ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。 作:ゔぁいらす
謙達がショッピングモールに行った次の日の朝
「今日は提督遅いですね・・・」
「ええ。そうね。今朝早くにすぐ帰るからって出て行ったのは見たのだけど。」
いつもと変わらず執務室で大淀と高雄が書類を片付けていた。
「ええ?私には何も言ってくれませんでしたよ!?全くけ・・・じゃ無かった提督は休み前で一番忙しいのに一体何処に行ってるのかしら。」
大淀はすこしため息混じりにそう言った
そのころ謙はというと・・・
「多分この辺りだったはずなんだけどなぁ・・・・」
謙はソラに別れの挨拶を言うため昨日天と会った場所に来ていた。アテは無かったが、もしかすると最後にまたここに来るのではないかという彼自身の直感に賭けていた。そこには昨日の夜と変わらずソラが海を眺めている。
「やっぱり今日も来てたんだな」
謙は天に声をかける。
「お兄さん・・・こんな朝っぱらから何しに来たの?仕事は?ヒマなの?」
天は早速謙に悪態をついた。
「ああもう!折角お前に会いに来てやったって言うのにその言い方は無いだろ!」
謙は少し怒ってそう言った。
「そう・・・なんだ・・・お兄さんまさかそういう趣味なの?」
天は謙が会いに来てくれたのが嬉しかったのだが照れ隠しに更に悪態をついた。
「ちげーよ!断じて違う!!折角会いに来てやったのに何だよその言い方!!ってかこんなやり取りもこれが最後なんだなて思うと感慨深いな・・・」
謙は別れを告げに来た事を思い出し、少し寂しくなった。何せ天は××鎮守府に来てから唯一マトモに話せる同性の友人だったのだから。
「そう・・・だね・・・僕こんな時なんて言えば良いのか分からなくって・・・・」
謙の言葉を聞いた天も悲しそうな顔をしてそう言った。
「あー暗い暗い!せっかく明るく別れようと思って来たんだからもうこの話は止め止め!!そうだ。お前に餞別が有るんだよ。」
そう言うと謙はがさごそと持ってきた袋からロボットのおもちゃを取り出す。
「何それ?ロボット?」
天は不思議そうに謙の取り出したロボットのおもちゃを見つめた。
「ああこれはな。俺が小学校だか中学校だかくらいに流行ったロボットアニメ鬼怒世紀ガンヴァレリオンに出て来たRGN-003ネイトリュオンだ!」
謙は得意げにそう語った。
「えっ・・・なにそれダサッ・・・」
天は怪訝な表情でそれを見つめるが
「ダサいってなんだよ!これ俺がガンヴァレリオンの中で一番好きなヤツなんだぞ!アニメでも最期のシーンはもう涙無しには・・・・」
謙は力説をしようとするが・・・
「あーわかったわかったよ。でもなんでそんな大切なモノを僕に?」
天は不思議そうな顔で謙に聞く。
「そりゃ・・・お前・・・俺がソラの事を大切な友達だと思ってるからに決まってるだろ?辛い時はこれ見てこの町の事とか俺の事とか思い出してくれよ」
謙はそう言った
「なんかお兄さんの冴えない顔思い出したら逆にしんどくなりそうな気もするけどまあ・・・うん・・・良く見たら悪くないよこのロボット・・・・大切にするね」
天はそのロボットのおもちゃを大事そうに抱きしめた。
「冴えない顔は余計だ!まあ大切にしてやってくれ」
2人がそんな話をしていると
「おおここに居たのか天くん。」
なにやら一人の男がこちらに近付いてくる
「あれ?長t・・・じゃなかった長峰さんじゃないですかどうしてここに?」
謙は良く見知った顔の長峰がここに居る事を疑問に思い質問をした
「提督君、君こそ何でこんなところに?」
長峰も不思議そうに謙に問う
「ああ、友達を見送りに来たんですよ」
「友達・・・ソラくんの事か?」
長峰は驚いた顔をした。
「ええ・・・まあ一応・・・」
ソラはそう言った。
「フッ・・・そうか。あの人見知りのソラくんが君に懐いたか。」
長峰は嬉しそうにそう言った。
「あのー長峰さんとソラってどういう関係なんですか?」
謙は長峰にそう問う
「ああ、ソラくんの両親にこの子を頼むと言われてな。色々気にかけてやってたんだ一応隣近所に住んでるからな。それでソラくんを今日はそのよしみで最寄りの駅まで送ってやろうって事になってたんだ。」
長峰はそう言った。
「ああそうだったんですか・・・」
謙は納得したように頷いた。
「そろそろ時間だ。ソラくん。最後に提督君になにか言いたい事は無いかい?」
長峰は優しく天に問いかけた。
「あっ・・・あの・・・・こんな僕と短い間だったけど話し相手になってくれて・・・・ありがとう。これ大切にする。」
天は半べそをかいてそう言った。
「おいやめろよ・・・俺まで泣きたくなっちまうじゃねえか・・・・俺もお前と友達になれて嬉しかった。昨日も言ったけどどれだけ離れても俺とお前は友達だからな。また会いにこいよな!!」
謙も涙を拭いながら天に別れの挨拶をして天の頭をワシワシと撫でた。
「うん・・・また・・・ね。お兄さん。僕の事忘れないでね」
天は深く頷いた
「ああ当然だろ?またな!ソラ!!」
謙も涙を拭き笑顔でそう言った。
「そっか・・・ありがとうお兄さんそれじゃあ行くね。バイバイ」
「それでは天くん。そろそろ行こうか。提督君も天くんと友達になってくれて私からも感謝している。ありがとう。それでは私は天くんを責任を持って送り届けよう。」
長峰はそう言うと天の手を引き××漁港の方へと戻って行った。
「元気でなー!!」
謙は天の背中が見えなくなるまで手を降り続けた。そして天の背中が見えなくなり。
「ふう・・・アイツももう居なくなるのか・・・あっ!そうだこんな事してる場合じゃねぇ!朝の仕事すっぽかしたままじゃねぇか!!」
謙は大淀の怒っている顔が頭に浮かび鎮守府へと走った。
そんな事があった次の日、彼らの休暇が始まる・・・