ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。 作:ゔぁいらす
新しく××鎮守府にやって来た春風と突然なし崩し的に風呂に入る事になってしまった俺は春風が男だと言う事と今まで女の子として育てられてきたこと、春風自身は男らしくなりたいという事を聞いた。
そして俺はなんとか鼻血を出さずに風呂からあがることができた。
「は・・はぁ・・・」
俺は安堵の息を漏らす
「師匠?どうされました?顔が赤いですがわたくし少し長風呂をしすぎてしまいましたか?」
春風は俺を心配してくれている様だ。しかし駆け寄ってくる彼女はタオル一枚。火照った肌はタオルで隠れている方が色々と想像を掻き立てられエロスすら感じる。いやいや流石にこんな年の子に欲情したら犯罪だぞ俺・・・それに春風は男なんだから・・・俺は心の中でそんな事を何回も自分に言い聞かせ服を着る。
「いっ・・・いや大丈夫・・・それよりこれからどうするんだ?」
俺は春風に尋ねた。
「はい。ひとまずお部屋に戻って髪を整えようかと」
春風は言った。
「もう部屋の場所は案内しなくても大丈夫か?」
俺は春風が方向音痴と言っていたのでそう声をかける。
「ええ。もう大丈夫です覚えましたので」
春風はそう言って慣れた手つきで着物を着て胸にパットを詰めていた。
「それじゃあ大丈夫だな。あっ、そうだ。一緒に風呂に入った事は他の皆にはナイショにしといてくれるか・・・?」
俺はまた大淀に殴られるかもしれないと思いそう釘を刺す。
「はい。もちろんです。わたくしと師匠だけの秘密ですね。殿方と距離を縮めるには秘密を共有するというのも良いと読んだ事があります」
春風は言った。とりあえず口が軽そうな子にも見えないし大丈夫だろう。しかし春風は一体どんな本を読んでそんな知識を蓄えたんだろうか?知識に偏りがあるというかなんというか・・・
「なあ春風・・・」
「なんでしょうか師匠?」
「お前のその本で読んだって言うのは一体どんな本を読んでたんだ?」
俺は気になっている事を聞く事にする。
「はい。それはですね・・・」
春風がそう言いかけた時だった。
「あれ〜?誰か居るの?」
聞き覚えのあるのんびりとした声が聞こえる。
「げぇっ!阿賀野!?」
俺はそう声を上げた
「あっ、提督さん!こっちのお風呂に来てるなんて珍しいね」
「あ、ああ・・・たまには広い入りたくなってな」
俺はそう返事をする・・・マズい・・・春風と一緒に風呂に入ってたなんて阿賀野に見られたらどうなることやら・・・ここはなんとしても阿賀野を大浴場から遠ざけなくては!
「そ、そうだ阿賀野!風呂上がったら牛乳飲みたくなっちゃったな〜ちょっと持って来てくれないか?」
よし・・・完璧だ。嫌がられたとしてもさっき渡したポテチの恩を着せて何としてでも食堂から牛乳を持ってこさせてやるッ・・・すると
「あっ、それなら阿賀野1本じゃ足りないと思って牛乳2本持って来たの。でも提督さんが飲みたいならさっきポテチ貰ったお礼にあげる。じゃあ入るね〜」
阿賀野はそう言って大浴場の扉に手をかけた
「あー待ってくれ!やっぱ牛乳って気分じゃない。コーラが飲みたいなぁ〜そう言えば食堂の冷蔵庫に歓迎会用のコーラがあった様な気がするなぁ〜」
俺は必死に扉を押さえて抵抗する
「も〜!歓迎会用のに手をつけるなって言ったの提督さんじゃない!!開けてよ〜」
阿賀野も負けじと扉を開けようとする
「うわぁぁ!!頼む阿賀野!!ちょっとでいい!!ちょっとでいいから目をつぶって待ってくれえええええ!!!!」
俺はもう半ば泣き言の様な事を言って扉を押さえていた。すると
「師匠?さっきから何をされているんでしょうか?わたくしもそろそろお部屋に戻りたいのですが」
春風は俺を不思議そうに眺めている
「ああ春風!なんでも無いぞ!!ちょっと扉の建て付けが悪くてな〜ははは・・・」
