【完結】聖闘士DxD   作:挫梛道

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この二次小説の原作は『ハイスクールDxD』です。
 



使い魔、ゲットだぜ!

◇シリューside◇

ミルたんがリアス部長の眷属になった翌日の夜。

 

「「「使い魔?」」にょ?」

「そう、使い魔ですわ。」

「使い魔は、悪魔とっては基本的。」

「主の手伝いから情報伝達、追跡調査にも使えるんだ。」

「そんな訳で いきなりで悪いけど、今から皆で冥界の『使い魔の森』へ行くわよ!」

俺とアーシア、ミルたんの「使い魔?」の台詞に、軽く姫島先輩達が教えてくれたのだが…

本当に いきなりだ。

参考迄に、現時刻、21:23。

俺、アーシア、ミルたんは たった今し方、森沢さん宅で『ケンツロウ』と『田縄ぷりえ』は どちらが強いか?を熱く、熱~く語り終えて帰って来たばかりである。

 

「…リアス部長、そう云うのは、せめて前日、事前に報せるべきじゃないですか?

報連相って言葉、知ってます?」

オカ研としての仕事を終え、帰る気満々だった俺が、ハリセンを高く掲げる。

 

「ひぇっ!?ストーップ!

シリュー、ハリセン ストォーップ!!」

そんな俺に、必死な顔で待ったを求めるリアス部長。

 

「だ、だって、満月の夜でないと、使い魔は入手出来ないのよ~!」

…らしい。

 

聞けば、人間界と冥界の月の満ち欠けは殆ど同じ周期らしいが、人間界(こちら)の月は現在、去年の3月に原因不明の一部分爆発を起こし、常に三日月になっている。

 

それから約1年後の今年の3月になって、何の脈絡も無く、『実は宇宙人の仕業でした』とか『その宇宙人が、今度は地球を爆破すると言っている』とか『その宇宙人が現在、都内の中学校にて生徒を人質に立て篭もり中』だとかニュースになったり。

しかも その人質の中学生というのが、当時中学卒業前のユキコやトーカのクラス全員でしたっていう、胡散臭さ満載な報道が乱れ飛んでいた。

結果、それからは何事も起きておらず、今に至っているのだが。

4月になって、当事者となっている本人達に人質等の件について聞いてみたら、「そんな訳ないじゃない!(笑)」と笑いながら言われてしまった。

 

話を戻すと、兎に角そんな訳で人間界では既に本来の満月のタイミングを掴む事は普通には出来ず、思い出した様に確認してみれば、実は今夜でしたってオチだそうだ。

 

「お願い!今夜をハズすと、また来月まで待たないといけないの!!

ミルたんの為にも!…ねっ?」

…やれやれだぜ。

 

》》》

「おお゙ぅ…」

「か、神崎君!?」

「シリューたん、大丈夫にょ?」

「くっく…だから、腹筋割らせるなし…」

リアスの転移魔法陣を使って、冥界の使い魔の森にジャンプしたオカ研メンバー。

…と、駒王学園生徒会長の支取蒼那…否、ソーナ・シトリーに、彼女の眷属である兵士(ポーン)の匙元士郎。

匙も この度、使い魔を得る事をソーナから許され、オカ研と同行する事となった。

そして現在、シリューが大絶賛転移酔い。

木場とミルたんが、蹲っている彼の背中をさすっており、そんな様を見ている匙が、蹲って腹を抑えて笑っている。

 

「アーシアちゃんは、大丈夫なの?」

「は、はい、私は特に…」

尚、今回のコレで、アーシアの聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)には、酔い覚ましの特性は無いのが判明した。           

 

》》》

「この木の下の、約束だったんだけど…」

一行が今 居るのは、森を少し入った先にある、周りの木々に比べて一際高い、杉の様な木の下。

この場で、今回の使い魔入手に伴う、森のガイドとの落ち合う予定だったが、待ち合わせの時刻が近づいてきたにも拘わらず、一向に姿が見えない。

 

「…それにしても塔城さんは、凄い荷物だねぇ?」

「備え在れば、憂い無しです。」

まるで某『迷宮探索での劇的な出逢いに是非を問う物語』に登場するキャラクターの1人である少女が背負う様な、巨大なリュックについて匙と子猫が話していたり…そうしている内に、遂に約束の時刻になった。

 

その時…

「ゲットだぜ!!」

「「「「「「「「!!?」」」」」」」」

突然、木の上から聞こえる男の声に、シリュー以外の面々が驚きの顔を見せる。

皆が上を見上げると、木の天辺付近の枝の上に立つ人影が、満月の明かりに照らされていた。

 

「とうっ!」

 

…シュタッ

 

掛け声と共に、木から飛び降り、途中で一回転半捻りを加えつつ、男は地面に着地。

 

「俺の名はザトゥージ!

