ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。   作:ゔぁいらす

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痛み

 「金剛とりあえず服着てくれ・・・・」

神妙な面持ちで金剛に言う。しかし

「Why?何故デース?別に恥ずかしくも何ともないデスしケンにならもっと見てもらってもいいデース!」

金剛はそう言うと俺のベッドの上で仁王立ちをした。

急に立ち上がった為金剛の豊満な胸、そして下にぶらさがっているアレが揺れる。

これまたご立派なモノをお持ちで・・・いやいやそう言う問題じゃなくてだな・・・ここまで堂々とされると逆にこっちが恥ずかしくなる。金剛は男だ。それは自分でも分かっている筈なのにやはりその黙っていれば美少女にしか見えない顔、それに豊満なバストに健康的な腹や白い脚そんなどう見ても女性にしか見えないような金剛の裸体が目の前で露になっているとどうしても目のやり場に困ってしまうし自分で言うのもなんだけど童貞の俺には刺激が強すぎる。

「いや・・・あの俺が恥ずかしいんだけど・・・」

俺は苦し紛れに金剛から目を逸らすがやっぱり男の悲しい性か金剛にチラチラと目線を送ってしまっている自分が居た。

「なんでデース!?ワタシもケンと同じオトコのコなんだから恥ずかしくも何ともないデショー?あっ、もしかしてワタシのバストが気になってるデース?それなら・・・とうっ!!」

金剛はそう言うとベッドから飛び上がり俺に覆い被さって来た

「ほぉらケン・・・もっと見てくだサーイ!ワタシのバ・ス・ト」

俺の目の前で水風船のような膨らみがゆらゆらと揺れる。ああ触ったらきっと柔らかいんだろうなぁ・・・今朝の金剛の胸の感触を思い出した。しかしそれを否定するかの如くその胸の先では棒状の物がチラ付く

「おっ・・・・俺はなぁそっ・・・そんな偽乳でゆっ揺らぐような安い男じゃないんだからな!!そんな・・・ことで・・・」

俺は必死に抵抗をするが

「ノンノン!これは偽乳なんかじゃありまセーン!勝手にBIGになったんデスヨー!!!ほらほら触って確かめてヨー!!」

金剛の地雷を踏んでしまったらしく金剛は俺の腕を掴みそのまま胸へとあてがった

「なっ・・・・!!!!」

手から金剛の胸の柔らかい感触が伝わってくる。以前淀屋の胸を触ってしまった事があったがその時とは全く違う違う感触だ・・・・って何考えてるんだ俺は!!!!

「oh♡ケン!強引なんだからぁ♡」

金剛は嬉しそうな顔で言う

「馬ッ鹿金剛お前自分でやっといて何を・・・」

俺は顔を更に真っ赤にする。このまま行けば血管がはち切れてしまうのではないだろうか?すると

「ネ?ワタシのバスト柔らかいでショー?最初はケンみたいにフラットだったネー!」

金剛はそう言うと俺の腕から手を離しそのまま俺の胸をなぞってくる。

すると俺の身体にゾワッと悪寒のような電撃のような感覚が走る

「うぁっ!!やっ・・・やめろ・・・・」

くそっ・・・なんか変な声出ちまったじゃねぇか

「アハっ!ケンの反応ウブでプリティーネー!あっ、もしかしてケンはドーテーデース?」

金剛は突然図星を思い切り突いて来た

「そっ・・・それは・・・」

「恥ずかしがる事無いデース!みんな最初はドーテーなんですから!!そんなドーテーのケンもかわいいのデース!そんなドーテーのケンはぁ・・・・・もっとワタシのバスト揉んでくれてもいいデース!!」

金剛は俺にそう笑いかけ胸を強調した。

良い・・・のか?いやいや待てこいつはあくまで男で・・・・この胸が本物だろうと俺はノーマルなんだ!男の胸を揉む趣味なんて無い!!俺はそう自分に言い聞かせなんとかこの胸を揉まない様にする方法を考えた。同時に俺は童貞だと金剛に小馬鹿にされている様にも感じ、自分が胸を揉みたい衝動をかき消す様に今自分が置かれている理不尽な状況やここ数日金剛のせいで酷い目に遭っている事に苛立ちを募らせた。

そして何かのタガが外れ俺は金剛を突き飛ばし、俺は口を開く。

「うるせぇ!!ああそうだよ童貞だよ!!童貞で悪いかよ!?」

そんな俺を見て

「ケ・・・ケン・・・?」

金剛は呆気にとられた顔で俺を見つめた。

そうだ。こいつのせいでここ最近酷い目に遭ってばかりだ。少しきつく言えば反省する気にもなるかもしれない。

「そんなの男のお前に馬鹿にされたかねーんだよ!お前はそんな立派なもんぶら下げてるくせに・・・・!男のくせにそんな脂肪だかなんだか分からないものぶら下げてすり寄りやがって!!馴れ馴れしいし気持ちわりーったらありゃしねぇよ!!あー気持ち悪っ!!もう出てってくれよ!」

俺はそう続けて金剛にあることないことを吐き捨ててしまった。心ではそんな事を微塵も思っていなかったが目の前に居る彼女・・・いや彼は男なんだ。胸があったってなんだって男なんだこんなふしだらな感情を抱いていい訳が無いと自分にも言い聞かせる様にそう吐き捨てていたのだ。そんな最低な方法で俺は金剛を否定していた。

