ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。   作:ゔぁいらす

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大淀と金剛と

 はあ・・・・結局昨日は寝れなかったなぁ・・・・俺は重い瞼をこすりつつ執務室の扉に手をかけ

「うーっす・・・おはよう」

と言いながらいつもの様に扉を開ける。

いつもは高雄さんと大淀がやんわりと迎えてくれるのだが

「ヘーイ!ケングゥゥゥゥッドモーニング!!!!!」

今日は朝っぱらからやかましい声が聞こえた瞬間俺の視界が真っ暗になり何かが俺を締め付てきた

「むぶっ!!!なっ・・・なんだ!?動けないしそれに息苦しい!!!でもやわらかいしなんかあったかい・・・・」

俺は訳もわからずじたばたとする。こんな事少し前にもあったような

「ケンは朝から元気ネー!」

金剛の声が頭上から聞こえた矢先

「金剛さん!け・・・・じゃなかった提督から早く離れてください!!」

という大淀の声がしたと思ったら俺の腕を何かが凄い力で引っ張ってきた。

「あいでででででででででででで!!!!!!!!」

「大淀やめるネ!せっかくケンに元気になってもらおうとこうしてワタシがハグしてるのにぃ〜」

すると俺を締め付ける力が強くなる

「あーもう提督だって嫌がってるじゃないですか!!はーなーれーてーくーだーさーいー!!」

それに対抗する様に腕を引っ張る力も増す。引っ張る力が増した事でさらに締め付ける力が強くなり俺を圧迫する

「やめっ・・・ぐるじ・・・・・」

呼吸がし辛くなり意識が薄れてくるし前は見えないし肩が外れそうな勢いで腕を何かが引っ張ってくるしでもうダメだ・・・短い人生だったなぁ・・・せっかくならおっぱいに埋もれて死にたかった・・・・

全てを諦めようとしたその時。突然視界が開け、俺は地面に思いっきり尻餅をついた。

「痛ってぇ!!」

「ケン!大丈夫デスか?」

「提督!!」

なにがなんだかわからない俺に大淀と金剛が俺に駆け寄って来る。そして

「金剛さん!提督に飛び付くのはやめてください!!」

「え〜せっかくワタシのナイスなバディーでケンを元気づけてあげようと思ったのにぃ〜」

金剛は胸を強調する。それを見た大淀は唇を噛んでいた

もしかして・・・いやもしかしなくてもさっきまで前が見えなかったのって金剛の胸を顔に押し付けられてたからなのか!?惜しい事をしたなぁ・・・俺がそんな事を考えていると

「そ・・・そんなので提督が元気になる訳無いじゃないですか!!ねっ、提督!」

大淀は俺を睨みつけてきた。

「えっ!?いや・・・・その・・・・」

俺は大淀から視線を逸らす

「ほーらやっぱりケンは大きいおっぱいが好きなんデース!わかりますヨー!年頃の男の子なんデスからネーおおきいおっぱいが嫌いな男子なんていまセーン!!そうデスよネ?」

金剛は更にその豊満なバストを強調し俺に見せつけて来た

高雄さん達程じゃないけど確実に阿賀野よりはデカいぞ・・・・

俺はそれを見て生唾をごくりと飲み込む。

「そりゃ・・・なんていうか・・・大きい方が・・・その・・・」

だめだ・・・こんな至近距離で見せつけられたら目のやり場に困る・・・でも見たい!ええなんたって俺は健全な18歳男子なんだぜ!!!ってそんな事よりなんで金剛がここに居るんだ?

「な・・・なあ大淀・・・」

俺は話題を逸らす様に大淀に声をかけた

「なんでしょうか?」

大淀はそう言って俺を睨みつける。こええ・・・・なんで大淀の奴こんなにツンツンしてるんだ?