俺はそんな出任せを春風に言った。すると
「えっ!?春風ちゃんも一緒なの?提督さん中で何やってんの!?あーけーなーさーいー!!!」
しまった!春風が居る事がバレてしまった。何やってんだ俺・・・
風呂に入ったばかりだと言うのに俺の額に汗がダラダラとつたう。
「わーっ!!こっ・・・これは全くやましいことはなくてだな!!」
もはや言い訳にもならない言葉を俺はただただ発していた。
すると
「あ〜じゃあ開けてくれないんなら提督さんが春風ちゃんと一緒にお風呂場に居たって皆に言っちゃおうかな〜」
阿賀野は言った。それはマズい。大淀に知られたらどうなるかわかったもんじゃない・・・くそぉもうバレちゃったしここは穏便に済ます方向で・・・
「わかった!開けるから!!開けるからちょっと待ってくれ!!」
俺はそう言って扉の取っ手から手を離す。すると扉が勢い良く開き
「うぎゃっ!」
阿賀野が開いた扉の先でそう声を上げ尻餅を付いていた。
「いたたたた・・・もう提督さんが急に離すから」
俺はそんな阿賀野に手を差し伸べる
「阿賀野大丈夫か?」
阿賀野は俺の手を取り立ち上がり
「大丈夫じゃないよ提督さん!それに汗でびしょびしょになっちゃったじゃない」
と言った。そしてそれだけでなく服の胸元を引っぱり胸を必要以上に見せびらかしてくる。
「やっ!やめろよ!胸を強調するな胸を!!」
俺は顔を真っ赤にして顔を手で覆った。
「あ〜提督さんやっぱり私のおっぱい気になってるんだ〜良いよ?提督さん今からもう一回阿賀野とお風呂入る?」
阿賀野はそう言って俺にすり寄って来た
「わー!!離れろ!もう風呂は良いからお前さっさと入れよ!!」
俺はそう言って阿賀野を振りほどこうとするが
「え〜良いじゃんさっきまで春風ちゃんと入ってたんでしょ〜?それとも何?男の阿賀野とはお風呂入れないって事?」
阿賀野は頬を膨らませて言った。そんなやり取りを見ていた春風が口を開き
「あらあら。お二人は中がよろしいんですね。微笑ましいです。わたくしお邪魔でしょうか?」
と言って笑っていた。
「いや邪魔じゃない!断じて邪魔じゃないから春風も阿賀野になんとか言ってやってくれよ!!」
俺はそんな春風に助けを求める
「ええ。わたくしはただ師匠と進行を深める為にお背中をお流しして差し上げただけですよそれに師匠から色々な事を教えて頂いて・・・」
春風は頬を赤らめてそう言った。おい春風その言い方は少々語弊があるぞ・・・
「てーいーとーくーさーん!!背中流してもらったって何!?それに色々教えてもらったってどういう事なの!?提督さんお風呂で一体何してたのー!?それに師匠って何!?」
阿賀野は俺の両肩を掴んで揺さぶってくる
「うわあぁあぁあぁ!春風ええええ!!!」
俺は春風を呼ぶが
「それではわたくしは髪を直してきますので師匠、また後ほど、そして阿賀野さんごきげんよう。お二人ともごゆっくり」
春風はそうニッコリ笑って大浴場から出て行ってしまった。
「ちょ、待ってくれ春風ええええええ!!カムバーック!!!」
俺は春風を呼び止めようとしたが春風はそのまま宿舎の方へ行ってしまった。
「さぁ提督さぁん・・・春風ちゃんとお風呂で何してたか阿賀野にお話してほしいなぁ?」
阿賀野は笑顔でそう言ったが顔は全然笑っておらず威圧感を醸し出している。
「こっ・・・これは誤解で・・・・」
俺は春風と風呂に入った経緯の一部始終、そして春風が男だと言う事を阿賀野に話した。
「なぁ〜んだ。春風ちゃんも男の子だったんだ」
阿賀野はそう言って俺の肩から手を離した。
「驚かないのか?」
俺は聞く
「うん。もう慣れちゃった」
阿賀野は笑った。
「はぁ・・・わかってくれたか阿賀野」
俺は胸を撫で下ろすが
「でーもー」
阿賀野はにやりと笑ってこちらを見つめてくる
「なっ・・・何だよ阿賀野」
俺は身じろぎする
