クロスアンジュ LIGHTNING EDITION ~天使とドラゴンと五人の巨人使い~   作:ヒビキ7991

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Ep.01/天馬とアンジュリーゼ

~私立雷門中学校 1-A~

 

 

ここは東京都のとある町、稲妻町にあるサッカーの名門、私立雷門中学校。

 

 

天馬

「よし、忘れ物なし!」

 

 

彼の名は松風天馬。雷門中学校の1年生でありながら、キャプテンとして雷門中サッカー部を率いるサッカー少年である。

 

 

天馬

「じゃあまた明日!」

 

生徒1

「じゃあな天馬。」

 

 

天馬は教室を後にした。

 

 

生徒2

「ところで聞いたか?隣のクラスの山本、登校中に警察に逮捕されたらしいぜ?」

 

生徒1

「山本って、あの山本か?嘘だろ?あんな生真面目で礼儀正しい山本が警察に逮捕されるなんてよ。」

 

生徒3

「隣のクラスじゃあいつの噂で持ちきりだぜ。噂によれば、山本はノーマだったから逮捕されたんじゃないかとも言われてる。」

 

生徒2

「ノーマ・・・。」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

~稲妻町 河川敷グラウンド~

 

 

その後、天馬は河川敷のグラウンドでドリブルの練習を行っていた。

 

 

天馬

「ふぅ~…」

 

 

天馬はセンターサークルの中で一旦立ち止まり、少し休憩した。

 

 

天馬

「よし、もういっちょ!」

 

 

そして直ぐに走り出し、ドリブルの練習に戻った。すると、堤防の上を一台の白いリムジンが通りかかった。

 

 

キキキキーッ!

 

 

リムジンは急ブレーキをして停車。天馬はタイヤの音に気付き足を止め、リムジンの方を見た。

 

 

天馬

「リムジン?神童さんの家のかな?」

 

 

ガチャッ

 

 

後部側のドアが開き、メイド衣装を纏った一人の少女が

姿を見せた。紫色のショートヘアーにオレンジ色の透き通った瞳をしている。

 

 

天馬

(誰だろう、あの人。)

 

???

「もし、そこのあなた。」

 

 

少女は天馬に声をかける。

 

 

天馬

「はい。」

 

 

天馬は少女に向かって返事をした。少女はゆっくりと階段を下り、天馬に近づいた。

 

 

???

「大江戸国際空港に向かいたいのですが、ご存知であれば道を教えていただけないでしょうか?」

 

天馬「大江戸国際空港にですか?ちょっと待ってください。」

 

 

天馬はバッグからスマートフォンを取り出し、マップアプリを起動した。

 

 

天馬

「この道を真っ直ぐ行って、この大通りにでます。そしたらここうを左折して・・・」

 

???

「・・・あの、ご迷惑でなければ空港までナビゲートしてください。私、知らない土地で道順を覚えるのはちょっと苦手で・・・」

 

 

少女にそう言われ、天馬は少し困った顔になるが。

 

 

天馬

「分かりました。俺が空港までナビしましょう。」

 

???

「ありがとうございます!えーっと・・・」

 

天馬

「あ、自己紹介が遅れました。私立雷門中学校1年、及び雷門中サッカー部キャプテン、松風天馬です。」

 

???

「《モモカ・荻野目(おぎのめ)》です。ミスルギ皇国の第一皇女、アンジュリーゼ様の筆頭侍女をしております。」

 

 

すると・・・。

 

 

「モモカ、まだなの?」

 

 

リムジンの窓から別の少女が顔を出した。金色の長く美しい髪、透き通った赤い瞳からは気高いオーラが伝わってくる。

 

 

天馬

「モモカさん、もしかしてあの人が・・・。」

 

モモカ

「はい。我らがミスルギ皇国の第一皇女、《アンジュリーゼ・斑鳩(いかるが)・ミスルギ》様でございます!」

 

天馬

「うう・・・。」

 

モモカ

「アンジュリーゼ様、この方が空港まで道案内をしてくれるそうです!」

 

 

アンジュリーゼは天馬に目を向け、天馬は彼女からの視線で緊張し震えている。だが、彼女は天馬に優しく微笑んだ。

 

 

アンジュリーゼ

「そうですか。では連れてきてください。」

 

モモカ

「はいっ!」

 

 

天馬とモモカはリムジンに乗り込み、リムジンは河川敷を出発。大江戸国際空港へ向けて走り出した。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~高速道路 リムジン車内~

 

 

少し経ち、一同を乗せたリムジンは高速道路を走っていた。

 

 

天馬

「このまま道なりに行ってもらえれば、次のジャンクションで空港のターミナルに繋がる道路に入れます。」

 