使い魔マスターを目指してるんだぜぃ!!」

キャップを後ろ向きに被った半ズボンの悪魔は、自信に満ちた顔で名乗る。

 

「彼が、この森のガイドよ。

ザトゥージ、今回は宜しくね。」

「宜しくお願いします。」

「おぅ!この俺様に掛かれば、強いの硬いの速いの、どんな使い魔だって楽々ゲットだぜ!」

リアスとソーナの挨拶に、ザトゥージはサムズアップで応える。

 

「どうでも良いが、こっちは少し前に揃っていたのに、時間ピッタリまで枝の茂みに隠れてなくても良かったのではないか?」

「うぐ…気づいていたのか…

なかなかヤるんだぜぃ…」

しかし、シリューの言葉にタジタジになってしまうザトゥージ。

 

》》》

「で、今回、使い魔をゲットしたいってのは、ん~…そっちのデカいのと こっちの冴えない奴か。」

「凄いな…一見で見分けられるのか…」

「…冴えてなくて、悪かったな。」

一見で、使い魔を所持していない悪魔…ミルたんと匙を判別出来る、ザトゥージの眼利きを賞賛するシリュー。

そのシリューが、ザトゥージに質問を投げかけた。

 

「なぁ、ザトゥージ、使い魔というのは、人間はゲットする事は出来ないのか?」

「ん~、今迄、そう云う事例は無いが…

使い魔ゲットするのに最終的に必要なのは、契約時の魔力だ。

如何に信用信頼を得ようが、或いは実力で屈伏させようが、最後の魔法陣を使っての契約には、本人の魔力が必要なんだぜ。

だから理屈の上じゃ、魔力を持ってさえいれば、種族関係無く、使い魔をゲットするのは可能なんだぜぃ!」

「…成る程。それなら俺やアーシアが、使い魔を得る事も不可能では無い訳だ。」

「え?」「はぃ?」

シリューの台詞に、アーシアとザトゥージが声を出す。

 

「神器持ちなら、魔力は持っている。

アーシア、俺達も使い魔とやらを得られるならば、入手するぞ。」

「は、はい!」

「へ~、何で人間が、リアス嬢さんと一緒に居るのかと思っていたら、兄ちゃん達、神器持ちだったのかい?

それなら確かに、使い魔をゲット出来るかも知れないな。」

顎に手を置き、品定めする様な目で、ザトゥージは呟く。

 

「俺としては、戦闘サポートしてくれる…そうだな、パワーよりスピード特化したタイプが欲しいな。」

「ほぅ…そうだな、自分の特性に合わせて、自分と似たタイプ、または自分に足りない部分を補ってくれるタイプ…

そういう点を考えて、使い魔を選ぶというのは基本なんだぜ!

お前さん、人間にしては、なかなか分かっているんだぜぃ!!」

シリューの発言に、ザトゥージは思わず種族を問わずに感心する。

 

そして

「俺は妖精とか、可愛い女の子系かな?」

この匙の発言にザトゥージが、

「はぁ~…、分かってないんだぜぃ、コレだから素人は…」

…と、苦虫を噛み締めた表情で、溜め息混じりに不満を零すが、

「わ、私も、可愛い使い魔さんが欲しいですぅ…。駄目…なんですか?」

「ミルたんもにょ!!」

「いや~、やっぱり そうだよね~!

どうせゲットするなら、可愛い使い魔のが良いよね~!!♪」

「は…はい…」

このアーシア(…とミルたん)の発言に、態度が一変。

アーシアの右手を両手で握手しながら、鼻の下を延ばしての会心の笑みで応えるのだった。

 

「…殴って良いか?殴って良いよな?

