僕が読みたいと思う二次創作『インフィニット・ストラトス』   作:那由他01

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13:ご主人様

 お母さんはご主人様を殺そうとしている。

 お姉ちゃんが遠いところから教えてくれている。

 わたしは、ご主人様を守りたい。

 わたしは、お姉ちゃんの妹だけど、ご主人様のISでもある。

 お姉ちゃんが縛られている。

 お姉ちゃんがご主人様を助けられない。

 お姉ちゃんがわたしに助けを求めている。

 助ける、わたしが、お姉ちゃんの代わりにご主人様を助ける!

 

 

 今日は晴れ渡っていて、大会を行うのに最適と表現するに足りる晴天だ。俺も心が踊っており、一夏の緊張した表情を見て、気が引き締まる。俺も数十分後には、アリーナに出て、四組の更識簪さんと戦うことになる。新しい武装も、新しい作戦も組み立てた。すべての準備が整っている。

 

「一夏、おまえは努力してる。勝てるさ、負けることは考えるな」

「ありがとう……決勝は、俺とお前で戦おう」

「ああ、決勝の舞台で待ってるぜ」

 

 一夏は静かに飛び立った。

 打鉄も仕上げた、武装も練った、作戦も組め立てた。

 負けられない、全部、全部、クラスで考えて、期待してもらって、俺は――強くあれる。

 ピットのテレビから流れる一夏と凰さんの攻防、一夏は押されている。だが、見極めている。雪片弐型の零落白夜、それは一撃必殺の太刀、だからこそ、使用するタイミングを見極めなければならない。はじめて戦う相手、だからこそ、癖や硬直のタイミングを探って、そして、確実にダメージを通すことが出来る瞬間を学習している。それでいい、一夏、おまえの白式はそうやって使う代物だ。相手の弱点を見て覚えろ、そして、勝て。

 一夏が押し始めた。弱点を見つけたのだろう、表情が変わった。

 

「決勝で待ってる、か……俺も行かないとな、決勝の舞台に!」

 

 刹那、テレビの画像が砂嵐に変化する。

 どうなっているんだろうか、ピットの上にある司令室に居る織斑先生を見てみると非常に苦い表情をしている。そして、スピーカーから織斑先生の声が響き、

 

「宮本、未確認のISがアリーナに侵入した。自分のクラスと一組と二組の避難誘導を頼む」

「未確認のIS!? わかりました、すぐに避難誘導を行います」

「アリーナ周辺の監視カメラも何者かの手によって映っていない、外に敵が潜んでいる可能性もある。その際はISの使用を許可する。すまないが、生徒達を守ってくれ……」

「わかっています」

 

 未確認のIS、監視カメラの妨害、どんな勢力がこんなことを……だが、ISだけではなく、監視カメラまで見えなくしている。外に武装した何者かが陣取っている可能性が高い。幸いにも、打鉄のエネルギーは満タンだ。武装勢力、一夏の元に現れた未確認のISが現れようとセシリアの手を借りたら倒すことは可能だ。皆、無事で居てくれ……。

 

 

「一夏は……あのISと戦っているのか……」

 

 アリーナの観客席を覆うシールドが灰色に染まった。そして、一夏と鈴の姿が確認できなくなっている。少女、篠ノ之箒はどうするべきかを考える。多分、このまま何もしなければ、教職員の力によってこの騒動は鎮圧される。だが、今現在、一夏は命の危機に晒されている。自分は、無力な存在だが、彼に何かをしてあげられるなら、そう考えてしまっている。そして、行動は始まってしまった。

 

「わたしは……一夏を……」

 

 走り出した。一夏と鈴の戦いが見えるであろう場所に、中継室、そこなら、必ず二人の姿が見えるだろうと信じて、走る。

 

 

 ピットから席までは遠い、だが、ようやく数メートルの距離になった。後は一組、二組、三組を纏めて安全な場所に避難する。有事の際は打鉄の使用も織斑先生に許可された。早く皆を安全な場所に!

 刹那、箒ちゃんとすれ違う。

 

「箒ちゃん!?」

 

 走り去る箒ちゃんを追いかける。

 何でだ、どうして箒ちゃんが一人で逃げている? いや、逃げてない、出口はそっちの方向にもあるが、一番近い出口じゃない。それに、一年生を誰一人連れていないという時点で可笑しい。確か、そっちには中継室があるはず……!? そうか、箒ちゃんは一夏に何かを言ってやりたくて、中継室に……だけど、中継室は危ない。防弾ガラスと観客席とは違うシールドは設置されているが、電源の供給が止められていると考えれば、防弾ガラスしかない。もし、一夏が戦っているISが遠距離射撃型なら、箒ちゃんが撃ち抜かれる可能性がある!

 息を切らしながら、中継室に入ると黒いフルスキンのISが箒ちゃんに狙いを定めている。即座に打鉄を展開し、箒ちゃんを抱きかかえて伏せる。

 金属が焼けた異臭が漂う。だが、箒ちゃんに怪我はない。

 

「よかった……こんな無茶はやめてよ、箒ちゃんが死んだら、俺……」

「すまない……礼遇……」

「いいよ、ここから逃げよう。一組、二組、三組を纏めて逃がせって織斑先生から言われてるんだ」

「わ、わかった……」

 

 一夏、絶対に倒してくれ……大切な幼馴染を殺そうとした奴だ。原型も残さないで良い……。

 箒ちゃんの腕を引いて一組、二組、三組、四組のすべての一年生が座っている席に戻る。するとセシリアと四組のクラス代表、更識さんが全員を慌てながらも纏めている。俺はセシリアの肩を叩き、全員揃っているかを確認する。すると彼女は凛とした表情で頷いてみせた。胸を撫で下ろし、箒ちゃんを一組の列に戻してから避難を開始する。