「いっ・・・いやその・・・なんで金剛がここに居るんだ?」

俺は恐る恐る尋ねる

「ああそれはですね・・・」

大淀がそう言おうとした途端

「高雄にオールナイトでグロッキーだから仕事を代わって欲しいって頼まれたからデース!」

金剛が会話を遮った。朝からテンション高いなぁこの人・・・

大淀は更に不機嫌そうな顔をしていた。

「そ・・・そうなんだ・・・」

「提督、これ今日の分の資料です!目を通しておいてくださいね」

大淀は資料をバァンと大きな音を立てて俺の机に叩き付けた。

「大淀・・・なんでお前そんな怒ってんだよ」

俺は大淀に問う

「別に怒ってませんけど?」

大淀はそう言って俺に微笑みかけるが目が全くもって笑っていない

「そ・・・そうか・・・」

俺はそう返すので精一杯だった。

「それでは私は少し外の空気を吸いに行ってくるので提督、私が見て居ないからと言ってくれぐれも執務中だという事を忘れないでください金剛さんも提督に変な事しないでくださいね?」

そう言って大淀は出て行ってしまった。

「oh・・・・大淀怖いデース・・・」

金剛はそう呟いた。

「ああ。昔はあんな奴じゃ無かったんだけどな」

俺もそう呟く

「昔?ケンは大淀とは昔から知り合いだったんデスか?」

金剛はそう尋ねて来た。ヤバい。自然に話してしまったが淀屋の事を他の艦娘に話すのはやめておいた方がいいだろう

「あ、ああちょっとした腐れ縁でさ・・・」

俺はそう話を誤摩化す。

「そうなんデスか。それなら大淀は私の知らないケンをいっぱい知ってるんデスね。あっ、そうデース!そこに紅茶道具がありマース!紅茶飲みませんか?ワタシが淹れますヨ〜!」

金剛は少し寂しそうな表情をしたが気を取り直す様にそう言った。

そう言えば今日は朝から色々あったし大淀が出て行ってしまったので飲んでいない。しかしいつも大淀に淹れてもらっているしあいつもそのうち戻ってくるだろう。

「ああ、気持ちは嬉しいんだけどそれは大淀の仕事だから・・・悪いけどまた今度にしとくよ」

「そうデスか・・・大淀、結構本格的な紅茶道具を集めてマース。それに手入れも行き届いてるネー!きっと大淀はいつもケンの事を想って淹れてくれてるんでしょうネ!この紅茶道具達もメイビー幸せデース!」

金剛はそう言って笑った。

「そうなんだ・・・俺ぜんぜんそういうのわかんないけど大淀の奴結構気を使ってくれてたんだな」

俺は感心する。確かに思い返してみればいつも時間をかけて作ってくれていたような気がする。

「ホントもホントデース!紅茶マスターのワタシが言うんだからまちがいありまセーン!!大淀のお仕事を取るのも悪い気がしマース!だから今回は我慢するネ!でも私も負けてられまセーン!近いうちに私のティーパーティーにケンを招待するから楽しみにしててネー!大淀も連れてくると良いネ!」

金剛は言った。なんだよ紅茶マスターって・・・

「あ、ああ・・・・楽しみにしてるよ」

「今から腕が鳴るデース!そうデース、ケンは大淀の事好きなのデース?」

金剛の突飛な質問に俺は慌てふためく。

「なっ!?ななななななななななな!????」

「ふふっ。ケンのリアクションは面白いネー!」

金剛は笑った

「からかうなよ・・・・あいつはその・・・そんなんじゃなくて・・・大事な友達で・・・・」

俺は大淀になる以前の淀屋の事を思い出していた。しかしどうしても今の大淀の姿がチラつく。

あれ?あいつどんな顔してたんだっけ・・・・?

どうしても今の大淀の顔が邪魔をしてあいつの顔を思い出すのに時間がかかってしまう。

きっと寝不足だからだ。きっとそうだ・・・・あいつの顔を忘れるなんてそんなことあるはず無いんだ・・・

俺はそんな自分に罪悪感、そしてこのまま本当に淀屋の事を忘れてしまうんじゃないかという恐怖に襲われた。

「ヘイケン、どうしたデース?」

金剛が心配そうに声をかけて来た

「あ、ああちょっと考え事をな・・・」

「そうデスか・・・でも友達って事ならワタシにもチャンスはあるって事ですネー!ケンのハートを掴んでみせマスからこれからもそのつもりでよろしくお願いしマース!!」

金剛は言った。

「お、おう・・・」

俺はそう返す事しか出来なかった。

「それじゃあワタシはお仕事も終わったので失礼しマース!Breakfastを済ましてくるついでに大淀も呼んでくるネー!それじゃあケン、またネ!」

金剛はそう言って執務室を後にした。

それから数分程大淀に貰った資料を読んでいると執務室の扉が勢い良く開かれ

「謙!!大丈夫!?あの女に変な事とかされてない!?」

ものすごい血相の大淀が執務室に戻って来た

「あ、ああ別に何もされてないけど・・・」

金剛の奴大淀に何て言ったんだ・・・・?

