【完結】聖闘士DxD   作:挫梛道

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この小説は、R15です。
 



ギャスパー(15)、人生最大の危機!

 

スライム(大)が現れた!

 

ギャスパーは逃げ出した!

 

しかし回り込まれてしまった!!

 

『うわぁぁあああん!!先輩ぃ~!』

「何やってんだギャスパー!

逃げてないで攻撃しろ!!」

「シリュー、落ち着くにゃ!」

 

今回のリアスvsディオドラのゲームのステージには、中継用のカメラが各所に配備され、戦闘開始が確認されると、観戦モニターは、その場所に画面が切り替わる仕様になっていた。

それは地下の迷宮エリアも同様。

JAPAN国籍を得て、現地企業で勉強したスタッフ達が作り出した最新技術搭載のカメラにより、光が全く差し込まない地下迷宮でも、鮮明な画像を映し出す事が出来ていた。

 

∴ スライムから逃げ回るギャスパーの姿も、きっちりと映し出されていた。

 

「反省会で、説教だ!」

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「ひぃいいい~?!」

逃げる。

逃げる。

ギャスパーが逃げる。

 

ずずずず…

そんなギャスパーに対してスライムは、自身の体を変形させ、壁床天井、全てを塞ぐかの様な巨大な壁に変化。

 

「はわわわ…」

逃げ回る内に気が付けば、通路の突き当たり迄追い込まれ、完全に逃げ場を奪われたギャスパーは思わず、絶望の顔色で、コンクリートで固められた冷たい床に、腰をヘたりと降ろしてしまう。

 

 

あ~、僕は もう、お終いだ…

リアス部長、役立たずで ごめんなさい~!

小猫ちゃん、いじめないで~!

シリュー先輩、お願いだから、怒ったりしないで~!!

 

 

泣き顔で、心の中で叫びながら、ギャスパーは視認する。

 

「え?何…あれ…?」

半透明のスライムの背後に見えるのは、確かに1点の青い灯り。

そして よく視ると、その灯りの傍には人影が1つ。

灯りと人影は、ゆっくりとスライム…そしてギャスパーに歩み寄り、

シュシュッ…

其の方向に向かって、何かを投げつけた。

 

ドスドスドスドス!!

シュワァアアアアアア…

「ひぃいっ?!」

そして其の何かがスライムに突き刺さったと思えば、スライムは泡立ち煙を発てながら、蒸発する様に消えていった。

 

カラン…

そして、床には4本の注射器が転がった。 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

た…助かりましたぁ…

あの、青い灯りを持った人が、スライムをやっつけてくれたみたいですぅ。

 

「あ、ありがとうございましたぁ!」

僕は お礼を言いながら、恩人さんの元に駆け寄ろうとしました。

…って、ちょっと待って下さい!

誰なんですか?あの人!?

まさか、敵さんですかぁ?

                  

「ケケケ…礼には及ばんよ、ハーフヴァンパイア。

お前は この俺が、今から弄り斃すんだからなぁ!」

いやあぁぁぁああ~っ!!?

や、やっぱり敵さんでしたぁあ!

灯りに照らされ見えるのは、駒王学園とは違う学校の女子制服。

頭全体を包帯で ぐるぐる巻きにして顔を隠し、包帯の僅かな隙間から見える その眼は、凄く怖いです。

そして腕を…その…重いのでしょうか…リアス部長に匹敵するかの様な大きな胸を、持ち上げ支える様に腕組みしていますぅ!

                  

「俺はディオドラの僧侶、ホェィル。

ケケケ…あの巫山戯た魔法陣で ぶっ飛ばされて、クソッタレとばかり思っていたが、俺は運が良いぜ。

何故なら目の前に、こんな興味深い研究材料(オモチャ)が転がっていたんだからなぁ!!」

ひ、ひいぃぃいいいいぃぃっ!!?

こ、このホェィルさん…ですか?

注射器を取り出して、僕に じりじりと近寄ってきます!怖いです!

 

「ケケケ…何、心配するな…

痛いのは最初だけ…ちょっとチクッとするだけだからよ♪

その後は、痛みも何も感じない…思いっきり(ジュル…)、弄ってやっからよぉ…!!」

うわぁあっ?! い、嫌だあぁああぁぁっ!!

