【完結】聖闘士DxD   作:挫梛道

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最初は匙視点で。


赤と白

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ちぃっ!全くキリが無いぜ!!

セラフォルー様が、旧魔王であるカテレア・レヴィアタンを退けた後も、学内の校庭には次から次と、テロ集団の魔法使い共が沸いて出てきやがる。

既に上空で、互いに睨み合いをしていた3勢力の軍勢も、今この場で斃すべき敵をきちんと識別し、地上に降りての大乱戦だ。

そんな連合した3竦みに対し、魔力弾を飛ばして応戦するテロリスト達。

だが…言っちゃ悪いが、悪魔、天使、堕天使の集団に…数の上でも そうだが、グレモリー先輩の僧侶である、ギャスパー・ヴラディの能力のサポートも無い今、少しばかり魔法の使える程度の、只の『人間(オマエタチ)』じゃあ、既に相手にならねーよ。

                  

「でぇえいやぁっ!」

ドガァッ!

「ぎゃぴりーん!!」

…………………。

そう、当人は そーゆー表現は好まないだろうが、仮にも只の『人間』が、悪魔や天使と喧嘩したいなら、せめてアイツ位の実力は身に着けないとな。

それにしても神崎の あの戦い方…

如何にアイツが赤龍帝と言っても、転生した俺とは違い、同族…同じな筈の『人間』に対して、迷いも何も無いというか…

今は悪魔である俺でさえ、マジな『殺し』は、多少の戸惑いは有るってのに…

勿論、相手は確実に殺りにキテる訳だし、そんなの考えている暇なんて無いから、こっちも容赦無く、殺りに往くんだけどな…

けど、俺と同じ年な筈のアイツの戦い方は、単に殺し合いの喧嘩なんかでなく、本当に大量の生き死が渦巻く『戦』を経験しているとしか思えないんだ。

 

「てぇいやぁっ!」

斬!

そして、木場。

アイツも元は、俺同様に元・人間なのに、いくら敵とは云え、躊躇い無く斬り棄ててるんだよなぁ…

クっソが!分かってるよ!

俺が甘いだけなんだろ!

単純に、覚悟の違いなんだろ!!

畜生、殺ってやるよ!

俺だって、支取会長…ソーナ・シトリー様の兵士(ポーン)なんだ!

主の為にも、不様は見せられっかよ!!

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「おい、ハーフヴァンパイア?」

「は、はぃいいいっ!?」

この大混戦を会議室の窓から静観していたアザゼルが、リアスに保護されて来たギャスパーに話し掛ける。

 

「オメー、校庭の全員、停められるか?」

「へ…?ふへぅええうぇっ?!」

「あ…アザゼル…殿?

ギャスパーに、何をさせる心算なの?」

不意に堕天使の総督に声を掛けられ、必要以上にテンパるギャスパーに代わり、リアスが受け答えするが、

「…どーなんだ?」

「うぅ…」

その警戒感を露わにするリアスをスルーするが如く、アザゼルは真摯な表情で真っ直ぐギャスパーの眼を見て、問い掛ける。

 

「ぼ、僕は まだ、あんな広い空間では、敵味方の区別が出来ませんから…」

「構わねー、ヤれ。」

「え?」

「俺は『全員、停められるか?』と聞いたんだぜ?」

「えぇえっ!?」

アザゼルの発言に、驚き戸惑うギャスパーは、救いを求める様に、リアス、そして その後ろに立っているサーゼクスに目を向けると、

コクン…

サーゼクスはアザゼルの考え…いや企みを予測したのか、無言で微笑みながら、頷いた。

                  

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「ふ…【停止世界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)】!」

ぴた…

学園の校庭で、3竦みの連合とテロ集団が入り乱れ争っている中、本校舎3Fの窓から それを見据えたギャスパーが、己の神器を発動させると、校庭内が…その場に居る数名を除いて その動きが…時が停まる。

 

「これは…」

「ギャスパーの力…か…?」

今、グランドで動けるのは、シリュー、ヴァーリ、黒歌、ミルたん、匙、そしてセラフォルーの6人だけ。

テロリストの魔法使いだけでなく、先程迄、捕らわれ暴走したギャスパーの能力から解放された悪魔、天使、堕天使の兵や小猫に木場達も、再び その時間を停められ、固まってしまう。

 

