【完結】聖闘士DxD   作:挫梛道

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この二次小説の原作は『ハイスクールDxD』です。
 



堕天使総督!アザゼル!!

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

倒壊したビル郡の中を、身の丈推定5㍍、銀色のボディの機械仕掛けの巨人が闊歩する中、その進軍を止めるべく、1人の男が その前に現れた。

2㍍弱の身長、金色に染めた髪は長く、左の目尻には、過去の戦いを物語る様に刻まれた、縦3本の傷跡。

 

ドッドッドッド…

「「………。」」

突如、大型重機のエンジン音の様な轟音が周囲に響き渡る中、両者は数秒間の無言の対峙の後、互いに示し合わせたかの様にダッシュで間合いを詰めると、戦闘を開始。

 

拳に蹴り、体内に装備された重火器による砲撃に対するは、体内の精神エネルギーを燃やしての氣弾…互いが繰り出す攻撃は、互いにクリーンヒットを許さない。

 

ガードの上から少しずつ体力を削りあう消耗戦の最中、機械の巨人が勝負に出た。

巨躯を小さく屈めての下段蹴りを放つと、金髪の男をガード毎、瓦礫に吹き飛ばし、そこから更に、身を屈めてからの下段蹴りを連打。

男は それをガードで凌いでいるが、もしも そのガードが崩れ、1撃でも まともに受けよう物なら、それを起点とした地獄のラッシュが始まるのは明白。

 

「…!!」

だが男は、放った蹴り足を戻す一瞬の隙を突いて、体を素早く転がして その窮地を切り抜けると、透かさず銀の巨人の背後に回りこむと、お返しとばかりな下段蹴りを炸裂させる。

 

 

 

「ガガガ…ギリ…」

「………………………。」

そして その5分後、その場に立っていたのは金髪の男。

男は、自分の勝利をアピールするかの様に、無人の廃墟の中、無言で両腕を高く掲げるのだった。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

「あ゙っーーーーー!!?」

「ふっ、まだまだ甘いな、赤龍帝?」

「ちぃっ…使えない先輩です。」

「がっかりですぅ。」

「喧しいわ!」

TV画面には、『1P WIN!』の文字。

3世代位前の、据え置き式ゲーム機のコントローラーを手に取り、絶叫しているシリューの隣で、やはりコントローラーを持って勝ち誇っているのは、見た目は20代後半~30代前半の、全体的には黒髪だが、前髪のみ金髪な、流暢な日本語を話す外国人風の男。

その顔立ちは、シリューや木場とは別ベクトルな…どちらかと云えば、ライザー・フェニックスと同系統なイケメン男…所謂ワルメンである。

何故シリューが、この様な男と対戦ゲームをしてるかと云うと…

 

≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

『シリュー先輩、助けて下さい。』

「小猫?」

『シリュー先輩~、お願いしますぅ~!』「ギャ、ギャスパー?!」

部室の隣のトレーニング室で、筋トレをしている最中に、仕事で外に出ている小猫とギャスパーからの、SOS?の電話を受けたシリュー。

 

 

「『Lezaza Judea』…此処…か…っ!?」

小猫達2人が仕事として赴いた、依頼人(クライアント)が住んでいると云うマンションに、魔方陣転移…は転移酔いしてしまうので、聖闘士の能力である、テレポートを用いて辿り着いた。

 

レザザ・ユダヤ。

つい最近、日本に引っ越して来たという、自称・日本のサブカルチャー大好きな外国人で、小猫やギャスパーを呼び出しては、ゲームの対戦をしたり…その仕事内容としては不釣り合いな、高級な絵画や壺等を対価として払っていた、良く言えば御得意様、悪く言えばカモな人物。                         

そして、シリューが その男の住まいの玄関に立った瞬間に、僅かだが、『人に非ずな気配』を感じ取り、

ガチャッ!

「小猫!ギャスパー!無事か!!?」

慌てて扉を開け、部屋に踏み入れると、

「「あ、シリュー先輩。」」

「ん?彼が、君達自慢の助っ人君かい?」

「へ?」

「…って、はむ…シリュー先輩、この部屋、土足じゃないですよ?

