【完結】聖闘士DxD   作:挫梛道

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サブタイが浮かばんとです…
 



唸る聖剣!エクスカリバー!!②(仮)

「ばばば…バカな!?

聖剣だぞ?エクスカリバーだぞ?!

下級の転生悪魔如きが、生身で どうこう出来る代物では無いんだぞ?」

刃を徒手で斬り落とされ、柄だけとなった【破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)】を握り締め、それをわなわなと見ながら、狼狽えるゼノヴィアに、

「余所見をしてる暇が有るのか?」

ドガァッ!

「うぐがっ!!」

シリューの追撃の右の拳が、鳩尾に炸裂する。

 

「かほっ…かほかほ…」

膝を着き、咳き込むゼノヴィアに対し、

「立て!教会の、聖剣の使い手様とやらは、その程度か?!」

女相手にも一切、攻撃の手を緩めない(一応、手加減は している)シリューの猛追は終わらない。

バゴッ!

「うっゎあぁっ!!」

今度は顔面への掌打を撃ち放つ。

その威力で、吹き飛ばされ、校舎の壁に打ち付けられるゼノヴィア。

 

「う…うぅ…

馬鹿な…私は、教会の戦士…だぞ?

あんな、下級悪魔如きに…」

既に実力差は明白。

それでも それを否定するかの様に、フラフラと立ち上がりながら、

「うがあぁぁあああぁっ!!

そんな事が赦されて、たまるかぁあ!!!!」

ゼノヴィアは改めて憎悪剥き出しで、シリューの姿を刮目すると、

「殺す!殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!

絶対に、ぶっ殺してやる!!」

叫びながら、右腕を真横に広げ、反撃の姿勢を見せる。

 

 

 

ペドロ…バシレイオス…ディオニュソス…

そして、聖母マリアよ!

我が声に耳を傾けよ!!

 

 

ゼノヴィアが発する言霊に反応するかの様に、右掌の先の空間が罅割れ、黒い『穴』が現れた。

そして、その『穴』の中から、

「この刃に宿りし、聖者の御名に於いて、我は解放する!」

葵い刀身の大剣が出現、ゼノヴィアは その聖剣・デュランダルを取り出し、再びシリューに斬り掛かるが、

「遅い!!」

斬!!

ドサッ

「はぁ!?」

しかし、その一撃さえも、シリューは当然の如く躱し、先程の【破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)】と同じく、刀身の根元から、素手の…右の手刀で両断。

切り札の筈のデュランダル迄も失い、呆然とするゼノヴィア。

 

「なぁ…!!?何なんだ!??

お前の その力は一体??!」

「嘗て、この孜劉の遥か前世(むかし)の盟友に、誇り高き黄金の魂を持つ男が居た!

その者の繰り出し放つ、何物をも断つ拳は、【聖剣(エクスカリバー)】と呼ばれていた…

そして今、この孜劉の右腕には、その偉大な男から譲り受けたエクスカリバーが宿っているのだ!!

そう…お前が振りかざして満足している玩具とは違う、真のエクスカリバーがな!!」

ゼノヴィアの疑問にシリューは、嘗て互いの信じる正義の下に敵として戦い、そして共通の正義の下に共に戦った男の事を少しだけ語ると、

「お喋りは お終いだ!」

今度は此方の番とばかり、ダッシュからの回し蹴りで、先程、【破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)】で穿かれたクレーターの中心部にゼノヴィアを吹き飛ばし、追撃とばかりに更なるダッシュ。

それに対してゼノヴィアは、素手の…ボクサー系の構えで迎撃姿勢を取る。                      

 

…が、

「今迄、聖剣という玩具を与えられ、それに頼っていた者が今更、俺に素手で太刀打ち出来るとでも思っているのか!

そして この孜劉、あの様な玩具に頼らずとも…でえぇいやあああぁっ!!!!」

DOGGOOOOOOOOOOHN!!

シリューは相手の身体…ではなく、その足下に拳を放つ。

 

「うわああぁっ!!?」

その一撃は地を砕き、先のクレーターを消してしまう程の、巨大なクレーターを上書きする様に作り上げた。

 

「な…何ですの?!」

「前にシリュー君が言っていた、『せいんとの拳は地を砕く』って、あれは比喩なんかでは なかったのね…」

「す…凄いですぅ!!」

「…にょ!」

その破壊力には、身内も驚愕。

 

「逃がさん!」

そしてシリューは、その衝撃で上空に打ち飛ばされたゼノヴィアを追う様に跳躍。

背後を捕り、相手の両脇の下に足の爪先を引っ掛けると、その場、空中でのバク転の動きから繰り出される投げ技を放った。

 

どん!!

