとなった。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~スタジアム ロビー~

 

 

その後、一同はロビーに移り休憩をとった。

 

 

天馬

「あー楽しかったあー!」

 

信助

「引き分けだったけど、いい勝負だったね。」

 

サラマンディーネ

「感服しましたわ、アンジュ。」

 

アンジュ

「あなたもやるじゃない、サラマンデ。」

 

サラマンディーネ

「サラマンディーネ・・・です。」

 

アンジュ

「エアリアでも、あそこまで白熱した事は滅多に無かったわ。」

 

ナーガ

「エアリア?」

 

タスク

「俺たちの世界で流行しているスポーツさ。」

 

カナメ

「じゃあ、次はそのエアリアで勝負いたしましょう!」

 

アンジュ

「それは無理。エアリアは、マナの光が無いと出来ないから・・・。」

 

 

アンジュの表情が少し暗くなった。

 

 

ゲッコー

「ノーマ・・・マナが使えない、人間ならざる者でしたね?」

 

天馬

「今思えば、凄く歪ですよね。マナを持たないだけで、俺たちノーマと人間に大きな差が有るんですから。」

 

サラマンディーネ

「アンジュ、あなたはそんな歪んだ世界を知りながら、何も思わないのですか?」

 

 

サラマンディーネの問いに、アンジュは答えなかった。

 

 

サラマンディーネ

「私は知っていますよ。あなたが元々皇女として、人々を導く立場にいたことを。世界の歪みを正すのも、指導者としての指名では?」

 

アンジュ

「・・・私はもう皇女じゃない。大体、歪んだ世界でも満足してる人間がいるんだからいいんじゃない。結局、世界を変えたいのはあなた達。私には関係ないわ。」

 

サラマンディーネ

「では、これからどうするのですか?真実を知りながら、何処へも行けず、何もしないつもりですか?」

 

アンジュ

「・・・。」

 

 

ドーン!

 

 

突然、スタジアムを巨大な揺れが襲った。

 

 

天馬

「な、何だ!?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~スタジアム 屋上~

 

 

一同はスタジアムの屋上に上り、外を見た。空は厚い雲に覆われ、辺りには強い風が吹き、アウラの搭の周りに巨大な竜巻が発生していた。

 

 

天馬

「これは・・・。」

 

信助

「どうなってるの!?」

 

 

竜巻はさらに巨大化していき、辺りの建物を次々と瓦礫へ変えていく。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~神殿前~

 

 

一同は神殿へと戻り、サラマンディーネは自身の機体《焔龍號》へと乗り込んだ。

 

 

サラマンディーネ

「カナメは大巫女様に報告!ナーガとゲッコーは皆様を安全なところへ!」

 

アンジュ

「サラマンダー!?」

 

サラマンディーネ

「アンジュ、勝負の続きはいずれ。」

 

 

焔龍號は飛び立ち、都へと向かった。その直後、アンジュ達は各々の機体に乗り込みシステムを起動させた。

 

 

ナーガ

「お前達、何を!?」

 

アンジュ

「ヴィヴィアンを助けに行くのよ!」

 

 

ヴィルキスは飛び立ち、都へと向かう。ペガサス・タイタニアス・タスクも後に続いた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

~都~

 

 

サラマンディーネは都の住人を避難させ竜巻を食い止めようと攻撃していたが、全く効果が無い。

 

 

サラマンディーネ

「どうすれば・・・。」

 

 

『撤退するのじゃ、サラマンディーネ。』

 

 

突然、焔龍號に通信が入った。

 

 

サラマンディーネ

「大巫女様!?」

 

大巫女

『龍神器はアウラ奪還の中心戦力。万が一があってはならぬ。』

 

サラマンディーネ

「民を見捨てろと言うのですか!?私にそんな事は・・・。」

 

大巫女

『これは命令じゃ。』

 

サラマンディーネ

「ですが!!」

 

アンジュ

『何をボケッとしてるのよ!?サラマンドリル!』

 

 

通信にアンジュが割り込んできた。

 

 

サラマンディーネ

「アンジュ!?」

 

 

