【完結】聖闘士DxD   作:挫梛道

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…デッちゃんが無双するのは、間違っているだろうか?
 



皆殺しの大司教!バルパー・ガリレイ!!

「ほほぅ?あれは、人間…か?」

 

その場に現れたのは、この世界に於ける、ギリシャはオリンポスが1柱、戦いの女神アテナの眷属、ベッロ・カンクロ。

またの名を、シリュー…いや、紫龍の前世にて、12人の黄金聖闘士の1人であった…

「デスマスク!お前、何故?!」

「何故って そりゃ お前、あれだけ派手に小宇宙(コスモ)やら魔力やら、ガンガンぶっ放されてた日にゃ、普通 気になるだろ?」

蟹座(キャンサー)のデスマスクだった。

 

「と、とりあえず礼は言っておく。

ついでに済まないが、其の儘その3人の護衛を頼めるか?」

「ああ、任された。」

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「シリュー?もしかして、あの男(ひと)がアナタが言っていた…」

「後で説明します!

兎に角 今は、ケルベロス共を!!」

魔力騨を放ちながらのリアスの問い掛けに、やはり三ツ首の猛犬に攻撃を仕掛けながら話すシリュー。

 

「それも…そうよね!」

Bow!

このリアスが撃った魔力騨が遂に、目の前のケルベロスを斃し、

「やっと片付いたにょ~…」

「…だね。」

ミルたんと木場が、

「漸く終わりましたわ。」

「…やっぱり猫のが可愛いです。」

朱乃と小猫が、殆ど同じタイミングで、それぞれが請け負っていた魔獸を斃す。

 

だが、やはり それと同じタイミングで

「…完成だ。」

バルパー・ガリレイが、狂気な笑みを浮かべて呟く。

 

「2本のエクスカリバーは統合され、1本となり、術式は完成した。

ふん…聖剣たった2本での統合だが、それでも力を解放すれば、あと20分程で、この町は崩壊するだろう。

くくく…術式を解除したくば、コカビエルを倒す他無いぞ?」

「「「な…!?」」」

「20分!?そんな…お兄様の加勢を待つ時間も、無いじゃないの!」

魔法陣の中心に浮かぶ、1本の聖剣を満足気に見つめながら話すバルパーの言葉に、リアス達は驚愕。

 

「フリード。」

「はいよ~♪」

それを見たコカビエルが、フリードに話し掛ける。

 

「そのエクスカリバーで、其奴等を殺してみせろ。」

「いぇっさ~!

全ーっく、ボスは人使い荒くね?

そーゆーの、ブラックって言うんですぜ?ブラック!」

やれやれだぜ…そんな顔を浮かべながら、魔法陣内に入ったフリードは統合されたエクスカリバーを手に取ると

「でもでもでも~、ちょ~素敵仕様になったエクスカリバーちゃんを使えるなんて、光栄の極み?」

満更でも無い表情となり、

「うひひっ!

んじゃ ちょっくら、其処の糞悪魔その他数名、首ちょんぱってみますかね~!」

ぶぅん!

その聖剣の切っ先を、リアス達に向けた。

 

「バルパー・ガリレイ!」

木場が、『来るんなら来いや』とばかりに剣を構えるフリードの横に立っている、バルパーに向かって叫ぶ。

 

「僕は、アナタの察した通り、あの『聖剣計画』の生き残り…いや、正確にはアナタに殺され、悪魔に転生した事で、今を生きている。」

「……………。」

「貴方に問う。

何故、あんな真似をした?」

「ほ~ぅ?やはり、あの計画の生き残りだったか…

良いだろう…ならば、教えてやる。」

木場の問い掛けに、薄ら笑いを浮かべた元・大司教が語り始めた。                          

 

曰わく、バルパー・ガリレイは、幼い頃から聖剣に憧れていた。

教会に所属したのも、何時かは自分も聖剣の使い手とならんと思った為。

だからこそ、自身に聖剣使いの適性が無いと判明した時、絶望に打ち拉がれた。

…そして その後は、自分では使えないからこそ、使える者に憧れる様になる。

その想いは高まり、聖剣の使い手を人工的に創り出す研究に没頭する事となった。

 

「…そして、完成したのだよ。

君達の御陰様でな。」

「完成?馬鹿な?!

僕達を失敗作と断じて、処分したじゃないか!!?」

完成という言葉に、怒りと驚きの顔を隠さない木場が、更に問い詰めると、バルパーは また、得意気に語り出した。

 

…バルパーが言うには、聖剣を扱う為には、その者が内に持ち宿す『聖なる因子』が必要。

その事に気付いたバルパーは、その因子を数値化する事で、適性を調べた。

だだ、木場を含む当時の被験者達は、因子自体は持ち合わせていたが、聖剣を扱える数値には至っていなかったと言う。

 

「…そして私は、1つの結論に達した。

体内から聖なる因子のみを抽出し、集める事は出来ないか?…とな?」

 

「…!まさか…完成したと言うのは?」

「その通りだ!聖なる因子を抜き取り、結晶化するのに成功したのだよ!

