クロスアンジュ LIGHTNING EDITION ~天使とドラゴンと五人の巨人使い~   作:ヒビキ7991

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Ep.10/アルゼナル脱走計画

~ビーチ フェスタ会場~

 

 

ある晴れた日のこと、ビーチではアルゼナル恒例、年に1度だけの公休兼お祭りである《マーメイド・フェスタ》が開催されていた。会場では様々な屋台や露店が軒を列ね、映画館にエステ、さらに豚レースやメリーゴーランド等のアトラクションが設置され、さらにメリーゴーランドの近くでは二人のペロリーナが子供達に風船を配っていた。ノーマ達は色とりどりの水着姿をしていた。

 

 

アンジュ

「これがフェスタ?」

 

サリア

「年に1度だけ、人間達が私達ノーマに休みを与えてくれた日よ。」

 

ミランダ

「明日までは一切の訓練は免除。私達ノーマにとっては、たった1日だけのお祭りなの。」

 

ゾーラ

「過酷な明日を生き抜くための、希望の1日なんだ。」

 

天馬

「でも、何でみんな水着なんですか?」

 

ココ

「伝統です。制服とライダースーツでは、息が詰まるからと。」

 

ナオミ

「なるほど。」

 

アンジュ

「けどさサリア、あんた恥ずかしくないの?」

 

サリア

「なっ!?」

 

 

サリアは咄嗟に自分の胸をおさえた。

 

 

アンジュ

「そうじゃなくて、水着でいることがよ…」

 

 

ちなみに天馬達男性陣はいつも通りのユニフォーム、モモカはいつも通りのメイド服姿である。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~指令部~

 

 

オリビエ

「むっすぅ・・・。」

 

 

そして皮肉なことに、緑髪の新米少女オペレーター《オリビエ》は指令部で1人留守番を任されていた。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~別荘~

 

 

その頃、フェスタ会場の近くに設けられた別荘では、アンジュとは異なる金髪カールと水色の瞳の少女、ローゼンブルム王国王女、《ミスティ・ローゼンブルム》がエマと会談していた。

 

 

エマ

「ようこそおいでくださいました、ミスティ・ローゼンブルム妃殿下。」

 

ミスティ

「アルゼナルの管理運営は、我がローゼンブルム家の責務ですから。

 

・・・ところで、こちらにミスルギ皇国第一皇女のアンジュリーゼ様がいらっしゃると伺ったのですが・・・。」

 

エマ

「そ、その様な者、ここには…」

 

ミスティ

「では探してください。どうしても、会いたいんです。」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~フェスタ会場~

 

 

一方、アンジュ・天馬・モモカ・ナオミ・ココ・ミランダはパラソルの日陰で休んでいた。近くにはペロリーナの着ぐるみが置いてある。

 

 

ロザリー

「いっけええ豚骨インパクトォォ!」

 

 

豚レース会場ではロザリーが金を掛けた豚を応援し、クリスはヒルダを探し・・・

 

 

エルシャ

「はあぁぁぁ…」

 

 

エルシャはエステでマッサージを受け・・・

 

 

パンッ!

 

 

ゾーラ

「よし、ジュースゲット!」

 

霧野

「次は俺だ!」

 

信助

「負けませんからね!」

 

 

 

 

霧野・信助・ゾーラは射的で勝負し・・・

 

 

サリア

「う、ううぅぅ…」

 

神童

「・・・。」

 

 

神聖とサリアは映画観賞

 

 

ヴィヴィアン

「たこ焼き超ウマ!」

 

メイ

「よく食べるなぁ、ヴィヴィアンは。」

 

 

ヴィヴィアンとメイは屋台を食べ歩き・・・

 

 

ヒルダ

「・・・。」

 

剣城

「さっきから何を探してるんですか?」

 

ヒルダ

「えっ?ああ、ちょっとな…」

 

 