「お風呂一緒に入ったなんて大淀ちゃんに聞かれたらまずいよね〜?だーかーらー春風ちゃんとお風呂入ってたの黙っててあげる代わりに〜」
阿賀野がそう言うので俺は息を飲んだ。
「な・・・なんだよ」
俺は一体どんな無理難題をふっかけられるのかと怖々阿賀野にそう問う。すると
「さっき提督さんの持って帰って来た袋にもう1個ポテチ入ってたんだけど〜食べて良いよね?そしたら今見た事は全部黙っててあ・げ・る♡」
阿賀野はそう言ってウインクした。なぁんだそんな事か・・・・俺は胸を撫で下ろすと同時に折角あとでこっそり食べようと思っていた限定のプレミアムのりしお味のポテチを手放さざるを得ない状況に追いやられる。
くっそーいつもながら阿賀野は鼻が利くというか単に卑しいだけと言うか・・・しかし背に腹は代えられないし仕方が無いか・・・・
「くっ・・・わーったよ。食っていいけどお前食い過ぎたら晩飯食えなくなるぞ?」
「やったぁ!それじゃあ秘密にしといてあげる。お腹は別腹だし朝の哨戒でお腹減ってるから大丈夫〜でも先にお風呂入っちゃわないとね」
阿賀野は言った。そう言えばいつも阿賀野とは昼間に風呂場でエンカウントしている様な気がする。
「なあ阿賀野」
俺は思い切って聞いてみる事にする
「んー?何?提督さん」
「お前いつも昼間に風呂入ってんのか?」
俺は阿賀野に尋ねた。
「うん。そうだよ」
阿賀野は頷いた。
「なんでまたいつも昼間に入ってるんだよ?」
「それはねー恥ずかしいんだけど・・・」
阿賀野は少し顔を赤くして口を塞ぐ
「どうしたんだよ?そこまで言われたら逆に気になるだろ?」
俺は好奇心に駆られて阿賀野を問いつめた
「それは・・・その・・・ね?私こんなになっちゃってるけどまだ高雄や愛宕とお風呂入ると目のやり場に困っちゃうんだよね・・・だからいつもお昼のうちにお風呂を済ませて晩はお部屋のシャワーで済ましてるんだ」
阿賀野は恥ずかしそうに言った。なんというか阿賀野がこんな恥じらっている所を見た事がないので新鮮と言うかなんか可愛いなって思ったりすると言うか・・・いやいやいや阿賀野は男なんだからそんな・・・・・俺はいつもの様にそんな思考を脳内で巡らせる。
「そうか・・・・確かにあの2人胸でかいもんな。にしても阿賀野も恥じらいってあったんだな。俺には全然そんな事ないのに」
俺はそう言って笑った
「も〜!笑わないでよ!!あの時はね・・・その・・・私いつも弟と一緒にお風呂入ってたから久しぶりに同性の人・・・と言っても私こんなどっち付かずな身体だから同性って言っちゃって良いのかわかんないけど・・・つい久しぶりに男の人と一緒にお風呂に入りたいな〜って思ったの。提督さんを見てたらどことなく懐かしい感じがしちゃって・・・・もちろん胸が変じゃないかとかちゃんと女の子に見えるかどうかも男の人に見てもらいたかったというか・・・」
阿賀野は目を伏せて言った。
なんだよ・・・こんな表情の阿賀野見た事ねぇぞ!?それに言ってる事は未だに男だから他人の胸が気になって目のやり場に困るとかいう男らしい悩みだけど見た目は完全に恥じらう少女じゃねぇか!何処まであざといんだよコイツは!?
俺はそんな事を考えながら頭をくしゃくしゃと掻いた。すると
「なーんちゃって!半分冗談だから今の話は気にしないで!」
と何事もなかったかの様に言った。
「お、おう・・・」
阿賀野に俺は生返事をする。それからしばらく阿賀野との間に沈黙が流れる。
気まずいぞ・・・・そんな事を思っていると
「そっ、それじゃあ阿賀野お風呂入っちゃうね!提督さん、その間にポテチ隠したりしちゃダメだからね!!」
と言って阿賀野は服を脱ぎ出した
「わーっ!だから服を目の前で脱ぐなって!!」
俺は顔を手で覆う
「ええ〜?阿賀野男同士だから全然恥ずかしくないし提督さんになら・・・」
またこういう時に限って性別を盾にしてきやがって!!!
