【完結】聖闘士DxD   作:挫梛道

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デッちゃん回です(笑)
 



黄金の(いざな)い!!

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「ぷっくっくっく…

それにしても おま、何ちゅー格好だ?

その帽子は兎も角、サングラスとマスクって、不審者100㌫だぞ?www」

「やかましいわっ!!

誰のせいだと思っている?!

そもそも俺は まだ、高校生だぞ!

こんな店に呼ぶな!学校にバレたら退学(クビ)だぞ!?クビ!!」

 

…久し振りに会った早々に、人の格好を見て笑う この男…今は、ベッロ・カンクロと名乗る男に、怒鳴りながら突っ込む俺は、絶対に間違っていないと思う。

 

「…何年振りだ?

俺からすれば まだ、55年振りだが?」

「…俺は、ン100年になるな。」

「マジか?!永く生きたんだな、お前?

教皇にでもなったか?

それとも老師みたく、心臓を…?」

「一応、教皇の地位に就かせて貰った…」

「おぉ、出世したんだな、お前!

よし、とりあえず再会を祝って乾杯だ!

おいマスター、ウイスキー2杯、ロックでくれ!」

「だから俺は、高校生だと言っているだろうが!!」

すぱかーん!!

「あじゃぱーっ!!」

 

…(戸籍上)未成年の俺に、いきなり酒を勧めようとする、この不良老人にハリセンかましたとしても、俺は悪くないと思う。

 

「あ痛たた…相変わらず、容赦無えな、お前。

もう俺も、労わり敬うべき歳だぞ?甚振ってどうする?」

「やかましいわ!言いたい事、聞きたい事は沢山有るが、とりあえずは率直に聞く

ぞ?この俺に一体、何の用だ?」

「いや、一緒に酒を…って、冗談だ!

冗談だから、そのハリセン仕舞えって!!」

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「アテナ…?」

「ああ、俺が彼女の眷属になったのは、5年前だがな。

いきなり目の前に現れて、『貴方から、妾の気配を感じた…何故?』って感じでよ。」

「小宇宙(コスモ)の事か…」

「結論から言えば、それだな。」

 

俺の前世(すじょう)を知る この男が、自身の近況を語り始めた。

この世界に、俺と同じく、前世の記憶と小宇宙を身に宿した儘、あの世界線から転生してきた人間が居たのに、先ずは驚いた。

しかも それが、まさか この男だったとは…

 

「直感的に、彼女をこの世界のアテナと確信したからな。

俺は前世(むかし)はアレだったからな、その清算の意味も込めて、直ぐに こちらのアテナとは、主従の契約を交わし、今度こそはとばかり、忠誠を誓ったぜ。」

「アテナ、か…」

「紫龍よ…」

「ん?」

此処迄話すと、目の前の男は、急に真剣な面持ちとなり、話し続けてきた。

 

「お前も聖闘士なら、俺達の、アテナの処に来い。」

「ん、ごめん、無理。」

「即答っ?!」

そして、今回 俺を呼び出したメインの用件であろう、アテナの眷属の誘いをしてきたが、迷う事無く、断った。

 

「確かに、悪魔陣営と契約する前の誘いなら、前向きに考えてもいたかも知れん。

…が、その後とならば、例えアテナからの誘いとは云え、ほいほいと節操無く鞍替えする訳には いかん。

俺も聖闘士として、アテナへの忠誠を棄てる心算は無いが、俺の言うアテナとは、あくまでも 彼方のアテナ…沙織お嬢さんであり、この世界のアテナではない。」

「………。」

俺が誘いを蹴る理由を、アテナの眷属である初老の男は、手に持っていたグラスをカウンターテーブルの上に置き、黙って聞いている。

 

「アンタの言う、清算というヤツも理解は出来るから、アンタの今の選択を否定する心算も無いが、俺は、今の俺の立ち位置を貫かせて貰う。

先に言っておくが、悪魔云々の文句は言わせんぞ?

少なくとも この世界では、神も悪魔も、そして人間も含めて、其れ等は単なる種族違いの存在でしかないんだからな?

…って?おい?」

俺なりの、アテナからの誘いを受け入れる事が出来ない理由を話していると、最初は それを真面目な顔で聞いていた、ベッロ・カンクロは何時の間にか、ぽかんと間の抜けた表情になっており、

「ぷっくっくっく…きっひっひ…

ぎゃーっはっはっはっはっはっは!!」

パンパンパン!

…かと思えば いきなり大爆笑、笑い泣きしながら、俺の肩を叩き出した。

 

「おぃ、アンタ…」

「ひひ…いや、悪い悪い…全く、予想通りの堅物な返事だったのでな、つぃ…www」

な、殴りてぇっ!!!!

