【完結】聖闘士DxD   作:挫梛道

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無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)オーフィス!

「派手にヤラレちまってるなぁ?www」

「だ、大丈夫ですか?」

「……ヴァーリ・ルシファー…………。」

眼鏡を掻けたスーツ姿の青年。

古代中国の武人な出で立ちの青年。

縁の広い三角帽子を被った金髪の少女。

そして黒髪のゴスロリ少女。

シリューとヴァーリの戦いを止めに入った眼鏡の青年に続き、魔法陣から姿を見せた者達が、ボロボロの状態で腰を着いているヴァーリに次々と話し掛ける。

 

「あ、アーサー?美猴?ルフェイ?

…と、誰にゃ?」

「あ、黒歌さ~ん、久し振りですぅ~。」

その顔ぶれに、黒歌も驚く。

どうやら1人を除いては、知っている人物の様だった。

 

「…で、貴方は何故…其方の方は赤龍帝ですね?…と、こんなにも派手に やらかしているのですか?」

「(¬з¬)…………………(フー…フー…)」

眼鏡男の質問に、ヴァーリは気不味そうな顔を明後日の方向に逸らし、鳴らない口笛を吹きながら、黙秘権を行使するかの様に黙り込む。

 

「はぁ…」

駄目だコイツ…とばかりに、深い溜め息を1つ吐いた青年は、シリューに顔を向けると

「貴方が今代の赤龍帝ですね?

私は、アーサー・ペンドラゴンと申します。

何故、この様な事態に陥ってしまったか、出来れば説明して頂きたいのですが?」

「…………………?」

このアーサーと名乗る男の、敵意の無い、あくまでも状況を把握したい素振りに、少し戸惑いながらも、シリューは口を開く。

 

「…赤龍帝、神崎孜劉だ。

説明の前に、1つ確認しておきたい。

あんた達は以前、黒歌が所属していたという、このヴァーリをリーダーとしたグループの者だな?」

「はい、そうですが。」

自分からの質問に肯で答えたアーサー。

それに対し、シリューも

「単純に言えば、赤と白の対決が為されたとしか、言い様が無いのだが…

…それで貴様等は どうする?

ヴァーリを回収して退くのか?

それとも この場で続けるか?

【禍の団(カオス・ブリゲード)】!!」

「はぃ?」「へ?」「え?」「……。」

最初のアーサーの質問に有りの侭に答え、その後その儘、戦闘の構えを見せる。

それに対して…自分達を【禍の団(カオス・ブリゲード)】と呼んだ事に対して、やや困惑気味な表情を浮かべるアーサー達。

 

「神崎孜劉殿…何やら少し、勘違いと言いますか、誤解が有る様ですが…

…ヴァーリ?」

「(¬з¬)……………(フー!フー!)」

ジト目なアーサーの問いに、先程以上に鳴らない口笛を吹こうと努力しながら、明明後日の方向を向くヴァーリ。

 

「おいおい赤龍帝?俺達は、テロリストなんかじゃあ、無いんだぜぃ?」

「はいですぅ!」

「…コイツが、赤龍帝……。」

シリューに対して、古代中国風な青年・美猴と、先程襲撃してきた魔法使いと似た様な格好…と言うよりか、魔女っ娘という表現の方が似合いそうな三角帽子の少女・ルフェイが、自分達がテロである事を否定。

無表情なゴスロリ少女は、ややベクトル違いな反応を見せる。

 

「確かに我々は此方のオーフィスから、【禍の団(カオス・ブリゲード)】の殲滅アシストの依頼を受けましたが、決してテロ集団に加入した訳では、無いのですが?」

「「「お・お…オーフィスぅう!??」」」

「ま…まさか…」

「そ…その娘☆…が…?」

「ん…。我、オーフィス。」

続くアーサーの説明に、そのテロリスト否定の内容でなく、然り気に紹介されたゴスロリ少女が、この騒動の元凶のテロリスト集団【禍の団(カオス・ブリゲード)】の頭目とされている、【無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)】で有る事の方に驚く、3勢力トップ達。

 