『ぁっあ~…テステス、本日は晴天な~り…』

「「「「「「?」」」」」」

そして、本校舎から場違いなアナウンスが流れる。

 

『あ~、ヴァーリ~ぃ、赤龍帝~ぃ、セラフォル~ぅ、聞こえてるな~?』

「「「「「「………。」」」」」」

拡声器越しに話す、アザゼルである。

 

「な…何なんだよ?」

「本当に緊張感の無い男だ…」

「アザゼルだから、仕方無いよ☆」

「な…何だか、スマン…」

外に出ている悪魔陣営の6人が、アザゼルに対して色々と言いたそうな顔をしながら注目すると、堕天使の総督は左手を天に向けて翳す。

その瞬間、夜空に星の如く煌めく、無数の光が点々と浮かび上がった。

 

「「「「「「…!!」」」」」」

『良いか お前等、絶対に動くなよ~?

間違っても振りじゃねーぞー?

下手に動いて当たっても、俺は知らんからな~?死ぬ程痛いぞ~?』

Shun Hyun Shun Hyun Shun Hyun…!!!!

…この台詞の直後、空から無数の光の槍が、豪雨の様に降り注ぎ、それはSLGのMAP兵器の如く、テロリスト『のみ』を的確に狙いすまし、貫いていく。

これに自身の『時』を停められた魔法使い達は、断末魔を上げる事無く…『時』を停められている故に、自分が攻撃された事すら自覚の無い儘、絶命して逝った。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「…さて、と…」

「後は、コイツをどーすっか…だな…?」

「…ですね。」

魔法使いの増援も漸く途絶え、攻めてきた賊の殲滅掃討を終えた後、3勢力の兵達が再び空で待機している中、サーゼクスやミカエルをはじめ、校舎内に留まっていた者達も、グランドの中央に集まった。

 

「カテレアちゃん…」

其処に居るのは、セラフォルーとの戦いにより、未だ氷の匣に閉じ込められる、旧魔王の末裔、カテレア・レヴィアタン。

 

「殺ってないんだろ?」

「ん…手加減は、したから…」

このセラフォルーの本来、『相手は死ぬ』な攻撃を受けていても、手加減により死んでないらしいカテレア。

                  

「とりあえずは【禍の団(カオス・ブリゲード)】だったっけ?

その集団について、色々と教えて貰わないとね。」

「…だな。おいセラフォルー、解凍だ。」

「ん…分かった…。」

パチィン…

魔王少女が指を小さく弾くと、旧魔王を閉じ込めていた氷が 見る見る内に蒸発して消えて往く。

                  

「カハァッ!…セ、セラフォルゥー!!」

「カテレアちゃん…」

そして その中に居たカテレアが、ダメージと疲労からか、膝を着きながらも、現・レヴィアタンを怨めしく睨みつける。

 

「カテレア・レヴィアタン…色々と言いたい事は分かるが、それは後で聞くよ。

君が属している、テロ集団の情報と一緒に…ね…」

「既に他のテロ連中は片付けたし、もう この場には、お前しか居ねー。

大人しく捕まっちまうのが、ベストだと思うぜ?」

「グレイフィア、頼む。」

「はい。」

サーゼクスとアザゼルが、一歩前に歩み寄り、カテレアに話し掛けた後、その傍らに居たグレイフィアが魔力の枷を精製、今回のテロ集団の首謀者を拘束。

 

「くっくっくっく…」

「んぁ?」

しかし、手足を封じられた状態でも、カテレアは まだ余裕が有るのか、嗤いを零す。

 

「オメー、何が おかしんだ?」

「…忘れたのですか?

あの場に現れた時、最初に言った筈です。

旧魔王…いいえ、真の魔王の血を引く者達は、【禍の団(カオス・ブリゲード)】に協力する事を決めた…と!」

「ど、どーゆー意味…」

「さあ、何をやっているのです!

早く この拘束を破りなさい!

偽りの魔王達、そして それと組もうとしている愚か者を、共に滅ぼしましょう!

ヴァーリ・ルシファー!!」

「な?」「は?」「へ?」「え?」

「……………………………。」

カテレアの台詞…その『ルシファー』という言葉に、その場の者達は素っ頓狂な声を出し、ルシファーと呼ばれた純白の全身鎧を着込んだ男に注目した。

 

「あははははは!

どうやらアザゼル以外は、知らなかったみたいですね!

