【完結】聖闘士DxD   作:挫梛道

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新シリーズの前に
 



 
Еxtra Еpisode ①
停止空間のヴァンパイア


それは、ライザー・フェニックスとのレーティングゲームが終わった後の話。

赤龍帝の、シリューの強さを目の当たりにした、とある悪魔が、シリューを眷属として欲し、家族及び恋人を人質に捕り、脅迫しようと画策するも、それは既に その様な展開を想定していた、シリューの仕込みにより失敗。

この件で喚び出したサーゼクスに対して、事情説明を要請、全開となったシリューの怒りの魔力と小宇宙(コスモ)、そして殺気が、旧校舎を包み込んだ時の話。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「不味い…本当に不っ味いわ…

シリュー、マジにキレてるし…。

下手すりゃ本当に私達悪魔、純血転生関係無しに、皆殺しにされるかも…」

この時、リアスとアーシアは既に旧校舎から退避、朱乃や小猫、木場にミルたんと、遅れてやってきた関係者に現状を説明、外で待機していた。

 

「全く、何処の御方ですの?

そんな傍迷惑な死亡フラグ、立ててくださったのわ?!」

「はわわわわ…シリューさん、凄く怖かったですぅ…」

「気のせいか、校舎が揺れてるにょ?」

「ん、確かに揺れてるね。」

「倒壊するかも…」

「…って、それ、凄く拙いじゃない!?

祐斗、小猫!直ぐにギャスパーを無理矢理にでも、外(コッチ)に引っ張り出してきて!」

「は、はい!」「…はい。」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

リアスに命じられ、木場、小猫、そしてミルたんが、地震の様に揺れる旧校舎内を走り、1F最奥の教室の前で立ち止まる。

 

「…扉を開けます。

下がっていて下さい。」

バキイッ!!

『keep out』のテープが貼られ、更には魔法施錠の封印が施されていた扉を、小猫が物理で破壊。

暗幕のカーテンで外の光が遮断されている、暗い教室内に3人が入ると、其処には5人分の生徒用デスクが室内中央に、繋げて並ばれていた。

そして その上には、パソコン等の機材が天板狭しと載っている。

他に、教室内には何も無い。

 

ガタガタガタガタガタガタ…

「にょ?」

…いや、もう1つ…教室角に、約60㌢角の、ダンボール箱が、小刻みに震えていた。

 

パサッ

「ギャスパー君、大丈夫かい?」

「ふぇっふぇ…ゆ、祐斗先輩ぃ~…?」

木場が箱の蓋を開けると、その中には駒王の女子制服を着た、小柄なプラチナブロンドのボブカットの少女…否、少年が、ガタガタと、涙を流しながら脅え震えていた。

 

ギャスパー・ヴラディ。

リアス眷属の【僧侶(ビショップ)】で、元・ハーフヴァンパイアの転生悪魔である。

 

「ここは危険だから、外に避難するよ!」

「へ?嫌ぁ!お外、怖いぃ~っ!!」

「…へたれヴァンパイア。」

「うわああああああん!

小猫ちゃんが、いぢめる~!」

この校舎が倒壊しかねない、大地震の様な危険が非常に危ない揺れの中、それでも校舎外は愚か、ダンボールの中からも出ようとしないギャスパー。

 

「…仕方有りません。

先生、お願いします。」

「にょ!」

ひょい…

「う、ぅわわわわわわわ!!?」

そんなギャスパーを、ミルたんが箱毎 肩に担ぎ、一同は無事、何時 倒壊(はかい)されても おかしくない、旧校舎から脱出したのだった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「リアス!何なの?この尋常でない魔力と殺気は?」

「ソーナ!」

「ひいぃっ!?ソーナ様と、知らない人が また、沢山来ましたあ!?」

そして、旧校舎から溢れ出る魔力と殺気に気付いた(小宇宙(コスモ)は気付いてない)、支取蒼那…ソーナ・シトリーを筆頭とする生徒会執行部が駆け付ける。

 

「斯々然々!」

「「「「「はああぁ!??」」」」」

そしてリアスの説明を聞き、驚きの声を上げる生徒会一同。

 

「な…何て云う事を…」

「全っく、何やってんだ!連中は馬鹿か?馬鹿なのか?…ってゆーか、馬鹿だろ!!」

「…って、これって、神崎君1人の魔力…な訳?」

呆れ、怒り、慄き…事情を知り、様々な反応を見せる中、次第に この強烈な魔力と殺気(と小宇宙(コスモ))は納まって行き、

「!!…ルシファー様!」

「神崎!」

校舎の中から、サーゼクスとシリューが姿を現した。

 