運転手

「わかりました。」

 

 

天馬はリムジンの運転手に道を教えた。車内には他にも、アンジュリーゼの父でありミスルギ皇国皇帝《ジュライ・飛鳥・ミスルギ》。アンジュリーゼの母でありミスルギ皇国皇后《ソフィア・斑鳩(いかるが)・ミスルギ》。アンジュリーゼの兄でありミスルギ皇国の皇太子《ジュリオ・飛鳥(飛鳥)・ミスルギ》。アンジュリーゼの妹でありミスルギ皇国の第二皇女《シルヴィア・斑鳩(いかるが)・ミスルギ》が乗車している。

 

 

ソフィア

「申し訳ありません。空港まで道案内をしていただいて・・・。」

 

 

ソフィアは天馬に頭を下げた。

 

 

天馬

「気にしないでください。ところで、日本へは何をされに来られたのですか?」

 

ジュライ

「ただの観光だよ。このシルヴィアが、どうしても日本に遊びに行きたいと言い出すものだからね。」

 

 

天馬の質問にジュライは答えた。シルヴィアは窓に張り付きながら外の景色を眺め、ジュリオは不機嫌な顔をしながら窓の外を眺めていた。

 

 

天馬

「皇帝は子供想いなんですね。」

 

ジュライ

「ハハハッ。」

 

 

天馬の一言にジュライは笑顔を見せた。ソフィアも静かに優しく微笑んだ。

 

 

アンジュリーゼ

「・・・あの、天馬さん。」

 

 

突然、アンジュリーゼが天馬に声をかけた。

 

 

天馬

「はい?」

 

アンジュリーゼ

「あなたはマナとノーマについてご存知ですか?」

 

天馬

「名前は聞いたことがありますが、詳しくは分かりません。マナとノーマって、いったい何なんですか?」

 

アンジュリーゼ

「マナとは、人類が進化の果てに得たとされる技術で、今の世界ではマナを扱えることが普通の人間の絶対条件とされています。念動力のように物質を浮遊・移動させたり、拘束・防護用の結界を張ることも可能。また、統合システムへのアクセスによって情報共有が可能になり、マナ使い間でのコミュニケーションツールともなっています。これらマナ技術の発展により、我々の国は戦争や貧富の差も消滅したとされています。一方ノーマとは、マナの力を持たず、それを無効にしてしまう人間の突然変異種で、強欲的で反社会的な化け物で、何故か女性だけ発生するのです。ノーマがこの世に生まれる原因を突き止め、この世から全てのノーマを根絶すれば、この世界がさらに平和になることを私は願っているのです。」

 

天馬

「それはどうでしょうか?」

 

アンジュリーゼ

「えっ?」

 

 

天馬の返答に、アンジュリーゼは驚いた。

 

 

天馬

「俺は、そのノーマの様に突然変異で生まれ怪物扱いされ続けた少年達を知っています。でも、どんな変異で生まれてきたとしても同じ人間。同じ環境で共に暮らしていけるはずなんです。普通じゃないからって怪物扱いするのはどうかと俺は思います。」

 

アンジュリーゼ

「天馬さん・・・」

 

 

ノーマを撲滅しようと考えるアンジュリーゼは、天馬の共存するという考えが理解出来なかったが、否定はしなかった。

 

 

ジュライ

「・・・天馬君、君に頼みがある。」

 

 

突然、ジュライが天馬に声をかけ、天馬に金色に輝くカードを渡した。

 

 

天馬

「このカードは?」

 

ジュライ

「ミスルギ皇国の王室御用達入国パスポート兼オールマイティーカードだ。これがあればいつでもミスルギ皇国に行くことが出来るし、国内の交通機関は全て乗り放題さ。」

 

天馬

「なぜ、俺にこれを?」

 

ジュライ

「君にはアンジュリーゼの友達になってほしいんだ。」

 

 

「「っ!?」」

 

 

ジュライの言葉に、その場にいた誰もが驚いた。

 

 

ジュライ

「私は、君からマナとは違う別の力を感じる。アンジュリーゼと天馬、君たち二人は国も違えば思想も違う相容れぬ存在かもしれないが、その純粋で優しい心を持つ君なら、きっとアンジュリーゼと良い友達になれるはずだ。」

 

天馬

「俺が、アンジュリーゼ様と・・・」

 

 

天馬とアンジュリーゼは互いに目を合わせた。そして二人は静かに微笑み、ジュライに顔を向けた。

 

 

天馬

「わかりました、ジュライ皇帝。」

 

アンジュリーゼ

「わかりましたわ、お父様。」

 

