【完結】聖闘士DxD   作:挫梛道

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和平を結ぼうぜ。
お前達も元々、その心算だったのだろ?
 
 



テロリスト襲来!

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

和平―――

 

堕天使総督の発した この言葉に、2人の魔王と天使長が、驚きの顔を見せる。

 

「私も悪魔側とグリゴリに和平を呼び掛ける予定でした。」

しかし、それも僅かな時。

アザゼルに同調する様に、ミカエルも和平と云う言葉を口にした。

 

「…同じく。」

「でも まさか、一番最初にアザゼルちゃんの口から その言葉が飛び出すなんて、びっくりだよ☆」

「をゐ!?」

そして更には悪魔側も、その心算だったとか。

これには俺も驚いた。

聞けば、「殺し合う位に仲が悪い」らしい3竦みの代表が、揃って和平を結ぶと言ってるのだから。

 

「これ以上 3竦みの関係を続けていても、世界の害にしかならない。

天使長である、私が謂うのも何ですが…

…戦争の大本である神と魔王は既に消滅しているのですから…。

…失った物は、確かに大きい。

しかし、在ない者を何時までも求め続けても、仕方が有りません。」

「おいおい、大丈夫かよ?

その発言は『堕ち』やしねーか?

…って、『システム』は お前が受け継いだんだったよな。

良い世界に なったもんだな?

俺が『堕ちた』頃とは全然違うぜ。」

そして和平の意義をミカエルが真面目に話し始めるのだが…この男は、何時も真面目に話せないのか?

 

「な…?何を言っているのですか!?

貴方が『堕ちた』理由は、人間の女人と乳繰り合ったからでしょうに!

現行の『システム』でも それをすれば、普通に『堕ち』ますよ!

この、【閃光と暗黒の龍絶剣(ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・ブレード)】!!」

「そ、その呼び名は止めろぉおっ!!?」

ミカエルが顔を赤くして大声で呼ぶ名前に、それ以上の赤い顔で、慌てふためくアザゼル。

…って、何なの?その厨二全開な名前?

 

「くっく…www」

「…………プッ!」

「きゃはははははは☆!!」

そして やはり、その名前を聞き、何やら思い出したかの様に笑う魔王達。

あのグレイフィアさんですら、完全に笑うのを抑えられてない。

よし、どういう経緯でアザゼルが【閃光と暗黒の龍絶剣(ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・ブレード)】になったのか、後でセラフォルーに聞いてみよう。

 

「…コホン、と、兎に角!」

そして再び、話し始めるミカエル。

 

「…神の子を見守り、先導していくのが、我等の使命なのだと、私達 熾天使(セラフ)の意見も一致しています。」

「我等も同じです。

種を存続させる為、悪魔も先に進まねばならない。」

ミカエルの言葉に続き、魔王少女…否、今はトップ会談の場に相応しい、ダークブルーのレディースフォーマルを着こなした、魔王セラフォルー・レヴィアタンが、普段の…今迄のイメージを打ち消す様な真面目な面持ちと口調で語り、

「戦争は我等も望むべき事柄では無い。」

また戦争をすれば、悪魔は滅ぶ。」

サーゼクスさんが更に言葉を続けた。

 

「そうだ、悪魔だけじゃねぇ。」

そして、アザゼル。

本人にすれば失礼な話だろうが、やはり初対面時から先程迄の対談のイメージが強いからか、とてもじゃないが想像出来ない様な、真摯な顔で話し始めた。                        

「次、戦争を起こせば、3竦みは間違い無く共倒れだ。

それは人間界にも影響を大きく与え、イコール、世界は終わる。

俺達は戦争をもう起こせない。

起こしては いけないんだ。」

「「「………。」」」

この堕天使総督の言葉に、天使長と魔王2人は無言で頷いた。

 

「シリュー君…いや、赤龍帝殿?」

「?」

そして此の場で、サーゼクスさんが不意に、俺に話を振った。

 

「君自身は…この和平については、どう思っているかな?」

「どうとは…どういう意味かな?」

「………。」

質問に質問で返すと、魔王は無言で一瞬、天使長の顔を窺う様に見ると、また俺の方に顔を向けた。

あ、そういう意味か。

 

「どうも何も、今の俺に、冥界トップの組織レベルの決定に、反対出来る権利は持っていない。

馴れ合う心算は無いが、不必要に進んで敵対する事も無いだろう。」

「そうか…ありがとう。」

いや、サーゼクスさん、考え過ぎです。

とりあえずミカエルとは、この前きっちりとOHANASHIした上で、一応は終わらせているから。

流石に此の場で それを蒸し返し、公開処刑する趣味は持っていない心算でいる。

尤も、和平した後も、天界勢と仲良くする気は微塵も無いけど。

 

「赤龍帝は、あー言ってるが、ヴァーリ、お前は どーなんだ?」

赤龍帝(オレ)の考えを聞いた後、今度はアザゼルが、白龍皇ヴァーリに同様な問いを掛けた。

 

「勝手にすれば良いさ。

俺は、強い奴と戦う事にしか興味が無い。

和平成立後も、その時は堕天使所属でなく、俺個人として勝手に動かさせて貰うさ。

例えば…仮に、互いに同盟勢力に席を置いていたとしても、宿命の対決だけは別枠で決着を着けないと駄目だろう。

なぁ?赤龍帝?」

…最悪だな、この男!戦る気満々かよ!?

