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ちぃっ!全くキリが無いぜ!!
セラフォルー様が、旧魔王であるカテレア・レヴィアタンを退けた後も、学内の校庭には次から次と、テロ集団の魔法使い共が沸いて出てきやがる。
既に上空で、互いに睨み合いをしていた3勢力の軍勢も、今この場で斃すべき敵をきちんと識別し、地上に降りての大乱戦だ。
そんな連合した3竦みに対し、魔力弾を飛ばして応戦するテロリスト達。
だが…言っちゃ悪いが、悪魔、天使、堕天使の集団に…数の上でも そうだが、グレモリー先輩の僧侶である、ギャスパー・ヴラディの能力のサポートも無い今、少しばかり魔法の使える程度の、只の『人間(オマエタチ)』じゃあ、既に相手にならねーよ。
「でぇえいやぁっ!」
ドガァッ!
「ぎゃぴりーん!!」
…………………。
そう、当人は そーゆー表現は好まないだろうが、仮にも只の『人間』が、悪魔や天使と喧嘩したいなら、せめてアイツ位の実力は身に着けないとな。
それにしても神崎の あの戦い方…
如何にアイツが赤龍帝と言っても、転生した俺とは違い、同族…同じな筈の『人間』に対して、迷いも何も無いというか…
今は悪魔である俺でさえ、マジな『殺し』は、多少の戸惑いは有るってのに…
勿論、相手は確実に殺りにキテる訳だし、そんなの考えている暇なんて無いから、こっちも容赦無く、殺りに往くんだけどな…
けど、俺と同じ年な筈のアイツの戦い方は、単に殺し合いの喧嘩なんかでなく、本当に大量の生き死が渦巻く『戦』を経験しているとしか思えないんだ。
「てぇいやぁっ!」
斬!
そして、木場。
アイツも元は、俺同様に元・人間なのに、いくら敵とは云え、躊躇い無く斬り棄ててるんだよなぁ…
クっソが!分かってるよ!
俺が甘いだけなんだろ!
単純に、覚悟の違いなんだろ!!
畜生、殺ってやるよ!
俺だって、支取会長…ソーナ・シトリー様の兵士(ポーン)なんだ!
主の為にも、不様は見せられっかよ!!
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「おい、ハーフヴァンパイア?」
「は、はぃいいいっ!?」
この大混戦を会議室の窓から静観していたアザゼルが、リアスに保護されて来たギャスパーに話し掛ける。
「オメー、校庭の全員、停められるか?」
「へ…?ふへぅええうぇっ?!」
「あ…アザゼル…殿?
ギャスパーに、何をさせる心算なの?」
不意に堕天使の総督に声を掛けられ、必要以上にテンパるギャスパーに代わり、リアスが受け答えするが、
「…どーなんだ?」
「うぅ…」
その警戒感を露わにするリアスをスルーするが如く、アザゼルは真摯な表情で真っ直ぐギャスパーの眼を見て、問い掛ける。
「ぼ、僕は まだ、あんな広い空間では、敵味方の区別が出来ませんから…」
「構わねー、ヤれ。」
「え?」
「俺は『全員、停められるか?』と聞いたんだぜ?」
「えぇえっ!?」
アザゼルの発言に、驚き戸惑うギャスパーは、救いを求める様に、リアス、そして その後ろに立っているサーゼクスに目を向けると、
コクン…
サーゼクスはアザゼルの考え…いや企みを予測したのか、無言で微笑みながら、頷いた。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「ふ…【停止世界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)】!」
ぴた…
学園の校庭で、3竦みの連合とテロ集団が入り乱れ争っている中、本校舎3Fの窓から それを見据えたギャスパーが、己の神器を発動させると、校庭内が…その場に居る数名を除いて その動きが…時が停まる。
「これは…」
「ギャスパーの力…か…?」
今、グランドで動けるのは、シリュー、ヴァーリ、黒歌、ミルたん、匙、そしてセラフォルーの6人だけ。
テロリストの魔法使いだけでなく、先程迄、捕らわれ暴走したギャスパーの能力から解放された悪魔、天使、堕天使の兵や小猫に木場達も、再び その時間を停められ、固まってしまう。
『ぁっあ~…テステス、本日は晴天な~り…』
「「「「「「?」」」」」」
そして、本校舎から場違いなアナウンスが流れる。
『あ~、ヴァーリ~ぃ、赤龍帝~ぃ、セラフォル~ぅ、聞こえてるな~?』
「「「「「「………。」」」」」」
拡声器越しに話す、アザゼルである。
「な…何なんだよ?」
「本当に緊張感の無い男だ…」
「アザゼルだから、仕方無いよ☆」
「な…何だか、スマン…」
外に出ている悪魔陣営の6人が、アザゼルに対して色々と言いたそうな顔をしながら注目すると、堕天使の総督は左手を天に向けて翳す。
その瞬間、夜空に星の如く煌めく、無数の光が点々と浮かび上がった。
「「「「「「…!!」」」」」」
『良いか お前等、絶対に動くなよ~?