「きゃあぁっ?!」「うゎっ!!」

そしてゼノヴィアは、木場と鍔迫り合いをしていたイリナと激突。

 

「あ痛たた…な、何やってんのよ!」

「う、うるさい!」

【擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)】の糸状の刀身を、蛇の様に動かして木場を牽制しながら、ゼノヴィアに詰め寄るイリナ。

しかし、目の前の敵から視線を逸らしたのは、結果から言えば失敗だった。

 

「覇ぁあっ!!」

「しまっ…!?」

パリィン…

騎士(ナイト)の加速を最大限に活かした、木場の速攻。

不規則に蠢く聖剣の刃を交い潜り、手にした黒い刃が、聖剣の柄に埋め込まれている緋色の水晶の様な宝玉を破壊。

それによって、空中で生物の様に動いていた刃は、ダラリと地面に落ち、動かなくなる。

 

「木ぃ場あっ!!

一気に決めるぞ!ぶちかましてやれ!!」

(Boost!!)

「神崎くん?ん…分かった!」

其処に、何時の間にか、左腕に赤い籠手を纏わせたシリューも飛び込む。

 

「はぁ!?あ、あれは、まさか…」

「赤龍帝の籠手?…って、赤龍帝!!!?」

その籠手を見て、完全に動きと思考が止まる、教会の戦士達。

 

「【赤龍帝からの贈り物(ブーステッドギア・ギフト)】!」

(Transfer!)

「【魔剣創造(ソードバース)】!」

2人並び、それぞれが地面に籠手を当て、魔剣を突き刺し、魔力を解放。

赤龍帝の籠手の特性の1つである『譲渡』の作用が働き、これにより強化された木場の神器は、グランド一面に剣山の如く、無数の魔剣の刃を創り出す。

 

「「ぎゃああああぁっ!!?」」

そして武器を失い、守る術も逃げ場も喪ったゼノヴィアとイリナは、その身を巨大な漆黒の刃に貫かれた。

 

「す…ストップ!

其処迄よ、勝負在った!!」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「ぅう…」「くっ…」

「大袈裟だなぁ…急所は外してあげたのに…」

「伝言も終え、オマケの茶番も終わったんだ、さっさと帰ったらどうだ?」

血塗れになって蹲る2人に、騎士と赤龍帝が冷たく言葉を浴びせる。

 

タッ…

そんな2人にアーシアが駆け寄るが、

「待てアーシア!何をする心算だ?」

「!?」

シリューが それを制止。

 

「え…と…2人の…治療を…」

「駄目だ。」「えっ!?」「「…??!」」

自分の神器、【聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)】による治療すると言うアーシアだが、シリューが止めた。

 

ザッ…

そしてシリューが代わりに、教会の2人の目の前に立ち、

「…さて、この赤龍帝の部下であるアーシアが、君達の傷を癒やすと言っているが、どうする?

君達は受け入れるかい?

正義な教会様(笑)が追放レベルに異端視した、アクマノキズサエモカイフクサセル、マジョノホドコシヲ?」

最大限の皮肉を込めて尋ねてみた。

 

「ふっ巫山戯るな!誰が、魔女からの情けを…っうっ…!!」

「…だ、そうだ、アーシア。」

「……………………………。」

それに対して痛みを我慢してるのが丸分かりな表情で、ゼノヴィアが怒鳴り散らす。

そして無理矢理に体を起こすと、

「か…帰るぞ…イリナ…」

「う…ん…」

やはり、ボロボロとなった体を無理に起こしたイリナと、その場を去ろうとするが、

「戻ったら忘れずに、トップに伝えておけよ?

悪魔とは関係無く、教会…天界は、この赤龍帝の敵となった…とな!」

「な…?!」

其処にシリューが、更なる追い打ちな言葉を投げかける。

 

「ど…どうして…?」

「自分達で原因を作っておいて、忘れたとでも言うのか?

アーシアに刃を向けた…それは、この赤龍帝に刃を向けたに等しい行為だろ?」

「そ、それは…キミ…貴方が赤龍帝だったって知らなかったし、貴方だって名乗らなかったから…」

「名乗る必要も無ければ、知らなかったで済む問題でも無い!

在るのは教会の者である貴様達が、この赤龍帝の目の前で、俺の部下であるアーシアに刃を向け、貶めた事実だけだ!!」

元々、アーシアが教会を追放された経緯を知った時から、教会…天界に良い印象を持っていなかったシリュー。

今回の2人の態度で、それが矯正不可となってしまったシリューは、このイリナの言い訳じめた言葉を、完全に遮断する。

 

「俺が赤龍帝を名乗っていれば、アーシアが赤龍帝の部下と知っていれば、あんな非礼は働かなかったとでも言いたいのか?

