僕が読みたいと思う二次創作『インフィニット・ストラトス』   作:那由他01

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11:作戦会議

 新聞部に所属している新井さんが二組のクラス代表、そして、代表候補生、凰鈴音の専用機の詳細なデータを持ってきてくれた。だから、作戦会議を決行している。今回も前回の例に漏れず、ほぼすべてのクラスメイト達が自室に戻らず、教室で俺が走らせているペンに釘付けになっていた。

 新井さんは持って来たよ、と、にこやかに三つのファイルを手渡した。付箋に凰鈴音、織斑一夏、更識簪と書かれている。仕事が早い。まだまだ大会まで時間があるわけだし、早い段階でこういう情報が入ってきたら使う武装も考えられるし、アリーナを借りての練習、イメージトレーニングなども捗る。

 

「えっと、中国が試作開発した第三世代IS甲龍か。近中距離型のISで双天牙月という青龍刀型のブレードが二本と龍咆という装備が主装備か……」

「双天牙月ってのは、まあ、普通のブレードみたいだね、でも龍咆は……これは対処に困るわ……」

 

 智将吉村さんが苦い顔になる。

 衝撃砲、簡単に言えば威力の高い空気砲のようなものか……。

 360度、ほぼすべての位置から射撃が可能、それでいて不可視。消費エネルギーも少なく、撃たれたら容赦なく吹き飛ばされる代物だ。打鉄のシールドで威力を殺すことは出来るだろうが、吹き飛ばされることは確定している。今までのように積極的にシールドを使用しての戦いは出来ない。

 

「瞬時加速が鍵を握るか……?」

「でも、懐に近づいても龍咆を撃たれたら吹き飛ばされるわけだし、スモークもこれを使われたらすぐに晴れちゃう。いや、無駄打ちを誘発させるという観点から見たらスモークは有効かな? 自分の前方でスモークを展開、左右に動くか上昇して一発を回避し、瞬時加速と零落白夜でフィニッシュ。でも、これは本当に一撃で終わらせないと次のアクションで酷く劣勢に……」

 

 相手の攻撃が見えない、それに付け加えて吹き飛ばされるリスクも存在している。本当に一撃必殺で叩き落さないと勝てる見込みが無くなってしまうな。じゃあ、どういう風に戦った方が良い? 不可視の攻撃をどう掻い潜ればいい……。

 

「ねえ、礼遇くん、蘭花ちゃん」

 

 広瀬さんが俺と吉村さんに質問する。まさか、また天才が閃いたのか!?

 

「龍咆の弾速、拳銃弾程度だよ。弾道さえ見えたら普通に避けられるし、威力拡散が大きいとも書いてある。多分、使用するのは本当に近くなった位置から、それ以外は吹き飛ばす程度の攻撃しか与えられないみたいだし、個人的には、スモークを少し多めに焚いて、相手の弾道を見るなんて芸当も弾速が遅いから出来るんじゃないかな?」

「「天才だ……広瀬さんは天才だ……」」

 

 よく見ると本当に拳銃弾程度の弾速しか備わっていない。不可視という利点で弾速の遅さをカバーしていると言ったところだろうか? それに付け加えて所詮は空気の塊を射出する武装、近距離ならスペック上の威力を保証するが、それ以外の距離からなら半減? とまでは確信できないが、確実に威力の減衰が起こる。

 

「この点を踏まえると弾道も飛距離も安定した硝煙でチクチクと相手を攻撃して、接近の意思が見えたらスモークを展開、初弾を回避して瞬時加速、零落白夜のコンボ。そして距離を離してもう一度硝煙でチクチク、これなら何度も失敗を繰り返さない限り負けることがない」

「凰さんの武装の少なさも相まって行動の予想も付きやすい。打鉄でも十分に勝てる可能性があるよ!」

「「「広瀬! 広瀬! 広瀬!」」」

 

 さて、これで何度目かわからないが、広瀬さんが賞賛されている。うん、かわいい。顔を真赤にしている女の子ってなんでこんなにも可愛いのだろうか? あれ、なんか殺気を二つ感じる……気のせいであってくれ。

 