そしてヒルダと剣城は共にフェスタ会場をうろうろしていた。

 

 

モモカ

「賑やかですねぇ。」

 

アンジュ

「ええ、鳳凰院の学園祭を思い出すわ。」

 

天馬

「鳳凰院?」

 

ナオミ

「ミスルギ皇国にある名門学院ですよね?確かエアリアで有名だったような・・・。」

 

ココ

「エアリアって何ですか?」

 

アンジュ

「二人一組でタンデム式のエアバイクに乗って、一人は操縦、一人はラクロスに似たスティックを振るってボールを奪い合い、ボールを相手チームゴールのサークル内に入れてポイントを競う競技よ。」

 

ミランダ

「何だか楽しそうね。」

 

アンジュ

「でも、エアバイクを動かすにはマナの光が必要なの。だから私達ノーマじゃ、エアリアは出来ないわ。」

 

ココ

「そうですか…」

 

 

すると・・・。

 

 

モモカ

「あっ、通話です!」

 

アンジュ

「シルヴィア!?」

 

モモカ

「いえ、エア監察官さんからです。」

 

アンジュ

「あ、そう…」

 

 

モモカは回線を開き通話を始めた。

 

 

モモカ

「はい、モモカです。・・・えっ?・・・わ、わかりました。」

 

 

モモカは回線を切断した。

 

 

モモカ

「アンジュリーゼ様にお会いしたい方がいらっしゃるそうです。」

 

アンジュ

「私に?誰?」

 

モモカ

「ミスティ様だそうです。」

 

アンジュ

「ミスティって、もしかしてミスティ・ローゼンブルム?」

 

天馬

「知り合いですか?」

 

アンジュ

「ええ。ローゼンブルム王国の王女で、私が皇女アンジュリーゼだったときの知り合い。」

 

モモカ

「何でも、今回の慰問団の代表なのだとか。ぜひとも一目・・・。」

 

アンジュ

「会ってどうするの?笑い者にでもしたいわけ?」

 

モモカ

「そ、それは・・・。」

 

 

すると、アンジュは椅子から立ち上がり、近くにあったペロリーナの着ぐるみを着た。

 

 

A.ペロリーナ

「悪いけど、面倒だから消えるわ。あなた達が側にいると直ぐにバレるから、近づかないでね。」

 

 

そういうと、ペロリーナはその場を去った。

 

 

モモカ

「ペロリーナ様…」

 

 

その後、残された四人はフェスタ会場内を回っていたが、途中エマにアンジュを探すように指示を受け、手分けしてアンジュ捜索に向かった。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~メリーゴーランド~

 

 

一方、ペロリーナの着ぐるみを着たアンジュはメリーゴーランドの側にいた。

 

 

A.ペロリーナ

(暑い…蒸れる…酸っぱい……ん?)

 

 

アンジュはふと、一頭の木馬に乗る少女の姿が目に入った。すると・・・。

 

 

ガシャン!

 

 

少女

「きゃああ!」

 

A.ペロリーナ

(っ!?)

 

 

突然、少女の乗る木馬が外れ倒れ、少女が投げ出された。その光景を見たアンジュは、咄嗟に安全柵から身をのり出し少女を受け止めた。

 

 

A.ペロリーナ

「はぁ…はぁ…だ、大丈夫ペロ?」

 

少女

「う、うん。ありがとう、ペロリーナ!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~デッキ~

 

 

その後、アンジュはデッキの日陰で横になり涼んでいた。

 

 

アンジュ

「涼しい~…」

 

天馬

「あっ、いたいた!」

 

 

するとそこへ天馬がやって来た。

 

 

アンジュ

「あら天馬。」

 

天馬

「ここに居たんですか。エマ監察官さん、カンカンになってアンジュさんを探してましたよ。」

 

アンジュ

「知ったこっちゃ無いわよ。」

 

天馬

「もう…」

 

 

天馬は少し呆れながらアンジュの側に腰を下ろした。

 

