【完結】聖闘士DxD   作:挫梛道

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シリューは洋服崩壊(ドレス・ブレイク)は使いませんが、その代わりに…
 


赤龍帝の鎧!

「とりあえずアーシアは、ミルたんの回復を頼む。」

「は、はい!」

「レイヴェル・フェニックスだったか…

ライザーの居場所迄、案内して貰おう。」

「…承知しましたわ。

それから赤龍帝様、フルネームで呼ばれるのは余り好きではありません。

私の事は、レイヴェルで構いませんわ。」

「神埼…仔劉だ。」

「分かりました、神埼様。」

 

▼▼▼

イザベラとの戦いで、派手な殴り合いを繰り広げ、勝てはした物の顔と云わず、全身がボコボコになっているミルたん。

シリュー達はレイヴェルにライザーの居る場所迄案内して貰うと同時に、歩きながらアーシアがミルたんを回復。

 

 

 

そして…

「よう、待っていたぜ、赤龍帝。」

 

フェニックス側本陣、瓦礫と化した本校舎跡…でなく、学園の正面校門側の前庭、水が抜かれた噴水の石段枠に腰掛けいる、ライザー・フェニックスと対峙。

当然、その隣には、女王(クィーン)のユーベルーナが控えている。

 

「貴様には色々と言いたい事があるが、今更それを言った所で、どうこうなるって訳でもない。

面倒な口上は抜きだ。

さあ、さっさと始めようぜ。」

「「「……!」」」

自分の妹が傍らに走り寄ったと同時に立ち上がり、戦闘の姿勢を取った金髪男の その言葉に、シスター服の少女、の魔法少女衣装の乙漢(おとめ)、そして薄紫の功夫服の少年が身構える。

 

≫≫≫

「きゃ!?」

「アーシア!」「アーシアたん?!」

最初にアクションを起こしたのは、ユーベルーナだった。

アーシアを指差し、その指先を一瞬 光らせると、アーシアの足元に魔法陣が展開、外周を覆う様に光る障壁が立ち上がり、その動きを封じ込める。

 

「悪いな、回復能力が脅威なのは、フェニックスである俺が、よく知っている。

其方の聖女さんの回復(ヒーリング)は厄介だからな、真っ先に封じさせて貰ったぜ。」

「心配なさらずに、赤龍帝様。

その封印の内からは動けない故、それ以上の攻撃をする心算は有りませんわ。

ライザー様から、その方は極力、傷付けない様に云われておりますし。」

「更に付け加えるなら神埼様、このゲーム、私も元から非戦闘要員ですから、人数的には未だ五分ですわ。」

余裕からか、不敵な笑みを零す、フェニックス陣営の3人。

 

「シリューさん…」

「大丈夫だ、アーシア。

そこで じっとしてろ。

ミルたん、ライザーは俺が戦る!

あの女王(クィーン)は任せたぞ!」

「任されたにょ!!」

 

ダッ…

 

シリューの指示で、ユーベルーナに突撃を仕掛けるミルたんだが、

「…クスッ」

「にょ…っ!?」

直後、アーシア同様に魔法陣に捕らわれてしまう。

 

「こんな もにょ!」

 

ガィン!!

 

「……!!」

内側から、魔力を帯びた拳を障壁に撃ち放ち、脱出を試みるも、その赤い光の壁は、びくともしない。

 

「無駄な抵抗は、お勧めしませんわ、新米兵士(ポーン)さん?」

左の掌をミルたんに向けた、ユーベルーナが冷たい笑みを浮かべながら話す。

 

「その魔法陣の障壁は、内側からの破壊や脱出…あらゆる干渉を拒絶するのですよ。

そう、内側からは…」

そう言うと彼女は、差し出した掌から、黒く光る魔力の弾を撃つ。

それは以前、オカ研部室にて、シリューに向けて放った それと同質、但し威力は比べ物にならない程の、強力な魔力弾。

「にょ?」

それは光の障壁外側に衝突するかと思えば すり抜け、魔法陣の内側、ミルたんの顔前で停滞する。

 

撃破(ティク)!」

 

BOMB!!

 

そして、障壁内で起こる大爆発。

狭い密閉された空間で起きた それは、魔法陣の軌跡を象る様に、天高く、炎と爆煙を立ち上げる。

その爆発の直撃を受けたミルたんは、ダメージから完全に意識を失ってしまい、

 

『赤龍帝チームの兵士(ポーン)1名、戦線離脱(リタイア)です。』

グレイフィアのアナウンスと共に、その場から姿を消した。

  

「いやぁっ!?ミルたんさん?」

顔を青くして叫ぶ少女に、

「大丈夫だ、事前に説明は受けただろ?

ゲームで戦闘不能になった者は、即座に医療施設に強制転移される…と。」

心配は無用と話すシリュー。

そして その次の瞬間、

 

Boooohwa!!

 

「…!!」

真紅の業火が襲ってきた。

それをギリギリでシリューは躱す。

 

「ふっ…これで、其方は実質アンタ1人だな、赤龍帝!

