【完結】聖闘士DxD   作:挫梛道

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最初は木場の回想から。
 



衝撃の真実!!

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

…あの時…

僕は ひたすら走っていた…。

 

…生きたい。

只、それだけを考え、仲間達に助けられて1人、研究施設から逃げ出して…

 

…生きたい。

血反吐を吐きながら走り、それだけを考えていた。

 

…生きたい。

しかし それを、運命は許してはくれなかった。

確かに施設からは逃げ出せたけど、それは決して『無事に』では なかった訳で、僕の身体は徐々にダメージに蝕まれ、暗く深い森の中で、力尽きた。

 

…生きたい。

しかし、それも叶わぬと悟った時に、あの女性(ひと)は僕の前に現れたんだ。

 

「貴方は何を望むの?」

その人は、哀しみを秘めた瞳で、僕に そう尋ねてきた。

綺麗な紅の長い髪を靡かせた その人は、天使を思わせる様だった。

嗚呼…遂に僕にも迎えが来たんだ…

…でも、その人の背中から見えた翼は、天使の其れじゃなくて…

 

「あ…くま…」

当たり前の話だよね?

仲間を…同志を見捨てた僕なんかに、神の使いである天使が迎えに来て、祝福を与えてくれるなんて、有る筈が無い。

 

「貴方の望みは何?」

目の前の悪魔(おんなのひと)が、再び僕に尋ねる。

…だから僕は、体に残った最後の力を振り絞り、彼女に言ったんだ。

この際、目の前に立っている人物が何者かなんて、どうでもよかった。

 

 

「…たす…けて…」

 

僕の命を 僕の仲間を 僕の人生を

僕の願いを 僕の才能を…

 

「僕は…生きたい…」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「…悪魔として生きる。

それが、我が主の願いであり、僕僕の願いでめあった。

けれど、聖剣への憎悪と同志達の無念だけは、決して忘れる事はなかった。」

シュゥ…

禁手(バランス・ブレイカー)の発動により、木場の体内から放出されいた、吹き荒ぶが如く溢れ返る魔力は やがて、再び木場の身体に吸収され、静まっていく。

 

「…でも、同志達は僕に、『生きろ』と言ってくれた。

決して、復讐を望んでなんかは いなかったんだ。」

「ふん…」

「しかし、それで全てが、終わった訳じゃない。

第2第3の僕達を…これ以上、僕達の様な犠牲者を生まない為にも!

バルパー・ガリレイ!今、この場で あなたを滅ぼす!」

 

パァ…

木場が右手に魔力、そして左手に、本来なら有り得ない、悪魔ならば持ち合わせていない筈の、聖氣を練り上げる。

 

「馬鹿な…コレは…?」

それを見たバルパーが信じられない光景を見る様な顔をする中、木場は更に魔力と聖氣を集中させ、

「さぁ同志達よ、共に越えよう!

あの時 果たせなかった、想いを!願いを!

僕は剣に、仲間達の剣となる!

今こそ僕の想いに応えてくれ…

…【魔剣創造(ソード・バァァース)】っ!!」

ヴォゥンッ!

神器を発動させた木場の両手に、刀身に漆黒の闇を纏うと同時に、輝かしい光を放つ、一振りの大剣が握られ、

「―禁手(バランス・ブレイカー)【双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)】!!

魔と聖を有する剣の力、その身で受け止めろ!!」

その刃の切っ先が、皆殺しの大司教に向けられた。

 

「うぅぐ…ふ、フリード!

貴様、何時まで埋まっている心算だ!?

さっさと起き上がり、この小僧を始末せんか!!」

木場の聖魔剣に脅威を感じたのか、バルパーは慌ててフリードを嗾けるが、

 

……………………………………………

 

フリードからは返事が無く、

「…返事が無い…只の屍の様だ。」

「あ~、無理無理。

コイツ、既に体から魂が抜けてる…つまり、死んでるから。」

「何ぃ!??」

す〇きよなフリードの横に立っている小猫とデスマスクが、それは無理だと説明。

  

「ば…馬鹿な…」

へな…

絶望的な顔で、その場に両膝を着き、へたり込むバルパー。

しかし、ならばと空を見上げ、上空の魔法陣に座しているコカビエルに向け、何やら助けを求めるように、眼で訴えかけるが、

「…知らん。

貴様も俺と行動を共にしたいならば、その程度、自力で何とかしてみせろ。」

今回の聖剣騒動の元凶である堕天使の幹部は、それを冷たく突き放す。

 

「そ…そんな…」

「もう、良いかい?