「ケン・・・ワタシそんなつもりじゃ・・・・」

金剛は泣きそうになった顔でこちらを見つめている。しかし頭に血が上りヒートアップした俺の口から出る言葉は止まらず

「やめろよ!男のくせにそんな女みてぇな顔して女みてぇな声して俺にすり寄って来てさ!!俺は女の子が好きなの!そんなきったないもんぶら下げてる時点でノーサンキューなんだよ!!わかる?もうお前の顔なんか見たくもねぇよ!とっとと出てけこのオカマ野郎!!!」

言ってしまった・・・自分でも言ってはいけない事だと分かっていても口からこぼれ落ちてしまった。しかしもう覆水は盆に返らず一度口から出てしまった言葉を変える事はできない。その言葉を聞いた金剛は

「ソ・・・ソーリー・・・そうデスよネ・・・・こんなに馴れ馴れしくしたら気持ち悪いデスヨネ・・・」

とだけ言ってそそくさと服を着て部屋を出て行ってしまった。

「はあ・・・・はあ・・・・・」

久しぶりに怒鳴り散らしたので息が上がってしまう。部屋は一気に静かになり俺の高まった心音と息の音だけが部屋に響いている。呼び止めて謝るべきではなかったのか?そんな考えが頭をよぎるが

「ぜっ・・・全部あいつが悪いんだからな・・・・・」

俺は息を上げながらそう独りで吐き捨て自分を正当化しようと試みる。

しかしそのまま独りで居ると自分が金剛に言ってしまった事に対する罪悪感が日も沈み徐々に暗くなって来た部屋の暗闇の様にひろがって行くようなそんな気がして俺は気分転換に外へ出る事にした。

金剛にどんな顔で会えばいいんだろう・・・それに俺は金剛だけでなく今まで一緒に居た他の艦娘達の事を否定するような事を平然と吐き捨ててしまったのだから。あの俺に笑いかけてくれる吹雪や親友の淀屋の事でさえ・・・・

「俺・・・提督失格だな・・・」

俺はそう自虐を呟きながら扉を開けた。すると廊下では大淀が座り込んで顔を覆っている

「大・・・淀・・・?」

俺は声をかけると

「ごめんなさい提督・・・さっきの話・・・・全部聞いてしまいました・・・・でっ・・・でも提督の言いたい事もわかり・・・ます・・・ごめんなさい・・・私・・・」

大淀は顔を覆ったままそう消えそうな声で言った。あんな大声で怒鳴ったのだから近くに居れば聞こえてしまうのも無理は無いだろう。それに大淀は俺の事を見てくれないし顔を覆ったままだ。

そりゃあんな事を聞いたら傷つくだろう。もし自分が逆の立場で親友にそんな事を言われたら胸を割かれるような思いをするかもしれない。なんで言う前にこんな簡単な事にも気付けなかったんだ・・・

そのとき自分自身が吐き捨ててしまった言葉がどれほど酷い物なのかまざまざと感じる

「ごっ・・・ごめん・・・俺も言い過ぎたと思ってて・・・」

俺は苦し紛れに言い訳を大淀に言おうとするが

「言わないでください提督・・・・最初からわかってたんです。提督は女の子が好きなんだって。いくら私が女の子みたいな恰好をしようが男である以上あなたは私の事なんて・・・こんな事最初からわかっていた筈なのに・・・・それなのに・・・こんな姿に・・・こんな身体になって・・・・馬鹿ですよね私・・・・」

大淀は言葉を遮りそう言った。

俺は大淀・・・いや淀屋がこんなに悲しそうな所を見た事がない。しかしもうあの話を聞かれてしまった以上淀屋に会わせる顔なんて俺には無い。最低だ・・・俺・・・・

本当なら今すぐ淀屋にも金剛にも許してもらえないかもしれないが謝らなければならない。

しかしもうここに居られない居てはいけないと言わんばかりに俺の脚は震え、気がついた頃には俺はその場を走り逃げ去っていた。

クソッ・・・!どこまでも最低で卑怯者だ俺は・・・今まで散々淀屋に綺麗事をならべておいて結局あんな事を口走ってしまうなんて・・・・それに何も言えずに逃げるなんて・・・・

ただただ俺は鎮守府から逃げ出そうと必死で走った。

そして鎮守府を抜け山道の方へ進んで行き、道のない道をただただ走り続けた。途中枝で腕や脚や頬を切ったり足場の悪い場所でつまづいたりもしたがただ鎮守府を離れたいその一心で山の奥へと入って行った。

そうだな。俺みたいな卑怯者はこのまま傷だらけになって人知れず野垂れ死ぬのがお似合いかもな・・・

そんな事を考えていた矢先俺は盛大に脚を挫いた。

そして倒れた先は舗装も何もされていない坂になっていてそのまま俺はその坂を転がり落ちてしまう。

坂に落ちている石や木そして地面に打ち付けられた衝撃が身体中を襲う。でも俺はきっとこんな痛みよりもっと酷い痛みを金剛や大淀に与えてしまったんだ。これはきっと罰なんだ。俺はそのまま坂を転がり落ちると線が切れた様に意識がどんどんと薄れて来た。

ああ・・・俺死ぬのか・・・短い人生だったな・・・・もう彼女とか童貞卒業とかどうでも良い・・・ただあいつに・・・淀屋に一言謝れる勇気さえあればなぁ・・・・・

俺は薄れ行く意識の中そう思った。


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