 

天馬

「・・・1つ、聞いてもいいですか?」

 

アンジュ

「なに?」

 

天馬

「シルヴィア様って、確か車椅子に乗ってたと思うんですけど、生まれつき足が悪かったんですか?」

 

アンジュ

「・・・シルヴィアの足はね、私が動けなくしたの。」

 

天馬

「えっ?」

 

アンジュ

「もう1年か2年くらい前になるんだけど、私がシルヴィアを馬に乗せて遠乗りに出掛けてた時、シルヴィアが馬から落ちて怪我をしてしまったの。それ以降、シルヴィアは車椅子の生活になってしまったの…」

 

天馬

「そんなことが…」

 

アンジュ

「私は、あの子から自由を奪ってしまった。だから、私が守らなくちゃいけない。でも…」

 

天馬

「・・・。」

 

 

天馬はゆっくりと立ち上がった。

 

 

天馬

「シルヴィア様を助けに行きましょう。」

 

アンジュ

「どうやって?脱走するにしても、シンギュラー反応が無い限り明日までパラメイルは飛ばせないし、第一パラメイルの燃料を満タンにしても陸までたどり着けないわ。」

 

天馬

「1つだけ、方法があります。」

 

アンジュ

「方法?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天馬

「ミスティ様に、協力を依頼するんです。」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~居住区~

 

 

その頃、モモカは両手にジュースを持ってアンジュ(ペロリーナ)を探していた。

 

 

モモカ

「ペロリーナ様~、どちらですか~?・・・ペロリーナ様、脱水症状になってなければいいのですが…」

 

 

すると、モモカはヒルダと会った。

 

 

ヒルダ

「よう、モモカ。」

 

モモカ

「あれ?今日はヒルダさん御一人ですか?」

 

ヒルダ

「まあな。それよりも・・・。」

 

 

カチャ

 

 

ヒルダはモモカに銃を向けた。

 

 

モモカ

「っ!?」

 

ヒルダ

「ちょっと付き合ってくれる?」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~別荘~

 

 

一方、ミスティはアンジュが来るのを待っていた。

 

 

『だ、誰だお前は!?』

 

 

ドカッ! ゴンッ!

 

 

突然、ドアの向こうで殴るような鈍い音が聞こえてきた。

 

 

ガチャッ

 

 

ドアが開き、アンジュと天馬がやって来た。

 

 

アンジュ

「会いに来てあげたわよ、ミスティ。」

 

 

ミスティはかつてのアンジュリーゼの面影を見た。

 

 

ミスティ

「まさか、アンジュリーゼ様!?」

 

アンジュ

「久しぶりね、ミスティ。」

 

 

アンジュはソファーに腰を下ろし、ミスティは天馬に目を向けた。

 

 

天馬

「初めまして、ミスティ様。」

 

ミスティ

「あなたは?」

 

天馬

「俺は天馬。アンジュさんの友達です。」

 

アンジュ

「それで、私に何か用?」

 

ミスティ

「ずっと・・・ずっと、お会いしたいと思っていました。アンジュリーゼ様に。信じられませんでした・・・。私の永遠の憧れ、アンジュリーゼ様がノーマだったなんて・・・何かの間違いよ!」

 

アンジュ

「・・・私はノーマ、それが真実で全てよ。これじゃ納得できない?」

 

ミスティ

「えっ?い、いえ…」

 

アンジュ

「よかった。じゃあ今度は、私達のお願い聞いてくれる?」

 

ミスティ

「脱走を手伝ってほしい・・・ですか?」

 

アンジュ・天馬

「・・・っ!?」

 

 

アンジュとは自分達の考えを読まれたことに仰天し、ミスティはそのリアクションを待っていたかのように微笑んだ。

 

 

ミスティ

「もちろん、協力させていただきます。アンジュリーゼ様には、どうしてもミスルギ皇国へ行っていただかなければなりませんから。」

 