それが通用すると思うのか?」

「そ…それは…」

「おい、ゼノヴィア…だったか?

貴様は先程、自慢の玩具を見せた時に、それが聖剣だと見抜けないのか云々と言っていたが、貴様も俺を、部長の下僕の転生悪魔だと勝手に思い込み、その内面を見抜けなかった…

残念だが俺は…アーシアもだが、常人の持たぬ能力を持ってはいるが、一応は まだ『人間』なんだよ。

自分は偉いと勘違いしたか、自分は強いと勘違いしたかは興味は無いが、目の前の相手の正体や力量を測り損ない見抜けなかった、お前達の自業自得だ。」

「~~~~~~~~~~~!!」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

パシィン…!

「………………………。」

イリナとゼノヴィアが学園から去った直後、怒りに奮える涙顔なアーシアの右手が、シリューの左頬を打ち抜き、それを敢えて避ける事無く、シリューは受け入れた。

 

「シリューさん、いくら何でも、あの態度は酷すぎです!!」

「…………。」

あの後の、2人揃って土下座しての許しの懇願も、「下っ端の謝罪は話にならない」とばかりに、冷たく撥ね退けたシリュー。                  

「アーシアちゃん…シリュー君は、アーシアちゃんの事を思って…」

「…それでも!」

「「「「…………………。」」」」

朱乃のフォローも、アーシアは聞き入れられない。

自分の為…それは、充分過ぎる位に理解出来ているのだが、それでも それを納得出来ない程に、この聖女は優し過ぎた。

 

「…あの儘、アーシアの『異端』とされている癒やしを受けていたら、彼女等も異端視される可能性があった。」

「…!!」

「アーシア…シリューの言う通りよ。

その可能性は、貴女が一番良く知っているでしょ…」

「…………………(コクン)。」

リアスの言葉に、小さく頷くアーシア。

そして、

「シリューさん…その…ごめんなさい!」

シリューに対して大きく頭を下げる。

 

ポン…

「いや…酷過ぎたのも事実だし、悪いと思っているなら この紅葉、早く消してくれると嬉しいんだが?」

お辞儀しているアーシアの頭に軽く手を乗せて、頬の手形の処理を頼むシリューに

「は…はい!」

アーシアは赤くなっている顔を上げると笑顔を見せ、自身の神器を発動させるのだった。

 

「あれが世間で云う、『撫でポ』ってヤツですの?」

「そうですね。

よし、トーカちゃんにチクりましょう。」

「違うだろーが!

箱入りに、嘘を教えるな!!」

すぱーん!

「きゃーぅ!?(>_<)」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「部長、今回の件は、俺が魔王に伝えておきますよ。

事が大きくなり過ぎたから、報告し辛いでしょう?」

「ありがとう、シリュー。

でも、大丈夫よ。私が責任を持って、魔王様には報告するから。」

「…そうですか。

それなら、お任せします。

それと、今後の指示も、直ぐに請うべきですね。

あの2人が、教会に まともに報告しない可能性もありますし、仮に報告を受けたとしても、その後に教会が、適切な対応をするとは思えない。

そもそも、聖書に名が記されている程の堕天使の対処に、あの程度なレベルの者しか寄越さない組織ですからね。」

「何気に教会、ディスってるわね…」

一通りの お話とOHANASHIの後、部室内で改めて、リアス達と今回の件について話していたシリュー。

 

「そう言えば、木場が あの2人に先輩って名乗っていたけど…」

「あ…それは…」

シリューの振りに、リアスは若干困り顔で、木場に目を向けると、

コクン…

木場は無言で頷く。

 

「ん~、まあ、本人の許可も降りたなら言うけど…

シリュー?貴方、教会の聖剣計画については…わ…分かった…知ってるのは分かったから、思い出したかの様に、不機嫌全開な怖い顔するのは止めて…」

「僕は…その計画の、生き残りなんだ…」

「「「「????!」」」」

この木場の言葉に、リアスと朱乃以外の、計画そのものを知っている者が、驚きの顔を見せる。

 

「しかし、あの計画の被験者は、全員処分されたって…?」

「私も、その様に伺っていましたわ。」

「ん…それなんだけどね…」

「部長、この先は僕の口から、話させて下さい。」

「祐斗、良いの?」

「えぇ、良い機会だし、やっぱり皆には…ちゃんと知っておいて欲しいんだ…」                    

 




 
「そう言えばシリュー先輩、今回のバトルは脱がなかったですね?
何処か体の具合、悪いんですか?」
「よし小猫、OHANASHIしようぜ?」
 
‡‡‡‡‡‡【次回予告!!】‡‡‡‡‡‡
 
次回:ハイスクール聖x龍
『聖剣計画(今度こそ)』
乞う御期待!! コメントよろしくです。
 

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