「ん?支取先輩?匙?」

「や、やあ、ソーナさん。」

「「「「「「………………。」」」」」」

完全に顔から角が取れているシリューと、まだ少し、顔に青い縦線が残っているサーゼクス。

どうやら一応は、シリューの納得逝く形で、OHANASHIは終わった様だ。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「…で、誰?この少…年んん!?」

「え゙?!」

初めて見る顔…ギャスパーを初見で、男の娘と見抜いたシリューが、リアスに尋ね、

「あ…この子はね…」

リアスが とりあえず簡単に、何故、この場に居るのかの説明を含めて紹介。

「え?そんなに揺れていたんですか?」

「本当に、校舎が壊滅するんじゃないかって思ったわよ!!」

 

ガク…

「嗚呼…諸行は、無常だぁ…」

「お前は何を、やっているのだ?」

そしてギャスパーを『男』だと知り、何故かorzっている、生徒会唯一の男子生徒。

 

 

「成る程ね、引き籠もりの(元)ハーフ・ヴァンパイアか…」

「うぅ…」

シリューが目を向けると、リアスの背後に隠れ込むギャスパー。

 

「ついでに見ての通り、極度の人見知り…と云うか、対人恐怖症なの。」

「…みたいですね。」

「ぅ、うぅ~」

決して、不機嫌時の分かり易い893顔をしている訳でもはないにも拘わらず、初対面のシリューに対して、真っ直ぐと顔を合わせる事の出来ないギャスパー。

シリューだけでなく、アーシア、ミルたん、レイヴェル、ソーナを除く生徒会役員と、知らない顔が勢揃いな中、先程の大地震のショックと併せて完全にパニック、リアスを盾にして、前に出ようとしない。

 

「やあ、ギャスパー君、久し振りだね。」

「さ、サーゼクス様あ…」

サーゼクスが声を掛けるも、ギャスパーはリアスの影から出ようとしない。

それでもサーゼクスは微笑みながら、

「どうだい?そろそろ君も、外で活動してみたら…?」

…と、提案。

 

「勿論の君の、ネットを介しての実績は理解している心算だが、何時迄も教室に引き攣る訳には、いかないだろう?

リアスも来年の春には卒業だし、その再来年は、君も卒業予定だ。

そうなると どの道、学園からは、今の教室からは出る事になるんだ。

今の内に、外に慣れて行った方が良い。

リアスの下僕としての君自身の為にも、君と云う個人の為にも…」

「ぅうぅ~…」

相手が悪魔にとって絶対的存在の魔王である故に逆らえない以上に、サーゼクスの言う事は理解出来ているので、反対は出来ないが、それでも この引き籠もり少年にとって、外に出るのは かなりの覚悟が必要な様で、「はい、分かりました」とは なかなか言い出せない。

 

「いやいや、今直ぐに、どうにかしようと言っている訳じゃないんだ。

少しずつ少しずつ…な、リアス?

きっかけはアレだったけど、折角、外に出て来たんだし…」

「そーねぇ…ギャスパー?

貴方も、何時迄も そんなじゃ駄目だって、それは解ってるわよね?」

「うぅう~…は、はいぃ~…」

自分の主と、その主の兄である魔王に言われ、漸く了解の返事をするギャスパー。

 

「それと…シリュー君、今のタイミングで、君に頼み事をするのも、アレなんだが、君も、ギャスパー君の立ち直りに協力してくれないかな?

勿論、対価は払うよ。」

「いや、俺は別に、構いませんよ。

オカ研の後輩を調教(つよく)するのは、先輩の役目ですから。

但し…俺は、厳しいですよ?」

サーゼクスの この頼みに、シリューは嫌な顔をせずに、普通に二つ返事で応える。

 

「お、お兄さんて、オカ研の先輩サンなんですか?

でも、悪魔でなくて、普通の人間みたいなんですけど…?」

「ん~…、確かにシリューは、人間だけどね、」

「ギャー君、シリュー先輩は、今代の赤龍帝です。」

「え?せせせ…赤龍帝い~~~~~~!??

