クロスアンジュ LIGHTNING EDITION ~天使とドラゴンと五人の巨人使い~   作:ヒビキ7991

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Ep.11/再会と裏切りの我が故郷《前編》

~エンデラント連合 無人駅~

 

 

アンジュ達と別れたヒルダ・剣城・ナオミは、エンデラント連合とローゼンブルム王国の国境付近にある無人駅を訪れた。

 

 

ヒルダ

「本当に、ここでいいのか?」

 

ナオミ

「はい、ここからは私一人で大丈夫です。」

 

ヒルダ

「そっか、気を付けなよ。」

 

ナオミ

「ありがとうございました。」

 

 

ブオオオオオオオォォ

 

 

ヒルダと剣城は無人駅にナオミを残しその場を去った。その後、ナオミは無人駅に停車していた貨物列車に乗り込んだ。

 

 

ナオミ

(お父さん、お母さん、待っててね。)

 

 

ピー!

 

 

ゴトン……ガタンゴトン……ガタンゴトン……

 

 

ナオミの乗る貨物列車はゆっくりと駅を出発した。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~ミスルギ皇国 ガルーダシティ~

 

 

その日の夕方、アンジュ・天馬・モモカ・ココは、ミスルギ皇国の郊外にある町、ガルーダシティの川にかかる橋の下にいた。

 

 

ココ

「今のところ、気付かれてはいないみたいです。」

 

アンジュ

「OK、ありがとう。」

 

 

ココと天馬は見張りを担当し、アンジュとモモカは武器の手入れをしていた。が、モモカはライフルを抱いて眠っている。

 

 

天馬

「・・・アンジュさん。」

 

アンジュ

「何?」

 

天馬

「アンジュさんが・・・いや、アンジュリーゼ様がノーマとして連行された日って、何か大事な日だったんですか?」

 

アンジュ

「・・・その日はね、私の16歳の誕生日だったの。」

 

ココ

「アンジュ様の誕生日?」

 

アンジュ

「ええ。パレードの後、あの暁ノ御柱で洗礼の儀を受けていたときに、お兄様から私がノーマだと国民全員に暴露された。私はお母様と共に暁ノ御柱から脱出しようとしたけど、あと少しというところで私は警官隊に捕まり、お母様は私を守ろうとして銃撃され命を落とした・・・。私がノーマだったから、お母様は死んでしまった・・・。」

 

 

アンジュの目から一滴の涙が零れた。

 

 

天馬

「・・・助けましょう!必ず、シルヴィア様を!」

 

アンジュ

「ええ!」

 

 

 

アンジュはふと、夕焼け空を見た。

 

 

アンジュ

「お母さんに会えたかな、ヒルダ…」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~エンデラント連合 中心街~

 

 

ジリリリリリリリッ!

 

 

夜、ヒルダと剣城はエンデラント連合の中心街にある洋服店に忍び込み泥棒を働いた。

 

 

ガシャーン!

 

 

二人は店の窓を割り、警察に見つからないように路地へと逃げ込む。そして直ぐさまR34で街を離れた。

 

 

剣城

「こんなもの盗んで、いったいどうするんですか?」

 

 

二人が盗んだのは、ピンク色の服とスカート。

 

 

ヒルダ

「ママに、アタシを思い出してもらおうと思ってさ。いきなり行っても、多分わからないだろうから…」

 

剣城

「ヒルダさん…」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~ミスルギ皇国 鳳凰院~

 

 

その頃、アンジュ・モモカ・天馬・ココは鳳凰院にいた。

 

 

アンジュ

「私とモモカが、中に入ってエアバイクを盗んでくる。二人はここで、私達が来るのを待ってて。」

 

天馬

「わかりました。」

 

 

モモカは校舎の勝手口を開け、アンジュとモモカは校舎に侵入した。するとその直後・・・。

 

 

「よう、ちょっといいか?」

 

 

天馬とココの前に、ピンクじみたマゼンタと黒と白のボディに、グリーンの複眼とバーコード状の縞々フェイスの仮面の男が現れた。

 

 

天馬

「だ、誰だ!?」

 

???

「落ち着け。捕って食ったりはしない。」

 

 

男はゆっくりと二人に近づく。

 

 

???