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「痛てて…

いや、アテナも言っておられた。

簡単に鞍替えするヤツは、逆に信用が出来ないってな。

お前を此方側に、味方に取り込もうなんて最初から無理だと判っていたさ。

…だから、我々の方が、お前の味方になってやる。

縦の主従関係ではなく、あくまでも対等な横の繋がり…同盟ってヤツだ。

それを言う為に、お前を呼んだんだ。」

「この俺に、悪魔側と二又をしろと言っているのか?」

「いざとなれば、悪魔側最優先で構わないと、アテナは仰っているが?」

「それでも、信用の問題は変わらんだろうに…

ハァ…分かった…一応は魔王に、こういう誘いが有った事を報告しておく…

まあ、少し前に『アテナ』とい名の女神に仕えていた事は話した事もあるし、オリンポス勢なら、天界や堕天使勢力とは違い、頑なに駄目…とは言わんかも知れんが…どっちみち返事は、その後だ。」

「お前さんも、立場が有るだろうからな、とりあえずは、それで構わんよ。」

クィ…

その台詞と共に俺達は、それぞれグラスの中のウーロン茶とウイスキーを、一気に飲み干した。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「…でもな、俺は今も、あの時の行動は間違っていたとは、思ってないんだぜ…?」

「…おい、飲み過ぎだろ?」

…一通り、話が終わった後、ついでだからと、色々と話していく内に、かなり酒が回ってきたのか、敵として戦った時の事を語り出してきたベッロ・カンクロ。

 

「生まれたばかりの、赤ん坊なアテナよりも、教皇…による力の統治の方が、最終的にはポセイドンもハーデスも退け、地上の平和を維持出来ると判断したんだ…

俺も、あの2人も、な……。」

「………。」

「だから、やがて訪れる平和の為ならと、汚れた仕事も、自ら進んで やっていったんだ…俺達自身が信じた、正義の為に…

まさか、サガが教皇を殺害して、成り代わっていたとは思わなかった。

ましてやサガに裏の人格が有り、ソイツが地上支配を目論んでいたなんてな。

…それが分かっていたら、お前達が聖域(サンクチュアリ)に乗り込む前に、黄金聖闘士全員で、アイツをぶっ殺していたさ。

それだけは、信じて欲しい…ぅっぷ…!!」

「わ、分かった、信じる、信じるから!

今夜は もう止めとけ、なっ?」

リバースしそうな酔っ払いの背中をさすりながら、宥め賺す俺。

正直な話、この男に関しては、確かに初めて会った時から暫くは、色々と良くない感情を持っていたのも事実だが、あの時の、『嘆きの壁での一件』以後は、少なくとも俺の方からは確執は無い心算でいる。

 

「本当に大丈夫かよ?家族には、見せられん姿に なってるぞ?」

ピク…

「…!!家…族…?」

この『家族』という言葉に反応したかの様に、ほんの数秒前迄、「うーうー」言いながら蹲っていた酔っ払いの動きが止まった。

やば…『家族』は地雷だったか?

 

「紫ぃ龍ぅ~~~~~~~~~~~っ!!」

「は、はいっ?!」

凄い迫力な顔で此方を見る、黄金聖闘士の先輩。

しまった…

考えてみたら、俺同様に、小宇宙(コスモ)や記憶を其の儘に、転生してきたのだ。

幸いにも俺は、少なくとも数ヶ月前迄は、極々普通な、平和な世界の住人として生きてきたが、この男も そうだとは限らなかった。

その能力故、平和な日常とは かけ離れた世界で、家族とは無縁な世界で生きてきたとしても疑問は無い。

ぶっちゃけ、殴られても仕方無い。

…そう思っていると、

「そうだ!家族だ!!

よくぞ言った、紫龍!!」

「へ…?」

そう言いながら、上着のポケットから、スマホを取り出しましたよ?この人。

 

「これが俺のカミさんでな、これが娘で、そして この子が、孫娘だー!!」

そして次々と…昔は かなりな美人だったんだろうと思わせる初老の女性、その面影のある、20代後半な金髪女性、そして それを受け継ぐ、将来の絶対勝利が約束された顔立ちの、黒髪幼女の画像を次々と見せてきた。

 

「ふっふっふ…実は日本に来た最大の目的はな、この孫娘に会う事なのだ!」

悪人面を崩し、幸せそうに にやけながら話す男。

しまった…

この男、『家族』は別ベクトルで、地雷だった。

 

その後も延々、約30分の間、家族自慢を聞かされたり、孫との2ショット写真を見せられたり…

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「ん~、天使や堕天使の勢力でないなら、大丈夫だよ~。

シリュー君の知り合いなんだろ?

悪魔(ぼくたち)の方が優先だったら、問題無いから~。」

……………………………………。

そして漸く店を出る前、結界を取り払うと同時に『人払いによる営業妨害の詫び代込み』だと、カウンターに大勢の諭吉さんを置いていった男と別れた後、早速 魔王ルシファーに事の経緯を報告すると、あっさりと個別の同盟契約OKの返事をくれた。

即答は有り難いのだが、そんなに簡単にOKして良いのか?それで良いのか?魔王?

 

 




‡‡‡‡【 次回予告(予定)!! 】‡‡‡‡
 
「本当に貴様等は天才だな…
この赤龍帝の逆鱗に触れる事に関してはなあ!!」
 
次回:ハイスクール聖x龍
『暗闇の翼!堕天使コカビエル!!(仮)』
乞う御期待!! コメントよろしくです。
 

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