…はむ…靴は脱ぎましょう。」

「そーですよぉ~。」

「え?えぇっ??」

其処に居たのは、ゲームのコントローラーを握っているギャスパーと、高級そうなスィーツをはむはむと食べている小猫。

そして、ギャスパーと同じくゲームに興じている、黒の浴依を着た外国人?の男だった。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「「うぅ…痛ひ…(T_T)」」

「…全く、死にそうな声で『助けてくれ』とか言うから、何事かと思えば…」

あの『助けて』コールが、まさかのゲームの助っ人要請でした…なオチに、少しだけ、ほんの少しだけ、キレたシリュー。

脳天に大きな たんこぶを作り、うるうると涙を流しながら正座している小猫とギャスパーを一喝した後、シリューは改めて、レザザ・ユダヤと名乗る男に顔を向けると、

ぼわぁっ!!

「貴様…一体 何者だ!?」

思い出したかの様に小宇宙(コスモ)を全開、威嚇する様に、質問を投げ掛けた。

 

「おぃをゐ、ちったぁ落ち着けよ。

別に俺は、お前達と事を荒げる心算は無いぜ?ん?赤龍帝?」

「な!?」「「え?」」

初対面な筈のシリューに対して、『赤龍帝』と呼んだ男に、シリューだけでなく、小猫とギャスパーも、驚きの顔を見せる。

 

バサ…

そして男は、背中から6対12枚の漆黒の翼を広げて、名乗るのだった。

 

「初めまして…だな。

赤龍帝と、サーゼクスの妹の眷属達よ。

俺の名はアザゼル。

【神の子を見張る者(グリゴリ)】の総督をやっている者だ。」

 

 

 

 

「「「…………………。」」」

 

 

その名前を聞いた瞬間、シリュー達の思考は一瞬停まり、

 

ぽっくぽっくぽっくぽっく ちーん…

                  

そして脳内フリーズが解除された時、

「「え、えぇーーーーーーーーーっ!?」」

小猫とギャスパーは先程以上に驚き、

「【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】!」

(Boost!!)

シリューは自らの神器を発動させ、戦闘の構えを見せる。

 

「だーかーら、待てって?

別に、お前等とバトる心算は無いって言ってるだろ?」

そんなシリューに対して、両手を上げ、戦意無しのポーズを見せるアザゼルは、呆れ顔で溜め息を吐く。

                  

「……………。

…で、それなら、どういう心算だ?」

赤龍帝の籠手を解除したシリューが、堕天使総督に聞くと、

「近い内、この町に3勢力の代表が集まって、色々と話すのは知っているな?

俺は唯単に、それに先立って、この町に やってきたに過ぎんよ。

まぁ、正体隠して悪魔(おまえ)達を喚んだりしたのは、軽いジョークだ。

あんまり深く考えるな。くっくっく…」

正しくワルメンな黒い笑みを零しながら、アザゼルは話す。                             

「…で赤龍帝?折角 来たんだ。

予想していた展開とは違っていたが、一応は可愛い後輩の助っ人で来たんだろ?」

そう言って、ゲーム機のコントローラーを差し出す堕天使の総督。

 

「そ、そうでしたぁ!

シリュー先輩、助けて下さいぃ~!」

「確かにレザザさんが まさか、堕天使総督なのは吃驚しましたが、とりあえず それはアッチに置いておいて…

「置いとくのかよ?!」

「兎に角、この男に勝てるのは、森沢さんをして、『世界一の卑怯者』のシリュー先輩しか居ません。」

「その呼び方は止めろ!!」

「くっく…どうでも良いさ。

…で、どうするんだ、赤龍帝?ヤるのか?

それとも、負けるのが怖いか?www」

「あ゙ぁ!??」

 

…そして、冒頭の対戦に至るのだった。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「ふっふっふ…これで俺の5連勝だな。」

「ちぃ…ハメ技ばかり使いやがって!」

「で、でも何時も、先にハメ技仕掛けてるのは、シリュー先p…ひぃい!!?」

「…役立たずドラゴン。」

何時の間にか、ゲームにマジになってるシリューのボヤキに突っ込もうとしたボブカットの少j…基、少年が893の形相で睨まれる中、画面では、黒いワンピースを着た緑色の髪の少女が、全裸な筋肉達磨をK.Oしたりしていた。

実はシリューは この類の格闘対戦ゲームでは、攻撃力よりも体力及び、耐久力のあるキャラクターを好んで使用する傾向があり、それ故に一度嵌められると、

「5分もハメてんじゃねーっ!」 

そのキャラの体力を全て削られる迄 数分間、延々とサンドバックとなるパターンも珍しくは無かった。

 