 

二人の笑顔を見て、ジュライは笑顔で頷いた。

 

 

天馬

「俺は私立雷門中学校1年、松風天馬です!」

 

アンジュリーゼ

「私はミスルギ皇国第一皇女、アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギです。今後ともよろしくお願いいたします。」

 

 

天馬とアンジュリーゼは自己紹介をし、握手を交わした。ジュライとソフィアは笑顔で見守り、モモカとシルヴィアは拍手したが、ジュリオは不機嫌な顔をしていた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~大江戸国際空港 ターミナルビル前~

 

 

数分後、一同を乗せたリムジンは大江戸国際空港に到着した。運転手はリムジンをビルの入り口付近に止め天馬を降ろした。

 

 

アンジュリーゼ

「空港まで御一緒していただき、ありがとうございます。」

 

 

リムジンの窓からアンジュリーゼが天馬に礼を言った。

 

 

天馬

「近い内に、必ずミスルギ皇国に行きますね!」

 

アンジュリーゼ

「その時は是非、皇殿に遊びに来てくださいね。」

 

天馬「はい!」

 

 

天馬とアンジュリーゼは握手を交わした。

 

 

アンジュリーゼ

「では、私達はこれで失礼します。」

 

 

アンジュリーゼは窓を閉め、リムジンはその場を離れ滑走路へと繋がるゲートに向かった。

 

 

天馬

「・・・さて、俺も帰ろうか。」

 

 

天馬は駅へと向かい、そして電車で稲妻町へと帰った。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

~大江戸国際空港 国際線ターミナル~

 

 

それから一週間後、天馬は秋と共に大江戸国際空港の国際線ターミナルへとやって来た。背中には一週間分の荷物を詰め込んだリュックを背負い、両手にはアンジュリーゼ達へのお土産のお菓子を大量に持ち、ポケットにはジュライのくれたパスポートを入れている。

 

 

天馬

「荷物の再確認よし。」

 

「天馬にとって始めての海外旅行ね。」

 

天馬

「ミスルギ皇国、真名部と皆帆の話じゃ近未来の技術で作られた国らしい。」

 

 

ピンポンパンポ~ン

 

 

アナウンス

『アイランド航空から出発便のご案内をいたします。アイランド航空ミスルギ皇国ミスルギ国際空港行き、12時30分発、1273便は、ただいま皆様を機内へとご案内中でございます。ミスルギ皇国ミスルギ国際空港行き、12時30分発、1273便をご利用のお客様は保安検査場をお通りになり、8番搭乗口よりご搭乗ください。』

 

 

天馬

「じゃあ秋姉、行ってくる!」

 

「気を付けてね、天馬。」

 

 

天馬はミスルギ国際空港行きの便に乗るため8番ゲートに向かった。そしてその数分後、天馬の乗るアイランド航空1273便は定刻通りに離陸し、大空へと飛び立った。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~1273便 機内~

 

 

天馬

「目的地のミスルギ国際空港まで約10時間か。到着するまで、ちょっと寝ようかな・・・。」

 

 

天馬はアイマスクをし、深い眠りについた。そして天馬が深い眠りについた頃、一人の乗客が機内のモニターで国際ニュースを見ていた。

 

 

キャスター

『次のニュースです。先日、ミスルギ皇国内にて1203-77号ノーマとして拘束されたアンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギ第一皇女は先日未明、ノーマ収容施設へ無事送還されたとの情報が入ってきました。なおジュリオ・飛鳥・ミスルギ皇太子が新皇帝を勤めることとなり、ノーマ撲滅への動きがより活発化されると思われます。』

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~ミスルギ国際空港 ターミナルビル前~

 

 

10時間後、天馬は無事ミスルギ国際空港に到着した。空は快晴、太陽はキラキラ輝いている。町中は近代的な建造物が建ち並び、車や電車が宙を浮きながら走り回り、まさに未来都市そのものだった。

 

 

天馬

「これがミスルギ皇国!スゴい!」

 

 

そんな中、天馬は町の中央に聳え立つ巨大な塔を見た。

 

 

天馬

「あれが皇殿。早速行ってみよう。アンジュリーゼ様やジュライ皇帝は元気にしてるかな?」

 

 

天馬は皇殿に向かって歩き始めた。だが、彼は皇殿で思いもしない真実を知ることになる。

 

 

 

To Be Continued…




~次回予告~


天馬
「アンジュリーゼ様に会うため、皇宮に向かった俺。でも、そこで待っていたのは信じがたい現実だった。アンジュリーゼ様に会うため、俺はある施設へと向かう。


次回!《孤島の軍事施設!アルゼナル!》」

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