「だーかーらーお前は良くても俺がダメなんだよぉ!!それじゃあ俺はもう出てくぞ!じゃあな!!」
俺は逃げる様に大浴場を後にした。
「はぁ〜楽しみにしてたポテチは持っていかれるし散々な目にあったなぁ・・・」
俺はそんな事を呟きながら鎮守府をうろうろしていた。そして吹雪が演習をしていた演習場に差しかかるとそこでは髪を下ろしたままの春風と吹雪が楽しそうに話をして居た。
「おう春風〜お前髪を直すって言ってたけどそのままなんだな」
俺はそんな春風に声をかけた
「ええ。結局迷ってしまいまして・・・それで彷徨っていた所吹雪に声をかけられましてお話をしていたんです」
春風は言った。こんな狭い所で迷うって筋金入りの方向音痴だな春風は・・・
「司令官、春風ちゃん凄いんですよ!砲撃の腕私なんかより上手ですし尊敬しちゃいます!」
吹雪は嬉しそうに言った。
「いえいえ、そんなことありませんよ吹雪、それに尊敬だなんてそんな。」
春風は謙遜する。
「それにちょうど良かったです司令官、春風ちゃんをお部屋に案内してあげてくれませんか?私も新宿舎の事はよくわからなくて・・・・」
吹雪は思い出した様に言った。
「ああ、わかった。それじゃあ春風、行こうか」
俺は春風に声をかける。
「ええ師匠。それでは吹雪、また後ほど」
春風はそう言って吹雪に手を振った
「うん!また後でね春風ちゃん!!」
吹雪もそう言って春風に手を振る。
そして春風の部屋まで歩いている途中春風が不意に
「師匠・・・」
と俺に声をかけてくる
「なんだ?春風」
「師匠はこの鎮守府に居る艦娘はみんな男性だと仰っていましたが、吹雪は本当に男なのですか?」
春風は言った
「ああ、そうだけど」
俺はそう返す
「吹雪は少女らしくて素敵な娘ですね。ずっと女性として育てられて来たわたくしなんかよりももっとずっと・・・」
春風は遠い目でそう言った。
「確かにそうだなー俺もそう思うよ。この鎮守府で一番女の子らしいと思う」
俺はそう春風に言った
「そのせいでわたくし自分の事を男だと打ち明ける事を躊躇してしまって自分自身の事をまだ吹雪に言えて居ないんです。でもこの事を黙っているのもわたくしの事を友達と言ってくれた吹雪に失礼な気がして・・・」
春風は言った。
「そうかーじゃあ俺が代わりに言ってやろうか?吹雪も自分と似た境遇だって知ったらもっと仲良くなれると思うけどなぁ」
俺はそう言った。
「それはダメです!」
春風は声を荒げ即答する。
「何でだよ」
「ごめんなさい声を荒げてしまって・・・しかしこれはけじめとしてわたくし自身で吹雪に伝えなければならない問題です。だから・・・私が男だと言う事はわたくし自身で吹雪に打ち明けます。だから・・・吹雪にはわたくしの事を黙っておいて頂けると嬉しい・・・です」
春風は言う。
「そうか。そう言う事なら俺は応援してるぜ。それにしてもそう言う所は男らしいな春風」
俺は春風にそう言った
「そうですか!?師匠にそう言って頂けると嬉しいです!」
春風はそう言って笑った。そんなこんなで俺達は春風の部屋へとたどり着き・・・
「よし、着いたな。そんな広い所でもないんだからちゃんと自分の部屋の場所くらい覚えろよな」
「はい・・・申し訳ありません師匠・・・それではわたくしは髪を直してきますそれではまた後ほど」
「ああ。もしまた迷いそうで不安なら時間になったら呼びに来てやるからそれまで部屋でゆっくりしててくれ。じゃあまた後で」
俺は春風に別れを告げ、今日の歓迎会の段取りを確認する為に執務室へ向かった。
そして数時間後・・・・
俺は執務室で大淀と書類を片付けていた
「そろそろ着任する艦娘達が来る頃だよな?」
俺は大淀に言う