ヴィルキス・ペガサス・タイタニアスが焔龍號と合流した。竜巻は次々と都と民を飲み込み瓦礫へと変えていく。だが、瓦礫の中には都の物ではない物が紛れていた。

 

 

天馬

「どうなってるの!?」

 

信助

「建物の瓦礫の中に、違う建物の瓦礫が混ざってる!」

 

タスク

「エンブリオだ!エンブリオは、時間と空間を自由に操ることが出来る!俺の父さんも仲間も、あんな風に岩に埋められて死んだんだ!」

 

天馬

「・・・!?みんな、あれ!」

 

 

天馬が都の大通りを指差した。指差した方向にはヴィヴィアンとラミアが居たが、ラミアは下半身が瓦礫の下敷きになり身動きが取れなくなっていた。

 

 

アンジュ

「ヴィヴィアン!」

 

天馬

「信助、タスクさん、ヴィヴィアンさんを助けに!」

 

信助・タスク

「おう!」

 

 

天馬・信助・タスクはヴィヴィアンとラミアの近くに着地し、ヴィヴィアンとラミアの救出に向かった。

 

 

タスク

「ヴィヴィアン!」

 

ヴィヴィアン

「タスク!信助!天馬!」

 

天馬

「今助けます!」

 

 

天馬・信助・タスクは瓦礫を退かそうとしたが、瓦礫はびくともしない。

 

 

タスク

「ダメだ!びくともしない!」

 

天馬

「くそっ!どうすれば・・・。」

 

 

そうこうしているうちに、竜巻は5人の近くへ迫っていた。

 

 

ラミア

「ミィ、あなただけでも逃げなさい・・・。」

 

ヴィヴィアン

「嫌だ!お母さんと一緒じゃなきゃ嫌だ!」

 

ラミア

「ミィ・・・。」

 

天馬

「・・・信助、ここは任せた!」

 

信助

「天馬!?」

 

 

天馬は竜巻に向かって走り出した。

 

 

天馬

「・・・はああああああああっ!」

 

 

天馬は両手を広げて叫び、化身を呼び出した。

 

 

天馬

「魔神ペガサスアーク!」

 

 

ペガサスアークは両手を突き出し、竜巻を受け止めた。

 

 

信助

「そうか!うおおおおおおおおお!!」

 

 

信助は拳を強く握り叫び、化身を呼び出した。

 

 

信助

「護星神タイタニアス!」

 

 

信助はタイタニアスを操り瓦礫を動かした。ラミアは直ぐ抜け出し、ヴィヴィアンを抱き締めた。

 

 

ラミア

「ミィ!」

 

ヴィヴィアン

「お母さん!」

 

信助

「タスクさん、二人を安全なところへ!」

 

タスク

「わかった!」

 

 

信助とタイタニアスは天馬とペガサスアークの援護に向かい、タスクはヴィヴィアンとラミアを連れてその場を離れる。だが・・・。

 

 

ドーン!ガシャーン!

 

 

落雷によって建物が倒壊し、逃げ道を塞いでしまった。

 

 

タスク

「そんな・・・!」

 

 

その頃、上空のアンジュとサラマンディーネは・・・。

 

 

アンジュ

「どうすんのよ!サラマンド!」

 

サラマンディーネ

「事態の原因が分からない以上、どうすることも・・・。」

 

アンジュ

「・・・そうだ!アルゼナルをぶっ飛ばしたアレで竜巻を消せば!」

 

サラマンディーネ

「ダメです!収斂時空砲の破壊力では都はおろか、神殿ごと消滅してしまいます!」

 

アンジュ

「三割引で撃てばいいじゃない!」

 

サラマンディーネ

「そんな都合よく調節できません!」

 

 

ドーン!