その白龍皇は、先代ルシファーの孫と、人間との間に生まr(ゴッ)ぐはぁっ!?」

「…黙れ。」

「「「「なっ…!?」」」」

明らかに不利な状況の中、まだ自分達には『札』は有るとばかりに勝ち誇った様に話すカテレアに、魔力弾を浴びせたのは、彼女からすれば、その『札』で在る筈のヴァーリ。

 

「…………………………」

その無表情からの躊躇無い一撃で、カテレアは事切れてしまった。

 

「これは…」

「アザゼル、一体…」

「あっー!俺が聞きてーよ!?

おい、ヴァーリ!一体、どーゆー心算だ?

オメー、テロ集団の誘いは蹴ったって言ってたじゃねーか?」

一番最初に和平を持ち掛けていながら、まさか その自分の下に位置する者が、それを邪魔立てしてきたテロ組織に通じていたという事実。

サーゼクスやミカエルに疑惑の表情を向けられて、罰の悪そうな顔で、アザゼルはヴァーリを問い詰める。

                  

「…確かに、旧魔王達からの誘いには興味が沸かなかったから断ったさ。

しかし先日、オーフィス直々に、改めて依頼を受けてね。

それで旧魔王共は勝手に、俺達が自分達の仲間になったと思い込んだみたいだが…」

「違うってのか?」

「オーフィスが言うには、『コイツ等は蛇(チカラ)を求めるだけで、一向に我の願いを叶えてくれない』…だそうで、その役立たずの処理を、俺達に依頼してきたんだ。」

「フン…内部の始末屋か。」

事も無げに話すヴァーリに、アザゼルは呆れた顔を見せる。

                  

「…と、言いますか、アザゼルがテロ組織の名前等を知っていたのは、彼からの情報だったのですね…。」

「あぁ、まぁな…。

…それにしても、だ。

お前は俺が今日、コイツ等と和平を結ぼうとしたのを知っていて、それを象徴で…」

「さっきも言ったろ?アザゼル。

俺は強いヤツと戦えれば、それで良いと。

誰と誰が仲良く手を組もうが、或いは敵対しようが、俺には関係無い事なんだ。

だから、あの時に断りも入れていたぞ。

3竦みが手を結ぼうが、赤と白の対決は、別枠だと…。なぁ、赤龍帝?」

「………………!!」

アザゼルと話す中、シリューに視線を向けるヴァーリ。

 

「丁度良い具合に、この場は結界も張られている。

君にとっても、それは好都合なんだろ?

良い頃合いじゃないか。

さあ、赤と白の宿命…今、この場で決着させようぜ?赤龍帝…神崎孜劉!」

チョイチョイと挑発する様に手招きするヴァーリに対してシリューは、

「…正直な話、ドライグには悪いが、俺は2天龍の対決なんて、興味は無かった。

しかしながら、其方が戦る気満々で避けられない戦いならば…ドライグ!」

(応よ!相棒!!

Welsh Dragon over booster!

Balance breaker…

Boosted gear・Scale Mail!!)

シリューの呼び掛けに、赤龍帝の籠手に宿る赤き龍が応え、籠手から電子音的な雄叫びが発せられると同時に、シリューの身体は赤い全身鎧に包まれる。

 

「皆、手出しは無用だ!

白龍皇は、俺が倒す!!」

「ふっ…当然だ!

俺達の勝負に、何人たりとも割って入る真似は許さん!!」

この言葉と同時に、2人はダッシュして互いに間合いを詰め、

「皆、本当に危険だから後ろに下がって!

グレイフィア、セラフォルー!

…他の皆も、防護結界の術式が使える人は、結界を!」

「「「「「「「は…はい!」」」」」」」

サーゼクスの呼び掛けで、その場の者達が皆一歩退き、

ゴッ!

周囲に被害が及ばぬ様に張られた結界の中、赤と白の腕が、拳が交差した。

 

 




 
「…お姉様?
そのスマホは何ですか?」
「決まってるにゃ!
シリューが鎧を着込んだ!…イコール、それはフラグ以外の何物でも無いにゃ!
シリューの『ぴー!』な姿、バッチリ納めてやるんだにゃ!!」
 
‡‡‡‡【 次回予告(予定)!! 】‡‡‡‡
 
次回:ハイスクール聖x龍
『赤と白②(仮)』
乞う御期待!! コメントよろしくです。
 

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