「ええ。そうですね。それまでにこの書類を片付けてしまわないと・・・」
そうして大淀と共に書類を片付けているとどかどかと足音を立てて誰かが執務室へ向かって走ってくる
「うわぁ!誰だ走ってる奴」
俺は驚いて声を上げる。そして扉がバァンと大きな音を立てて開いたので
「おいコラ廊下は走っちゃだm・・・・」
俺がそう言いかけた刹那
「Youが新しい提督デース!?会いたかったネー!!!!!!!」
という声と共に何かが俺に向かって凄まじい勢いで飛んで来た
「ムガッ・・・!!なんだ!?急に辺りが真っ暗に・・・それ身に動きも取れない!!敵の奇襲か何かか?しかもなんか息苦しいし・・・」
俺はじたばたと暴れる。
「oh///提督ゥ〜激しいデース。でもそんな激しいのもワタシ嫌いじゃないデスヨ〜?」
さっきから聞こえる謎の声が俺にそう語りかける一体誰なんだこの片目がエジプトの秘宝になってるカードゲームの創始者みたいな口調の声の主は・・・・俺がそんな事を考えていると
「ちょっと!何してるんですか!!提督から離れてください!!」
という大淀の声がして俺を凄まじい勢いで俺の手を何かが引っ張る
「あいだだだだだだ!!」
俺はそう声を上げると暗闇から解放され目の前には巫女服のような服を着た髪の編み込みが特徴的な女性が立っていた
「ごめんネー新しい提督ゥ〜ワタシ提督の元で艦娘として生活するのが久しぶりで嬉しくってつい抱きついちゃったヨ〜」
と彼女はそう言った。
「あ・・・はい・・・」
俺はなんと返せば良いのかわからずそんな返事をしていると
「あっ、申し遅れましたネー。ワタシ英国で生まれた帰国子女の金剛デース!よろしくお願いしマース!!」
金剛と名乗る彼女はポーズをとりそう言った。
「あ、ああよろしく・・・俺はここの鎮守府の提督の大和田謙、こっちは秘書官の大淀」
「よろしくお願いします・・・」
大淀は何か不機嫌そうに言った
「それにしても2人はそんながっちり手をつないじゃってお熱いネー」
金剛は言った
俺は目の前の金剛と名乗る彼女の事で手一杯だったがふと手を見ると大淀が俺の手を掴んでいる
「あっ、すみません提督・・・金剛さんから引っ張ったままでしたね」
大淀は顔を赤くしてすかさず手を離した。そんな事をしていると
「もう!金剛さんったら執務室の場所を聞くなりすぐに走り出しちゃって・・・」
と言いながら高雄さんが執務室へ入って来た。
「タカオーここの提督もなかなかカッコいいネーワタシ一目惚れしちゃったネー!」
金剛はそう言った
「なっ・・・!ひとめ・・・・ぼれ・・・・!?」
大淀がそれを聞いて目を丸くしてそう呟いている。
「あらあら金剛さんったら・・・・」
高雄さんはそれを見て微笑ましそうにしていた。そして
「提督、他の今日着任する艦娘達ももう到着していますよそれじゃあお二人、入って良いですよ」
高雄さんが続けてそう言うと一人の見覚えのある艦娘が執務室へと入って来た
「艦隊のアイドル、那珂ちゃんだよ〜!よっろしくぅ!!」
那珂・・・?以前阿賀野がトラック海域で助けた艦娘だ。
「那珂・・・さん?どうしてこっちに?」
俺は尋ねた
「だーかーらー那珂ちゃんって呼んでって言ったじゃない!那珂ちゃんね、阿賀野ちゃんともっと一緒に居たいってトラックの提督にお願いしたの。そしたら行って良いって言ってくれて・・・だから今日からここでお世話になるね!キャハッ☆」
那珂・・・ちゃんはそう言ってウインクをした。相変わらず濃い人だなぁ・・・・
「そ・・・そうなんだ・・・改めてよろしく・・・」
俺はそんな那珂ちゃんのテンションに押されつつも返事をした。
そういえば2人って言ってたよな?もう一人はどうしたんだろう?
