僕が読みたいと思う二次創作『インフィニット・ストラトス』   作:那由他01

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33:水着

 日課(筋トレ)を終わらせて、今日は休日だということを思い出す。臨海学校では各社から送られてくる武装のレポートやら、バグの発見をさせられる。俺も三綾の追加武装の使用感をレポートしろという通達が来ている。だが、これはそこまで重要ではない。本当に重要なのは臨海学校で海を泳ぐことが出来るという点である。

 時刻は休みの日だからトレーニングに時間を使い過ぎて十時、行動するに丁度いい時刻だ。とある物を買い出しに行かなくてはならない。それは水着だ。流石に水着なんてものは実家から持ってきていない。企業代表として給料を貰っているので、水着の一着くらいは余裕で買える。

 

「……どうやって拳銃と打鉄を隠そう」

 

 国からの特殊許可を得て拳銃とナイフを所持していても銃刀法違反で逮捕されないのだが、流石に学校と同じように見せびらかしながら所持していると通報される。拳銃の方は色々なホルスターを渡されているので、見えないように携帯することは可能だが、ナイフになっている打鉄が曲者だ。

 

「うーん、どうやって隠そうか」

 

 打鉄を持っていかないという選択肢はあるのだが、有事の際に拳銃一丁で切り抜けられる保証はない。鞘に入れた状態でガムテープなどで貼り付けるのが一番だろうが、夏にテープで貼り付けても汗で剥がれ落ちるのが目に見えている。

 最初は拳銃を隠すことだけを考えるか、三綾からの支給品のダンボールを開くと予備の弾薬やらホルスターが綺麗に収納されている。そして、この状況を打破する鞘が入っていた。脚部に付けるナイフホルダー、中身を詳しく見ていなかったので確認できていなかったが、これがあるなら話は別だ。

 

「えっと、このホルスターはズボンの中に入れるのか」

 

 ホルスターをズボンに仕込んで拳銃を手に取る。

 トントン、扉がノックされて一人の少女が部屋に入ってくる。そして、俺が拳銃を隠し持とうとする姿を見て、

 

「誰かを暗殺するのか?」

「いや、買い物に行くだけ」

 

 入ってきたのはラウラだった。流石に軍人だからか拳銃に驚きの表情を見せることはない。『SIG・P229』だと少しかさ張らないかと率直に言った。俺は給弾不良が少ないって聞かされたからこの銃にしたんだと告げる。ラウラはそうなのか、私はコレを使用していると左手にぶら下げていたガンケースを開いて確か『HK・USP』という拳銃を見せた。

 

「暇なら射撃訓練に付き合ってもらおうと思ったのだが、今日は無理そうだな……」

「ああ、射撃場なら四時ぐらいに付き合うよ。今から水着を買いに行くんだ」

「学校指定の水着は支給されていないのか?」

「貰ってないな。そういう細かい部分まで学校側も手が回らなかったのかもな」

 

 拳銃をホルスターに仕舞って、Tシャツで隠す。その後は長ズボンの左側を捲りあげ、鞘を巻き付けて打鉄を収納する。よし、準備は完了した。ラウラの方に目線を向けると少し考え込んでいる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 何か踏ん切りが付いたのだろうか、口を開く。

 

「一緒に行っていいか?」

「ああ、いいぞ」

 

 一人で買い物というのも味気ない、華を添えるのもいいことだ。ラウラは直ぐに出るのだろう、私の相棒をこの部屋に置かせてくれとガンケースをちゃぶ台の上に置いた。

 

 

 古今東西、大抵の場合共通しているのは大きな駅には大型ショッピングモールが併設されているというところだろう。長崎駅にもアミュプラザという大きなショッピングモールが併設されている。そして、この駅にも大型ショッピングモールが備わっている。

 

「やっぱり日曜日だと人が多いな」

「この小さな国に多くの人が住んでいるわけだからな」

「人口の多さで言うと十一位らしい」

 

 一歩を踏み出す前に後ろから妙な視線が飛んでいるのを解決しよう。

 自販機の影をジッと見る。IS学園の制服が見えた。さて、誰だろうか? うちのクラスの三人娘だったら普通に声をかけてくる。だったら他のクラスの生徒が物珍しさで見物しているのだろうか。知らない顔だった時は挨拶をして終わればいい。

 

「シャルロットさん……近付いて来ますわよ……」

「なんで気づかれたのかなぁ……」

「……セシリアとシャルロットか」

 

 二人はお化けでも見たようにヒッと声を上げて俺のことを見つめる。ははは、友達に怖がられると色々と嫌な気持ちになる。

 少し悲しい声色で二人も買い物か? そう尋ねてみるとセシリアが先にそうですわ、と、返した。

 

「シャルロットにも他のクラスの友達が出来たか、感銘深いなぁ」

「あ、えっと……うん」

「一緒に来るか? 買い物は大勢の方が楽しいわけだし」

 

 二人は申し訳なさそうに付いてくる。ラウラは素直に誘えばいいだろと言って首を傾げた。二人は小さな声で簡単に誘えないから尾行してたんだ。そう言っている。まあ、女の子が男の子を買い物に誘うのは抵抗があるもんな。その逆も抵抗があるのだが、ラウラはサッパリとした性格なのでついつい誘ってしまった。

 

「お、ここが水着売り場か……見事に女性用ばかり」

 