 

「外の監視カメラの映像が映っていないらしい。未確認のIS以外にも、侵入者の可能性がある。セシリアと更識さんは、いつでもISを展開できるように準備を」

「わかりましたわ!」

「はい……」

 

 ホルスターから拳銃を抜き取り、先導する。敵の気配は感じられないが、誰かに見られているような違和感は感じる。誰が見ているんだ……監視カメラは見えないはず、それなのに……。

 一番近い非常口に到着し、パスワードを入力して扉を開こうとするが、扉は開く気配がしない。

 

「……ロックが改ざんされている? 仕方ない、強引に開くか」

 

 打鉄を部分展開し、雪影で扉を斬り裂く。と、同時に人形の何かが蠢いているのが見えた。

 刹那、炸裂音が響き渡る。

 

「危ない!!」

 

 向坂さんが俺のことを突き飛ばす。そして、スローモーションで見えたのは、向坂さんの腕を抉る銃弾だった。血が、流れている。俺の……クラスメイトを……!

 

「向坂さんを早く安全な場所に!!」

 

 他の生徒に頼んで負傷した向坂さんを扉から遠い場所に移動させる。そして、応急救護用の医療道具が入ったバックパックを投げ渡し、治療をするようにジェスチャーをする。ほぼ全員が頷いて、バックパックから必要な道具を取り出して治療を開始した。

 

「よくも、俺のクラスメイトを……打鉄!!」

 

 打鉄が展開されない、まるで、扉と同じようにロックが掛けられているように……。

 何度も打鉄を呼び出すが、銀色の姿は見ることが出来ない。

 

「礼遇さん……ブルーティアーズも……」

「……こっちも」

「ISが動かせない? こんなことって……」

 

 どうしてだ、扉を壊す時は普通に動いてた……それなのに、なんで、三機も同時に……。

 だが、このまま、この場所で待っていたら敵が押し寄せてくる。俺が食い止めないと……。

 

「セシリア、ハンドガンでの射撃経験は?」

「それなりに……ですわね……」

「援護を頼む」

 

 セシリアに拳銃と予備のマガジンを投げ渡す。

 

「更識さんは全員を流れ弾が届かない場所に誘導してくれ」

「……わかった」

 

 更識さんに連れられ、すべての一年生が奥の方に避難する。

 

「セシリア、すまないな……こんな貧乏くじみたいなの引かせて……」

「大丈夫ですわ! 貴族は、弱い人々を守ることが仕事なので」

「頼もしい限りだ」

 

 打鉄、せめて、ナイフとして、活躍してくれ……。

 

 

「東京は良い意味でも、悪い意味でも都会よね。早く長崎に帰りたいわ」

 

 ――ご主人様、お姉ちゃん、すぐに行くからね。

 

「ああ、そうだな」

 

 ――ごめんね、整備士さん、ご主人様とお姉ちゃんを助けない行かないと。

 

「ん? ラファールが動いてる!? どう、なって……」

 

 ――わたしが行かないと、二人が死んじゃうから。

 

「人が乗っていない状態で!?」

 

 ――助けに行ってくる。

 

 

 勢い良く扉から飛び出し、敵を確認する。

 機械? 二足歩行ロボット……装備は拳銃のみか、だが、数が多い……。

 数えられるだけでも十五機、その全てから雨霰のように鉛玉が飛んでくる。それを駆け抜けて回避し、木の陰に隠れる。そして、一機が接近したと同時に関節を破壊し、握っている拳銃を奪う。

 

「セシリア! 関節が弱点だ!!」

「わかりましたわ!!」

 

 セシリアが的確に膝の関節を狙って射撃を繰り返す。三機が移動不能になった。

 捕まえたロボットの首を破壊し、そのまま盾にするように行動、関節を狙って射撃を続ける。

 セシリアの精確な射撃と俺の攻撃で少しずつだが、敵の数は減っていく。

 飛行音が響く、ようやく教職員のISが到着したかとその方向を見てみると――一夏が戦っていたISとよく似たISが、静かに舞い降りていた。

 

「セシリア! IS相手に拳銃は効かない!! 退避しろ!!」

「でも、礼遇さん!!」

「相手は俺が狙いだ……無駄死にするな……」

「礼遇さん!!」

 

 万事休すか……死ぬのは怖いよな……。

 畜生……俺は……守れなかった……。

 ISの銃口がこちらに向けられる。

 

「……地獄に落ちろ」

 

 目を瞑る、その瞬間、甲高い金属音が響き渡った。

 鮮血にもよく似た赤いカラーリングのラファール・リヴァイヴ、つい先日、俺が乗っていた三綾重工が所有しているラファールだった。そして、そのラファールは誰も乗せていない状態で、硝煙ヘビーを展開し、ISに射撃を繰り返す。

 

「ラファール……助けに来てくれたのか……」

 

 ラファールは頷いてみせた。

 俺はラファールの手を取り、そして、身に纏う。

 

「俺のクラスメイトをよくも……傷付けてくれたな……」

 

 ロボット達に12.7×99mmNATO弾を浴びせ、起き上がったISの頭部を踏みつける。

 関節部分が可笑しい。人間がISを身に纏っているのであれば、こんな風な関節になるはずがない。無人機だ。それに、人間が乗っていたとしても、構いはしない。死にさらせ……。

 叢雨を展開し、上段でセット、腹部に向けて思い切り突き刺す。

 刀身を抜き取ってみると鮮血ではなく、茶色の機械油が付着している。やはり、無人機だったか……。

 

「これを動かしてる奴……会うことがあるなら、殺してやる……」




 書いていて、少しグダグダになりました。すいません。
 こういう自分が読みたいだけの、自分勝手に書いている物語にお気に入り登録してくれてありがとナス!!

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