この小説は『ハイスクールDxD』を原作とした、二次小説です。
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「何気に、甲子園は初めてだな。」
「そうなんですか?」
「東京ドームやナゴヤドームは、家族で よく行ってたけどね。」
冥界から戻って数日経過した、8月某日。
俺は、アーシア、トーカ、ユキコ、そしてトーカの中学時代のクラスメート達と、新幹線や電車を乗り継ぎ、兵庫県は西宮市、阪神甲子園球場にやってきた。
夏の全国高校野球…別に、我が駒王学園が、甲子園出場した訳では無い。
…ってゆうか、初戦コールド敗退だよ!
では何故に、この場に馳せ参じたかと云えば…
「神崎さん、杉野って、先発?」
「ううん…2番手だって言ってたけど…」
そう、ユキコの やはり中学時のクラスメートであり、今日の試合に出場する(予定の)、彼氏君の試合の応援である。
1年生でありながら、1軍の控えピッチャーだとか。
因みに駒王(ウチ)の野球部は、この彼氏君の学校に初戦コールド、フルボッコ敗退させられている。
元々ユキコやトーカは、友人達と応援に行くのが確定しており、俺も それに、半ば無理矢理に付き合わされるのも、夏休み前には決定していた。
更には日本に戻ったは良いが、未だオカ研の皆は冥界に居て、部活も休止中だという事で、暇を持て余しているアーシアも、一緒に行く事に。
因みにアーシアの交通費は、トーカの家族の方が出してくれたそうだ。
ここで今回同行の、トーカ&ユキコの、中学時代クラスメートの皆さん紹介。
・長身で頭頂部に触角みたいな癖っ毛のある…認めたくはないが、爽やか系のイケメン君。
・そのイケメン君に釣り合う様に背の高い、凛とした顔な女子。
多分、このイケメン君と付き合っている。
・チャラ男。
・以前、トーカの弟の全快祝いにも来ていた、ショートカットなスポーツ系女子。
アーシアを見て、やたらと話し掛けてきたチャラ男に、ドロップキックやらハイキックやら炸裂させてシバいてたけど、そういう技はミニスカートを履いている時は、控えた方が好いと思うよ、縞々さん?…な発言は、俺も一緒にシバかれる映像(ビジョン)が脳裏に浮かんだので、止めておいた。
・高そうなプロ仕様なカメラを持った、短髪の男。
…この顔、何となく、殴りたくなる衝動に駆られるのは、何故だろうか?
あぁ、身に纏う雰囲気が、松田と同じだからだな。
・以前、ミカエルとのOHANASHIが原因で、怒(おこ)になったアーシアを宥める為に甘味屋に連れて行った際、店内で鉢合わせしたトーカ達にスィーツを御馳走した時に一緒に居た、小柄で緑髪のツインテ女子。
・小柄。水色の髪を後ろ側で結っている、ボーイッシュな服装なツインテ女子。
緑髪のコと、何か雰囲気が…
もしかして貴女達、百合百合さんですか?
…後で、トーカに聞いてみるか…。
…以上、7名。
これに、俺、アーシア、トーカ、ユキコを加えた11人の団体さん…ん、何気に大人数だな。
因みに彼等彼女等、トーカやユキコの中学クラスメートだと云う事は、中高一貫の学校に通ってたと云う事だが、トーカ同様に やはり色々と有って、全員エスカレーター進学はせず、殆どが別々の学校だとか。
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レフト側の席に座る俺達。
「しかし、クジ運無いって云うか…」
「初戦から…ねぇ…」
ユキコ彼氏君の学校の初戦の相手は、ΧΧ県代表、県立瓦崎工業高校。
結構な不良高校だ、そうだ。
しかし、野球部としては過去、春と夏、通算で4度の全国制覇の実績を持つ強豪校。
その容赦無い打撃は"恐竜打線"と呼ばれ、恐れられていたとか。
ここ数年は、全国では話題に昇らず、地元県で それなりの成績を収める程度のチームだったのだが、去年の秋、このチームの初代主将だった男が監督に就任。
その指導力統率力カリスマで、チームを新生させたとか。
「因みに地元の予選は、全てコールドゲームらしいです。」
「はい、詰んだー!(バキッ!)ほげぇっ!?」
その情報に、試合開始前から、諦めて試合終了な発言をしたチャラ男が、スポーツ女子に〆られた。
「因みに、コッチは?」
「あぁ…」
松田擬きの問いに、イケメン君が解説してくれた。
曰わく…
少し昔に、秋期大会?の予選?で、ビーンボールにブチ切れた部員が その怒りの儘に、相手キャッチャーに金属バットを振り下ろし、それが引き金になり、ベンチの選手達も「ひゃっはー!」と雪崩れ込み、新聞に載る程の大乱闘を繰り広げた事が有るとか。
その後、半分廃部状態となった その野球部の監督に就任した新人教師が、その乱闘に関わった部員の1人1人を説得して立ち直らせ、当時1年だった部員が3年生になった夏に、全国へ導いたと云う、マンガの様なドラマが有るとか。
今年の都の予選決勝では、トーカ達の中学母校の高等部との試合。
恵まれた体躯と力量で、1年ながらエースとなった男…つまりは彼等の同級生相手に対して初回、相手の失策(エラー)で出塁したチャンスを活かし、見事に先制。
その後は両チーム共に得点出来ず、終盤の8回9回、抑えとしてマウンドに立ったのはユキコ彼氏。
得点圏にランナーを進ませながらも、ホームベースだけは絶対に踏ませない好投で、その初回に奪った1点を、最後迄守りきっての…ユキコ達からしたら、これまたドラマの様な展開からの、全国出場…らしい。
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「…でも、そんなに攻撃力のある相手なら、先発の人が打ち込まれて、意外と早く、出番が来るかも?」
「ふっ…出番が来た その時は、ユキコに相応しい男かどうか、この俺が確と、見極めてやろう。」
「「「「「「「(い、い…イトコンだった!?)」」」」」」」
…ん?君達、そのドン引きな目、何かあったのかい?