たった1人で、この俺とユーベルーナを相手に出来るかな?」

炎を放ったライザーが挑発混じりに言い放つ。

 

「大丈夫だ、問題無い。

ルール上、(きさま)を倒せば、それで終わりなのだからな!!」

その台詞に対して、ユーベルーナは眼中無しとばかり、ライザーに向けて特攻するシリュー。

 

「でぇいやぁ!!」

左の拳から魔力弾を連発で放つが、ライザーは それを悉く躱していく。

それでも尚、魔力の弾を撃ちながら、シリューは距離を詰めていく。

 

「でえぃ!」

 

バキィッ!!

 

「ぅが…っ!?」

そう、連発した魔力弾は(フェイク)

そしてライザーの右脇腹に、本命である、赤龍帝の籠手を装った拳をヒットさせる。

その一撃に、確かな手応えを感じ取るシリュー。

 

「…痛たタ…成る程な、確かに少しばかり、油断し過ぎていたみたいだな…!」

 

Bow…

 

「な…それは…?!」

だが脇腹を抑え、苦悶の顔を浮かべるライザーは、その抑えている左手から繰り出す炎で一瞬、脇腹を燃やしたかと思えば、直ぐに余裕の表情でニヤリと笑みを零す。

 

「それが、フェニックスの再生能力か…

確実に肋を砕いた筈だったのだが…」

「ふはははははは!!その通りだ!

この能力が有る限り、俺は、フェニックスは無敵なのだ!!」

声高らかに笑うライザー。

 

「成る程…俺の方も、フェニックスの特性を少し、舐め過ぎていたみたいだ…」

そして、予想の上を行っていた能力に、シリューは改めて顔を引き締める。

 

BOMB!!

 

「ぅゎっ!?」

「私の存在を忘れては困りますよ、赤龍帝様?」

「ナイスだ、ユーベルーナ!」

更に そこに、ライザーの女王(クィーン)が、爆裂魔法で己の(キング)のサポートに入る。

 

「この私をモブ扱いした代償、決して安くは なくてよ!!」

 

BOMB!! BOMB!! BOMB!! BOMB!! BOMB!!

「うぉおっ!?」

 

自分を無視してライザーに攻撃を仕掛けたのが余程 頭にキていたのか、執拗に爆裂系の魔力が込められた黒い魔弾を連続で撃ち放つユーベルーナだが、シリューは、さの全てを冷静に見切っていく。

 

「ちぃ、ちょこまかと!…ならばっ!!」

 

BOMB!!

 

飛び交う無数の魔弾から、空中にジャンプで逃げたシリューが、再び着地した時、

 

von…

 

「な…!?」

足元に赤い魔法陣が浮かび上がる。

 

「えぇーっと、こーゆー時はアレだ、確か、『足下が お留守に なってますよ?』…だったかな?」

「くっ…!」

それは未だアーシアを足止めしており、ミルたんを撃破する時にも用いられた『拘束の魔法陣』。

とあるコミックにて使われていた名台詞をドヤ顔で言うライザーに対し、そのコミックの、結構なファンであるシリューが顔を歪める。

 

「ふっ…どちらにしても、そうなったら『詰み(チェックメイ))』だ。

…が、赤龍帝、どうせアンタは投了(リザイン)する心算は無いのだろう?

…殺れ、ユーベルーナ。」

「はい…ライザー様。」

ライザーの言葉に、ユーベルーナが己の掌を、魔法陣に捕らわれているシリューに向ける。

そして放たれるのは、数多くの黒く光る、魔力の弾。

ミルたんの時は1つだけだった爆裂魔法の弾が、今度は無数に魔法陣の障壁の中に入り込む。

 

撃破(ティク)!!」

 

DOGGOoooooohN!!

 

凄まじい爆発音と共に、魔法陣障壁の内側で、爆炎と爆煙と爆風が、天に向かって立ち上る。

 

「シリュー…さん…」

「はぁーっはっはっはっはっはーっ!!

これで終わりだ!

リアスも、そして あの聖女も、この俺のモンだ!!」

その光景をみて、へなへなと膝を落とすアーシアを後目に、己の勝利を確信し、高笑いするライザー。

しかし…

「ん?グレイフィア様のアナウンスは まだか?」

何時迄経っても、赤龍帝の戦闘不能(リタイア)と、それに伴うライザーの勝利を告げる、グレイフィアのアナウンスは鳴り響かない。

 

「まさか!?」

そんな馬鹿な事が…そう思いながらも、改めて魔法陣に捕らわれているシリューの方に目を向ける、ライザーとユーベルーナ。

 

『Boost!!』

「「!!?」」

その時に聞こえた、明らかにシリューの声ではない、電子音の様な声。

障壁の内側は、未だ爆煙が立ち篭もり、中の様子はハッキリとは窺えないが、僅かに…煙の中から、幾つかの赤と緑の小さな光が、そして人の形が確認出来る様になる。

そして、内部の煙が全て消えた時、2人の目に映ったのは、

 

『Welsh Dragon Balance breaker!!』

 

正しく龍を象ったかの様な、真紅の全身鎧に身を固めた…シリューの姿だった。

 

「鎧…ですって?」

「まさか、赤龍帝の力を、鎧に具現化させたとでも言うのか!?」

その姿に、驚きを隠せない2人だが、

「だ、大丈夫ですわ、ライザー様!