アンジュ

「どうして・・・?」

 

ミスティ

「ミスルギ皇室の方々を御助けするためです。」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~フェスタ会場~

 

 

その頃、ココとミランダとナオミは未だにアンジュを探していた。

 

 

ココ

「アンジュ様、何処に行ったのかしら?」

 

ミランダ

「もしかして、フェスタ会場には居ないのかな?」

 

 

すると、三人はゾーラに会った。

 

 

ゾーラ

「ようお前ら。ヒルダのやつ見てねぇかい?」

 

ココ

「ゾーラ隊長。」

 

ミランダ

「いえ、見てないですけど・・・。」

 

ゾーラ

「あいつ、フェスタの大運動会は毎年欠かさず出てんのに、今年は何故か大運動会に出てないんだ。」

 

ナオミ

「私達はアンジュさんを探してるんですが・・・。」

 

ゾーラ

「・・・あいつ、もしかしたら・・・。」

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~ジャスミン・モール~

 

 

一方、アンジュ・ミスティ・天馬は無人のジャスミン・モールで銃や手榴弾等を大量に買い占めていた。番犬のバルカンはハンバーガーで足止めしてある。

 

 

アンジュ

「処刑!?」

 

ミスティ

「はい。国民を欺いた罪で、ミスルギ皇室の方々はいずれ・・・。」

 

天馬

「じゃあ、まさかシルヴィア様も…」

 

アンジュ

「・・・急がなくちゃ!」

 

 

アンジュは大量の札束をデスクに起き、三人は武器をカートに積めてデッキに向かった。だがデッキに到着すると、ローゼンブルム王家専用輸送機の近くにヒルダとモモカがいた。

 

 

アンジュ

「モモカ!?」

 

モモカ

「アンジュリーゼ様に天馬さん。それにミスティ様!?」

 

天馬

「どうして、ヒルダさんと?」

 

モモカ

「ヒルダさんが、"脱走するからこの船を飛ばせ"と…」

 

アンジュ

「脱走?何で?」

 

ヒルダ

「アンタには関係無いだろ?」

 

 

ヒルダはアンジュに拳銃を向け、アンジュはヒルダにマシンガンを向け構えた。

 

 

アンジュ

「悪いけど、させないわ。」

 

ヒルダ

「へぇ、止めるってのかい?」

 

ミスティ

「この輸送機は、私達が使うからです。」

 

ヒルダ

「はぁ!?」

 

モモカ

「まさか、シルヴィア様を!?」

 

アンジュ

「・・・あの子は私が守らなきゃいけないの。モモカ、一緒に来てくれる?」

 

モモカ

「・・・よ、喜んで!」

 

アンジュの問いに、モモカは笑顔で答えた。

 

 

ヒルダ

「へへっ、利害の一致ってやつか。だったら協力しない?」

 

アンジュ

「お断りよ!」

 

ヒルダ

「じゃあ、どうやってこの輸送機の拘束を外す?」

 

天馬

「拘束?」

 

 

「その輸送機はアレスティングギアで拘束されているんだ。ヒルダなら解除できる。この日のために、必死に準備してたからねぇ。」

 

 

突然、アンジュ達の後ろから声がした。後ろを向くと、そこにはゾーラ・ココ・ミランダ・ナオミがいた。

 

 

天馬

「ゾーラ隊長!ココさん!ミランダさん!ナオミ!」

 

ヒルダ

「ゾーラ…」

 

ゾーラ

「アタシも脱走に手を貸してやるよ。」

 

 

「えっ!?」

 

 

アンジュ・天馬・ヒルダ・モモカ・ミスティは驚いた。

 

 

ゾーラ

「でも勘違いするなよ?アタシは天馬に助けられた借りを返したいだけだから、天馬がアンジュと行くっていうのなら手を貸してやる。」

 

天馬

「・・・ゾーラ隊長、お願いします!」

 