間違っても振りじゃねーぞー?
下手に動いて当たっても、俺は知らんからな~?死ぬ程痛いぞ~?』
Shun Hyun Shun Hyun Shun Hyun…!!!!
…この台詞の直後、空から無数の光の槍が、豪雨の様に降り注ぎ、それはSLGのMAP兵器の如く、テロリスト『のみ』を的確に狙いすまし、貫いていく。
これに自身の『時』を停められた魔法使い達は、断末魔を上げる事無く…『時』を停められている故に、自分が攻撃された事すら自覚の無い儘、絶命して逝った。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「…さて、と…」
「後は、コイツをどーすっか…だな…?」
「…ですね。」
魔法使いの増援も漸く途絶え、攻めてきた賊の殲滅掃討を終えた後、3勢力の兵達が再び空で待機している中、サーゼクスやミカエルをはじめ、校舎内に留まっていた者達も、グランドの中央に集まった。
「カテレアちゃん…」
其処に居るのは、セラフォルーとの戦いにより、未だ氷の匣に閉じ込められる、旧魔王の末裔、カテレア・レヴィアタン。
「殺ってないんだろ?」
「ん…手加減は、したから…」
このセラフォルーの本来、『相手は死ぬ』な攻撃を受けていても、手加減により死んでないらしいカテレア。
「とりあえずは【禍の団(カオス・ブリゲード)】だったっけ?
その集団について、色々と教えて貰わないとね。」
「…だな。おいセラフォルー、解凍だ。」
「ん…分かった…。」
パチィン…
魔王少女が指を小さく弾くと、旧魔王を閉じ込めていた氷が 見る見る内に蒸発して消えて往く。
「カハァッ!…セ、セラフォルゥー!!」
「カテレアちゃん…」
そして その中に居たカテレアが、ダメージと疲労からか、膝を着きながらも、現・レヴィアタンを怨めしく睨みつける。
「カテレア・レヴィアタン…色々と言いたい事は分かるが、それは後で聞くよ。
君が属している、テロ集団の情報と一緒に…ね…」
「既に他のテロ連中は片付けたし、もう この場には、お前しか居ねー。
大人しく捕まっちまうのが、ベストだと思うぜ?」
「グレイフィア、頼む。」
「はい。」
サーゼクスとアザゼルが、一歩前に歩み寄り、カテレアに話し掛けた後、その傍らに居たグレイフィアが魔力の枷を精製、今回のテロ集団の首謀者を拘束。
「くっくっくっく…」
「んぁ?」
しかし、手足を封じられた状態でも、カテレアは まだ余裕が有るのか、嗤いを零す。
「オメー、何が おかしんだ?」
「…忘れたのですか?
あの場に現れた時、最初に言った筈です。
旧魔王…いいえ、真の魔王の血を引く者達は、【禍の団(カオス・ブリゲード)】に協力する事を決めた…と!」
「ど、どーゆー意味…」
「さあ、何をやっているのです!
早く この拘束を破りなさい!
偽りの魔王達、そして それと組もうとしている愚か者を、共に滅ぼしましょう!
ヴァーリ・ルシファー!!」
「な?」「は?」「へ?」「え?」
「……………………………。」
カテレアの台詞…その『ルシファー』という言葉に、その場の者達は素っ頓狂な声を出し、ルシファーと呼ばれた純白の全身鎧を着込んだ男に注目した。
「あははははは!
どうやらアザゼル以外は、知らなかったみたいですね!