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「……………………。

遂に、顔を合わせてしまいましたわ。」

「それは、お互い様だよ!」

木場と共に進む途中、再び道が分かれていた為、その場で各々、別ルートを進む事になったレイヴェル。

更に暫く進んだ先の一室で、彼女はディオドラ眷属である、セミロングの赤毛の少女と対峙した。

 

「一応伺いますが、素直に『まいった』する心算は…」

「そんなの、有る訳が無いだろ!!」

余裕の笑みを零しながらのレイヴェルの問いに、赤毛の少女は顔を真っ赤にして怒りながら応える。

 

「クス…そうですか…ならば…」

レイヴェル自身も、素直に降参するとは微塵も思ってはいなかったが、余りの怒っ振りに苦笑すると、両手を頭上に掲げ魔力を集中、その上に巨大な炎の玉を作り出し、

「…ならば、リタイアしなさい!」

ブォワヮァァアアアッ!!

それを、巨大な火の鳥に形を整える。

 

「クス…」

しかし、その攻撃を予測していた少女は その時既に、魔力を集中させており、

「エレエ・レ・ナムメ・イリン!聖霊よ、我が盾と成り賜え!!」

それを防ぐ為の呪文を詠唱していた。

 

「行っけーーーーっ!皇炎凰!!」

「【覇邪霊陣(ストライ=バー)】!!」

バシィイッ!!

「うっそっ!!?」

結果、レイヴェルが撃ち放った炎の鳳は、少女の創り出した聖盾の結界に阻まれる。

 

「ななな…何ですの、それわ?!

それ、神聖魔術では、ないですか?

貴女、いくら僧侶(ビショップ)だからって、僧侶(クレリック)の魔法を使えるって…?」

「ウフフ…ボクはね、でぃおどらクンの眷属になる前は、とある国の城属の大神官の娘だったんだ。

その時に一通りの神聖魔術は、父様から習っていた。

だから悪魔に転生しても、それ以前に習得していた魔法なら、例え それが悪魔にとってマイナスな聖なる魔法でも、平気で使えるのさ!」

「な、何ですって…!?」

自信満々に応えるディオドラの僧侶の少女に、狼狽えるレイヴェル。

だが、直ぐに落ち着きを取り戻し、

「…でも、知っていますのよ!

その魔法は結界が強力過ぎて、この先、貴女の繰り出す魔法迄も、一緒に打ち消してしまう事を!」

その魔法の欠点を指摘する。

 

「それくらい、解っているよ。だから…

破ァアアッ!」

「…!?」

しかし赤毛の少女は、それは承知だとばかり、更に魔力を集中させ、その結果、この結界魔法は部屋全体に包み込んだ。

                  

「あはは♪これで お互い、魔法は…魔力を使う術や技は、使えない。

…つまり それは、解るかい?

フェニックスであるキミの最大の特性である、"不死"さえも封じられた。

つまりは肉弾戦しかないんだけど…

実はボクは僧侶(クレリック)であり、それと同時に、武闘家でもあるんだ。」

「…修道僧(モンク)!!」

「正解♪それで…それでもボクに、勝てる気でいる心算なのかな?」

「…くっ!!」

拳法の様な構えを取る赤毛の少女に対し、金髪の少女も不慣れそうに格闘の構えを取る。

 

 

 

まさか…こんな不死(フェニックス)の攻略法が在ったなんて…シリュー先輩も吃驚ですわ! 

 

 

シリューがライザーを倒した時に、それ以前から感じてはいたが、改めてフェニックスと云えど、絶対ではないと云う事を確信していたレイヴェル。

少し前、それについてシリューと話した事を思い出していた。

 

≪≪≪

 

「ああ、俺以外にも、フェニックス攻略出来そうな奴は居るさ。

例えばデスマスク。

アイツなら、魂を身体から引き剥がし、その魂を其の儘、黄泉比良坂(あの世)に送ったり、その場で燃やし尽くしたり、爆裂させたりも出来る。

セラフォルーが あの氷の匣の魔法を本気で繰り出したら、『相手は死ぬ!』らしいし…

殺せないにせよ、その体を異次元の彼方に吹き飛ばし、永遠に その空間を漂い彷徨わせる…そんな技の使い手を、俺は知っている。」

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「…こっの!【爆発(エクスプロージョン)】!!」

「ふん!」

どっかん!