 水着売り場に到着すると必然的に女性物が沢山売られていた。三人を引き連れて男性用が無いか確認するが、この売場には男性用水着は販売されていないことがわかる。となると男の俺は水着売り場ではなく、スポーツショップに水着を買いに行かないといけない。

 

「この店には売ってないようだから、スポーツショップに行ってくる。三人はここで選んでいてくれ」

「……見なくていいの? 僕達の水着」

 

 シャルロットが自分達の水着試着を見ていかなくていいのかと尋ねる。見る見ないにしても、水着なんてものはファッションの類いだ。自分が良いと思える水着を買うのがベストなのではないかと返すとシャルロットとセシリアは溜息を吐き出した。ラウラは不思議そうな顔で二人を見ている。

 

「じゃあ、水着を買い終わったら電話入れる」

「……わかった」

 

 少し離れた場所にあるスポーツショップに足を運ぶ。

 

 

 道を歩いていると仲の良さそうな兄妹が買い物をしているのが目につく。微笑ましいとお兄さんの方を見ていると妹の買い物袋をパタンと落として、俺の方に駆け寄ってくる。そして、俺もお兄さんの顔を思い出した。そして、握手をし、ハグをする。

 

「弾……久しぶり……」

「礼遇、大きくなりやがって、このこの!」

 

 頬に流れる冷たさが心を締め付けた。弾の方を見てやると彼も大粒の涙を流していた。

 

「弾、ただいま」

「おうよ、お帰り」

 

 抱き合うことをやめて握手をもう一度交わす。

 

「一夏とは仲良くしてるか?」

「ああ、一回喧嘩したけど今は元の鞘だ。こっちは蘭ちゃんだったかな? 宮本礼遇です」

「あ、はい。知ってます」

 

 あの頃は弾は携帯電話を持たされていなかったし、電話番号も聞けなかったから今交換しようと携帯を取り出し、番号を教える。俺も笑って自分の番号を言った。忘れないでいてくれたことが何よりも嬉しい。小学生、そんな小さい頃に仲良くした間柄なのに、ちゃんと友人だと思ってくれている。

 

「数馬にも番号教えていいか? あいつ、お前が転校してナーバスだった時期もあるし、喜ぶと思うぜ」

「ああ、頼む」

 

 拳と拳を合わせて、連絡入れると互いに言い合い別れた。その後に弾が妹さんに慰められていた姿は見なかったことにしよう。

 

 

 さて、スポーツショップに来たわけだが、男性用水着コーナーは奥の奥に置かれていて、種類も非常に少ない。この少ないラインナップの中から選ばなければならないのだが、種類が競技用水着に絞られている。競技用水着は海で着る水着ではない。塩で生地が駄目になることがあるので、除外しなければならない。そうなるとラフなズボン型の水着を買わなければならないのだが、ここにはズボン型の水着は置いていない。

 

「……ウェットスーツを買うべきか」

 

 流石にウェットスーツなんて着たら浮くだろう。浮かないような水着、水着……。

 この水着を手に取ったことを後悔する。それはブーメランパンツ。デザインは黒と白、シンプルでカッコイイ。普通に着ても可笑しいとは言われないだろうが、流石にブーメランパンツはどうかという考えが巡っている。

 ――人が持っていないものを人は羨ましがる。

 ポッとそんな言葉が頭の中を駆け巡る。確かに、一般的な男がこのブーメランパンツを履くことはまず無いだろう。そんな珍しい物を着るというのは挑戦心は必要だが、似合えば成功なんだ。

 試着室に入り、履いてみる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 これが妙に似合っている。ブーメランパンツが筋肉を際立たせる。これは素晴らしい。

 抵抗はある。だが、今この店で一番似合っているのがこのブーメランパンツならこれを選ぶ他ない。

 

「よし、買った!」

 

 

 礼遇は女心が全然わかってないよ……。

 僕とセシリアは少し沈んだ表情で水着を選んでいた。好きな人に選んでもらうという選択肢も消えたし、自分自身が似合うと思う水着を買わないといけない。可愛い水着は沢山あるけど、どれが一番似合うのかはわからない。ラウラは子供用水着しかサイズが合わないから学校指定の水着を着ると言っている。

 

「礼遇さんはどの水着が……」

 

 セシリアは礼遇の好みを考えながら水着を選んでいる。僕も負けていられない、礼遇が好きそうな水着を……。

 

「ねえ、セシリア? 礼遇ってどういう性癖なのかな……」

「わかりませんわ……」

 

 僕とセシリアはガクッと肩を落とした。宮本礼遇、僕は彼に恋をしているけど、彼のことをあまりしらない。いや、企業代表で色々と頭が良くて、格好良くて、僕のことを優しく見守ってくれるってところはよく知ってるけど、礼遇の衣服の好き嫌いなんて一切知らない。一組のセシリアもそれは同じだろう。

 

 ――礼遇の好みがわからない!?

 

「……選ぶしかない! 礼遇が好きそうな水着を!!」

「そうですわね! わたくしも燃えましたわ!!」

 

 片っ端から水着を着て、何となく礼遇が好きそうなのを選んだ。




 物語が浮かんでこなかったので、挿絵で誤魔化しました。

 許してください! 本当に話しが思い浮かばなかったんです! 何でもしますから!

 
-追記-

 挿絵がこれからも欲しいという方が居たら、活動報告の方に来てください。アンケートしてます。

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