さあ、覚悟を決めろ、バルパー。」

再び、この世の終わりが来た様な顔をするバルパーの前に、聖魔剣を携えた騎士が歩み詰める。

 

「ま、待ってくれ!儂は只の研究者であり、戦う力は持っていないんだ!

お前は丸腰の人間を、手に掻けるのか?」

「言った筈だ。これ以上、僕たちの様な犠牲者は生ませないと!

それに残念だが僕は、お前を斬るのに、何の躊躇いも罪悪感も無い!」

その必死の命乞いも、木場には通用ぜず、

「受け入れろバルパー・ガリレイ!

これは決して、怨みの刃では無い!

これは、お前の犯した罪に対する、裁きの刃だ!!」

「や、止めてくれぇえっ!!」

斬!

「ぐわゃあああぁっ!!?」

バタ…

「皆、見ていてくれたかい…?

これで、不条理な犠牲者は、出る事が無いだろう…」

聖魔剣がバルパーの体を、左脇腹から斜め上に、右の胸元迄斬り裂き、バルパーは木場の足下に、うつ伏せに倒れる。

 

「ぅ…助け…其処の魔女なら、この傷も、治せる筈d…

ドスゥッ!

その斬撃は致命傷となり、それでも尚、這いながら助命を求めるバルパーの背中、心臓の真上に、聖魔剣が突き刺さった。

 

「……………。」

完全に動かなくなったバルパーを見て、木場はボツリと呟く。

「訂正する。さっきの斬撃は、ほんの僅かだが、怨みが籠もっていた。それでも…」

其処迄言うと、気持ちを切り替え引き締める様に、残る1人の敵…未だ上空で座するコカビエルを見据えるのだった。

 

 

 

「…って、ちょっと待てよ おい?

おかしくないか?」

「デスマスク?」

この時、木場の聖魔剣を見たデスマスクが、不意に疑問を浮かべた。

 

「聖魔剣…

聖と魔…反発しあう、2つの属性が混じり合うなんて、まず有り得ねー…」

「………………。」

「まさか…紫龍、お前、もしかして、知っているのか?

これは仮に、聖と魔、其れ等を司る存在のバランスが、大きく崩れているってなら、辻褄は合う!

つまり、先の大戦とやらで死んだのは、魔王だけでなく、かm(バスッ)…うゎっとぉ!?」

自身の立てた仮説を話す途中、デスマスクに、光の槍が空から襲ってきた。

それは間一髪で躱し、

「てっめぇ…!!」

デスマスクは その槍を投げつけた堕天使を睨み付ける。

 

「ふっ…何者かは知らんが、なかなかのキレ者な様だな。」

それに対し、何時の間にか、上空で座していた魔法陣を消し、自らの10枚の翼で宙に浮いているコカビエルが、また巨大な光の槍を形成しながら話し出した。

 

「正解だ人間!教えてやるよ!」

次の瞬間、不適に笑うコカビエルの口から、驚愕の真実が語られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      神は、死んだ。

 

 

 

 

 

『『『『『………………!!?』』』』』

それを聞き、その場のリアスをはじめ、シリュー以外の全員が、驚きの顔と共に、言葉を失う。

 

「フハハハハハ!

その顔、赤龍帝以外は知らなかったか?

流石に貴様等 下々に迄は、真相は語られていなかったみたいだな!

もう一度 言ってやろう、神は死んだ!