 

 

天馬・信助

「どわあああ!」

 

 

突如、天馬と信助の正面に落雷が落ち、二人は吹き飛ばされた。

 

 

タスク

「天馬君!信助君!」

 

 

二人は傷つきながらも立ち上がる。

 

 

信助

「化身のパワーでも抑えられないなんて・・・。」

 

天馬

「こうなったらあれだ!アームド!」

 

ペガサスアーク

『オオオオオオオオオオオ!!』

 

 

天馬が叫ぶと、ペガサスアークは雄叫びと共に藍色のオーラへと姿を変え、天馬の身体を包み込む。そしてオーラが消えると、天馬は白いペガサスの鎧を身に付けていた。

 

 

信助

「よし、僕も!アームド!」

 

 

信助が叫ぶと、タイタニアスも藍色のオーラへと姿を変え、信助の身体を包み込む。そしてオーラが消えると、信助はタイタニアスを模した鎧を身に付けていた。

 

 

タスク

「化身が・・・!」

 

ヴィヴィアン

「鎧になった!?」

 

天馬・信助

「いくぞ!」

 

 

天馬は両手に気を溜め、巨大な右手と左手のオーラを出現させ突き出す。

 

 

天馬

「《ゴッドハンドW》!!」

 

 

信助は頭の上で両手を合わせ、背後に手のオーラをいくつも作り出す。そして手のオーラを伸ばして張り付ける。

 

 

信助

「《ムゲン・ザ・ハンド》!!」

 

 

天馬のゴッドハンドWと信助のムゲン・ザ・ハンドは竜巻を受け止めた。

 

 

 

アンジュ

「・・・そうだわ、あなたが撃ったのを、私が打ち消せばいいのよ!!あの時みたいに!!」

 

サラマンディーネ

「ぶつけ合う?ですがそんなやり方・・・。」

 

アンジュ

「どんなやり方でも、それしか方法が無いでしょ!?」

 

サラマンディーネ

「ですが!」

 

アンジュ

「あなたお姫様なんでしょ!?危機を止めて民を救う、それが上に立つ者の使命よ!!」

 

天馬

「アンジュさんの言うとおりだ!民を救えないで、世界を救うなんて出来る訳がない!僅かな可能性でもそれしか方法が無いのなら、考え悩むより先に行動するんだ!」

 

サラマンディーネ

「・・・分かりました!参りましょう!」

 

 

焔龍號とヴィルキスは共にアサルトモードに姿を変え、竜巻へと突っ込んだ。

 

 

サラマンディーネ

「~♪」

 

 

サラマンディーネはアルゼナルを破壊した時と同じ歌を歌う。

 

 

キイィィィィィィンッ!

 

 

すると、サラマンディーネの歌と共鳴するかの様に焔龍號のボディが金色に変わり、肩の装甲が変形した。

 

 

アンジュ

「~♪」

 

 

アンジュはタイミングをずらし永遠語りを歌い始める。

 

 

キイィィィィィィンッ!

 

 

アンジュの指輪とコックピットのディスプレイが光り出し、徐々にヴィルキスのボディが金色に変わり、肩の装甲が変形した。

 

 

バッシュウウウウウウゥゥゥ!!

 

 

焔龍號は収斂時空砲を竜巻に向けて発射。その少し後にヴィルキスが収斂時空砲を竜巻に向けて発射。

 

 

ピカアアアァ!

 

 

2機の収斂時空砲がぶつかった瞬間、辺りは強い光に包まれた。そして光がおさまると、竜巻は消え、厚い雲が晴れて青空が広がっていた。

 

 

天馬

「・・・終わった?はぁ~…」

 

信助

「助かったぁ~…」

 

 

天馬と信助は安心し、その場に腰を下ろした。

 

 

アンジュ

「みんな!」

 

 

二人の前にヴィルキスと焔龍號が着陸し、アンジュとサラマンディーネが姿を見せた。

 

 

天馬

「アンジュさん!」

 

タスク

「アンジュ!」

 

 

アンジュはヴィルキスから下り、駆け寄った。

 

 

アンジュ

「良かった、無事だったのね。」

 

サラマンディーネ

「・・・アンジュ。」

 

 

サラマンディーネはアンジュを呼び、アンジュは振り向いた。

 

 

サラマンディーネ

「あなたとあなたの御友人のおかげで、民は救われました。感謝します。」

 

アンジュ

「友達を助けただけよ。」

 

サラマンディーネ

「ですが、まさかあの歌に助けられるとは・・・。」

 