「シリュー先輩…お父さんと、全然変わらないよ?」
…解せん。
ヴォオオォォォォォォォォォォォォォ…!!
そんな遣り取りの中、けたたましいサイレンの音共に、遂に試合が始まった。
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「良いか、言いたい事は1つだ。
何時も通り、勝て!」
「「「「「「「「応!!」」」」」」」」
1塁ベンチ、チームの野球帽を深く被った、その奥の瞳を鋭く光らせた若い男の言葉に、勢い良く応える部員達。
カキーン コーン カーン カコーン…カッキィィン!!
「「「「あ…あぁあ…」」」」
1回表、その恐竜打線の異名に偽り無くを証明するが如く、瓦崎工業の選手のバットが連続で火を噴き、この回、いきなり5点を奪う。
それを見たユキコやトーカ、そして元クラスメート達は、言葉を失いかける。
続く1回裏、ユキコ達の応援する、二子玉川学園高校の攻撃。
その常識の外の攻撃力に比べ、平均的…平凡と言って良い相手の守備隊に対して、バットを繋いでいくが、この回、返せたのは2点に終わってしまう。
「だ…大丈夫だよ、神崎さん。
まだまだイケるよ!」
「ん…」
しかし、続く2回3回4回…確かに二子玉川は毎回 点を奪うが、瓦崎工は それ以上に点を重ね、点差は5点と大きく開いていく。
カァーーーーーーーーンッ!!
「「「「「「「!!?」」」」」」」
そして5回表、この回のトップバッターが、初球を狙い撃ち、その球はライトスタンドへと吸い込まれた。
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あ…
ニコタマのピッチャー、マウンドから出て往くわ…と、なると…?
「「「杉野君!!」」」
「「「杉野ーーーーっ!!」」」
ユキコやトーカ、元クラスメート君達が声を飛ばす。
ユキコの彼氏君の、スギノクンの登場ですか。
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スパァッ!
「…………………。」
…って、すっご!変化球?凄っ?!
「何なんだよ?あれ?」
「杉野は中学の時から、スライダーとか駆使していましたから。」
イケメン君が解説してくれた。
"ぬるぬる曲がる"…そんな形容が相応しい変化球でスギノクン、2者連続で、瓦工の打者を三振に仕留めたよ。
「へへっ…バッチリ収めてやったぜ。」
一眼レフを構えた松田2号が呟いた。
そうだ。
貴様の そのカメラは、彼の姿を撮る為に持参したのだろ?
先程も警告はしたが、次、トーカ、ユキコ、アーシアの胸元や脚元にレンズを向けた時は それ、貴様の頭と共に破壊してやるからな。
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「ジーーーーーーィザス!!
舐めて掛かるな!あの球、目の前だと更に想像以上に曲がるぞ!」
「了解っすよ、本多クン。」
三球三振に倒れた瓦工部員がベンチに戻る途中、ネクストサークルから打席に向かう打者と擦れ違い様に助言。
カァーーーーーーーーンッ!!
「「「「「「「「!!?」」」」」」」」
その助言に従ってか、次のバッターは杉野の変化球との勝負は避け、二球目にきたストレートをジャストミートでフルスイング、そのボールはセンター前へ。
更に次のバッターがタイムリーを打つも、その次のバッターを杉野は内野ゴロに仕留め、5回表が終わった。
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「7点差!
兎に角 塁に出るしか、打つしか無いぞ!