ドライグには悪いのだが、俺自身は んな宿命なんて、興味無いのだぞ!

コカビエルが戦争狂なら、コイツは戦闘狂だな!

放って置いたらコイツ、魔王にも喧嘩売りかねんぞ!?

 

「…お前達二天龍、自覚してるかは知らんが、お前達は世界を揺るがすだけの力を秘めた者の1人なんだ。

お前達の選択1つで、俺をはじめ、各勢力が動きづらくなるんだよ。

…和平に異存は無いのだな?

白龍皇?赤龍帝?」

「「………(コクン)………!?」」

「「「「「な…?!」」」

「「これは…!??」」

俺とヴァーリが頷いた その時、会議室が異様な違和感に包まれた。

人払いの結界とも違う、今迄感じた事も無い違和感…

                  

「し、白音!白音!?」

「アーシア先輩?朱乃先輩?」

「つ、椿姫!?」

「おぃ、草下?花戒?ルガールさん?」

「皆、落ち着いて!」

そして騒ぐ黒歌達。

見れば、小猫、アーシア、木場、朱乃先輩、更には支取先輩と匙を除く、シトリー眷属、そしてミカエルの御付きだった、秘書天使が硬直している。

まるで当人だけ、その時間の流れを止められた様に…?!

…って、まさか!?

 

「部長!これは!?」

「…えぇ。これは間違い無く、ギャスパーの力ね。」

「何者かが、あのハーフヴァンパイアを捉えて、ヤツの神器を強制的に禁手(バランスブレイカー)状態にさせているんだろう。」

「アザゼル!何者かがって…(ピカッ)…?」

ズドン!

「な…!?」

言っている最中に、外が激しく光ったと思えば、校庭から魔力の弾が、会議室に向かって飛んできた。

しかし その魔弾は、校舎に直撃はしたが、壁も窓も破壊する事無く霧散した。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「テロだよ。」

「アザゼル?」

「何時の時代もな、そんなに平和が嫌いなのか、こんな風に特定の勢力同士が和平を結ぼうとした時には、邪魔してくる輩が居るんモンだよ。

外、見てみ?」

「………?」

アザゼルの言う儘に、シリューが窓から外を窺うと、校庭に約100人程の、フード付きの黒いローブを纏った人影が。

 

「奴等は…?」

「所謂『魔法使い』ってヤツだ。」

「幸い、彼等の火力では、僕達が張った防御結界を破る事は、不可能だけど…」

「おかげで私達も、此の場からは動けないね。」

天使長、堕天使総督、魔王2人の4人掛かりでの結界は確かに強固だが、それは4人の動きを封じた事に繋がっていた。

                  

「ならば、残りの者で、討って出るしか無いでしょう!」

「待て待て黒龍?

間違っては無いが、闇雲に出りゃ、良いって訳じゃないぞ?

先に、旧校舎のハーフヴァンパイアをどうにかするのが先だっての。」

「ぅ…」

会議室を飛び出そうとした匙を、アザゼルが呼び止め、

「それにしても、本当に厄介な能力だぜ。

その気になれば、視界に映した内側に居る者に迄、効果を及ぼしちまうとはな…大した潜在能力だ。

尤も、俺達を停めるには、出力不足だったみたいだが。」

ギャスパーの能力の高さを、改めて評価。

                  

「ギャスパー君の力を無理矢理に利用しているなんて…?!」

「この場で力を暴走させない様に、アッチで留守番させてたのが裏目に出たにゃ!」

「上空で待機していた、各軍勢も停まっているみたいだな。」

「…ギャスパーをテロリストの武器にされている…これ程の屈辱は無いわ!」

リアスが声を荒げる。

                  

「部長、落ち着いて!

とりあえず俺が、旧校舎迄強行突破して、ギャスパーを救い出す。

反撃は その後だ。」

「…だったら、私が行く!

私の下僕は、私が責任を持って救い出してみせる!」

「はぁ!?」

シリューが諭すが、それはリアスに取っては逆効果。

                  

「何を言ってるんだ、この駄肉姫!

【王(キング)】は無闇に動くなって、この前に言ったばかりでしょうが!」

「駄肉ゆうなぁー!!

