【完結】聖闘士DxD   作:挫梛道

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パーティー編、締めます。
 



魔王遊戯

どん!!

追い詰められたかの様に、壁を背にするシーグヴァイラ・アガレス。

そこに迫り寄るはシリュー。

殆ど0(ゼロ)距離となるまで間合いを詰めると逃げ道を塞ぐかの様に、彼女の右肩の上、顔の真横の壁に勢い良く手を突き、派手な音を打ち鳴らした。

 

「「…………………。」」

そして2人は その後10数秒、無言で見つめ合う。

 

 

                  

「はい~☆、15秒経過~☆」

「ふぅ~…思ってた以上に、これは照れるもんだな…」

「…ドキドキしました。」

そしてセラフォルーの一言で、両者は その状態を解き、

「「「「「「ひゅーひゅー♪」」」」」」

「「「「「「ぴーぴー♪」」」」」」

同時に煽り囃すかの様な、多人数の口笛の合奏が、部屋に鳴り渡る。

 

「じゃ、次の"魔王様"は誰かな~☆?」

「…俺です。」

その沸きが静まった後、魔王少女の呼び掛けに名乗りを上げたのは、サイラオーグ・バアルである。

 

パーティー会場に居た若い世代の者達は、魔王セラフォルー・レヴィアタンの一言で会場隣の大広間に集結。

この魔王少女の『若手同士、もっと親睦を深めよう☆!』という考えの基、冥界の若者世代にて それなりに浸透している、"魔王様ゲーム"なる遊戯に興じていた。

最初は殆どの者達が『魔王様の誘いだから仕方無く』な考えで参加していたのだが、気付けば その場の殆どがノリノリとなっていた。

 

 

【魔王様ゲーム~基本ルール~】

複数名の男女が集まり、各々に番号を振り当てると、基本は1番と なった者から順番に"魔王様"となり、「甲が乙に〇〇〇〇をする」等と宣言した後、ダイスを2回振る。

そしてダイスの示した数字に予め振り当てられていた者達が、その魔王様の命令を実行する…。

 

※補足

・命令内容の制限は魔王様、或いは予め決めていたゲームマスターの裁量に依る。

・ダイスが同じ数字を出した場合、振り直し。

・出た数字が、その時の魔王様であった場合、甲乙関係無く、魔王様本人も その命令に従わなくてはならない。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

セラフォルー様の呼び掛けで、始まったこの魔王様ゲーム。

この大広間に、若手悪魔と その眷属達、若い悪魔(ひと)達等、総勢約100名が集まっています。

恐らくはセラフォルー様、此の場の思い付きではなく、最初から このゲームを企画していた様で、殆ど球状な…100面のダイスを用意していました。

参考迄に、サイラオーグ様の前の魔王様(モブさんです)が出した御題は『壁どん』。

結果それは、シリュー先輩とシーグヴァイラ様に当たったのでした。

 

「はわゎ…見ていてドキドキしました…」

「…てゆーかシリュー先輩、やり慣れてる感が半端ないのですが?

アレは普段から、誰かさんに やっているとしか思えません。」

「…ですわね。これは新学期、トーカさんに問い詰める必要が有りますわ!

…温泉旅行の報告と一緒に!!」

はい。レイヴェルさんの言う通り、これは是非とも、温泉旅行の件共々に、トーカちゃんに聞き出す必要が有ります。

これは家族に対するアリバイ協力してあげるのですから、当然の権利です。

だから、決して文句は言わせませんよ?

分かってますか?おっぱいドラゴン先輩?

 

「どうですか?きちんと撮れてますか?」

「はい!バッチリです!!」

「御苦労様です!」

尚、シーグヴァイラ様は その壁どんのシーン、自身の眷属の方に自分のスマホを渡して、撮影をお願いしていた模様。

確認なのか、早速 動画再生しています。

 

「おぉ~う…今夜は これだけで、10回はイケます!」

……………………………………………。

…ナニがイケると言うのでしょうか?