「じゃあ、二組の代表に対する作戦は終了。次は一年一組、織斑一夏……近接武器しか持ってないから対処は楽だが、日に日に実力を付けてきている。ここに情報があるから、色々と対処法を模索しよう」

 

 白式、倉持技研が開発した第三世代機。暮桜が装備していた雪片を強化改修した雪片弐型を装備して、零落白夜を発動させる。機体の方は、一撃離脱を主眼において設計されたのだろう、機動力を重視し、瞬時加速も爆発的な速度になっている。ただ、拡張領域を食い潰す雪片弐型を装備しているため、サブウェポンを何一つ装備していない。まだまだISでの近接戦に慣れていない節があるため、射撃を織り交ぜた戦闘を心がければ、勝ちは拾えると思うが……。

 

「初手に必ず瞬時加速を使って零落白夜だろうな。ある意味、それが一夏の最初で最後のチャンスだ」

「でも、オルコットさんとも練習してるみたいだから、射撃への適応力が上がってるんじゃないかな?」

「確かに、適応力は上がっているだろうが、スモークやスタンを使いこなせば確実に硝煙でダメージは与えられる。硝煙を軸に戦い、近接戦はシールドを使用してのカウンター、こっちからわざわざ相手の領域に入ってやるのは愚策さ。それに、相手の武器が少なければ少ない程、対処法も少なくなってしまう。いや、まあ、その対処法が有効に働くことが多いんだけどさ」

「確かに、織斑くんの武器は雪片弐型一本、それにどう対処するかなんて限られてくるね。じゃあ、この作戦で決まりでいいかな? わたしもこれ以上の策が思いつかないの……」

 

 本当に対処に困る。雪片弐型一本に瞬時加速があいつが持っている武器だ。この二つだけしかない状態で、幅広い作戦は考えられない。ある意味、豊富な武装を持っている相手の方が倒しやすいのかもしれない。いや、それはないか、単調な方が倒しやすい。ただ、侮ってしまう可能性がある。それだけだ。

 

「じゃあ、最後に四組のクラス代表、そして、日本の代表候補生、更識簪さんか……」

 

 同じ打鉄に乗る少女、次の世代の打鉄に乗る少女だ。関心はどのクラス代表よりある。

 

「打鉄弐式。速射荷電粒子砲、春雷が二門、対複合装甲用超振動薙刀、夢現……あと、完成していないと書かれている八連装ミサイルポッド山嵐か……」

「ミサイルの誘導性に何かしらの不備があると書かれてるね。大会では外して他の武装を持ってくるかも」

 

 打鉄というよりは、ラファールに近しい見た目になっている。この見た目なら、機動力は高そうだ。それに付け加えて荷電粒子砲と振動薙刀、この二つは威力が高いと断定していい。それに山嵐というミサイルポッドを外した場合、連射性の高い射撃武器を持ち込んでくる可能性もある。相手も代表候補生、油断できない。逆に、最初に作戦を練った二人より対処が難しいかもしれない。

 

「若干不利かもしれない。相手の装備の数にもよるが、射撃武器に富んでいる。スモークとスタンを多用して、硝煙で射撃。近接戦は……ある意味、相手が長物を使っているから戦いやすいかもしれないな」

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず、でも、相手の情報が限られてるね……この山嵐を外した後に持ってくるであろう武装で今後の展開がガラリと変わるわけだし、ある意味、一番の強敵かも……」

 

 この場合、射撃の手数は相手の方に分がある。なら、シールドを使っての強行突破、そして零落白夜を使用して一撃必殺を狙った方がいいか? だが、相手の機動力は打鉄を上回っているだろう。そうなると初手を外した瞬間に敗北が濃厚になってしまう。手詰まりか? いや、まだ方法はある筈だ……。

 

「基本的には、オルコットさんと戦った時みたいにスモークとスタンを多用して戦うことになるだろうけど……」

「あとは戦ってみてからのお楽しみ、かな……?」

 

 情報が不足している……千冬さん、貴方ならどういう風に戦いますか……。




 五千文字くらい行くと思ったんですが、一夏と鈴ちゃんの装備が少な過ぎて伸びませんでした。許してクレメンス。
 誤字脱字あったらオナシャス!

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