あんたこそ強行突破なんて、脳筋思考しか無い訳?」

「の…脳筋ん!?」

「おいバカップル、痴話喧嘩なら終わってからにしろ。」

「「違う!!」」

何やら言い合い始めた2人に対する、アザゼルの仲裁の台詞に、駄肉姫と脳筋が息を揃えて言い返す。

                  

「旧校舎(むこう)には、未使用の戦車(ルーク)の駒が有るから、それを使うのよ!」

「成る程、キャスリングか。」

「……??」                               

                  

 

キャスリング…本来はチェスに於いて、盤上の【王(キング)】と【城兵(ルーク)】の駒の位置を、一手で瞬時に入れ替える技法。

…それに習い、主にはレーティングゲームにて活用されるが、【王(キング)】である悪魔と、その下僕である【悪魔の駒(イーヴィル・ピース)】で転生した【戦車(ルーク)】は、幾つかの条件も在るが、瞬時に その居場所を入れ替わる事も出来ていた。

そして それは、まだ転生に使われていない、『駒』の儘でも適用される。

 

 

…つまり、リアスは旧校舎に保管されていると云う【戦車(ルーク)】の駒との入れ替わりにより、瞬時にギャスパーの本に飛ぶのが可能だったのだ。

 

「確かに それならば、敵の虚を突けるが、それでも1人では危険だ。

グレィフィア、君の魔力方式で、一度に複数名を、『キャスリング』で飛ばせる事が、出来るかい?」

「お嬢様と もう1人ならば…」

「ならば、俺が行こう。」

「ん、シリュー君…頼んだ。」

「それでは…」

グレィフィアが両掌に小さな魔法陣を浮かべると、それはシリューの足下に移行、

「シリュー、行くわよ!」

「了解!」

リアスの呼び掛けと共に、2人は姿を消し、床には入れ替わる様に現れた、『戦車(ルーク)』の駒が転がっていた。

 

「よし、ヴァーリ。

お前は外で、討って出ろ。

白龍皇である お前が現れたとならば、敵の親玉も動くかも知れん。」

「…構わんが、白龍皇(オレ)が居るのは、向こうも最初から承知じゃないのか?」

「それでも、リアス・グレモリーと赤龍帝が、まさか『キャスリング』みたいな裏技で、いきなり旧校舎(アッチ)に乗り込んで来るのは想定外だろう。

陽動の効果は、十分に有るさ。」

「承知した。

黒歌…と黒龍君、手伝ってくれるか?」

「お、応!」「了解だにゃ!!」

アザゼルの要請でヴァーリが、そして黒歌、匙の3人が、3階の窓から、外の校庭目掛け飛び出した。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「ぅ惡っ羅ぁ!」

バキっ!

神器【黒い龍脈(アブソープション・ライン)】を発動させた匙が、

「にゃっ!!」

ズサァッ!

猫の耳と尻尾を曝け出し、駒王の制服から、着崩した和服に換装した黒歌が、

「【白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイデイング)】…禁手(バランス・ブレイク)!」

(Vanishing Dragon Balance Breaker!!!!)

ドゴォッ!

そして白龍皇の鎧を纏ったヴァーリが、校庭内の魔法使いの集団を一掃。

 

しかし、

「うげ?!また出てきやがったぜ!」

「キリが無ゃいにゃ!」

「………………。」

屍が転がる校庭に、無数の魔方陣が浮かび上がると、其処から また新たに転移してきた魔法使いの一団が、攻撃を仕掛けてくるのだった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ガシャァン!

「ギャスパー!!」「無事か!?」

「はぁ?リアス・グレモリーと…赤龍帝…だとぉ!?」

「馬鹿な?!転移は出来ない筈!?」

 

キャスリングにより、旧校舎オカ研部室へと転移したリアスとシリューは、間違い無くギャスパーが捕らわれているであろう、新校舎を窓越しに はっきりと見渡せる部屋…即ち、3F廊下中央の教室へ、扉を蹴破って突入した。

 

「ぶ、部長!シリュー先輩!」

「リアス様!シリューたん!」

読み通り…

その部屋には、椅子にローブで縛られ、新校舎を正面に見据える様に座らされているギャスパーと、やはり身動き出来ぬ様に拘束され、床に転がらされているミルたん、そして数人の黒ローブの魔法使いと覚しき人間達。

他にも、恐らくはミルたんが倒したのだろう、数人の魔法使いが蹲っていた。

 

「ギャスパー!ミルたんも!

良かった、無事だったのね!」

「ごめんなさいにょ…ギャーたんを守りきれなかったにょ…」

とりあえずギャスパー達が無事なのを確認出来たリアスが、安堵の笑みを浮かべる中、ミルたんは申し訳無さそうに謝罪。

 

「気にするな、テロリストの襲来自体が予想外だったんだ。」

それに対しては、シリューがフォロー。

 

「ごめんなさい部長…ごめんなさい…。

僕は皆に迷惑ばかり掛けて…」

「ギャスパー?」

「部長…先輩…お願いです…」

しかし、続けてギャスパーが涙を流しながら、リアス達に発した言葉は

 

 

 

    僕を、殺して下さい。

 

 

 

 




‡‡‡‡【 次回予告(予定)!! 】‡‡‡‡
 
「魔法少女は、悪い魔法使いや魔女なんかには、絶対に負けないにょ!!」
 
次回:ハイスクール聖x龍
『大魔法岬(仮)』
乞う御期待!!
 

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