「おい、ヴァーリぃ…コイツは一体どーゆー訳なのか、マジに きっちりと、話して貰うぜ?」

「う…アザゼル…」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「クッソ!神崎のヤロー、派手に やらかしやがって!!」

「この前の体育館と云い…やっぱり あの人は、好きになれません!」

「神崎きゅんの胸板と腹筋…ハァハァ…」

「「ふ、副会長?」」

「そこ、喋ってないで!夜が明ける前に、どうにか直すわよ!」

ソーナ指揮の下、生徒会の面々は、何やら色々と ぶつぶつ言いながら、シリューの廬山龍旋爆…別名『大気圏突入式・旋回型飛龍原爆固め』により、巨大クレーターと化した校庭の修復に勤しんでいた。

尚 前回、体育館を破壊したのはシリューではなく、コカビエルである。

 

そして その頃、サーゼクスをはじめとする各勢力のトップに、リアス達、更にはヴァーリチームの面々は…

「…さて、全て話して貰おうか?」

「…はひ…。」

会議室に移動し、逃亡防止の為、再び小宇宙(コスモ)の枷で拘束された上で床に正座している白龍皇を全員で取り囲み、絶対零度の視線を浴びせていた。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「…言い訳では無いが、先ず最初に、俺は一言も、【禍の団(カオス・ブリゲード)】に加入したと言った覚えは無いのだが?」

 

全く、何を惚けた事を言っているのかしら、この白龍皇は?!

この男、カテレア・レヴィアタンにトドメを刺した時、確かに…

 

 

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

 

…確かに、旧魔王達からの誘いには興味が沸かなかったから断ったさ。

しかし先日、オーフィス直々に、改めて依頼を受けてね。

 

…それで旧魔王共は勝手に、俺達が自分達の仲間になったと思い込んだみたいだが…

 

…オーフィスが言うには、『コイツ等は蛇(チカラ)を求めるだけで、一向に我の願いを叶えてくれない』…だそうで、その役立たずの処理を、俺達に依頼してきたんだ。

 

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

 

………って、えぇっ?!

た、確かに、テロリスト入りしたとは、言ってない?

 

「でもオメー、内部の始末屋って…」

「それはアザゼル、アンタが勝手に解釈したんだ。」

「じゃ、じゃあ どうして!

どうして あの時にシリューにバトル、噴っ掛けたのよ!?」

「ふっ…それも会談の最中にも言ったが、例え3竦みが和平を結んだとしても、二天龍の戦いは別枠だ。

だが、仮に正式に和平が結ばれた後に戦ろうとも、一応は所属先になる堕天使や悪魔サイドも面倒臭がるだろう。

それに赤龍帝…神崎孜劉にしても、只でさえ宿命の対決には消極的なのに、そんな状況では尚更、本気で ぶつかり合っては来ないだろう?

それでは、余りにも面白く無さ過ぎる。

だから、俺をテロリストの一員と勘違いしてくれている あの時が、本気で戦れる最後のチャンスと思ったのさ。」

……………………。

そ、それじゃあ今、正座させらているにも拘わらず したり顔な この男は、本気のシリューと戦いたいって理由だけで、裏切った振りをしたとでも ゆー訳なの?

 

「ハァ…全く…」

「ヴァーリさんには、困った物ですね。」何だかメガネと三角帽子の女の子も、呆れて疲れた顔をしている。

敵?とは云え、何となく同情するわ。

もしかして このヴァーリって何時も、こんな調子なのかしら?

 

「あの、すいません…

ヴァーリに代わり、私が説明しても、良いでしょうか?」

「ん…何だか、その方が良いかも…」

そしてメガネが挙手して申し出て、お兄様が それを認めたわ。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「では、説明させて頂きます。

…あれは先日、私達4人が拠点(アジト)にて、のほほんとしている最中の事でした…」

アーサーが、回想を語り出した。

 

 

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

「…白龍皇、居る?」

「「「「????」」」」

4人でマリ〇カートをプレイしている最中、彼女は突然、現れました。

 

「あ、あなた、誰?何処から来たの?