「俺の名前は、《仮面ライダーディケイド》。ただの通りすがりの仮面ライダーだ。」

 

ココ

「仮面・・・ライダー?」

 

天馬

「ディケイド?」

 

ディケイド

「状況は大体わかった。お前たち、あそこに向かおうとしてるんだろ?」

 

 

ディケイドは向こうに見える暁ノ御柱を指差した。天馬とココは考えが読まれたことに驚いた。

 

 

天馬

「なんで、あなたがその事を!?」

 

ディケイド

「だから大体わかったと言っただろ?」

 

 

すると、ディケイドは左腰の《ライドブッカー》から二枚のカードを取り出し、腹部に装着してあるベルト、《ディケイドライバー》にセットした。

 

 

《ATTACK RIDE『AUTOVAJIN』!》

 

《ATTACK RIDE『MACHINE TORNADER』!》

 

 

すると、二人の前にシルバーのオフロードバイクと、赤色と金色の中型ツアラーバイクが現れた。

 

 

ディケイド

「マシントルネイダーとオートバジンだ。貸してやる。」

 

天馬

「えっ?」

 

 

《ATTACK RIDE 『INVISIBLE』!》

 

 

ディケイド

「じゃあな、少年。」

 

 

ディケイドは手を振りながらその場から姿を消した。すると、ガレージからアンジュとモモカがエアバイクに乗って現れた。

 

 

モモカ

「お待たせしました!」

 

 

アンジュとモモカはすぐ、マシントルネイダーとオートバジンの存在に気づいた。

 

 

アンジュ

「そのバイク、どうしたの?」

 

ココ

「その・・・ディケイドっていう、仮面の方が出してくれたんです。」

 

天馬

「詳しい事は、移動中にします。」

 

アンジュ

「いいけど、私達は水路を通るのよ?こんなバイクじゃ・・・。」

 

 

ガシャンガシャンガシャン!

 

 

突然、オートバジンとマシントルネイダーが変形し、オートバジンは人形のバトルモードに。マシントルネイダーは空中飛行可能なスライダーモードに変形した。

 

 

ココ

「へ、変形した!」

 

天馬

「どうなってるの・・・?」

 

 

すると、オートバジンは天馬に背を向けしゃがみこんだ。

 

 

天馬

「君に、乗れってこと?」

 

オートバジン

『・・・。』

 

 

オートバジンは頷いた。天馬は恐る恐るオートバジンの背中に乗ると、オートバジンは足のスライダーを起動し飛んだ。

 

 

天馬

「と、飛んだ!?」

 

 

すると、今度はココがマシントルネイダーに乗った。するとマシントルネイダーの前後の車輪が回転し、マシントルネイダーは宙に浮いた。

 

 

ココ

「凄い!浮いた!」

 

アンジュ

「何がどうなってるの・・・?」

 

モモカ

「と、とりあえず行きましょう・・・。」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~中心街 水路~

 

 

四人は水路に沿って皇宮へと向かう。

 

 

アンジュ

「いきなり現れて、バイクを呼び出して消えた・・・。」

 

モモカ

「仮面ライダーディケイド・・・。」

 

天馬

「少なくとも、俺達にこうやってマシンを貸してくれましたから、敵ではないと思うんですが・・・。」

 

アンジュ

「詳しく考えるのは後よ。今は急いで、皇宮に向かわないと。」

 

 

天馬とココからは、アンジュの表情が少し暗く見えた。

 

 

ココ

「・・・何かあったんですか?」

 

アンジュ

「・・・ガレージで、皇女時代の友達に会ったの。私は、ここに来たことは秘密にしておいてほしいって頼んで、彼女は了承してくれた。でも、彼女は約束を破った・・・。」

 

モモカ

「アンジュリーゼ様・・・。」

 

アンジュ

「別によかったのよ。分かってたから・・・。」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~皇殿 西側~

 

 

四人は皇殿の西側にやって来た。

 

 

アンジュ

「皇殿の中に入ったら、二人とも私についてきて。」

 

天馬・ココ

「はいっ!」

 

モモカ

「いきます!」

 

 

モモカはエアバイクを操作し、塀を飛び越え皇殿の敷地内に侵入。天馬のオートバジンとココのマシントルネイダーも後に続く。

 

 

アンジュ

「左へ!」

 

 

アンジュはモモカに指示を出し、二人は森の中へと侵入。天馬とココも後に続いた。

 

 

モモカ

「あの、いいんですか?どんどん皇宮から離れていきますけど…」

 

アンジュ

「大丈夫よ。」

 

 

すると、前方に大勢の警官と5台のパトカーが道を塞いでいた。

 

 

ココ

「待ち伏せ!?」

 

天馬

「オートバジン、頼む!」

 

オートバジン

『・・・!』

 

 

ダダダダダダダダダダッ!