「……?!」

 

…転移魔法陣に引っ掛かり、ミルたんは中央エリア1Fの中心部、エントランスに飛ばされていた。

そして其処で、ディオドラ眷属の兵士の少女3人と遭遇、戦闘に突入。

速攻でメイド服(滅威弩服に非ず)を着た巨乳黒髪ボブカット少女を肉体言語(サブミッション)で、返す刀で、エルフ耳の金髪爆乳少女を魔力で背中に具現化させた、"もう1人のミルたん"による拳打ラッシュで撃破。

ゲームフィールドに今回のゲーム初の、そして立て続けに、2人目の脱落者(リタイア)報告のアナウンスが流れる中、残った小柄で慎ましいピンクブロンドの少女は、仲間が倒された怒りを表情(かお)に隠す事無く、得意技である爆発系の魔法を、ミルたんに向けて撃ち放った。

…しかし、

「…今、何かしたにょ?」

「嘘…嘘でしょ??!」

それは前側に差し出されたミルたんの掌の前に、簡単に受け止められる。

 

「今のがアナタの最大必殺なら、ミルたんには勝てないにょ。

さあ、素直に『参った』して、道を開けるにょ。」

「う…うるさいうるさいうるさぁーい!!」

ミルたんからすれば、何の悪意の無い、降参の勧めだったのだが、この小柄な少女は顔を真っ赤にして怒り出し、再び先程と同じ、爆発魔法を仕掛けようとするが、

「仕方無い…にょ…」

一瞬…少しだけ、哀しそうな表情を浮かべたミルたんは、次の瞬間には厳しい顔で、両足を やや広く開き、右足を一歩、前に踏み出し、左脇を引き締め、肘を曲げて前に向けた左拳に右掌を重ねる構えを取る。

そして魔力を集中させ、左拳を被せていた右手を左手首に掴み直し、左拳を思いっきり、前に突き出した。

それはシリューと小猫、そしてミルたんも お気に入りである、『ドラグ・ソボール』なるコミックの主人公の必殺技の構え。

シリューも同じ構えから、小宇宙(コスモ)と魔力を融合させた破壊のエネルギー波を放つ技に、【廬山漆星龍珠】と銘打っているが、ミルたんの それは、魔力100㌫のエネルギー弾。

そして その魔力の弾が、ミルたんの拳から、撃ち放たれる。

 

「ビッグバン・ミルたん波ーーっにょ!」

ドォッゴオォォッ!!

「きゃあああああぁっ!??」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「てぇえいやぁっ!」

バキィッ!

「くっ…」

こ、この三角帽子の武闘家女子、本当に強いです。

繰り出てくる一撃一撃が速いし、重い!

黒歌姉様から受けている仙術の施し…

練った『氣』を体内に循環させて、身体を硬化させてなかったら、もう5回は斃されています!

…悔しいですが、仙術体得を勧めた裸ドラゴン先輩には感謝ですね。

そして当然、黒歌姉様にも。

 

 

『ディオドラ・アスタロト様の兵士(ポーン)1名、リタイアです。』

「「!!?」」

また敵(あちら)さんから、リタイアが出たアナウンスが流れました。

倒したのは、祐斗先輩かミルたんでしょうか?

これで向こうは、3人リタイアですね。

 

「もう、何やってんのよ!?」

ぶぅん…

身内の連続リタイアで、少し苛立ったのでしょうか、今迄の攻撃と違う、"らしくない"隙だらけの大振りな攻撃。

それを見逃す程、私は甘くは有りません。

 

「ぇぃっ…」

バギィッ…

「か…っ!?」

ぶい!狙いすました、『氣』で強化された拳によるリバブローが、見事にヒットしました!!(どやあ!)

 

「くっ…」

あ…この人、まだ起き上がりますか?

肋骨、何本か折った手応えが有ったのですが…

まあ、苦しそうな顔で脇腹を押さえてますし、膝がっくがく言わせてますから、かなり効いているのでしょうが…

 

「ま…まだよ…!

勝負は、これ、か…ら…?」

パタン…

「????」

「スゥースゥー…」

え゙?此方を睨みながら、戦闘続行の構えを見せたと思ったら、いきなり倒れ込んで寝ちゃいましたよ?この女(ひと)?

 

ザッ…

「て、手出し無用と言われていましたが、やっぱり お友達が倒されるのを、だ…黙って見ていられないです!

つ、次は、私が お相手します!!」

そして代わりに前に出てきたのはガスマスクさん(仮名)。

ん~…何だかシリュー先輩が普段から言っている、ベッロさんの呼び名と紛らわしいですね。

まあ今は、そんなのは どーでも良い話ですけどね!

 

どん!