如何に赤龍帝と云えども、あの障壁は破る事等、出来たりはしない筈!」

動揺しながらも、自分の術式は完璧だと、己に自信付けようと言い聞かせる様に、ユーベルーナが言ってのける。

    

パリィン…

 

「「!!!??」」

しかしながら、そんな淡い望みは、障壁内から打たれた、シリューの拳で障壁諸共、ガラスの様に粉々に砕かれた。

 

『…コレも数年振りだなぁ、相棒!』

「懐かしむのは後だ、ドライグ!」

『フッ、違いない!! さぁ、見せてやろう!

この目の前の奴等に、そして この茶番を観ているであろう悪魔共に…この俺達の、赤龍帝の"チカラ"を!!』

魔法陣の跡から抜け出し、一歩一歩、前に歩きながら、左手甲の碧の宝玉と会話しているシリュー。

 

「よし、飛ばすぞ、ドライグ!」

『応よ、相棒!Boost!!』

そして その会話が一段落着くと、一気に加速し、ライザー達に突撃する。

 

「ひぃい!く、来るな!!」

その迫力に、怯み後退しながら、ユーベルーナが爆裂魔弾を連続で放つが、

 

BOMB!! BOMB!! BOMB!! BOMB!! BOMB!!

 

生身の時は、確かに躱していた魔弾。

 

「そんな薄っぺらな弾幕で、何をやっている心算だ!!」

しかし今は大爆発が起きている中、何事も無いかの如く その爆炎の中を突き進み、シリューは追撃の勢いを緩める事は無い。

そして魔力弾を潜り抜け、ユーベルーナの前に立ったシリューは、至近距離からの、

「廬山漆星龍珠!!」

 

ドッゴォォオオ!

 

「きゃあああああああ!?」

ゲーム開始早々に放った、魔力と小宇宙(コスモ)が融合された破壊のエネルギー弾を撃ち放つのだった。

 

『ライザー・フェニックス様の女王(クィーン)戦闘不能(リタイア)です。』

 

≫≫≫

「ちぃ、逃げるか、ライザー!」

「貴様の様な化け物相手、バカ正直に正面から挑むヤツが居るか!」

実質、1対1の様相となったゲーム。

 

「お兄様…」

「シリューさん…」

ユーベルーナが倒れた事で、魔法陣の拘束が解けたアーシアが、レイヴェルと並んで、最後の戦いの行く末を見守っていた。

 

「でやぁ!!」

「がふっ…!」

展開は一見、シリューが有利。

しかし、その実、如何にシリューが有効打を放つも、即座にライザーは回復してしまう。

そして、

「おらぁっ!死ねやぁっ!!」

 

ピシィ…

 

「!!?」

ライザーの背から具現化した炎の翼が、シリューの赤い兜を掠めると、その部分にヒビが入った。

 

『気を付けろ、相棒!フェニックスの炎はドラゴンの鱗にもダメージを与える!

この禁手化(バランス・ブレイカー)の鎧でも、マトモに喰らうのは危険だ!!』

「了解だ、ドライグ。…ならば!!」

このドライグの助言に、シリューは

「この鎧など不要の長物!赤き龍帝の力、防御を棄て、それを攻撃に換えるまで!」

『いや、待て相棒!それは少し違うぞ!?』

内に宿る龍の想定とは違う闘法、結論に至ったらしく、

龍鎧解装(アーマー・ブレイク)!!」

 

バサァッ!

 

「え…?ええぇぇーーーっ!?」

「はわわわわわわ…」

「…へ?」

『ハァ…』

掛け声と共に、赤龍帝の鎧、兜を含む上半身のパーツを左腕の部位だけ残して全て、身体から外して周囲に飛散させる。

そして飛び散ったパーツは粒子状となり、左手甲の碧の宝玉に吸収されていった。

                   

「さあ、ライザー・フェニックス!

このシリュー、今より改めて、本気を出させて貰うぞ!!」

「あぁ…ぅ、うん、はい…」

2人の金髪少女が顔を真っ赤にしている中、下半身は紅い装甲を纏った儘だが、上半身は左腕の赤い籠手以外は真っ裸(まっぱ)となった少年が、やはり予想外の出来事に唖然とした顔の金髪男に対して、戦闘の姿勢を見せるのだった。

 




‡‡‡‡【次回予告!!】‡‡‡‡
 
「あらあらあらあら?」
「また…ですか?」
「…後で説教ね。」
「勝ったらチャラにしてあげても…」
「それはソレ、これはコレよ。」
 
次回:ハイスクール聖x龍
『決着!(仮)』
乞う御期待!!
コメントよろしくです。
 

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