 

 

オートバジンは左腕のシールドを回転させ無数の弾丸を放つ。弾丸はパトカーに命中し、パトカーは爆発・炎上。四人は炎の中を通り突破。警官達は他のパトカーに乗り込み四人を追いかけた。

 

 

アンジュ

「ったく、しつこいんだから!」

 

 

ダダダダダダダダダダッ!

 

 

アンジュはマシンガンでパトカーを攻撃するが、マナの障壁で防がれてしまう。

 

 

アンジュ

「やっぱりマナの光相手じゃダメか…」

 

天馬

「だったら!」

 

 

天馬はオートバジンの左ハンドルグリップを抜き取り、赤いフォトンブラッドの刃を持つ剣、《ファイズエッジ》を装備した。

 

 

《READY…》

 

 

ファイズエッジにエネルギーが充填され、フォトンブラッドの刃が赤く輝く。そして赤いエネルギーの刃をパトカーに向けて放った。パトカーは縦に真っ二つに切断され爆発した。

 

 

天馬

「よしっ!」

 

 

だが、今度は前方に輸送機と共に複数の兵隊が姿を現した。兵隊達はアンジュにネットガンを向け構えた。天馬とオートバジンはアンジュの前に移り、天馬はファイズエッジを構えた。

 

 

《READY…》

 

 

ドーン!ドーン!ドーン!

 

 

天馬

「やらせない!」

 

 

天馬はファイズエッジで次々放たれるネットを切断。その隙に、ココが輸送機の右エンジンに手榴弾を投げた。

 

 

ドカーン!

 

 

手榴弾はエンジンの中に侵入し爆発。輸送機はエンジンから火を吹き墜落した。

 

 

ココ

「やった!」

 

 

すると、前方に水路と小さな滝が見えてきた。

 

 

アンジュ

「あそこに突っ込んで!」

 

モモカ

「はいっ!」

 

 

アンジュの指示に従い、モモカ・天馬・ココは滝へと突っ込んだ。

 

 

バシャーン!バシャーン!バシャーン!

 

 

四人は滝の向こうに消え、警官達は滝の前にパトカーを止めた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~隠し通路~

 

 

一方、アンジュ達は・・・。

 

 

天馬

「うわぁ。」

 

ココ

「隠し通路ですか。」

 

アンジュ

「あとは道なりに進むだけ。そうすれば皇宮の正面に出られるわ。」

 

モモカ

「知りませんでした。こんな抜け道があったなんて…」

 

アンジュ

「皇族だけが知ってる通路よ。夜遊びに行くとき、よく使ったっけ?」

 

モモカ

「そうなんですか?」

 

天馬

「て言うか、皇女でも夜遊びとか行くんですね…」

 

ココ

「ね…」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~皇宮 正面~

 

 

三人は隠し通路を抜け、皇宮の正面に出た。

 

 

天馬

「皇宮だ!」

 

 

四人はマシンを降りて入り口へと向かう。だが、入り口の前では2台の装甲車と複数の兵隊が待ち構えていた。

 

 

ココ

「また待ち伏せ!?」

 

 

「お姉様!」

 

 

突然、2階から声がした。2階には、兵隊達に拘束されたシルヴィアの姿があった。

 

 

アンジュ

「シルヴィア!」

 

シルヴィア

「アンジュリーゼお姉様!助けてください!」

 

 

アンジュ

「シルヴィアを・・・放しなさい!」

 

 

ダダダダダダダダダダッ!

 

 

アンジュとココは地上の装甲車に向けてマシンガンを乱射し、兵隊達の動きを封じる。

 

 

《READY…》

 

 

天馬

「でりゃあ!」

 

 

その隙に天馬がファイズエッジからエネルギーの刃を放ち、装甲車を破壊した。

 

 

ダダダダダダダダダダッ!