…って言うか、どうやって この場所に やって来たの?」

いきなり姿を見せたのは、其方に居る、黒歌の妹さんよりも小柄な少女。

私の妹のルフェイが、不思議そうな顔をしながら、応じます。

当然な話です。

私達の拠点(アジト)は、普通に歩いて、偶々迷子になって辿り着いてしまう様な場所では無いのですから。

しかも、わざわざ白龍皇(ヴァーリ)を訪ねて、アジトに やって来たのですから、この少女が単なる迷い子では無い以上に、只者で無い訳が有りません。

 

「我、オーフィス。

白龍皇に お願いに来た。」

「「「!!?」」」「??」

オーフィスと名乗った彼女に、私、美猴、ヴァーリの顔が瞬時に変わります。

何しろ先日、ヴァーリが加入の誘いを蹴ったと云うテロリスト集団、【禍の団(カオス・ブリゲード)】の頭目とされている人物の登場ですから。

ルフェイには まだ、無限の龍神の事は教えていなかったので、『???』な顔をしています。

甲羅やバナナの投げ合い仕掛け合いで、ガチギレしている場合では無くなりました。

 

「おぃヴァーリ、このガキ…」

「あぁ、間違い無い。

この内側から感じる、龍の氣…

どうやら、本物の様だ。」

同じく伝説のドラゴンをその身に宿す者だからこそ、解るのでしょう。

美猴も私も、とりあえずは只の人間では無いと直感は していたのですが、本当に目の前の少女は、無限の龍神だった様です。

 

「…それで、俺に何の用だ?

アンタの作ったテロ集団には興味が無いと、この前 声を掛けてきた悪魔(ヤツ)に、そう伝えろと言ったと思うが?」

「フルボッコにしてなwww」

「…違う。アレはアイツ等が、勝手に名乗っているだけ。

我も せかいせーふくには興味が無い。」

瞳に全く光の灯っていない、無表情な少女は語り出しました。

 

曰わく、偶々同じく時期に、旧魔王の派閥の者や、人間界にて異形異端として認識されている者達、或いは3竦みや その他の勢力から出奔した者達が皆こぞって、今の世界を自分達の都合の好い風に魔改革したいと、オーフィスに助力を求めて集まって来たとか。

そして その者達が結託して出来上がったのが、オーフィスを勝手に旗頭とした件のテロリスト集団・【禍の団(カオス・ブリゲード)】だとか。

当然ながら、オーフィスも只で彼等に自分の力を貸したりする事は有りません。

彼女の生まれ故郷である、次元の狭間。

其処で静かに暮らして往くに辺り、非常に邪魔な存在である、『真なる赤龍神帝・グレートレッド』の打倒を条件に、自らの蛇(チカラ)を分け与えていた様ですが、

「…アイツ等は我に蛇(チカラ)を求めるだけで、一向に願いを叶えてくれない。

何時迄経っても、グレートレッドを斃しに行かない。」

…らしいです。

まあ、それは当然な話でしょう。

何しろ相手は、あの『真なる赤龍神帝』ですよ?

あんな最狂ドラゴンに、自ら喧嘩を売ろうと考える人物なんて、私は1人しか思い浮かびません。

誠に お気の毒ですが、無知…失礼、無垢な彼女は、好い様に騙され利用されているとしか考えられません。

 

「「……………………。」」

しかし、それをストレートに教えて善い物なのか、教えるにしても、言葉を選ばねばと思案している中、

「ん~、そりゃ どー考えても お前さん、騙されて利用されているんだぜぃ?」

「…………?!!!」

はい!ウチのバカ猿が、考え無しの弩ストレートな発言をかましやがりました!!