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「2人で膝枕、して貰おうかな♪」

「それじゃ、それも15秒だね☆」

「「「「「「「…!!?」」」」」」」

数ターンの後、ライザー眷属の戦車・雪欄が魔王様として出した御題に、何人かの目が鋭く光り、顔付きが変わった。

 

「俺と会長!俺と会長!俺と会長!!」

「ソーたんと私、ソーたんと私、ソーたんと私、ソーたんと私!」

「…僕とアーシアさん僕とアーシアさん僕とアーシアさん僕とアーシアさん僕とアーシアさん僕とアーs(…以下エンドレス)」

「「「「「「「木場きゅん木場きゅん木場きゅん木場きゅん(…中略…)木場きゅん木場きゅん木場きゅん!!」」」」」」」

 

…各々が様々な思考を張り巡らせる中、「赤龍帝様!赤龍帝様!赤龍帝様!!」…等と考えている、チャイナドレスを着込んだ お団子ヘアの美少女が、100面ダイスを振る。

因みに このダイス、イカサマ防止の為、あらゆる魔法…魔力の干渉を弾く仕様となっている。

 

 

「きゃははは!写メ撮れ写メ撮れ~!!」

「拡散よ!拡散!!」

「ちょ…まじに止めてよ~!?」

「こ~ら☆!じっとしてなきゃ、15秒数えないぞ☆!」

「撫で撫で…ふふ…可愛い可愛い…」

オーフィスの膝の上に、頭を乗せているのはディオドラ・アスタロト。

その様子を、彼の眷属達が面白がってスマホで撮影中。

その空気を察したか、黒髪の美幼女は眷属(かのじょ)達に協力するが如く、顔を微かに赤らめ、半分涙目の悪魔の少年の頭を優しく撫でている。

 

「「「「「これで冥界でロ〇疑惑が固まれば、眷属(わたし)達以外の女の子は、ディオドラ様に近付かなくなるわ!」」」」」

「いや…本当に勘弁…

下手したら、次期当主の座が…(T_T)」 

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「アルゼンチン・バックブリーカー。

…尚、男女の組み合わせになった場合はダイスの甲乙に関係無く、問答無用で男が技を受ける側とする。」

「はぁ?」「げ…」「何とぉー?!」

そして その後もゲームは進んで行き、遂に赤龍帝(いちばんさいあくなやつ)に、魔王様の順番が回ってきた。

魔王・赤龍帝が出した御題。

この男を知る者達からしたら想定通り、或いは その斜め上を逝く御題に、場内は騒然となる。

                  

「それじゃ、振るぜ~?」

そう言って、ダイスを振るシリュー。

先程も説明したが、このダイスはイカサマ防止の為、あらゆる魔力の干渉を弾く仕様となっている。

…そう、あらゆる『魔力』の干渉は…。

                  

                  

そして、

「にょーーーーーーっ!!!!」

ばきぃっ!!

「ぎゃぴりーーーーーーん!!?」

ウサ耳カチューシャを頭に嵌め、滅威弩服を着た乙漢の豪快な背骨折りが、何故だか坊主頭になっている、ゼファードル・グラシャラボラスに炸裂した。

 

「「「「「うっ…ゎああ…」」」」」

その余りの凄まじい肉体言語に周囲が どん引く中、

「くっくっく…思った通りだ。

やはり、魔力は兎も角、…………の干渉を防ぐ事は、出来なかったみたいだな。」

某『自称・新世界の神』が記憶を取り戻した時の様な、黒い笑みを浮かべている男が約1名。

 

「い、いやあぁあああああああぁっ!!!?