「そう・・・それはよかった・・・・」

大淀は胸を撫で下ろす。そうだ。大淀も帰って来た事だしいつものアレをお願いしよう。

「なあ大淀・・・」

「なんでしょう?」

「紅茶・・・淹れてくれないか」

「あっ、ごめんなさい提督、今日淹れるの忘れてましたね。今すぐ淹れます」

大淀はそういうと紅茶を入れる準備を始めた

「そうだ大淀、金剛が褒めてたぞ」

大淀は意表を付かれたのか驚いた顔をして

「何をですか・・・?」

と聞いてくる

「その紅茶道具の話、良く手入れが行き届いててその道具達も幸せそうだってさ」

俺がそう言うと

「そう・・・ですか・・・・提督においしい紅茶を淹れてあげたいですからこれくらい当然です」

大淀はそうはいった物のとても嬉しそうだった。

「ありがとな。俺の知らない所で気を使ってくれて」

俺は大淀に感謝の気持ちを伝えた

「べっ・・・べつにこれは個人的な趣味みたいな物で・・・謙がそれで喜んでくれたら良いなって思っただけで・・・その・・・・褒められるような事でも感謝されるような事でもなくて・・・」

大淀は頬を赤らめて言った。こんな素直じゃない少しひねくれた所は昔の彼とさほど変わらない。

「お前はホントに素直じゃないよなぁ」

俺は笑ってそう言った

「もう!謙が単純過ぎるだけだってば!!」

大淀もそう言って笑い返した。

よかった。やっぱり淀屋は淀屋なんだ。そんなことずっとわかってたはずなのに俺はとても安心した。

そして紅茶を飲み終えた俺は

「今日も美味しかった。ごちそうさま」

と大淀に言った

「お粗末さまでした。それで提督、資料は読み終えましたか?」

大淀はそう尋ねて来た

「ああ。今日は特に何もないんだろ?」

資料には特に任務等は書かれておらずいつも通りと言えばいつも通りこの一帯は平和なようだった。

「はい。それでは後は私が簡単に片付けておくので提督はもう上がってもらって結構ですよ」

「ああ。わかった。それじゃあ後は頼むわ。お疲れさん」

俺はそう言って執務室を後にした。

そして自室に戻ろうと廊下を歩いていると春風とすれ違った

「春風おはよう」

俺は春風に声をかける

「あっ、師匠!おはようございます」

「だから人前で師匠はやめろって・・・ところでこんな所で何してるんだ?」

俺は春風に尋ねた。

「ええ。それが・・・演習場に行きたいのですが迷ってしまって」

この短距離を迷ったのか?すぐそこなのに!?本当に春風の方向音痴は心配になるなぁ

「しょうがないなぁ俺が連れてってやるよ。こっちこっち」

俺は春風を演習場まで案内した。

そこではすでに吹雪と天津風が2人で熱心に演習をしていた。

「あっ!司令官!」

吹雪は俺に気付き駆け寄ってくる

「吹雪はいつも熱心だなぁ」

「当然です!もっと強くなっておにいちゃ・・・・司令官をそれにみんなを守らなきゃ!ね?天津風ちゃん」

吹雪は言った。

「バッ・・・!別に私は提督のためとかそんなんじゃなくて無様な姿を見せたくないから演習してるだけよ!!」

天津風は顔を真っ赤にして吹雪に駆け寄った。ほんとにわかりやすいなぁ。それを聞いて居た春風も

「わたくしも先の戦闘でお恥ずかしい所を見せてしまいましたしもっと強くならないと・・・吹雪、わたくしにも戦い方を教えてください!」

春風は吹雪に頭を下げた

「そ、そんな私だってまだまだだよ・・・でも3人ならもっと沢山演習が出来そう!うーんそうだね・・・・」

天津風と春風に囲まれた吹雪は嬉しそうだ。

ずっとここで1人で演習してたんだもんな・・・・よかったな吹雪。

吹雪の嬉しそうな顔を見て俺も嬉しくなった。