これには流石の無表情少女も、弱冠ですが、驚きの表情を浮かべます。

 

ごごごごごごごごごごごごごご…

「我、騙されていた?」

「「「「!!!?」」」」

美猴(バカザル)の一言で、無限の龍神の小さな体から、途轍も無い殺気と怒気が溢れ出します。

 

「お、オーフィスちゃん?落ち着いて?」

慌てて妹が必死に宥め透かしますが、

「我、絶対に赦さない…」

駄目です。

一向に効果が有りません。

 

「美猴!貴方が余計な事を言うから!」

「俺ぇ?俺っちのせいなのかぃ?!」

「貴様の他に、誰が居ると云うのだ!?」

「ですぅ!」

皆で美猴を責め立てますが、正直、そんな場合では有りません。

 

「オーフィス?とりあえず、落っ着くんだぜぃ!」

「そ、そうだ、ラーメン食べるか?」

「プリンも有りますよ!」

必死に食べ物で、御機嫌穫りに伺っていますが、そんな簡単に往く訳が…

「…ん、食べる。」

…有りましたぁっ!!

 

 

ずずずすずずずす…

「ん、おいしい…」

「「「「…………。」」」」

ヴァーリが作ったインスタントラーメンを啜るオーフィス。

やれやれ…何とか機嫌は、収まったみたいですね。

 

「…それでオーフィス?

貴女は何やら、ヴァーリに用事が有って、この場に来たみたいですが…」

「…プリンは?」

「「「「…………。」」」」

結局その後、冷蔵庫に仕舞っておいたプリンにケーキ、アイスクリーム等のスィーツは、全部オーフィスの お腹の中に。

それにより、今度は妹(ルフェイ)が うるうるとなりましたが、そんなのは大事を回避した故の小事です。

 

「我、白龍皇に、グレートレッドを斃す手伝いを頼みに来た。」

「良いよ。」

「「「うぉおおぇい?!」」」

そして やっと、オーフィスが我々のアジトにやって来た本題を切り出しましたが、即答ですか!?

 

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

「…まぁ、この様な経緯が有った訳でして…」

「「「「「「………………。」」」」」」

アーサーの説明に、唖然となる一同。

 

「しかしながら当然、今の我々では、グレートレッドを打倒するのは不可能。

…かと言って、彼女の『蛇』を、身に受け入れる心算も無く。」

「それで とりあえず、今の『蛇』を取るだけな、働かない連中の粛清を先に殺っちまわね?…って話になってな…」

「この学校に、一部の者が襲撃を仕掛けるのは、オーフィスちゃんから聞いたので、その人達は、最初から会談に出席予定だったヴァーリさんに任せて、」

「残りは、オーフィスを含む我々で、カテレア・レヴィアタンが学園を襲撃するタイミングと併せて、決行する流れに なったのです。」

「ふっ…そうゆう事だ。」

「やかましいわ!おい、赤龍帝!!」

「……………………。…どうぞ。」

すぱかーん!!

「ありすてらっ!!」

更に順々に、予め段取っていた様に台詞を繋ぎ、最後にドヤ顔で締めたヴァーリに、保護者ポジションである、堕天使総督の一撃が炸裂した。

 

「お前、とりあえず来月の小遣いは、無しだからな!!」

「ドイヒー!?( ゚Д゚Ⅲ)」

 

「ちょっと待ってよ?

それじゃ もしかして、【禍の団(カオス・ブリゲード)】って…?」

「えぇ。実質、壊滅ですね。」

この親子漫才をスルーして、リアスがアーサーに訪ねると、あっさりと壊滅と言ってのけるアーサー。

 

「旧魔王派閥…レヴィアタンはヴァーリが、残るベルゼブブとアスモデウスや、その他の人間が中心となっている派閥は、オーフィスと私達が…少なくとも各幹部クラスは皆、討ち取りましたね。」

「下っ端の雑魚は少し逃がしちまったが、既に後ろ盾も無いし、もう今回みたいな派手な行動は、出来ないと思うぜぃ?」

完全な殲滅掃討とは往かなかったが、とりあえずの脅威は無くなったと断言するアーサーと美猴。

 

「ははは…マジかよ…」

それを聞き、【禍の団(カオス・ブリゲード)】の危険性を話した上で、和平交渉に切り出す心算だったアザセルは、苦笑いするしかなかった。

 

 




 
え?英雄派?何ですか、それは?(笑)
 
‡‡‡‡【 次回予告(予定)!! 】‡‡‡‡
 
次回:ハイスクール聖x龍
『(今度こそ)駒王協定(仮)』
乞う御期待!! コメントよろしくです。
 

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