「高雄さん、もう一人居るんですよね?来てないんですか?」
俺は高雄さんに尋ねた。すると
「いえ、さっきまで一緒だったんですけど・・・・」
高雄さんはそう言った
「天津風ちゃーん!恥ずかしがってないで入っておいでー!!」
那珂ちゃんがそう呼びかける
「ばっ・・・・!私別に恥ずかしがってなんて・・・」
その呼びかけに答える様に恐る恐る頭に吹き流しのような髪飾りを付けた少女が入って来た。
その少女はどこか寂しげな目をしている様に思えた。
「君が天津風・・・・?俺がここの提督の大和田謙。よろしくな」
俺は天津風と呼ばれた少女にそう挨拶をし、握手をしようと手を差し伸べた。すると
「やだ、触んないでよ!!取れちゃうじゃない!!」
天津風は手を見るなり飛び退いた。
「いっ・・・いや別にそんなつもりじゃ・・・それに取れるって何が?」
俺はそう尋ねると
「何がって・・・それは・・・吹き流しよ!そんなのもわかんないの!?ふんっ!それにしても冴えない顔してるわね!私陽炎型駆逐艦の天津風。以上。それじゃあ高雄さん、挨拶も終わった事だし私を部屋に案内してくれませんか?」
天津風はそう言った。なんだよコイツち態度悪過ぎだろ・・・・・これは先が思いやられるなぁ・・・・
「あのー天津風・・・?」
俺は天津風に声をかける
「気安く呼ばないで!さっきから金剛さんに抱きつかれてへらへらしちゃって・・・・私、一応艦娘だけどあなたとは提督と艦娘としての最低限の関わりしか持つつもり無いから!それじゃあ今日はもう私移動で疲れたから寝るわ。高雄さん!もういいでしょ?早く私を部屋に案内してください」
天津風はそう言った。
あー完全に拒絶されたなぁ・・・・俺なんか悪い事したのかな・・・
「あのー天津風ちゃん?これからあなた達の歓迎パーティーがあるんだけど・・・」
高雄さんはそう言うが
「良いです、私馴れ合う気ないですから!では失礼します!」
そう言って天津風は執務室を出て行ってしまった
「天津風ちゃんちょっと待って!すみません提督、私天津風ちゃんをお部屋に案内してきます」
高雄さんもそれを追って執務室を後にした。なんていう態度の悪い艦娘なんだ・・・俺はこみ上げてくる怒りを押し殺しつつ執務室に残った那珂ちゃんと金剛に
「えーっと・・・気を取り直して今日はこれから君達の歓迎パーティーの予定なんだけど・・・」
天津風のせいでムードが台無しだ。でももう準備もしてあるしせめて金剛と那珂ちゃんには楽しんでもらおう。
「パーティーデース!?ワタシ嬉しいネー天津風はきっと恥ずかしがってるだけだからなんとかなるヨ〜提督ゥ〜落ち込まないでくだサーイ!」
「那珂ちゃんもそう思うなぁ〜でも那珂ちゃんスマイルできっと天津風ちゃんと仲良くなってみせるから提督も見ててね。キャハッ☆」
2人はそう言って俺を励ましてくれた。
「ありがとう2人とも・・それじゃあ大淀、2人を食堂に案内してやってくれないか?俺は春風を呼んでくるから。あいつ方向音痴で危なっかしくて見てらんないんだよ。」
俺はそう大淀に声をかけた。
「ひとめ・・・・ひと・・・・」
大淀は何やらフリーズしている
「おーい、大淀〜?」
お手は大淀に続けて呼びかけた。すると
「はっ・・・はい!すみません!!ちょっとぼーっとしてました!!お二人を食堂に案内すれば良いんですね?一応放送もかけておきます」
大淀はそう言った。どうしたんだろう?いつもはこんな事ないんだけどなぁ。まあいいやちゃっちゃと春風を迎えにいこう。
「ああ。それじゃあ頼んだぞ」
俺は執務室を出て春風の部屋へと向かった。
そして春風の部屋へ向かう最中にふとこう思った
天津風・・・・あの目・・・あの感じ・・・俺はどこかであの子に会っている様な気がする・・・・でもあんな子に会った記憶は無いしなぁ。多分気のせいだろう。
俺はそんな頭に浮かんだ事をかき消し春風の部屋へと急いだ。