「…シリュー先輩以上の卑怯者が居た。」

「小猫ちゃん、喜んでない?」

そして普段から この手のゲームにて、シリューの鬼畜なハメ技の餌食になっているのか、嬉しそうに呟きながらアイスクリームをパクつき、幸せそうな顔をしているのは小猫である。

 

その後も4人は、格ゲーだけでなく、

「あー?! 其処で甲羅 使うか、テメー?!」

配管工な髭のオッサンがモチーフのレーシングゲームや、

「ぎゃー!!キング〇ンビー、キターっ!?」

有名日本昔話の主人公が進行役となって、日本全国を電車移動、各地の様々な物件を買っていくゲームを、夜遅く迄プレイするのだった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「冗談じゃないわ!

コレは、由々しき問題よ!!」

ばんっ!

部室に戻った3人から、「あの新規な御得意様、実は堕天使の総督でした」…な報告を受けたリアスは、机を叩きながら大声で ぶち撒けた。

 

「まあまあ、今迄、結構儲けさせて貰った訳だし…」

「それでも…!」

「さっき報告してみたら、サーゼクスさんも言ってたじゃないですか?

アザゼルは、昔から あーゆー男だから、気にしたら負けだって。」

激怒(おこ)状態なリアスを、笑いながら宥めるのはシリュー。

 

「あわわわ…」

その後ろでは、今回の対価である、パウロだかヨハネだかな聖人が描かれた…一見は素人の落書きにしか見えない絵画を持って、あわあわしているギャスパーと、

「…早く お話、終わらせて、お茶…」

対価その2…というか、お土産として貰った、ケーキの詰め合わせな箱を両手で持っている小猫が、2人の遣り取りを見守っている。                                  

「コカビエルや白龍皇については、何も話さなかったの?」

「一応、話は振ってみたけど、曰わく『今度の会談で、纏めて話す』…と。」

「…に、しても、正体明かした後も、楽しくゲームしてるなんて…」

「いや、負けッパは悔しくて…でなく、一応は依頼人だし、本人も戦る気0でしたし、あの場で下手にバトったりして、周辺壊滅させる訳にも逝かないでしょう?」

「…あの儘、普通に接してるのがベターだと思いました。」

…この後、オカ研メンバー全員のミーティングにて、レザザ・ユダヤ…堕天使総督アザゼルは、グレモリー眷属顧客のブラックリストに登録されたのであった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「…で、小猫?

付いて来て欲しいって、一体 何事だ?」

「……………。

後で、話します。」

ミーティングも終わり、部活解散後、帰宅しようとしたシリューを小猫が「用事がある」と捕まえ、2人が足を運んだ先は、学園から少し外れた場所にある公園。

シリューとアーシアが初めて逢った、その公園内は既に時間帯が時間帯なので、内部には人1人居ないであろう。

 

「……!!」

「……………。」

そして、その敷地内に足を踏み入れた瞬間に、シリューは違和を感じる。

既に過去、何度も感じた事のある違和感、それは『人払いの結界』。

 

「…先輩、こっちです。」

「お…おぅ…」

最初から結界の存在が分かっていた様な顔の小猫が、その儘 公園奥にシリューを連れ出すと、遊歩道の脇に設置されたベンチには1人の人影が。

 

「………!」

そのベンチに座っていた人物もシリュー達の存在に気付くと立ち上がり、凄まじい勢いで駆け寄って来ると、

がはっ!!

「し~ろね~ぇ!

『会って話したい事がある』って連絡してくるなんて、お姉ちゃん嬉しいにゃ~!!」

ジャンピングダイブで、小猫に抱き付くのだった。

 

「お、お姉ちゃんん??」

「……………。」

「ん?お前、誰にゃ?」

 

 




‡‡‡‡【 次回予告(予定)!! 】‡‡‡‡
 
「むっかーーーーー!!」
「部長、どうしたんです?」
「今回、アザゼルが対価って渡した絵画、古美術商に売りに行ってみたら、たったの3000円って言われたのよー!」
「あらあらあら?今迄は、ん万円とかでしたのに?」
「しかも、それは額縁が割と良い品だったからって話で、絵だけだったら500円もしないって言われたの!」
「あー、こりゃ、最初から自分の正体バレた時、嫌がらせで渡す心算だったんでしょーねーwww」
 
次回:ハイスクール聖x龍
『猫姉妹(仮)』
乞う御期待!! コメントよろしくです。
 

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