ゾーラ

「よっしゃ!そいで次いでと言っちゃ何だけど、ココとナオミも連れてってやってくれねぇか?」

 

天馬

「ナオミとココさんを?」

 

ナオミ

「私、お父さんとお母さんに会いたいの!今は何処にいるのか分からないけど、せめてもう一度・・・もう一度だけ会いたいの!」

 

ココ

「私は、アンジュ様の育った国がどんな国なのかを見てみたいんです!」

 

アンジュ

「・・・わかったわ。」

 

ゾーラ

「よしきた!それで、どうすればいい?」

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~フェスタ会場~

 

 

日が陰ってきた頃、フェスタ会場ではフィナーレの花火が打ち上げられていた。

 

 

ヴィヴィアン

「うっひょー!」

 

信助

「たーまやー!」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~デッキ~

 

 

一方で、デッキでは脱走の準備が着々と行われていた。アンジュ・天馬・ココ・ナオミは輸送機に荷物を積み込み、モモカとミスティはコックピットに待機。そしてヒルダとミランダは制御板の近くで待機している。

 

 

ゾーラ

『こちらゾーラ。指令部の制圧完了!』

 

ヒルダ

「みんな急げ!フェスタが終わるよ!」

 

 

ヒルダはピッキングで制御板のロックを解除し、複数のレバーを出現させた。

 

 

ヒルダ

「緊急射出システム、スタンバイ!」

 

モモカ

『了解!発進準備開始します!』

 

ミスティ

『エンジン、回転数安定。いつでも大丈夫です!』

 

 

ヒルダ

「アタシが合図したら、拘束を解除して発進だ。」

 

 

アンジュ・天馬・ココ・ナオミは輸送機に乗り込み、一同は合図を待った。

 

 

ヒュウウゥゥ~

 

 

ヒルダ

「今だ!」

 

ミランダ

「はい!」

 

 

バーン!

 

 

ガコンッ!

 

 

花火のタイミングに合わせて拘束を解除し、輸送機はゆっくりと動き出した。

 

 

ヒルダ

「よしっ!」

 

ミランダ

「やった!」

 

 

ヒルダは急いで輸送機を追いかける。だが、突然輸送機のスピードが上がった。

 

 

ヒルダ

「えっ?おい、何のつもり!?」

 

アンジュ

「・・・ブラジャーの恨み、忘れてない。あのおかげで、私も天馬も大変な目に会ったんだから…」

 

ヒルダ

「そんな、昔の話だろ!」

 

アンジュ

「それだけじゃない。後ろから狙い撃つ。手下を使ってイタズラをする。おまけにモモカを脅した。アンタは信用出来ない。お友だちと仲良く暮らすのね。」

 

 

輸送機はさらにスピードを上げ、離陸体制に入った。ヒルダは諦めず、全力で輸送機を追いかける。

 

 

ヒルダ

「ふざけんな!アタシはこのために、何年も待ったんだ!生き残るためなら、ゾーラのオモチャにもなった!面倒な奴等と友達になってやった!ずっと待ってたんだ!

 

 

 

 

 

 

 

絶対に帰るんだ・・・ママのとこに!!」

 

アンジュ

「っ!?」

 

 

その時・・・。

 

 

ガシッ

 

 

ヒルダ

「なっ!?」

 

 

誰かがヒルダを抱き、全速力で輸送機を追いかけてきた。

 

 

天馬

「剣城!?」

 

剣城

「でえええりゃああああ!!」

 

 

剣城はヒルダを抱えながら全力でジャンプし、輸送機の後部ハッチに飛び乗った。

 

 

天馬

「剣城・・・。」

 

ヒルダ

「お前、なんで・・・。」

 

剣城

「・・・見てみたくなったんですよ。ヒルダさんの生まれ故郷を。」

 

ヒルダ

「お前・・・。」

 