…ってか、4~50発、殴らせろ!!」

「さ、匙君、落ち着いて!」

「さあ、もう良いでしょ?」

「そろそろ行きましょ?」

「か、会長~?」

 

》》》

「頼むぞ、リバプール。

何か居たら教えてくれよ。」

『ぐるるる…』

使い魔を求めて森の中に踏み込んだリアス一行。

リアス達の前を歩く、ランタンを持ったザトゥーシの更に前、先頭を進むのは、顎には2本の鋭い剣歯、眉間と顳に計3本の角、身体は赤と白の毛に覆われ金の鬣を持った、見た目は猫科の猛獣を想わせる、雷獅虎と呼ばれる魔獣…木場の使い魔である。

 

『…!!ぐろろろろーっ!』

「リバプール?」

突然、その木場の使い魔リバプールが、目の前の木の上側に顔を向けて雄叫びを上げた。

その先には、

「あれは…」

「ド、ドラゴン…」

「…の子供?」

木の上方の枝に止まっていたのは、紛れもなく、蒼と白の鱗を持った、小型のドラゴンだった。

 

「おう!あれは正しく、蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)の幼生なんだぜぃ!

ドラゴンてのは成龍になると、他人の言う事なんざぁ、まずは聞きやしないから、使い魔にするなら今の内なんだぜぃ!」

このザトゥージの説明に、

「シリュー、アナタ赤龍帝なんだから、相性良いんじゃないの?

使い魔、あのコにしなさいよ!」

「いえ、それなら匙だって、黒邪龍(ヴリトラ)を身に宿す者よ。

匙、なんとしてでも、あのドラゴンを使い魔にしなさい!」

「なぬ?赤龍帝と黒邪龍だとぉ?」

リアスとソーナが、本人そっちのけで、蒼雷龍ゲットに乗り気になり、その際にザトゥージがシリューと匙の持つ神器を知り、驚いたり。

 

「ふぅ…だ、そうだが?

どうする、匙?

お前が その気なら、譲るぜ?」

「お、おぅ…」

シリューの言葉に、一瞬だけ迷う匙だが、「よし、蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)

キミに、決めた!!」

そう言って、木の上の龍族の幼生を指差し、連続ジャンプを駆使して枝を飛び移り、蒼雷龍が止まっている枝まで辿り着く。       

しかし、

『キシャーッ!!』

 

バリバチィッ!!

 

「アガガ…ケカキヅツツサンアヨハ!?」

ゲットしようと手を差し伸べた瞬間に、強力な雷撃を浴びせられてしまい、

 

ひゅー~~~~~~~~~~…

 

 

 

 

 

ドンッ!!

 

悪魔の羽を展開する前に、地面まで真っ逆様、勢い良く落下してしまう。

 

「さ、匙ーっ!?」

「匙君!?」

「アーシアさん、回復をお願いします!」

「は、はい!!」

慌てて駆け寄るシリュー達。

 

『…フン!!』

そして蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)の幼生は、暫くの間その様を見ていると、興味を失ったのか、背中の羽を広げ、何処かに飛び去って行った。

 

》》》

「あ~、大変な目に遭ったぜ…」

「おぅ、蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)てのは、綺麗な心の持ち主にしか、心を許さないって云うからな、兄ちゃんじゃ無理だったみたいだな!」

「早く言えよ!それ、早く言えよ!!」

…そんな会話を交えながら、更に森の奥を進む一行。

 

ぴた…

 

「ん…?リバプール?」

先頭を歩いていたリバプールが、急に歩みを止める。

 

「…!!この気配、何かが居る!」

「がるるるるる…!!」

先に潜む何かに、威嚇するように唸り声を上げるリバプール。

 

バシャアッ!!

 

茂みの中から現れたのは、幾本もの黄色い触手。

胴体…本体は確認出来ないが、その触手は まるで此方の様子を窺っている様に、うねうねと 不気味にくねらせている。

 

「ま、不味いぜ、アレは まだ、正体がハッキリしていないんだぜ!

只、判っているのは、胸の大きな女の子を選り好んで襲うって事だけなんだぜ!」

「「「はい?」」」「「え?」」

「「ほぇ?」」「「へ?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      『はあぁっ!!?』

 

ザトゥージの台詞に、その場の全員がハモった。

 

「お、おい、それって、ヤバくないか?」

「応…今この場には、『学園きょぬー四天王』の内、3人が居るんだぞ!?」

「「「その呼び方は止めて!!」」」

この匙とシリューのやり取りに、リアス、朱乃、ソーナの3人が声を揃えてクレームを付ける。

しかし、それが引き金になったのか、

 

シュッ…!!

 

「「「き、きゃああああああっ!?」」」

遂に触手の群が、リアス達に襲い掛かってきたのだった。

 




‡‡‡‡【次回予告!!】‡‡‡‡
 
『ま、不味いぜ!あのスライムは、女の子の衣類()()を溶かすという、森の厄介者なんだぜ!』
 
次回:ハイスクール聖x龍
『使い魔、ゲットだぜ!②(仮)』
乞う御期待!!
 

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