ほれ、こんな風にな!!」

カサ…

そう言ってバルパーは、懐から掌サイズの青紫の水晶体を取り出し、木場に見せつける。

 

「ふはははは!コレを祝福と称して、教会の戦士の体内に入れ込めば、それだけで聖剣使いの完成だ!」

「馬鹿な?!」「そんなに…簡単に…?」

この発言に、木場、そしてシリューが疑問の声を上げるが、

「にゃはは♪それが、出来てしまっちゃうんだよな~!

この、俺っちの様にぃ~…っとぉ!!」

ドガァッ!

「「!!?」」

その疑問に答えたのは、エクスカリバーを振り翳しながら襲ってきたフリード。

シリュー達に向け、不意打ちの聖なる刃を振り下ろすが、それは躱され、地面を打ち付ける。

 

「クッソ!避けんぢゃねーよ、テメー等!

今度こそ、その首ちょんぱねってやっからよぉ、赤龍帝ぃい~!」

「ちぃ!」

体勢を整え直し、再度シリューに斬り掛かるが、

バカァッ!

「おゎっとぅ!?」

それは逆に、瞬時に その合間に入り込んだ男のカウンターの拳を喰らい、吹き飛ばされてしまう。

 

「痛てて…いっきなり何しやがるんでぃ!?

このオッサンわょう?!」

「余計な真似を…

デスマスク、これは礼は言わんぞ?」

「ふん…抜かせ!時に紫龍よ、コイツは俺に、譲ってくれるか?」

「「はぁ?!」」

そして、シリューとフリードがハモった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「…答えろ!バルパー・ガリレイ!!

その、因子とやらを抜かれた者は、一体どうなるんだ…?」

「くっく…さあな?

儂は生きた人間から、因子を抜いた事は無いのでな。

その質問には、『分からん』としか応えられんが…敢えて予測するなら、良くて植物人間かのぅ?くっくっくっくっ…」

「な…っ!??」

デスマスクとフリードが戦闘を始めた横で、木場とバルパーの問答は続いていた。

                  

「貴様…同志達を殺して、因子を抜いたと言うの…か?」

「ああ、その通りだが?

仕方有るまい…研究の為だ。」

「研究の…いや、自分の欲望の為に、同志達の命を弄んだと言うのか?!

バルパァアアアアアアッ!!!!」

「ふん!何を言うのだ?大いなる成果には、犠牲は付き物ではないか?

何やら誤解されている様だが、これでも儂は、あの被験(モルモット)共には感謝しているのだよ?

よくぞ、自分達の詰まらぬ小っぽけな命を、儂の為に役立ててくれた…とな。

御陰で、儂の研究は本物だったと証明されたのだからな。

…くっくっくっゎっはっはっは!!」

それは正しく狂気…。

皆殺しの大司教は、自身の所業を悪びれもせぬ処か、誇らし気に嗤い声を夜空に響き渡らせた。

 

「「「巫山戯るなぁ!!」」」

しかし直後、その卑しい嗤い声を掻き消す様な、怒声が鳴り響く。

 

その声の主は木場。

そしてシリューと…

「何を言っているんだ…テメーわよぅ…」

先程まで、フリードと戦っていた…

恐らくは、その最中に天高く吹き飛ばされた後に、其の儘 垂直に頭部から地面に激突、上半身が地中に埋まりピクリとも動かない…所謂『犬神家』な状態のフリードの隣に立っている、デスマスクだった。

 

「テメーに教えてやる!

どんなに小さくたってなぁ、世の中に死んで良い命なんて、有りゃしないんだよ!」

怒りのデスマスクが、バルパーに掛かろうとするが、

「待て…」

クィ…

「くびぃっ!?」

すぐ隣に立っていたシリューが、Yシャツの襟首を後ろから掴んで引き寄せ、それを止める。

 

「いきなり何しやがるんだ、テメーわ!?」

「ヤツは、木場の仇、木場の敵だ。」

「…ちぃ、それを言われたら仕方無ぇ。

今回は、あの小僧に譲ってやるよ!」

その行為に対して、シリューに喰って掛かるデスマスクだが、簡潔な説明を受けると それに しぶしぶと納得、矛を納める。

 

「憎いか?この儂が憎いか?

しかし小僧、この儂だけを憎むのは、お門違いだぞ?」

「何だと?」

「気付いてないのか?

教会の奴等は、儂を異端として排除しておきながら、研究結果だけは『使える』とばかりに隠蔽処か活用し、恐らくは儂の後任に研究を引き継がせているのだぞ?

今の教会に属する聖剣使い共の存在が、その証拠よ!