先の三つ巴の大戦で死んだのは、悪魔陣営の4大魔王だけじゃなかったんだよ!」

悪魔陣営と盟約を交わしたしてから少し経った後、サーゼクスから あくまでも機密事項として教えられていたシリュー。

しかし その事実は、リアスでさえ、知らされていない事だった。

茫然としたリアス達の反応を楽しむかの様に、コカビエルは話し続ける。

 

「人間共の信仰心や対価に依存しなければならぬ程に疲弊した3大勢力だ。

故に、その事を人間に知られるのは、都合が悪い。だから、隠蔽した。

この事実を知っているのは、各勢力のトップ…更に その一部だけだったのだが、どうやら そこの男は気付いたみたいだな。

大した人間だ。」

「へっ…そりゃ、どーも。」

堕天使からの褒め言葉に、デスマスクは苦笑する。

 

「…神が…居ない…だと?」

「主は…主は死んで…いる?」

「だったら僕達は、何を信じて あの施設で過ごしていたと云うんだよ…?」

「そ、それでは、私達に与えられていた愛は…?」

そして嘗ては教会に所属していた、木場とアーシアは、更に動揺。

 

「くはははは!

その様な物が、在る訳が無いぞ、小娘!

神は既に存在しないのだからな!

尤も、神が残したシステムが機能していれば、祝福も悪魔祓いの力も、ある程度は働くのだろう。

だか、神が生きていた頃に比べると、その加護を受けられる者は格段に減ったがな。

小僧、お前が その聖魔剣を創り出せたのも、神と魔王が居なくなり、聖と魔のパワーバランスが崩れているせいだ。」

「嗚…呼ぁ…」

ガクッ…

「アーシアたん?」「アーシア先輩!?」

次から次と、コカビエルの口から放たれる真実に、アーシアはショックで倒れ崩れてしまう。

それは物心着いた幼い頃から ほんの1ヶ月前迄、その人生を『神』に捧げていた事を考えれば、無理も無い事だった。

 

「さぁ、お喋りの時間は お終いだ!

お前を血祭りに上げ、その首を手土産に、我々堕天使が最強だと、ルシファーやミカエル…そしてアザゼルにも教えてやる!!」

ブゥン!

そう言って、遂にコカビエルが、先程から手にしていた光の槍を、再び地上のシリュー達目掛けて投擲。

                  

「ちぃ…! 部長!デスマスク!」

「えぇ!」「応よ!」

グランドに直撃すれば、巨大なクレーターを作ると同時に、その場に居る者が全滅必至な槍を、シリュー、リアス、デスマスクが魔力と小宇宙(コスモ)から成るシールドで防御。

それでも構わず、コカビエルは上空からの連続攻撃を仕掛ける。

 

「あのヤロー、地上(こっち)に降りず、空(うえ)からガンガン喰らわす心算だぜ!」

「仕方無い…部長とデスマスクは、この儘、シールドを維持していてくれ!

朱乃先輩、木場、レイヴェル、ミルたん!

ガンガンぶっ放すぞ!!

小猫とギャスパーは、アーシアを頼む!」

「「「はい!」」ですわ!」

「「えぇ!」」「「了解!」にょ!」

シリューの指示に、それぞれが応える。

バサッ

悪魔の羽を広げ、上空のコカビエルに向かって飛び立つ朱乃達。

 

 

「…で、お前は どーすんだ?」

「当然、討って出る!」

ボゥン…

デスマスクの問い掛けに答えると、シリューは地面に掌を着けて魔法陣を展開、

「神崎孜劉の名に於いて命ずる!

出よ、エックス!!」

カァッ!

その喚び声に魔法陣が反応して光り、その中から姿を現したのは、競走馬の様な体躯に金銀の鱗と純白の体毛と鬣、額に1本の角が生えているその顔立ちは龍の如し。

それはシリューの使い魔である、麒麟・エックス。

 

「よし、行くぞエックス!

…そして、ドライグ!」

(応よ、相棒!)

「禁手(バランス・ブレイク)!!」

(Welsh Dragon over booster!!

Balance breaker…

Boosted gear・Scale Mail!!)

 

真紅の龍を象った全身鎧を纏ったシリューがエックスに跨がり、そして主を乗せた麒麟は空に居る堕天使を敵として認識、コカビエルに向かい、天を翔け、突き進んでいった。

 

 




 
(はぁ…どうせ この相棒、また途中で脱ぐんだろうなぁ…)
 
‡‡‡‡【 次回予告(予定)!! 】‡‡‡‡
 
次回:ハイスクール聖x龍
『闇を斬り裂くエクスカリバー!(仮)』
乞う御期待!! コメントよろしくです。
 

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