まだ満塁ホームラン2回で逆転出来る!」
「「「「「「「はいっ!!」」」」」」」
二子玉川の監督の、この やや無茶振りな激に、やはり まだ試合を棄てていない選手達が応え、この回のトップバッターが、打席に向かって行く。
1 2 3 4 5 6 7 8 9
瓦 5 2 2 3 2 0 4 0 1 19
二 2 1 1 3 1 2 0 0 2 12
「杉野…負けちゃったね…」
「ん…」
緑色の髪の少女と、水色の髪の"少年"が、俯いて呟いた。
試合終了。
ユキコ達が応援していた、嘗てのクラスメート…ユキコの恋人が在籍する、二子玉川学園高校は、初戦敗退となった。
尚、この高校に勝利した瓦崎工業高校は この次の試合以降も猛打を爆発させ、ベスト4迄勝ち進むのだが、それは別の話。
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「「「「「「「「………………………………………。」」」」」」」」
帰りの新幹線。
応援していたチームが襤褸負け…になるのかな?…したからか、皆、表情が暗く、硬い。
そもそも二桁得点取っていて敗れるって、かなり珍しい(両チーム二桁得点というのが、かなり珍しい)パターンだよな。
「か…神崎さん、元気…出して?」
「ん。ありがとう…。でも、私は大丈夫だから。」
ユキコの友人の、背の高い女の子…片岡さん…だったかな?…の気遣いも、自分は平気だと、振る舞うユキコ。
「で、でもさ、杉野、先発ピッチャーと比べたら、よく抑えてたじゃん!
仮にアイツが最初から出ていたと仮定して、5回からの点の入りを単純に計算してみると…」
ここでフォローする様に、チャラ男が話し出した。
只のチャラ男と思っていたけど、良い心配り、出来ているじゃないか。
何気にユキコ、友人に恵まれているな。
「あ…6対5…」
…って、結局スギノクン、負けてるじゃないか!!?
空気が微妙になったぞ!?
「お前…後で〆る!」
「ひぃ~っ!?」
チャラ男君、後で〆られるの決定。www
「…で、神崎先輩?
杉野は 結局、神崎先輩から見て、どうだったんですか?」
そして このタイミングで、今度は緑髪のツインテ少女が話し掛けてきた。
「ん~、努力家と云うのは伺えるが、やはり…」
やはり、直接会ってみて話さないと、何とも言えないな。
それよりも…
「ねぇキミ、この前プリン奢った時以前にも、何処かで会った事無い?
いや、別にナンパとかじゃないよ?
俺にはトーカが居るし。」
「え゙ぇっ!?…い、いや、気のせいじゃないですか~?アハ…アハハハハ…」
そ、そうか?
いや、何だか見覚えのある顔なんだよな?
ん~、思い出せない…
「杉野も、凹んでいるだろうな~?」
「そうだね…
でも、大丈夫…杉野君は私が直接、慰めてあげる…から…!!」
「「「「おっ…おぉ~~~~~…」」」」
ユキコの言葉に、女子達が何かを察したのか、顔を赤くして、少しだけ上擦った歓声を上げるが、
「…ちょっと待てぃ!!」
それで何も察せない程、この劉兄さんは、鈍感じゃないぞ!!
そうゆう【ぴー!!】な行為は まだ、断じて この俺が認め…おぃ、今「このイトコンめ!!」…とか思ったヤツ、前に出ろ。
「劉…兄…さ・ん?」
ん?
ここでユキコが、静かに微笑みながら話してきた。
「劉兄さんは、そういうの、言える権利って、無いと思うの。
今月の終わり、トーカさんと温泉旅行に、行く・ん・だ・よ・ね…2人っきりで?」
「「「「な、何だってーーーっ!!」」」」
この発言に、数名が喰い憑き、大声を上げて驚く。
「ややや…矢田さん、本当なの?」
「矢田っち、ヤッるぅ~!♪」
「いや…だからね…」
そして、トーカに群がる女子達。
こらこら、車輌内では静かにしないと…っとか言っている場合でわない!!
「こここ…このタイミングで それを言うのか?お前わ!?」
「そ…そうよ、有希子ぉ…」
動揺しまくりな俺とトーカ。
「……ぶふぁあっ!!」
「おぃ、しっかりしろ!?」
そして何を妄想したのか、松田弟(※違います)が いきなり鼻血を出してダウンした。
…コイツは何を脳内に妄想(イメージ)したのか、後で きっちりOHANASHIして問い詰める必要性があるな。
「兎に角、私と杉野君の事は、下手な干渉は しないで欲しいの…
解るでしょ?劉…兄さん?」
そして笑顔で、俺に話し掛けるユキコ。
それは正に、有"鬼"子さんの、殺気を孕んだ黒い笑み。
イカン…小さい頃から、この笑顔の時は、逆らわぬが吉なのが、様式美(おやくそく)となっている。
「「「「「「……………。」」」」」」
それは既に周知なのか、元クラスメートさん達も多少、引いていらっしゃる。
「うぅ…分かった…まぁ、アレだ…節度を持ってだな…お互いに…」
「はい♪」
結局は、無理矢理に丸く納められてしまった。
クッソーーッ!
今度 月末に冥界に行った時、小猫にチクってやる!!
新学期早々、事情聴取受けやがれ!
‡‡‡‡【 次回予告(予定)!! 】‡‡‡‡
「なぁ…ところで、トーカ…?」
「何?」
「あのツインテの2人…」
「…2人が、どうかしたの?」
「もしかして、百合x百合さん…ですか?」
「…ぷっ?! ちょ…何言ってるのよ?!
あっちの水色の髪の毛の方は、男よ!!」
「男の娘?」
「ギャスパー君じゃない!」
次回:ハイスクール聖x龍
『レーティングゲーム、スタート!(仮)』
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