剣城

「連れていってください。ヒルダさんの生まれ故郷に!」

 

ヒルダ

「・・・ったく、しょうがねぇなぁ。」

 

 

剣城とヒルダは互いを見つめ合い、アンジュはモモカに通信を入れた。

 

 

アンジュ

「モモカ、後部ハッチ閉めてくれる?」

 

モモカ

「了解です。」

 

 

輸送機のハッチが閉まり、輸送機はアルゼナルから飛び立った。そして飛び立った直後、ジル・ジャスミン・マギー・エマがデッキにやって来た。

 

 

マギー

「くそっ、遅かったか・・・。」

 

エマ

「どうしましょ!?ミスティ様がノーマに!!」

 

ジル

「ジャスミン、あの坊やに連絡を。」

 

ジャスミン

「・・・あいよ。」

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~ローゼンブルム王国 郊外~

 

 

次の日、アンジュ達を乗せた輸送機はローゼンブルム王国郊外の森の中にいた。

 

 

ミスティ

「この森を向こうの方に抜ければ、ミスルギ皇国とエンデラント連合の国境に繋がる道に出られます。」

 

アンジュ

「ありがとう、ミスティ。」

 

ミスティ

「グッドラックです、アンジュリーゼ様。どうかお気をつけて。」

 

 

ミスティは輸送機を操作し、輸送機は飛び立った。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~ガソリンスタンド跡~

 

 

その後、一同は道中に古いガソリンスタンドを見つけた。

 

 

剣城

「・・・おっ?」

 

 

ガレージの中には、シーツを被った青い車が置いてあった。シャッターを開けシーツを退かすと、大きなボディと丸いテールランプが特徴のスポーツカーが姿を見せた。

 

 

天馬

「日産スカイラインGT-RのR34だ!」

 

アンジュ

「知ってるの?」

 

天馬

「日産自動車がGT-Rシリーズの第2世代最後にして、スカイラインGT-Rシリーズ最後の型として発売した車です。」

 

 

天馬はボンネットを開け、エンジンルームを見た。

 

 

天馬

「ラッキー、これならまだ使えるぞ。」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~三叉路~

 

 

一同は三叉路にやって来た。右に行けばエンデラント連合、左に行けばミスルギ皇国へと行ける。

 

 

ヒルダ

「ここでお別れだね…」

 

アンジュ

「うん…」

 

ヒルダ

「アンジュ、命だけは大事にしなよ。」

 

アンジュ

「そっちもね、ヒルダ。」

 

天馬

「気を付けてね、剣城。」

 

剣城

「天馬も、気を付けてな。」

 

ココ

「お父さんに会えるといいですね。」

 

ナオミ

「ありがとうココさん。気を付けてね。」

 

 

ブオオオオオオオォォ

 

 

剣城・ナオミはヒルダの運転するR34に乗り込み、三人はエンデラント連合を目指して走り出した。

 

 

天馬

「・・・俺達も行きましょう。シルヴィア様を助けに!」

 

アンジュ

「ええ。」

 

 

天馬・アンジュ・ココ・モモカはミスルギ皇国目指して歩き出した。

 

 

カシャッ

 

 

そんな三人を近くの丘から一人の男が胸にかけてるマゼンタのトイカメラで撮影した。

 

 

???

「・・・なるほど、ここが今回の俺の旅の舞台か。」

 

 

男は写真を撮り終えると、マゼンダ・ホワイト・ブラックで塗装された大型スクーターに乗り込み、その場を離れた。

 

 

 

 

To Be Continued…




~次回予告~


???
「まさか最後にこの俺が登場するとはな。」

天馬
「あの・・・誰ですか?」

???
「今はまだ言えない。だが今後しばらく世話になると思うからよろしく頼む。」

天馬
「は、はい…」

???
「次回、《再会と裏切りの我が故郷》。


てか予告が一番喋ってるって、相変わらずどうなんだよ…」



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