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃいっ!!」

「「「「「み、美南風?!」」」」」

そして何やら忌まわしい記憶がフラッシュバックでもしたのか、蹲って泣き叫ぶ、十二単を羽織った黒髪の少女が1人。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「…それで、一体さっきは、何が有ったのだ?」

「うむ…実はな…」

未だに"魔王様"の御題により、阿鼻叫喚な悲鳴や大爆笑が起きる中、俺はヴァーリと話していた。

話の内容は、セラフォルーから このゲームに呼ばれる前、リアス部長とOHANASHIしていた最中、泣きながらパーティー会場から飛び出して行った、北欧神オーディンの御付きの戦乙女(ヴァルキリー)についてだ。

あの泣き様は結構 尋常ではなかったので、少しだけ気になっていたのだ。

まぁどうせアザゼルが、セクハラな発言や行動をやらかしたのだろうが。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「…お前が悪いのかよ?」

「何故、そうなる?!」

…要約すれば、事の始まりはオーディンの、今回、護衛に就いている戦乙女(ヴァルキリー)のロスヴァイセ女史。

器量良しな筈な彼女なのだが、何時迄経っても英雄(カレシ)が付かない等と、オーディンがアザゼルに何気に話してみると、その堕天使総督は早速に「コイツなんか、どーだ?」…と隣に居たヴァーリを紹介。

すると彼女は、ヴァーリの顔を見て満更でも無さ気に少し顔を赤くする。

…が、この男が

「…申し訳無いが、俺は どちらかと言えば、同い年か年下のが好みなんだ。」

…等と口走り、それを聞いた彼女は

「うわあああああああぁぁん!!

どうせ私は、売れ残りの年増ですよぉ!

彼氏いない歴イコール、年齢ですよぉ!!

うわああぁあああぁぁぁああぁぁん!!」

…と、泣き叫びながら、走り去って行ったと云うのが、事の顛末だった。

 

「はむ…それは、ヴァーリ君が、はむ…悪いですね。

女の人に、年齢で…はむはむ、差別するのは、好く…はむ、ありませんよ。」

「「お前は物(スイーツ)を食べるのか、話すかのか どっちかにしろ!!」」

「…はむはむ…ゴクン…。フゥ…いっその事、あの2人をくっつけてみますか?」

途中、会話に参加してきた小猫が指差した先には

「ぅぅ…違う、何かが違うんですけど…」

「ぁゎゎゎ…何だか すいませんん~!!」

「「……………………。」」

話に上っていた銀髪の美女が涙目になり、はわはわしてるオカ研(ウチ)の金髪ボブカットの男の娘を、お姫様抱っこをしていた。                  

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「おーい、セラフォル~?

そろそろパーティー締めるから、皆と こっち、来てくれるかい~?」

恐らくは普通に使用人を寄越しても、絶対に言う事を聞いてくれないと予測したのか、魔王であるサーゼクスが この"魔王様ゲーム"の会場に皆を呼びにやってきた。

 

「え~~~~~~~~っ☆??!」

「いや、え~☆?じゃ、ないから!

ほら、皆も!!」

 

ぞろぞろぞろぞろぞろぞろぞろぞろ…

 

本ま物の魔王様に謂われたのでは仕方在るまいとばかり、若手達はゲームを終え、パーティー会場である隣の部屋に集団移動。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

その後、サーゼクスの締めにより、パーティーは終了。

そして同時に、若手達によるレーティングゲームの第1回戦の組み合わせと、その日程が発表されたのだった。

 

 

※※若手悪魔レーティングゲーム日程※※

 

8月27日 PM0:00~

 

 サイラオーグ・バアル

   vs

 ゼファードル・グラシャラボラス

 

8月28日 PM0:00~

 

 リアス・グレモリー

   vs

 ディオドラ・アスタロト

 

8月29日 PM0:00~

 

 ソーナ・シトリー

   vs

 シーグヴァイラ・アガレス

 

 

 




‡‡‡‡【 次回予告(予定)!! 】‡‡‡‡
 
「時に赤龍帝よ…」
「ん?」
「オメー、俺の事を一体、何だと思っているんだ?」
「女と乳繰りして堕天した、【閃光と暗黒の龍絶剣(ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・ブレード)】総督。」
「むっ殺すぞ、テメーっ!!」
 
次回:ハイスクール聖x龍
『特訓スタート!(仮)』
乞う御期待!!
 

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