 

 

さらに2階に向けてマシンガンを乱射し、シルヴィアを拘束する兵隊を追い払った。

 

 

アンジュ

「シルヴィア、おいで!」

 

シルヴィア

「は、はい!」

 

 

シルヴィアはマナの光で車椅子を操り、笑顔でアンジュ達の前に降りた。だがその時、天馬はシルヴィアの右手に銀色の刃を見た。シルヴィアは右手をアンジュ目掛けて伸ばす。

 

 

《READY…》

 

 

キーン!

 

 

天馬はファイズエッジをアンジュの前に突き出し、シルヴィアのナイフを弾き飛ばした。

 

 

アンジュ

「・・・っ!?」

 

天馬

「はぁ…はぁ…」

 

シルヴィア

「邪魔をしないで!」

 

 

シルヴィアは右手首を抑え天馬を睨んだ、シルヴィアからは笑顔が消え、その目はまさに敵を見る目だった。

 

 

アンジュ

「シルヴィア…」

 

シルヴィア

「馴れ馴れしく呼ばないで!あなたなんて、姉でも何でもありません!この化け物!!」

 

アンジュ・天馬・モモカ・ココ

「っ!?」

 

 

アンジュ・天馬・モモカ・ココは驚愕した。アンジュを限りなく愛していたハズのシルヴィアが、実の姉を化け物と呼んだことに。

 

 

シルヴィア

「どうして?どうして生まれて来たのですかぁ?あなたさえ生まれてこなければ、お父様もお母様もお兄様も私も、みんな幸せだった。あなたがいなければ、私が歩けなくなることも、お母様が死ぬこともなかった。あなたが全部奪って、壊したんです・・・。

 

 

お母様を返して!この化け物!大ッッキライ!!」

 

 

シルヴィアは叫び、アンジュは絶望し膝を落とした。すると、2階から兵隊がネットガンを放ち、アンジュ・天馬・モモカを捕らえた。

 

 

天馬

「こんなもの!」

 

 

天馬はファイズエッジでネットを切断しようとする。

 

 

シュウウゥゥ~…

 

 

だが突然、ファイズエッジとオートバジン、さらにマシントルネイダーが消えた。

 

 

天馬

「そんな・・・。」

 

 

「無様な姿だな。落ちぶれ果てた皇女殿下の、哀れな末路に相応しい。」

 

 

すると、シルヴィアの後ろから一人の男が現れた。

 

 

モモカ

「ジュリオ様…」

 

アンジュ

「お兄様…」

 

ジュリオ

「そうそう、その間抜け面が見たかったのだよ。」

 

天馬

「まさか、全部あなたが仕組んだんですか!?」

 

ジュリオ

「そう。最愛の妹の危機を餌に誘き寄せ捕らえる。お前達は見事に、私の仕掛けた罠にはまったのさ。」

 

ココ

「あ…あ…」

 

 

ココは後退りし、その場を離れようとした。

 

 

ジュリオ

「どうやら、捕え損ないがあったようだ。」

 

 

ジュリオは兵隊数名をココの確保に向かわせた。

 

 

天馬

「ココさん、逃げて!」

 

ココ

「は、はいっ!」

 

 

ココは急いでその場を離れようとしたその時・・・。

 

 

ドシーン!

 

 

ココ

「っ!?」

 

 

ココの目の前に、一体のロボットが現れた。ロボットはパラメイルの倍以上のサイズで、パラメイルとは異なるボディ形状をし、ボディを白と青で統一され、クリアグリーンの目と額には金色の二本角。さらにボディの至るところにクリアグリーンに輝くビームの刃を装備していた。

 

 

兵隊

「な、なんだこれは!?」

 

天馬

「あれは、ロボット?」

 

アンジュ

「でも、パラメイルとは違う。」

 

 

キイィィィィィィンッ!

 

 

突然、ロボットのビームの刃が強く光りだし、ロボットとココは光に包まれた。そして光が消えると、ココとロボットは姿を消していた。

 

 

シルヴィア

「今のはいったい…」

 

ジュリオ

「分からん。だがそんな事はどうでもいい。ついにアンジュリーゼを捕らえることが出来たのだからな。フハハハハハハハッ!ハーハッハッハッハー!!」

 

 

深夜の皇殿に、ジュリオの気高い笑い声が響き渡った。

 

 

 


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