神め…儂だけを断罪しておいてな…」

「流石は教会…だな…チィ」

「おぃ、紫龍、お前…?」

バルパーの口上途中で、何となく其れを察していたシリューが、改めて事実を聞かされ、舌打ち混じりに呟く。

 

「…だからこそ、儂を断罪した愚かな神に天使、信徒共に、儂の真の研究成果を見せ付けてやるのだよ!」

「そんな事で…そんな事が、コカビエルに加担した理由だと言うのかぁ!?」

「そんな事?

研究者にとっては、研究と その結果が何より大事な事柄だ。

それを否定する者より、受け入れる者の下に就くのは当然だろう?」

木場が叫ぶが、片や命、片や成果を優先させる者の会話は、交差する事は無く、

「ふん…そんなに仲間が大事だったか?

ならば、これは貴様に くれてやろう。

貴様の同志とやらの、成れの果てだ。」

ポイ…

そう言って、バルパーは因子の結晶を、木場の足下に投げ捨てた。

 

「………………………………………。」

跪き、それを無言で拾う木場。

 

「皆…ごめん…」

そして、掌の中の結晶を見つめ、大粒の涙を流しながら、嘗ての同志達に謝罪の言葉を発した時、

バァッ…

その結晶は、光強く輝いた。

 

「これは…」

次の瞬間、木場は確かに見る。

何も無い…只、白いだけの空間の中で、嘗ての同志、聖剣計画の同期被験者達が、自分の周りに立っているのを。

 

「皆…!僕は…僕は!」

その彼等、彼女等に、木場は今にも泣き出しそうな顔で話し出す。

 

「ずっと…ずっと思っていたんだ…

僕が…僕だけが、生き残って…生きていて良いのか…って…うぅ…」

そして喋る途中、何時しか涙を流してしまうが、それでも木場は話し続ける。

 

「僕より夢を持っていた子がいた。

僕よりも生きたがっていた子がいた…。

僕だけが、平和に過ごして良いのかって、何時も、何時も……ぇ??!」

しかし その途中、木場の正面に立っていた、髪の長い少女が…当時の木場より年上で、まるで実の姉弟のように一番仲の良かった、そして今の木場と同年代に見える少女…その彼女が、木場を優しく抱き締め、偽りの無い優しい笑顔で話し掛ける。

 

 

《私達の事は、もう良いから…生きて…》 

「え…」

そして この少女だけでなく、他の少年少女達も木場に話す。

 

 

《確かに俺達は一人では駄目だった…》

 

《でも…》

 

《皆が集まれば、きっと大丈夫…》

 

《大丈夫…怖くなんてないよ…》

 

《そう、大丈夫…》

 

《聖剣を受け入れるんだ…》

 

《譬え神が、見ていなくても…》

 

《僕達の…》

 

《私達の心は何時だって…》

 

 

 

 

       …1つだ。

  

 

 

…その言葉により、迷いの色が木場の顔から消えた時、奇跡は起こる。

パアアァッ!!

手の中の結晶が再び輝き、粒子となって木場の体内に入り込んだと思うと、その身体から溢れるばかりの強大な魔力を放出させる木場。

 

「な…何が起きたのよ!?」

「祐斗君?」

リアス達からすれば、バルパーの投げた結晶を木場が拾ってからの、僅か数秒にも満たぬ時間…

見ただけで感じられる、パワーアップに、味方であるリアス達も驚く。

 

「ドライグ…これは…」

(応、相棒…あの【騎士(ナイト)】は至った。)

「は?シリュー?

貴方、アレが何なのか、知ってるの?」

「え…は、はい…」

「「「説明、お願いします。」」」

「は…はぁ…」

そんな中、冷静なシリューに、リアス達は説明を要求。

 

「…【神器(セイクリッドギア)】は、所有者の想いを糧にして、進化…強くなっていく。

でも、それとは別次元の領域があるんだ。

想いや願いが、世界に漂う『流れ』に逆らう程の、劇的な転じ方をした時に、【神器(セイクリッドギア)】は至る。

それこそが…禁手(バランス・ブレイカー)と呼ばれる進化だ!」

 

 




※※※※※今回の未収録場面!!※※※※※
 
「何を言っちゃってくれちゃってんですかぁ?こ~のオッサンわあ?
そんなに地獄へ逝きたいなら、糞赤龍帝の前に、チョッパーしてやるよぉ!!」
「おい、フリード!この男は…」
「死~ぃねy「積尸気ぃ冥界波ぁ~!!」
ズガアッ!
「うげぐぴっぴぴっぴ~~~~~っ?!!」
ドシャァッ!!
「凄く強いぞ…って、遅かったか…」
 
 
‡‡‡‡【 次回予告(予定)!! 】‡‡‡‡
 
「神崎孜劉の名に於いて命ずる!
…出でよ、エックス!!」
 
次回:ハイスクール聖x龍
『大空中戦!!(仮)』
乞う御期待!!
 

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