その白龍皇は、先代ルシファーの孫と、人間との間に生まr(ゴッ)ぐはぁっ!?」
「…黙れ。」
「「「「なっ…!?」」」」
明らかに不利な状況の中、まだ自分達には『札』は有るとばかりに勝ち誇った様に話すカテレアに、魔力弾を浴びせたのは、彼女からすれば、その『札』で在る筈のヴァーリ。
「…………………………」
その無表情からの躊躇無い一撃で、カテレアは事切れてしまった。
「これは…」
「アザゼル、一体…」
「あっー!俺が聞きてーよ!?
おい、ヴァーリ!一体、どーゆー心算だ?
オメー、テロ集団の誘いは蹴ったって言ってたじゃねーか?」
一番最初に和平を持ち掛けていながら、まさか その自分の下に位置する者が、それを邪魔立てしてきたテロ組織に通じていたという事実。
サーゼクスやミカエルに疑惑の表情を向けられて、罰の悪そうな顔で、アザゼルはヴァーリを問い詰める。
「…確かに、旧魔王達からの誘いには興味が沸かなかったから断ったさ。
しかし先日、オーフィス直々に、改めて依頼を受けてね。
それで旧魔王共は勝手に、俺達が自分達の仲間になったと思い込んだみたいだが…」
「違うってのか?」
「オーフィスが言うには、『コイツ等は蛇(チカラ)を求めるだけで、一向に我の願いを叶えてくれない』…だそうで、その役立たずの処理を、俺達に依頼してきたんだ。」
「フン…内部の始末屋か。」
事も無げに話すヴァーリに、アザゼルは呆れた顔を見せる。
「…と、言いますか、アザゼルがテロ組織の名前等を知っていたのは、彼からの情報だったのですね…。」
「あぁ、まぁな…。
…それにしても、だ。
お前は俺が今日、コイツ等と和平を結ぼうとしたのを知っていて、それを象徴で…」
「さっきも言ったろ?アザゼル。
俺は強いヤツと戦えれば、それで良いと。
誰と誰が仲良く手を組もうが、或いは敵対しようが、俺には関係無い事なんだ。
だから、あの時に断りも入れていたぞ。
3竦みが手を結ぼうが、赤と白の対決は、別枠だと…。なぁ、赤龍帝?」
「………………!!」
アザゼルと話す中、シリューに視線を向けるヴァーリ。
「丁度良い具合に、この場は結界も張られている。
君にとっても、それは好都合なんだろ?
良い頃合いじゃないか。
さあ、赤と白の宿命…今、この場で決着させようぜ?赤龍帝…神崎孜劉!」
チョイチョイと挑発する様に手招きするヴァーリに対してシリューは、
「…正直な話、ドライグには悪いが、俺は2天龍の対決なんて、興味は無かった。
しかしながら、其方が戦る気満々で避けられない戦いならば…ドライグ!」
(応よ!相棒!!
Welsh Dragon over booster!
Balance breaker…
Boosted gear・Scale Mail!!)
シリューの呼び掛けに、赤龍帝の籠手に宿る赤き龍が応え、籠手から電子音的な雄叫びが発せられると同時に、シリューの身体は赤い全身鎧に包まれる。
「皆、手出しは無用だ!
白龍皇は、俺が倒す!!」
「ふっ…当然だ!
俺達の勝負に、何人たりとも割って入る真似は許さん!!」
この言葉と同時に、2人はダッシュして互いに間合いを詰め、
「皆、本当に危険だから後ろに下がって!
グレイフィア、セラフォルー!
…他の皆も、防護結界の術式が使える人は、結界を!」
「「「「「「「は…はい!」」」」」」」
サーゼクスの呼び掛けで、その場の者達が皆一歩退き、
ゴッ!
周囲に被害が及ばぬ様に張られた結界の中、赤と白の腕が、拳が交差した。
「…お姉様?
そのスマホは何ですか?」
「決まってるにゃ!
シリューが鎧を着込んだ!…イコール、それはフラグ以外の何物でも無いにゃ!
シリューの『ぴー!』な姿、バッチリ納めてやるんだにゃ!!」
‡‡‡‡【 次回予告(予定)!! 】‡‡‡‡
次回:ハイスクール聖x龍
『赤と白②(仮)』
乞う御期待!! コメントよろしくです。