う…う~ん…(パタン)」

「ぎゃ、ギャスパーあ~!!?」

…いきなり目の前に居た初対面な男が、実は赤龍帝でした…な事実は、彼にとってはオーバーキルだった様だ。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「惡羅惡羅惡羅惡羅~~~っ!!」

バシィっ!!

「ひ、ひぇ~~~~~~~~~~っ!!」

翌日から、シリューはギャスパーを徹底的に鍛える、コーチ的役割に就いていた。

この日は体育館にて、バレーボール部の練習終了後、撤収前のネットの後片付けと体育館床のモップ掻けを条件に その儘、バレー部さながらの特訓を施していた。

                  

「こら、ギャスパー!

ボールから逃げるなぁ!!」

「ひぃっ!?だ、だって、怖いですぅ!」

「神崎君、スパルタだなぁ…」

「厳し過ぎなんじゃ、ないでしょうか?」

「…でも、あれ位やらないと、ギャー君の へたれは治りません。」

同行している木場にアーシア、小猫が呟く中、シリューの撃つ殺人的スパイクをレシーブする特訓だが、そのボールを体操着姿(ブルマ着用)のギャスパーは、まるでドッヂボールの様に逃げ回る。

                  

                  

「ふぅ…少し休憩するぞ。」

                  

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「あ…あの、シリューさん?」

「ん?」

「ギャスパー君に対して、ちょっと鬼畜過ぎなんじゃ、ないですか?」

スポーツドリンクを飲んでいるシリューに、特訓中、ずっとボールをトスしていたアーシアが心配そうに話し掛けるが、

「馬鹿者、鬼畜と云うのは、あーゆーのを謂うのだ。」

そう言って、シリューは、ギャスパーと小猫を指差す。

そして その指の先では、

「はい、ギャー君。

これ食べて、スタミナ付けましょう。

シリュー先輩特製餃子です。

はむ…凄く、美味しいですよ?」

「い、嫌ぁあああ~~~っ!?

餃子(ニンニク)、嫌いぃ~~~~~~~っ!!」

休憩中のギャスパーに、小猫がワザとなのか天然なのか、ヴァンパイアの弱点としては、十字架と並んで世界一な、ニンニクたっぷりな餃子を差し出して、追い掛け回していた。

 

「ははは…でも、餃子(コレ)を作ったのも、神崎君だよね?

はむ…ん、確かに美味しいけど…

神崎君、この餃子ってチョイス、ワザとだよね?」

その様子を、やはり餃子を抓みながらの木場が苦笑。

 

「そう云えば、神崎君?」

「ん?」

「今回のギャスパー君の指導って、結局は魔王様から赤龍帝への、正式依頼ってなったと聞いたけど?」

「ああ、後輩の指導ってのは、部活の一環だからって依頼でなくても実行するし、対価も不要と言ったんだが、サーゼクスさんも真面目と云うか、律儀と云うか…」

「…と、言う事は、やはり対価と云うか報酬を貰ったのですね?

何か、奢って下さい。

餡蜜とかケーキとかパフェとかアイスクリーm(すぱーん!)あ痛ぁっ!?」

「「「こ、小猫ちゃん!?」」」

ギャスパー弄りを終え、会話に参加してきた小猫のド頭に、ハリセンが炸裂。

 

「大馬鹿者、今回の対価は金じゃない。」

此の度の誘拐拉致未遂騒動の賠償で、高校生としては勿論、普通の日本に生活する者として、3世代位迄なら、余程の豪遊をしない限りは、ニートでも死ぬ迄生活出来る程の金額を悪魔サイドから受け取っているシリュー。

ぶっちゃけた話、今更 現金は…だった。

 

「じゃ、じゃあ、今回の対価って、何なのですか?」

「あの悪魔(ひと)ってさ、学園の校長や理事なんかにも、色々と強権発言が出来る立場だろ?」

あわよくば、自分も便乗してスィーツを御馳走して貰おうとか考えつつ、「自分は言わなくて良かった」と、内心安堵なアーシアの質問に、シリューは自分の後ろ髪に手を当てながら、答えるのだった。

 

 

「…だから、校則、『男子のロン毛もアリ』にしてもらったよ。」

 

 




‡‡‡‡【 次回予告(予定)!! 】‡‡‡‡
 
「…上出来だ、ギャスパー!」
「シ、シリュー先輩ぃ?」
 
次回:ハイスクール聖x龍
『ギャスパー・ヴラディ②(仮)』
乞う御期待!! コメントよろしくです。
 

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