「よーし!それじゃあまずは鎮守府の周りをランニングしよっ!いくよ天津風ちゃん!春風ちゃん!!それじゃあ司令官、また後で!!」

吹雪はそう言って走り出し

「ええ!?走るの!?しょうがないわね!」

「二人とも置いていかないでください。それでは司令官様失礼致しますね。まってくださーい」

天津風と春風はそれを追った。

駆逐艦の3人はあの調子なら仲良くやっていけそうだ。俺は走って行く3人の背中を安心して見送った。

そして特にやる事も無くなったので昨晩寝れなかった分昼寝でもしようと部屋に戻り俺はベッドで眠りに就いた。それからどれ位経ったのだろう?何やら違和感を覚え俺は目を覚ます。しかし身動きが取れない。なんだ!?何かに縛り付けられているような・・・すると後頭部の方からなにやら息づかいを感じる。

寝ている間に何者かが自室に侵入して俺を抱きしめて寝ている!?だっ・・・誰だ?誰なんだ・・・!?

俺は恐る恐る振り向くとその先のは気持ち良さそうに眠る金剛の顔があった

「うわあああああああああああああああああああ!」

俺は思わず声をあげた

「んん〜?ケン・・・グッドモーニングデース・・・いや・・・もうグッドイブニングですカー?」

金剛は間抜けな声で言った

「グッドモーニングでもイブニングでもねーよ!何人の部屋に勝手に部屋に入り込んで寝てるんだよ!!!」

俺は金剛に説明を求める

「ん〜?それはデスネー・・・朝に渡し忘れた資料があったので届けに来たら鍵が空いていて部屋にお邪魔したらケンが気持ち良さそうにスリープしていたのでその可愛い寝顔を見てたら一緒に寝たくなっちゃったんデース・・・」

金剛は言った。確かに起きたら女の子が添い寝してくれてたとか夢のようなシチュエーションではあるがこんな所他の誰かに見られたら大変だ。早くなんとかしなければ・・・

「いやいやいやそれにしたっておかしいだろ!!離せよ!!」

俺は金剛を振りほどこうとするが金剛の力が強く振りほどけない。同時に尻になにやら何か固いものが当っている事に気がつく

「ん?なんだこれ?」

俺はそれに触れた。すると

「あんっ♡ケン・・・大胆な事するんですネ・・・」

金剛が甘い息を漏らし、少し力が弱まった。一体何を触ったのかはわからないが今がチャンスだ!

俺は金剛を振りほどきベッドから飛び出した。

「あーケン・・・・ちょっとまつデース」

金剛は切な気な声でそう言った。

「ああもう早く出てってくれ・・・・よ!?」

俺は金剛から布団をひっぺがすとそこには一糸まとわぬ金剛の姿、そして下腹部には見覚えのある物がぶら下がっていた。

「お・・・お前・・・・・」

「ソーリーケン。ワタシ裸じゃないと寝れないのデース」

金剛はそう言った。いやいやいや確かに裸なのも気になるけどそっちよりもっと気になるモノがあるんですけど・・・さっき触ったアレってもしかして・・・・いやもしかしなくても他人のアレを触ってしまったのか!?

「いや・・・その・・・・裸な事よりそこに生えてるそれは・・・?」

「ああこれデース?ケンにも生えてるでしょ?」

金剛は言った。そりゃまあそうだけど・・・・

「なんで金剛にもそれが生えてるかって聞いてるんだけど・・・」

「ああそれは私がshemaleだからデース!!!」

そんな発音良く言われてもなあ・・・・しっかし新しく入ってきた艦娘ですら全員男だったとは・・・・

俺は大きくため息を一つつき

「金剛とりあえず服着てくれ・・・・」

俺は金剛と話をする事にした


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