ヴィヴィアン

「アンジュの歌、知ってるの?」

 

サラマンディーネ

「はい、あの歌はかつてエンブリオがこの星を滅ぼした歌。あの歌を何処で?」

 

アンジュ

「お母様が教えてくれたの。どんな時でも、進むべき道を照らすようにって。」

 

サラマンディーネ

「私達と同じですね。あの歌は、アウラが教えてくださった歌なのです。」

 

アンジュ

「そうだったんだ。」

 

サラマンディーネ

「・・・なんて愚かだったのでしょう。あなた方を私の所有物にだなんて・・・。みんなを守り危機を止める。指導者とは、そう有らねばならないと教えられました。」

 

天馬

「サラマンディーネさん・・・。」

 

サラマンディーネ

「私、あなた方の友達になりたい。共に学び、共に歩く友人に。」

 

アンジュ

「・・・長いのよね。サラマンデンデンって。」

 

サラマンディーネ

「えっ?」

 

アンジュ

「"サラ子"って呼んでいいならいいけど?」

 

サラマンディーネ

「・・・では私も、あなたのことはアン子と。」

 

アンジュ

「それは駄目。」

 

信助

「ハハハハハハハッ!」

 

 

二人のやり取りを見て、信助は爆笑した。タスク・ヴィヴィアン・ラミアもつられて笑ったが、天馬だけが笑わなかった。

 

 

アンジュ

「天馬、どうしたの?」

 

天馬

「・・・みんな、助けられなかった・・・。」

 

 

天馬は暗い表情で瓦礫と化した都とアウラの搭を見ていた。すると・・・。

 

 

キーン!キーン!

 

 

天馬・信助

「えっ?」

 

 

突然、天馬と信助の鎧が光り出した。

 

 

キイィィィィィィンッ!

 

 

二人の鎧は強い光を放ち、一同は思わず目を瞑った。そして光がおさまると、二人の鎧は消えていた。

 

 

天馬

「あれ?アームドが・・・っ!?」

 

 

辺りを見た一同は目を疑った。

 

 

サラマンディーネ

「これは・・・。」

 

 

倒壊した建物とアウラの搭は竜巻が起こる前の状態に戻り、瓦礫に埋もれた人々もまるで何事も無かったかの様に立っていた。

 

 

ラミア

「いったい、何が・・・。」

 

ヴィヴィアン

「街も人も元に戻ってる!」

 

 

「これは・・・。」

 

 

一同の後方からあまり聞き覚えの無い声が聞こえてきた。振り替えるとそこにはナーガとカナメ、そして巫女服を身に付けた赤い瞳と薄紫色の髪の小柄な少女がいた。

 

 

天馬

「あの子、誰だろう?」

 

サラマンディーネ

「大巫女様!」

 

アンジュ

「えっ?この人が?」

 

 

天馬・アンジュ・信助・タスクは驚き、大巫女様は天馬と信助に目を向けた。

 

 

大巫女

「天馬の巨人と雷の護星神。各々の巨人の力を持つ少年。そして先程の、時を戻し世界を修復する力。やはり・・・。」

 

サラマンディーネ

「大巫女様、まさか!?」

 

大巫女

「うむ、我らの地に伝わる"伝説の五大巨人"の力とみて間違い無かろう。」

 

 

大巫女様の一言に、サラマンディーネ・ナーガ・カナメ・ラミアは驚いた。

 

 

天馬

「伝説の、五大巨人?」

 

 

To Be Continued…




~次回予告~


ヴィヴィアン
「ここでクイズです!次回、天馬が新しい武器を手に入れるんだけど、それってな~んだ?」

アンジュ
「武器?剣かしら?」

タスク
「槍とか?」

信助
「弓矢だったりして。」

天馬
「武器かぁ。手に入れても使いこなせる自信ないなぁ。」

アンジュ
「何で?」

天馬
「俺、不器用ですから・・・。」

アンジュ
「なにサラッと上手いこと言ってんのよ!!」

サラマンディーネ
「次回、《伝説の五大巨人》ですわ。では皆さん、また次回に。」

アンジュ
「サラッと締めてんじゃないわよサラ子!!」

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