「ぅ…!???ど…どうして、動けるの…?」

とりあえず、鳩尾に きっつい一撃を。

 

「…もしかして、睡眠か麻痺系のガスを撒いていたのですか?」

「……!!」

ガク…

気絶しましたが、図星だった様ですね。

まさかそんな、これ見よがしに妖しいガスマスクみたいな被り物をしている人に対して、その類の攻撃を警戒しないとでも思っていたのですか?

最初から、仙術による『氣(オーラ)』で、身体全体をガードしていましたよ。                     

 

『リアス・グレモリー様の僧侶(ビショップ)1名、リタイアです。』

………!??

ウチの僧侶(ビショップ)がリタイア…ですか?

まさか、不死(フェニックス)のレイヴェルさんが倒されるとは思えませんから、普通に考えて、ギャー君でしょう。

あの魔法陣から転移?で消えて、何処に行ったかと心配していましたが、結局はコレですか? あの、役立たずヴァンパイア。

兎に角、ゆっくりしている暇は無いみたいですね。

とりあえず この2人のトドメ、刺す事にしましょう。

 

 

『ディオドラ・アスタロト様の兵士(ポーン)1名、戦車(ルーク)1名、リタイアです。』

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「い、嫌ぁあああああぁぁっ!!」

「ケケケ…ジタバタするなって♪」

…あの後ギャスパーは、ディオドラの兵士・ホェィルとの決死の鬼ごっこさながらの逃走虚しく、捕まってしまう。

首筋に注射を打たれ、その中の薬物の効果か、身体の自由の殆どを奪われてしまったギャスパー。

 

「ハーフ・ヴァンパイア…コイツは本当に、興味深い研究素材(オモチャ)だぜ…♪」

「い、嫌あ、止めてぇ!?

こ…この人、アザゼル先生と、同じ目をしていますぅうっ?!」

 

◆◆◆

 

「(怒)失礼なヤツだな?おいっ?!」

「いや、間違ってないから!www」

「何おーーーーーーーーーーっ!!?」

 

◆◆◆

 

「ふぅんんん~!ふぬふぬぬふむ~!?」

「ふー♪漸く大人しくなったぜ♪」

頭の上で手首を交差して縛られ、それを床に固定。

更に口は猿轡され、身動きを封じられたギャスパー。

 

「うむぅんうん~~~~~!!」

瞳に涙を溜めた その顔は、賊に浚われた乙女の如く。

 

「とりあえず…は、血液採取…」

「!!!!」

そう言って、邪悪な笑みを零しながら注射器を取り出す姿は、アザゼルが狂科学省ならば このホェィルは正しく狂生物学者。

 

「…は、下手にヴァンパイアにやったら、貧血起こすか?

それで意識を失われて、リタイア扱いされて消えられたら、勿体無いよな。」

「…(ホッ)」

しかし それは、包帯越からも心底残念がってると判る眼をして、注射器を懐に仕舞い込む。

 

「な・ら・ば…やっぱし、DNA摂取か?

汗や涙でも構わねーが、こーゆー時は、やっぱ『ぴー』液だよなぁ?」

「…!!!ん~!んんんむ~~~?!!」

血液採取(…というか注射)が取り止めになり、ホッとしたギャスパーに、其処から更に斜め上の代案を出すホェィル。

本日最高の抵抗を試みるギャスパーだが、足をジタバタする程度では、この狂生物学者には抗いにはならない。

 

「そんなに足掻くなよ?

先に言っとくが、別に俺は、〇ズなんかじゃ無いぜ?

一応は、ディオドラloveだからな。

それに女同士なんだから、其処迄恥ずかしがる事ぁ無ぇだろ?ん?」

「ん~~~~!んぅん~~~~~!!」

その容姿からか、ホェィルはギャスパーについて、少し勘違いしている様だった。

 

「それに心配しなくても、此の場は俺達2人だけだ。

他に誰も見ちゃいねーから、安心しろ。」

「んんん~~~~~!ん~ん~~っ!!」

…更には2人共、中継カメラの存在には、気付いてない様だ。

 

 

続く。

 

 




‡‡‡‡【 次回予告(予定)!! 】‡‡‡‡
 
「り、リアス、貴女 何、目を丸くして、画面ガン見してんのよ!?」
「あ…朱乃だって!!
…って、言ってる場合じゃないわ!
行くわよ、朱乃!!」
「はい、部長!」
 
次回:ハイスクール聖x龍
『Gの悲劇(仮)』
乞う御期待!! コメントよろしくです。
 

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