やはり俺のToLOVEるな日常はまちがっている。   作:スキート

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かなり遅れました。

すみません。


トラブル6 止まらないドキドキ

「ひ、比企谷くん。一緒に回ろっか?」

 

「あ、ああ」

 

 場所は水族館。俺は今、クラスメイトである西連寺春菜と一緒にいた。

 

 最初はお礼という名目で西連寺が俺を誘い、商店街をブラブラしていたのだが、途中、ララに彩南町を案内しているリト、小町、美柑と会ったのだ。

 

 そして、6人で水族館に行くことになったのだが……

 

 ララが初めての水族館ではしゃぎ始めてどっかにいってしまい、それを追いかける形で、小町、美柑、そしてあのリトまでもがララの方に行ってしまった。

 

 非常に気まずい。

 

 そりゃあさっきまでは二人で一緒にいたが、こう唐突にされると先程までとは違う緊張感が湧き出てくる。

 西連寺の表情も心なしか少し固まり気味な気がする。

 

「…さ、西連寺。すまん。変なのに付き合ってもらっちゃって」

 

「だ、大丈夫だよ。ララさんがああなのは前に学校案内した時に知ってるしね」

 

「じゃあ俺らもあいつらの後を追いかけるとしますか」

 

 俺はそう言い、ゆっくりと歩き出した。その直後、俺の服の袖が引っ張られた。

 

 俺が後ろを振り返ると、少しどぎまぎした表情の西連寺が俺の袖を引っ張っていた。

 

「ど、どうした? 西連寺?」

 

「……ひ、比企谷くんに伝えたいことがあるの…」

 

 西連寺の頰がほんのり赤く染まる。

 

「…わ、私は、……中学の頃から……ひ、比企谷くんのことが……す─────」

 

 西連寺の言葉が途切れる。そして、俺の後ろをバサバサと鳥のようなものが通った。

 

「うおっ!」

 

 周りを見ると、本来飛ぶはずのない鳥類の動物。ペンギンが飛んでいた。

 

 何匹ものペンギンは「クエーーーッ」「クエーーーッ」と泣きながらバサバサと羽の音を立てて飛んでいた。

 

 周りにいた人たちからはどよめきの声が上がる。

 

 すると、いきなり呑気な声が聞こえてくる。

 

「あ! 八幡に春菜ー‼︎ どう? すごいでしょ? これ!」

 

「…やっぱお前か……」

 

 俺はさっとため息を吐く。西連寺の顔なんて真っ白で固まっちゃってるし。

 

「で、何したんだ?」

 

「いやー。あの子達の動きが鈍かったからコレあげてみたの!」

 

 すると、ララはどこからか錠剤を取り出した。

 

「じゃじゃーん‼︎ 一粒で元気1000倍♡

 

  デビルーク戦士の秘薬‼︎ 『バーサーカーDX』‼︎」

 

 

「おかげであんな元気に‼︎」

 

「おいララ。この状況を一体どうするつもりだ?」

 

「それに関しては安心だよ‼︎ 持続時間はたったの20分だけだからね‼︎」

 

「十分長いじゃな……」

 

 暴走するペンギンは、放心状態の西連寺の方は突進を始めていた。

 

「春菜! 危ない‼︎」

 

 咄嗟に出た言葉は、苗字ではなく名前の方だった。それほど余裕がなかったのだろう。

 

 西連寺の名前を呼んでもまだ気づかない。俺はいつの間にか、西連寺の方へ走り、向かっていた。

 

「…ひゃ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 西連寺に向かって走っていた俺は、ペンギンから守ることはできたが勢いを止められずに、西連寺を床ドンしたような形になっていた。

 

「「……………………………………」」

 

 両者数秒の沈黙。

 

「「……………………………」」

 

 そして同時に赤くなる頰。

 

「す、すまん春菜! …じゃなくて西連寺」

 

「う、ううん‼︎ あ、ありがとう! 比企谷くん」

 

 すると、西連寺が何かに気づいたらしく……、

 

「…あ、あれ? 今比企谷くんわたしのこと春菜って言わなかった?」

 

「うっ。すまん。咄嗟に出てきて………嫌な思いさせたんなら謝るわ」

 

「私はむしろ嬉しい……かな?」

 

 にっこりと、首を傾げ、頰が赤い西連寺の笑顔に、俺は不覚にもドキッとしてしまった。

 

「じゃ、じゃあこれからは春菜…で、いいか?」

 

「うん。それなら私は八幡くんって呼んでいい?」

 

「ああ。全然いいぞ」

 

「「……………………………………」」

 

 いや、まてこれ。会話が続かないとくそ恥ずかしいぞ。何かリトには申し訳ないような気持ちがしてくる。

 

 昔の俺なら、とっくに西連寺……春菜との関係を自ら断ち切っていたかもしれない。だけど俺は変わってしまった。今この時、この瞬間が最高に心地よく感じてしまう。

 

 できるだけこの時を長く、この瞬間を長く。

 

「おい! ララ! これは一体どういう!」

 

 ララはいつの間にか合流していたリトと話していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結城家

 

「ほんと八幡は羨ましいよなー! 春菜ちゃんと仲良くて!」

 

「うるせぇよ。リト。今日帰ってきたから何回言うんだよ……」

 

「ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ」

 

「……………………」

 

「?」

 

 結城家には八幡にやたらブーブーうるさいリトと、八幡をニヤニヤニヤニヤニヤニヤ見つめる小町と、少し怒り気味の美柑と、事情も何もわからず首を傾げているララと、そして、床ドンのことを忘れられないのか少し頰が赤い八幡の姿があった。

 

 今日も結城家は賑やかである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 春菜の部屋

 

 

「……………………………」

 

 

 

 

 今日のことを思い出すたびに、何度もフリーズを繰り返していた。

 

 この日、西連寺はなかなか寝付けなかったという………。

 

 

 


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